2017/08/11 のログ
■筑波 察 > (図書館、この時間は誰もいないだろうと狙ってやってきたものの、
やはり全く人がいないというのは難しいようで、少年が何か資料を読み漁っていた。
同じように資料になりそうな本を大量に抱えて、テーブルの上に置く。
見たままの重さがテーブルをドサッと低く鳴らし、
一番上に置いてあった本が崩れそうになるのを手でとめる。
テーブルに積まれたのは主に力学や振動に関する物理の参考書、
それから数学の参考書だ)
「うるさくしてしまってすまないね」
(本を置くときに音を出してしまったことを、先に読書していた少年に謝罪する。
そしてそのまま席に着くと一冊手に取って読み進めていく>
■笹貫虎徹 > 「…筋力を単純に強化したら、持ち味が犠牲になりそうだし…やっぱり、反射神経とか五感を――ん?」
初歩的な強化魔術の書物を読みつつ、大まかな方針を固めていると声を掛けられた。
そちらに、いまいち快活さに乏しい視線を向ける。次いで、ドサリと置かれた書物を一瞥。
(……何か小難しそうな本ばかりだなぁ。頭良いんだろうな、この人)
と、率直な感想を心の中で呟きながら、無表情で「や、お気にせず」と社交辞令の言葉を返す。
それ以上、こちらから声を掛ける事も無く…結局また手元の強化魔術の書物に目を落とす。
(…魔力が少ないから、消費効率も考えて…質も低いから強化項目も絞らないとキツいかもしれない)
初歩の強化魔術、そこから更に切り詰めてやっと使えるかどうかといった所か。
■筑波 察 > 「……君、魔術が使えるのかい?」
(声をかけた。
単純に興味がわいたのだろう。気になれば質問するのが癖なのだ。
なんとなく見た感じは愛想が悪いというか、良くも悪くも印象が薄い少年。
読んでいるのは魔術に関する本。
生まれてこの方魔術というものに目を向けたことがなかった。
と言うか正直自分のことでいっぱいいっぱいだったのだが、
魔術の考え方も生かせるかもしれないと、
思いつきで声をかけてしまった>
■笹貫虎徹 > 「……んー?…いや、残念ながら魔術はからっきしだよ俺は。魔力の量も質も底辺に近いし使えたとしても初歩のが限界かもね」
と、本に視線を落としたまま淡々と答える。愛想が悪い、というよりこれが少年の自然体だ。
その声も、棒読み口調まんまで感情らしい感情が一切篭っておらず。
そこで、やっとこさ視線を上げてそちらに顔を向けた。
「…まぁ、だから俺に魔術の事を聞いてもあまり意味無いと思うよ?
むしろ、それならそこらの魔術関連の書物を自分で読んだ方がまだ手っ取り早いと思うし」
肩を竦めてみせながらそう告げる。実際、魔術で答えられる事など少年にはほぼ無い。
■筑波 察 > 「そうなのかい?そりゃあ先が見えなくて大変だねぇ。
いやいや、意味があるかないかはわからないよ?
そこに意味を見出すのが僕らの仕事だからねぇ」
(不愛想、というよりかは、初対面の奴に突然話しかけられて距離をとっている、
という印象だ。それが彼の素なのかもしれないが)
「っていっても、最近勉強を始めたばかりなんだろう?
