2017/08/12 のログ
藤巳 陽菜 > 「素直に分かりませんと答えたらいいのでは…。
 魔術に関することならきっと先生もおおめに見てくれますよ。」

陽菜はあまり予習とかしないタイプである。
もちろん、それで上手くいかなかった事もあるが。

「あなたも異能持ってるんですね…。
 わっそんなにいっぺんに…!!」

明らかに違うものを除けば量は減る。
もしかしてこれとかそうなんじゃないだろうか?
そんなものを数冊ほど選び出して受け取る。実際中身は分からないけど。

「おススメの授業ですか…。
 そうですねクロード先生の魔術入門とか日常で使えるのが多くておススメですね。
 後は、デーダイン先生の黒魔術とか面白いと思います。結構、実習とかも多くて。
 他はミザリー先生の魔女の魔術とか…これは殆んど生徒とってないんですけどね…。
 えーと…他には…。」

他に何かお勧めできそうなものはないだろうか?少し考えてみる。

鈴木竜一 > 「そうなんだけどさ……恥ずかしいじゃん。」

この青年は,単純に見栄っ張りなだけかもしれない。
目につく所をだいたい見終わったところで,最後に1冊持ってきた。

「何だっけ,数撃ちゃ当たる,だっけ?
 ……それだけあればなんとかなるっしょ。」

最後に積み重ねたその本はカ○カの『変身』である。なんてこった。
ここに並べた奴もどうかと思うが,この青年も大概だ。

「うん,一応俺も異能者ってやつ?
 っても,君ほど苦労するような異能じゃないけどね。」

さらりとそうとだけ言ったが,異能の内容までは語らなかった。
貴女はそれを聞いても聞かなくても良い。

「ふむふむ…ちょっと待てメモる。
 クロード先生と,デーダイン………ミザリー……っと。」

ポケットに入っていたペンで,メモ用紙じゃなくて腕にメモを残す。

藤巳 陽菜 > 「本土の方から来たばかりならきっとそれで普通ですよ。
 …上手く答えて期待された方が後々は大変でしょうに。」

変に期待されるより少しぐらい下の普通の位置の方がいい。
目立つよりも普通の方がずっといい。

「…まあ、役に立つ本もあるかもしれませんね。」

最後に乗せられた本をすぐにはコメント無く空いた書架に差し込む。
図書委員には申し訳ないがそもそもここに置かれていること自体が間違いのハズだ。
手間は変わらないと思う。
それにしても、多分わざとやってるわけではないのだと思うが…。

「…ちなみにどんな感じの異能なんですか?
 言いにくいものじゃないなら教えて貰ってもいいでしょうか?」

異能があると聞けばもしかしたら何か自分の異能を制御できるヒントがあるかもなんて考えて…
そして、単なる好奇心から…
どんな異能かを尋ねてみる。

「あっあと魔術の授業なら獅南先生っていう先生の授業がスゴイって聞いたことがあります。」

何が凄いのかは分からないけど取ってた(過去形)同級生が凄いって言っていた。

鈴木竜一 > 「あー,確かにそーいう考え方もアリか……。
 でも目立っといた方が後で都合良いかも知んないし……。」

青年は少しだけ真面目に考えていた。目立つことに抵抗が無いのだろう。
最後に積み重ねた本を無言で戻されれば,

「…あ,やっぱ?魔導書にしては薄いよなーって。」

何となく察してはいたようです。そして,わざとではないようです。
異能の事を聞かれても,特に表情は変わらず…

「んー,なんてーか……俺さゲームみたいに“コンテニュー”できんのよ。
 ふつーは死んじゃったら終わりなのに,俺はベッドの上で目が覚めるだけなの。
 ………意味不明っしょ?」

意図的に発動できるものではないらしく,制御のヒントには程遠いだろう。
だが少なくとも好奇心を刺激するような内容ではあるかもしれない。

「それから,獅南せんせー……おっけ,サンキュー!
 ……って,名前聞いてなかったっけ。 俺は鈴木竜一ってんだけど,君は?」

凄い。その言葉に惑わされて履修する不幸な青年が1人。

藤巳 陽菜 > 「確かに良い事もあるかもしれませんけど…。
 私はあんまり目立ちたくない方なので…。」

こんな身体だから目立っちゃうんですけど…。と小さく呟いて溜息を吐く。
無駄に目立つよりは人に紛れて生きたいと思う。
…確かに人目を引くことで得られるものがある事も知っているんだけど…。

