2017/07/31 のログ
ご案内:「図書館」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 外は燦々と照り付ける日光と蝉の合唱団が暴力的な気温とハーモニーを奏でて出歩く者達の体力を奪っている。
しかし、此処は現代科学の粋、空調が行き届いた図書館内。
汗一つ流すことなく、悠々と目的の書物を選べば、テーブルに腰掛ける。

「惜しむらくは飲食禁止であることかな。まあ、この蔵書量を前に贅沢は言ってられんが」

手に取ったのは魔術の基礎について記した本や、初級魔術行使についてのテキスト。
筆記や座学は兎も角、学園での目的を考えれば魔術の力を得る事は不可欠でもあった。出来れば、肉体強化の魔術を会得したいところだが―先ずは基礎から学ばない事には、何も進まないだろう。贅沢はいっていられない。

神代 理央 > 異能とは違い、魔術とは学ぼうと思えば程度の差はあれ誰にでも習得が可能である…らしい。
入門書を眺めてみれば<先ずは指先から火を出す所から!>だの<治癒魔術で擦り傷を治してみよう>だの、確かに魔術というよりは家庭科だの技術の教科書に近い様な雰囲気がある。
尤も、これに頼らなければ自分は火どころか煙すら魔術で起こせないのだが。ライターを使えば良いじゃないか。ライターを。

「…取り敢えず、何冊か見繕って借りて帰るかなあ。流石に此処じゃ実践してみる訳にもいかんしな」

術式を発動させる為の公式(と評して良いかは分からないが)をノートに纏めながら独りごちる。
そろそろ委員会や部活も決めて実家に報告しなければならないし、取得した講義の試験も控えている。
中々休める暇が無いな、と溜息を一つ。

神代 理央 > 漸く1冊のテキストをノートに纏め終えた頃、流石に目と腕の疲労を感じて小さく背を伸ばす。
首を左右に軽く曲げれば、コキコキと関節の鳴る心地良い音が体内に響くだろう。

「何とか夏の間に初級魔術を行使できる様になりたいところだが…これでは前途多難かもしれんな…」

時間を見繕って魔術系統の夏期講習を受けるべきだろうか。
流石に独学で魔術を修めよう等という暴挙に挑むつもりは無いので、生徒という立場を存分に利用して習得できる知識は全て習得しておくべきだろう。
先日はスラム街で実戦を行ったが、次は魔獣や妖精の類相手に力を振るってみるのも一考か、と疲労を訴える目で瞬きしながらぼんやりと思考に耽る。

神代 理央 > 暫く思考に耽っていれば、司書の女性から肩をトントンと叩かれる。どうやら微睡んでいるのかと勘違いされたらしい。
謝罪と、机の上に広げている本を借り受けたい旨を申し出れば、司書の女性は淡々と手続きについて説明した後、入り口付近のカウンターで手続きを済ませる様に告げるだろう。

「……参ったな。考え込むとぼーっとしてしまうのは、悪い癖だと自覚はしているんだが」

愚痴めいた独り言を零しながら、数冊の本を抱えて貸出の手続きを済ませる。
異能、魔術を身に着け、己の力を高めた末に何を目指すのか。今はまだ、漠然と力を追い求めているに過ぎない。
他者を圧倒する力こそが己のアイデンティティであり、その虚栄心を崩さぬ様に、今日も遅くまで彼の家は煌々と灯りが灯っていたのだろう。

ご案内:「図書館」から神代 理央さんが去りました。