なら初めから期待しないで勉強するのもつまらないだろう」
(読んでいる本のタイトルから、
なんとなくよく訓練や勉強を重ねている風には思えなかった>
■笹貫虎徹 > 「…んー、そういうもん?先が見えないのはまぁ何時もの事だからいいけど…。
まぁ、意味とかそういうのは後から付いてくればそれでいいかなぁ」
意味を見出す事を仕事、と言われても少年には大仰に感じられたのか首を傾げてそう答える。
それに、先が見えないのは毎度の事だ。異能も持たず、魔術も絶望的で、武器も扱えない。
あるのは己の体一つだけ。先が見えないトンネルは未だに続いている。
まぁ、そこまで楽観視はしていないが悲観もしていない。そういう性格だ。
「んーぬか喜びとか疲れるから嫌だし。それに、方針は決まってるからそこだけ抜き出して行く感じだからね。
勉強、というより作業に近いかもしれないな…うん、多分」
強化系、それも肉体強化の魔術。そこから更に特定の項目だけを強化する。
そのような前提を持っているので、勉強というよりも矢張り作業に近い。
自身の方針に合う魔術をピックアップしていくだけなのだから。
■筑波 察 > 「そういうもんだよ。
意味のないものはあっという間に忘れちゃうからね。
嫌でも意味を見出さないといけない。だから仕事」
(意味のないものは忘れる。例えば興味のない人間の名前とか。
だから相手に対して友達だとか、恋人だとか、家族だとか、そういう意味付けをする。
忘れたくなければ意味を見出せ。そういう強制力のある部分を、仕事と揶揄したのだ)
「方針が決まっているのに期待薄とは、
報われない努力でもするつもりかい?」
(やることが決まっていて、作業に近いという少年。
だというのに、初歩が限界かもしれないと見積もるあたり、
少し残念な風に思えた。残念、という感想が適切かはわからないが>
■笹貫虎徹 > 「ふーーん……何か哲学的?よく分からんけど」
結構理論や理屈派な人物なのだろうか?と、不思議そうに瞬きを数度する。
あまりあれこれと小難しく考えない…決して馬鹿ではないのだが…少年からすれば疲れそうだなぁ、というのが率直な感想。
意味付けに関しても、矢張り少年はそんなに深い事を考えていない。
ある意味で達観しており、ある意味で余計な思考を放棄しているとも言えなくも無い。
「報われない努力も慣れっこだからなぁ。まぁ、最低限魔術が使えばそれで十分」
高望みはしないし、無駄な向上心は持たない。そもそも肝心の魔力の質や量が最低レベル。
わずかでも魔術が使えるだけむしろ奇跡的なレベルなのだから。
別に勝手な自己分析ではない。魔力の測定検査などを受けてそう判定されている。
■筑波 察 > 「なんだか、つまらないねぇ」
(理屈っぽいのか、と聞かれればそうだろう。
理屈でここまで生きてきた人間なのだから。
そして口からでたつまらないという言葉。
これはまた裏表も含みもない、心に浮かんだ感想だ)
「慣れっこねぇ、そんなに報われないことがたくさんあったのかい?」
(慣れっこ、というからにはそれなりにそういう経験があるのだろう。
そう思って、本を読み進めながら質問してみる>
■笹貫虎徹 > 「そりゃどーも。その手の感想も慣れっこなんでねぇ。割と事実だし」
つまらない、という彼の感想に怒りも笑いもせずに淡々と答えて肯定する。
実際に慣れているのかその顔や言動、態度に全く揺らぎが見られないのがすぐに分かるだろうか。
つまり、面と向かって言われても「全く何とも思っていない」のだ。
「んー、そもそも報われたいからしてる訳でもないしなぁ。
強いて言うなら予防線?この前、変な辻斬りガールに襲われたのもあるし」
報われないのは何時もの事、報われたいとも特に思わない。
今、実りが薄いだろう魔術の書物に目を通しているのもただの予防線だ。
それ以上でも以下でもなく。つまらない…うん、確かに彼の言う通り。
「…ま、この島の人達に比べれば俺のなんて軽いもんでしょうさ」
そう結論付ける。自身の報われない云々なんて、外から見れば別に大した事は無いのだと。
■筑波 察 > 「んー、君は生きていること絶望してるのかい?