「私、嫌いなんですよその本。
 元々、あんまり好きじゃなかったんですけど異能に目覚めてから特に…。」

最初の方しか読んでないがあまり、好きになれそうにない。
特にこの姿に変わってしまった今は…。

「なるほど…?
 でも、普通に生活してたらというかその能力に気づかないですよね。
 つまり一回は…あっ、ごめんなさい。」

恐らくは能力を発動したことがあるという事なのだろう。
つまり、少なくとも彼は最低一回は死んでしまっているという事だ。
それに気がついて思わず謝ってしまう。

「私は藤巳陽菜っていいます。鈴木さんは一年生ですよね?
 私も同じ一年生なのでよろしくお願いしますね。」

鈴木竜一 > 「…なーるほど,確かに目立たないって方が難しそうだもんなぁ。
 変身魔法が使えればいーんだけど,あんまり無茶はしないよーにね。
 今よりおっかなく変身しちゃったら俺またビビっちゃうから。」

なんて冗談交じりに笑って見せる。
貴女の考え方を否定するつもりは無いし,その性格なら一層つらいだろうとも想像できた。

「……そっか,ゴメン,俺表紙しか見てねぇ。」

ちらりと視線を先ほどの本へと向けて,タイトルと作者名を覚えた。
気が向いたら後で読んでみるかな,なんて。

「いいのいいの,そーいうことだから。
 覚えてんのが1回で,忘れっちまってるんだけれどもう1回死んでんだよねぇ。
 ……まぁ,生きててラッキー,って言ってもいいんだけどさ。」

苦笑を浮かべるその姿には,悲壮感の欠片も無い。
けれど,前向きな姿をあえて演じているようにも見えるだろう。

「陽菜ちゃんか……よろしく!
 っと,しまった,見た目で判断したら失敗すんだった。
 俺17なんだけど,大丈夫かな,俺より年上のおねーさんだったりしない?」

どうやら外見年齢と実年齢の違いで失敗したことがあるようだ。

藤巳 陽菜 > 「この島だったらまだ、比較的マシな方なんですけどね。
 他にも目立つ人がいっぱいいますし。
 ああ、それなら安心してください。
 今より酷くなったら部屋で引きこもりますから鈴木さんを驚かせませんよ。」

冗談かそうでないか分からない微妙な声の明るさで言う。
どちらにしても冗談にはならない。

「そもそも、こんなところに置いてあるのが悪いんですよ。」

図書委員の職務怠慢だろうか。
もし、わざとやっているのならば良い趣味をしてる…。

「2回…確かに生きのこったて考えたら…
 使う機会がない事に越した事は無いでよね。
 その…急に異能が無くならないとも限りませんし…。」

コンテニュー出来る残機制というのならいつかは普通に死ぬのかもしれない。
そうでなくとも、死ぬのはきっと怖いと思う。

「ええ、私は普通に15歳なので大丈夫ですよ。
 確かにこの島は見た目と中身が一致しない人は多いですよね。
 種族が違う人とかに特に多いですけど。」

鈴木竜一 > 「ホントになぁ…俺だって異能者ってだけで少しは有名人だったのに。
 この島じゃもうマジで何でもないただの人だもんよ。
 ……そっか,陽菜ちゃんの場合はその姿をどーにかしないと戻るに戻れねーのか…。」

事の重大さに改めて気づいたらしく,小さく頷いて…

「…あ,それ却下。面白くないから。
 ビビらせるつもりで脅かしに来てくれたほうが面白い。うん。」

冗談だけどな。なんて,くすくすと楽しげに笑う。
貴女の言葉は本気だと聞こえたからこそ,笑い飛ばした。

「あんまし難しく考えてもしゃーないっしょ。
 何もしなくてもコンティニューしちゃうんだし,それが無くなったらまぁ,フツーに戻るだけだし。」

その重い内容を軽く語り,あっけらかんと笑う姿は異様にすら映るだろう。
まるで自分の命に僅かほども執着が無いと言わんばかりに。

「……セーフ。
 ホントにさ,見た目小学生なのに100歳超えとか沢山居るしさ,勘弁してほしいわマジで。」

藤巳 陽菜 > 「ただの人って…そんな事ないですよ!
 鈴木さんはこの島では珍しいくらいに普通な感じの人です!

 まあ、戻っても暮らしにくいのは確かですよね。
 目立つ目立たないもそうですけど設備が整ってないですし。」

強く普通であることを褒める。褒める?
実際彼には本土っぽいというか、普通な感じはある。
…いい意味で。

「嫌ですよ。
 人に驚かれるのってかなり傷つきますからね。
 …会った時の反応でも心がザクってなりましたからね。ザクって。」

そう言う風に言ってくれたら少し紛れる。
でも、実際に失敗した時のリスクとかは考えた方が良いかもしれない。
せめてウサギとかかわいい姿になれたらいいな。

「…そうですね。
 鈴木さんがそういうなら良いんですけど…。」

多分、紛らわしたいのだろう。
さっきのように、もう触れない方がいいかもしれない。

「本当ですか?
 あっ私の知り合いにも中身おばあちゃんみたいな子がいますよ。
 その子は実際に14歳なんですけどね。
 髪が長くて、小さくて人形みたいで可愛いのに煮物とかが上手で…
 あっその子柊さんって言うんですけどね同じ一年生なのでそのうち多分会えると思います。」

そう言ってふと思い出した友人を褒める。

鈴木竜一 > 「すげぇ,この島だとそうなるんだ……マジかー…。」

珍しいくらいに普通な人。そんな風に言われたのは初めてで,
なんだけ不思議な気持ちになるものだった。
まぁ,悪い気はしない,かな?

「あー,もう…ごめんってー。
 ザクってなったのは忘れて忘れて,今度お昼でもご馳走すっからさー。」

さらりとそんなことを言ってみたりしつつ。
異能については,貴女の予想が当たったのかそれ以上なにも言わなかった。
……少なくとも,今日この瞬間には。

「…え,その子の場合は,14歳なんだけれど性格がおばあちゃんみたいな感じってこと?
 年齢詐称してるんじゃないかなぁ,なんて言ったら怒られるよね。
 髪が長くて小さくて可愛い子見つけたら,話しかけてみよーかな…。」

それだけ聞いたら犯罪者の行動である。不審者にならないよう頑張れ竜一君。

藤巳 陽菜 > 「ええ、マジです。 
 多分、慣れてきたらこの島の普通の人になると思いますけど。」

いくら普通の人でもしばらくいれば感性が常世ナイズされてくる。
特に彼みたいに素直そうなタイプは割と早く常世学園の普通の学生になるだろう。

「…いいんですか、私結構食べますよ?」

一瞬、瞳が光った気がする。
まあ、ご馳走してくれるというのならそれを無下にする理由もないし…。
…流石に全力では食べないようにはするけど…。

「ええ、こう大人びてるっていうか、達観してるていうか。
 年齢詐称は…無いと思うんですけど…。」

友人の目からしても年齢は怪しいらしい。
でも、確たる証拠はない。

「…あっでも、柊さんカレシいますよ。
 風紀委員彼氏さんが…柊さんの家に泊まったりする仲らしいです。」

楽しそうに話す。やっぱりコイバナは楽しい。
彼氏ではないというけど、あれは実際はそういう関係だと思う!