襲われたから自衛のために学ぶ、
なのに期待薄であることを察して打開しない。
僕もたいがいだといわれるけど、君もなかなか変な生き方をするねぇ?」
(レンズの向く方向を本から彼の顔に向ける。
表情はピクリとも動かない。
きっと感情も表情と同じで微動だにしていないのだろう。
その様子をみて、少し残念に思うのと同時に
彼の寿命を奪えるなら、僕が奪って使いたいくらいだ。と思ってしまう)
「報われたいと思わないなら君の余生をぜひ僕に分けてほしいね。
僕は人生が80年ぽっちじゃ足りないと思っている人間だから。
それと、僕以外の人の前でそういうことは言わないことだ。
多くの人の逆鱗に触れる。辻斬り以前に違う人間に襲われるよ」
(俺のなんて軽いものでしょう。
その言葉は何を意味しているのだろう。
自分の人生に意味がなくてもかまわないということだろうか。
なぜそこまで希薄になりたがるのか、到底理解は及ばないようで>
■笹貫虎徹 > 「え?いや別に。絶望するほどの理由は…んーそんな悲劇の主人公じみたドラマは特に無いなぁ。
…ああ、まぁ変なヤツとかはこの島に来る前も散々言われた気がするけど」
昔から「お前は変だ」と言われ続けた。だからこそ、彼の意見もその延長線上なのだと捉えてしまう。
…問題なのは、そうまで言われて今も指摘されて、少年自身は全く何とも思ってない事だが。
「…んー?別に分けてもいいけど、そういう方法は流石に知らんよ俺は。
ああ、成程…まぁ、気をつけるよ一応。逆鱗に触れたら…その時はその時かな。
正直、あんまし人付き合いとか慣れてないからなぁ俺。多分結構ズレてんだろうね」
あっけらかんと言う。投げやりになっている訳ではなく素でそう答えている。
最低限死なない程度に立ち回れればそれでいいし、死んだらその時はその時。人生終了だ。
■筑波 察 > 「むしろ逆かね、無理してでも生きる理由がないのか。
なにもなさ過ぎて、執着することすらできずにいる感じ。
惰性で生きているといってもいい」
(なんとなく、そんなふうに結論付ける。
きっと彼の人生はコピー用紙一枚に収まるくらいに薄いものなのではないか。
そのレベルで希薄なのではないか。そう思えてしまう)
「じゃあ、もらえるものはもらっておこうかねぇ」
(彼の言葉を聞いたのち、すっと立ち上がってテーブルから身を乗り出す。
そして彼の耳を両手で覆うと、少し力を込める。
三半規管への刺激。
彼が普通の人間なら激しい吐き気を伴うだろう>
■笹貫虎徹 > 「惰性かぁ……さて、どうなんだろうかね」
首を捻る。あまりその辺りも深く考えた事が無い気がする。
まぁ、つまらない生き方なんだろう。外から見れば。少年からすればこれが平常運転でしかなく。
何か劇的な過去があったとか、酷い絶望を経験したとか、…うん、そういうのは他の人が経験してると思うし。
自分にはそういう特別な過去とか別に無い気がする。あっても大したものじゃあないんだろう。
「……おや?」
至って呑気に彼の行動を眺めていたが、次の瞬間平衡感覚が崩れたのか魔術書をドサッと落としてしまう。
吐き気もあるのかガクン、と頭が揺れて俯いてしまい表情が隠れてしまうだろうか。
■筑波 察 > 「おお、利くねぇ。やっぱり人間相手だとこれが一番効果があるかもしれないなぁ」
(俯いてしまった少年を見ると、満足した風につぶやく。
耳から手を離せば彼の様子をしばらく観察する。
少なくとも、現段階で何も能力や魔術を有しない人間の反応はサンプルとして貴重だ)
「まま、5分くらいで戻るよ。
――こういう人体実験じみたことはなかなかできないからねぇ。
良いサンプルが取れたよ。ご協力感謝。
ああ、後僕は筑波って言うんだ。君の人生をちょっと借りる形になった」
(相変わらず顔を挙げない彼に名前を告げると、そのまま落ちた魔術書を拾い上げる。
何が書いてあるのかはさっぱりだ。
そのまま積み上げていた本を抱えて貸し出しカウンターに足を向ける
「君がどう生きるかは自由だけど、
こんなつまらない実験に人生を捧げるよりか楽しい生き方があると、
そう思わないかい?」
(首だけで振り向くと、ゴーグルのレンズを彼に向け、そういう。
その表情はひどく楽しそうだが、うつむいている彼には見えないだろう。
そのまま静かに、足音すら立てずに図書館を後にする>
ご案内:「図書館」から筑波 察さんが去りました。
■笹貫虎徹 > 「……あー気持ち悪……うん、三半規管をダイレクトに揺らされたのかな、これ…世界が回ってる感じだな」
顔を挙げないで俯いたまま、ボソボソと呟くように独り言。