「はあ、私もかっこよくて、背が高くて、料理が上手くて
 優しくて、もちろん頼れる感じの…ハァ…。」

小さく呟いて溜息を吐く。

鈴木竜一 > 「常世島やべーっすね。
つーことは、陽菜ちゃんは貴重なタイミングに出くわしたわけだ。」

良いことあるかもよ?なんて,意味不明な冗談を言ったりしつつ。
瞳の光には……気付いたが,しかし,男に二言は無い。うん。

「その身体じゃしゃーないっしょ。
俺の財布が空っぽにならない程度でお手柔らかに頼むぞー?」

楽しげに笑うところをみると,お金には多少なりとも余裕が有るようだ。
……強がりでないことを祈ろう。

「……怪しいなぁ。
実は500歳でした,とかそーいうオチじゃないだろーなー?」

「……って,なんだちゃんと相方居るんかーい。
相方がおじーちゃんじゃなけりゃいーけど……
……マジか,泊まりとかレベルたっけぇなぁ……。」

貴女が楽しそうに話すものだから,全然知らない相手の事をつい想像してしまった。
少しだけ高齢者ナイズドされた想像になっているけれど。

「……おいそこのバカタレが,理想を下げろ,理想を。
そんな完璧超人が居てたまるか。」

なんか呟きが本気っぽかったので一応ツッコミ入れておく。
そのぐらいの気安さで。

藤巳 陽菜 > 「確かにレアですね。
 …まあ、だからと言って特にないんですけど。」

しいて言えば本土っぽい反応を味わえたぐらい。
この島と外のズレを再確認できたぐらいだ。

「…それは鈴木さんの財布の中身によりますけど。
 楽しみにしてますね?」

その日はお弁当無しにしなくちゃいけないな…なんて考えたりする。

「いや…流石にそれは…ないですよ?」

思いっ切り疑問形。
確かにこの島なら全然あり得るしそれの方が納得いく事も多い。

「まあ、相手の人もおじーちゃんというか…
 うん、大人しい感じの人ではありますね。」

そう言う意味ではお似合いなのかな?
仲も良さそうだし…きっとラブラブなんだろうな…。

「良いじゃないですか!夢くらい見ても!
 じゃあ、逆に鈴木さんはどんな女の人がいいんですか?
 分かってますよ!どうせむ、胸が大きい子とかいうんですよね?分かってますもん!」

仲の良い男の先生がそんな感じだし男は皆そうみたいな事を言っていた気がする!
本気で酷い先生だと思う。いや、いい人であるのだけれど。
そう言うところはやめた方が良いと思う。