彼の言葉は全部聞こえていた。まぁ流石に答えられる状態ではなかったけれど。
ようやく顔を上げた。所要時間は「2分」。…思ったより復帰に時間が掛かったかもしれない。
(…うへぇ、爺さんに身体操作叩き込まれてて良かったけど昔より鈍ってないかなぁ、これ)
そして、更に1分経過した所で立ち上がる。5分の間に意識が戻るどころか3分で完全復活だ。後遺症の類も多分無い。
「…魔術か異能かは分からんけど、こっちは無能力者なんだから手加減をして欲しいトコだなぁ」
コキコキと首を鳴らして嘆息。何も三半規管を揺らされるのは初めてではない。
ただ、不可思議な力でというのは流石に初めてだった。驚異的だなぁ、と他人事のように思いつつ。
「…楽しい生き方ねぇ。そういうのよく分からんのよ」
■笹貫虎徹 > 「念の為に確認を…と。…あぁ、うん。ほぅほぅ…うん」
目を閉じてトントンと両耳を軽く叩いて何かを確かめる。何か仕込まれてる感覚は無い。
…取り敢えず、二度目は対処できそうだが結局どういう原理なのかは分からない。
(魔術も異能も縁が無いからなぁ。もうちょい勉強しとくのも…あぁ面倒くさいなぁでも)
あれ、そういえば読んでいた書物は何処だろう?落とした記憶があるが見つからない。
(…んー彼が持っていった?まぁいいか…)
さっさと切り替える。もう本の事は殆ど忘れかけていたが、多分そのうち思い出すだろう。
「…しかし。辻斬りさんといい三半規管君といい個性的な人とばかり知り合うもんだなぁ」
と、呟きながらしっかりとした足取りでブラリと図書館を後にするのだった。
ご案内:「図書館」から笹貫虎徹さんが去りました。
ご案内:「図書館」に藤巳 陽菜さんが現れました。
■藤巳 陽菜 > 蛇の体を器用に動かして棚の高いところまで確認したりしながら
一人の少女がある系統の本を探していた。
魔術に関する本。それも、肉体を変質させる魔術に関する本。
…陽菜はそういった本を探していた。
「はあ、見つからないわね。」
…師匠とかに相談すれば早く見つかりそうな気もするが
陽菜の師匠の流派ではそういった魔術は禁止らしいので少し尋ねにくい…。
(もう、図書委員にでも聞いた方が早いかしら…。
いや、でも仕事の邪魔するのも悪いし…もう少し、もう少しだけ自分で探してからにしましょう。)
何回も思っては否定したことを頭の中でまた繰り返す。
絶対に尋ねた方が早いのだけど…こんな事で手間をとらせるのも悪いし…。
■藤巳 陽菜 > 「はあ、そもそも変身の魔術か禁止されてるのが悪いのよ…。
禁止じゃなかったらこれも師匠に教えて貰えてたのに。」
…他の魔術は師匠が分かりやすく教えてくれるのでそこまで困った事は無い。
いや、困った事はないどころか日常生活で便利な魔術から最低限の自衛の魔術まで使える。
師匠の教え方が上手いうえに分からない事を尋ねやすい環境が良かったのだと思う。
「それにしても…無いわね。
違う棚なのかしら?」
生き物に関する魔術が多く入った棚を後にして裏側に回る。
ご案内:「図書館」に鈴木竜一さんが現れました。
■鈴木竜一 > 貴女が裏側に回ると,書架の前にしかめっ面の青年。魔術一般の棚を前にして,腕を組んでいる。
何か本を探しているようにも見えるが,よく観察すれば焦点が合わなくなりつつあるのが分かる。
「…………やべぇなこれ。」
外見からしても図書館によく来るようなタイプでは無さそうだし,
小さく呟く言葉からもきっとオーバーヒート寸前なのだろう。
青年が見ている辺りは各系統の入門魔術書が並んでいるし,もしかしたら変身魔法に関する書籍もあるかもしれない…?
■藤巳 陽菜 > 魔術一般、入門書的な本が多いが逆に今は都合がいい。
なんせ誰の助けも借りずに変身魔術を学ばなければいけないのだから。
…だが
(…人がいる。)
見れば、見るからにスポーツとかしてる感じの男子生徒が本棚の前で腕を組んでいる。
こういう風な感じの相手とはこの島に来る前もこの島に来てからも関わる事の無かったタイプ。
今回も普段のように避けようと後ろを通り過ぎようとするが…
目に入ったタイトルの無い一冊の本。
それに気を取られて尻尾の先がその男子生徒に軽くぶつかってしまう。
「あっ…ごめんなさい。」
■鈴木竜一 > 「……あぁ,なに,大丈……
何かが当たった感触と,その声に振り向いた。貴女の姿を見た。
…ぶッ…。」
吹き出した。笑ってではなく,とっても,真面目な顔のままで。
どうやらあまり“人外”に近い存在に慣れていないらしい。
おいおいマジかよこれってヤバい状況って奴じゃねぇ?
いやでも,なんか普通に大人しそうな感じの声だったし…。
「あー,いや,俺のほうもぼーっとしてたから。
……てーか,ごめん,正直言っちゃうけど,すげぇな…。
慣れてねーから,びっくりしちゃったわ。」
青年がチョイスしたのは,普段通りの軽いノリである。
もし危険な相手だったらダッシュで逃げよう。とか思っているかもしれないけれど。
■藤巳 陽菜 > (…まあ、そうなるわよね。)
きっと、この島に染まっていない全うな反応はそれだ。
この島の環境に慣れて忘れてしまっていたが。
それが普通の人間がこの身体を見た時の正常な反応だ。
「あっいいえ。私の身体が大きいのが悪いんです。
えっと、驚かせてごめんなさい。
こんなの慣れてないと驚きますよね…。」
鱗に覆われた蛇のようなその身体を触りながら言う。
「えっと…この身体は異能の影響で四月から変わっちゃったもので…。
…私は本当の異種族の人ではないんですよ。
あっこの島にはもちろん普通に他の世界から来た異種族の人もいるんですけど…。」
わたわたと手を振りながら自分の境遇とか姿とかの説明をする。
相手の警戒もどこか感じたのか焦った様子で…。
■鈴木竜一 > 異種族だと思っていたから,素直に伝えてしまったが,
話を聞けば貴女も“異能”の影響を受けただけだった。
……失礼なこと言っちまった。
バツの悪そうな表情を浮かべてから,小さく頷いて,
「ごめんごめん,でもお陰で目ー覚めたわ。
魔術の勉強でもしようかと思ったんだけどさ,もう眺めてるだけで眩暈するってーか…。」
青年は努めて,普段通りに振る舞おうとした。
貴女に害意が無いことが分かれば,別段恐怖することも無い。
……よく見たら,自分と同じか年下くらいの女の子だし。
「ってか,そんなデカいと不便そうだよな。
あ,っと,そういえば邪魔しちったけど,本でも探してた?」
素直な感想を述べてから,手伝おうか?と提案する。
直後に,いや待てどう考えても役に立てないだろう自分。と思い直したが口には出さなかった。
■藤巳 陽菜 > 「…ええ。本当にどこから手を付けていいか分からないですよね。
勉強するのなら独学よりも授業とかとった方がいいかもしれませんね。」
…気を使わせている感じがする。
でも、先ほどまでの警戒は消えていた。
「ええ。本当に不便で…見た目も悪いですし。
本当ならこの異能を無くす方法を探したいんですけど…
まあ、難しいみたいなのでせめて形だけでも元に戻せたらなって
変身魔術の本とか探してたんですけど…。」
さっきみたいにぶつかるし人に要らない不快感とか恐怖感とか与えるし。
さっきまでのやり取りに異能を消したい理由の大体が含まれていた。
「いや、そんな悪いですよ!
ぶつかっておいて手伝いまでしてもらうなんて!!」
それなら図書委員に頼むほうがまだ気が楽だ。
■鈴木竜一 > 「ほら,なーんも分からないと,授業で当てられたら困るじゃん?」
この見た目で,意外と予習するタイプらしい。
貴女の探している本も,その用途も,とても納得できるものだったので…
「おっしゃ,変身魔術な!
俺も異能持ちでさ,あんまし良い思いしたことねーから,気持ちは分かるってーか…。
お,これなんかどーよ?」
貴女の言葉そっちのけでやる気満々であった。
大雑把に探して“それっぽい”のをひょいひょいピックアップしていく。
まぁ、3割ハズレ,4割かすって,残りの3割が辛うじて命中,といった具合だ。
貴女はそれを吟味して駄目なら書架に戻せばいいのだが…効率が良いのか悪いのか。
「…それじゃ,代わりに魔法系でお勧めの授業教えて。」