鈴木竜一 > 「ま、確かに何もないんだけどさ!
強いて言うなら,ご馳走金額上乗せサービス?」

楽しみにされてしまったので,その日は多目に持っていこう。
そう心に決める,ちょっと見栄っ張りな竜一君であった。

「泊まりって,お茶飲みながらのんびり喋ってたりして……。
いや,それはそれで悪くないかも知れないなぁ。」

貴女と同様に,きっと仲が良いんだろうと想像した。
脳内で再生されているカップルは完全に高齢者寄りである。

「いや,良いんだけどさ,あんまり無茶な設定だと寝てるときに見る夢にしかならねーんじゃねーかなって……。」

苦笑混じりでそう言ったが,何だか貴女が妙にエキサイトしてしまったので,

「……ちーっと落ち着けバカタレが。
そらでかい方が夢があるかも知れないけどさ。
そんな胸フェチでもねーし,俺。」

いったい過去に何があったんだろうか。
気にはなったが聞き出すのも失礼な気がして……

「とりあえず俺の好みは,可愛くて優しい人だな!
あとは、直接喋ってみたりしねーと分かんねーや。」

藤巳 陽菜 > 「なんと、それは…
 得しちゃいましたね私。」

楽し気に微笑みながら言う。
幾ら入ってるかとか関係なく楽しみになって来た。
多分、今なら少ない額でも満足できると思う。

「良いですよね、憧れますよね。
 
 …まあ、確かに少し望みが高かったのは認めます。
 でも、せめて頼れて、あとかっこよくて…出来たら背も高い人と
 そんな感じに過ごせたらな…。」

未だに目標が高い。半分くらい寝てるレベルである。
いや、本当はさっきのでもセーブしたつもりではあるのだけど…。

「まあ、そりゃそうですよね。
 実際、話してみるまでなんとも言えませんよね…。」

やはり、あの先生がちょっと直接的過ぎたのだろう。
ふと、気がついて時計をみればもう結構時間が過ぎていた事に気がついた。

「…はあ、楽しかった。
 何か久しぶりに普通の話できた感じがします。
 中々こういう話、出来なくって…。」

陽菜は割と人見知りする事とこの姿の二つが合わさってあまり友人が多くない。
数少ない友人も割と忙しそうだし…。

「私はこの本を借りて帰りますけど鈴木さんはどうします?」

鈴木竜一 > 「だろー?良い事あったじゃんか。」

こういうのをマッチポンプと言うのだろうか。
とは言え青年も楽しそうなので,ここは喜んでおくのが吉だろう。

貴女の修正版の夢には,肩を震わせて笑いつつ,

「…料理上手と優しいが退場されましたー。」

そう実況を入れてちょっと茶化しながら…

「…ま,そんな素敵な目標があるんなら,ちゃんと探す努力をしなくっちゃな。
 それで相手から来てくれんの待つとか言ったら,どこのお姫様だよってハナシだからな。」

寝ていたらただの夢だが,それでも自分で歩いてつかみ取れば現実だ。
気楽な口調だが,青年は貴女の背中を押そうとしたのかもしれない。

「そーいうこと,すげー美人さんでも,
 話してみたら嫌な奴とか,そーいうこともあるだろーしさ。」

貴女の視線に釣られるように時計を見る。おっと,確かに結構な時間になってしまったか…

「俺も俺も,こっちには友達が全然居ないから,ホント楽しかったよ。
 またどっかで会えるといいな……ってか,スマホ持ってるよね?」

帰る前に連絡先交換しない?と持ち掛ける。
お昼の約束もあるし。なんて上手く理由を付けた。

藤巳 陽菜 > 「料理は私が頑張ればいいんです。
 食べるのだだけじゃなくて食べてもらうのも好きですし…。
 優しいも…ほどほどで我慢します。」

割と妥協した方だとは思う。
これ以上は無理だ。

「探すにしてもせめて普通の足になってからがいいです。
 …それまでそういうのは我慢します。」

…なんとなく人魚姫を思い出す。
が、その悪い結末を頭から振り払う。

「まあ、逆もあるかもしれませんしね。
 あまり、カッコよくなくてもいい人とか…。
 …まあ、カッコよくて良い人が一番なんですけど。」

少し考えてから、最後のを出した。
幾ら良い人でもカッコよくなかったらそれはまあ、いい人だ。
やはり、理想が高い。

「はい、交換しときましょうか。」

そう言って連絡先を交換する。
さっき話題に出てた二人と合わせてこれで三人目の連絡先交換だ。
これで、お昼の約束は問題ない。

「あっもしよかったらですけど…。
 途中まででもお話ししながら帰りませんか?」

鈴木竜一 > 「なるほど,退場したっていうよりも代打が居たって感じだな。
 そしたらあれだな,陽菜ちゃんが料理作ってあげたいって思うよーな奴を探せば良いんじゃね?」

貴女が内心で最大限に妥協していることなんて知る由も無い。
楽しげに笑って,そんな風に言いつつ。

「確かにその足じゃなかなかな大変だろうなぁ。
 …それじゃまずは,その変身魔法の本を全力で読むところからスタート?」

「…ってか,まぁ,そうだよなぁ。
 性格が一番大事とか言いながら,やっぱ見た目が一番気になるもんなぁ。
 なーんとなく分かる気がするわ。うん。」

この青年も,何だかんだと言って女性を最初から外見以外で判断するほどに達観してはいない。
勿論美人さんが良いし,可愛い子が良い。
それは,仕方ない事だと思う。

「…ほいっ。」

この青年にとっては,実はこの島では初めての連絡先交換だったりする。
下には下が居るものだ。もっとも,この青年の場合は来てからの日が浅いのだが。

「…ん,あぁ,もちろん構わねーけども!
 すこーし暗くなってきてるし,いっその事,家まで送ってってやろーか?」

冗談半分でそんなことを提案しつつ,楽しげに笑う。

藤巳 陽菜 > 「ええ、とりあえず普通の足で歩ける事をとりあえずの目標にします。
 頑張らないと…。」

手にはそれっぽい数冊の本。
参考になるものがあればいいんだけど…。

「見た目は大きいですよね。やっぱり。
 性格がある程度なら…。」

それでも性格が悪いのも駄目だと思う。
いくらカッコよかったとしても駄目だ。

「いいんですか?
 でも私が住んでるの女子寮なんである程度のところまでで大丈夫ですよ。」

付近までいけば多少暗くても人通りはある。
ある程度のところまでで大丈夫。

「それじゃあ、借りてくるので出口のとこで待っててください。」

そんな事を言いながら貸出カウンターへと向かう。


…きっと、今日の帰り道は普段より賑やかで楽しいものになるだろう。
そんな事を考えながら。

鈴木竜一 > 「おっけー,先行ってるわ。」

結局魔術の勉強とか全然進まなかったけれど,
こうして気楽に話ができるこの島での知り合いが出来たのは大きかった。

「……つーか,俺も男子寮だし。
 最初っから行く方向おんなじじゃんか。」

細かな奇跡も手伝って,帰りはぎりぎりまで2人一緒に歩く道。
普通の学生がするように,他愛ない話に華を咲かせつつ。

ついでに言うと,青年は,貴女が借りた本を持ってあげたりする心配りも忘れなかったそうな。

ご案内:「図書館」から藤巳 陽菜さんが去りました。
ご案内:「図書館」から鈴木竜一さんが去りました。