2017/08/17 のログ
ご案内:「休憩室」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 夕方。
図書館の自習スペースから、何らかの紙を持って休憩室に入ってきた蘭は、自販機でアイスティーを買うと、適当なソファに身体を沈めた。

「………。」

飲み物に軽く口を付けてから、持ってきた紙を広げる。
…それは、模試の個人データ表のようだった。

「………。」

それを眺める蘭の眉間に、軽く皺が寄る。

美澄 蘭 > 恐らく、第三者から見れば、そこまで悪い結果ではない。
添削結果を確認すればどの科目も基本はきっちり押さえられているし、中堅クラスの、それなりに知られた大学に、それなり以上の合格可能性を予想する判定がついている。

(…おじいちゃんが薦めてくれたとこはD、帰省ついでに見学に行ったとこはCか…)

それでも、縁のある難関大学の判定があまり良くないのが、蘭が微妙な表情を作っている理由だった。

ご案内:「休憩室」に鈴木竜一さんが現れました。
鈴木竜一 > 休憩室の扉が静かに開いて,閉じられる。
入ってきたのは,図書館より体育館が似合いそうな青年だった。

「…………。」

青年はすぐに先客の存在に気付いたが,その先客が妙に険しい表情をしているので……。

「…………。」

足音を殺して,そーっと自販機の方へ移動する。

美澄 蘭 > (…まあ、受験対策重視の授業履修に切り替えたのは今年からだし、しょうがないか)

昨年度まで、蘭は自らの知的好奇心を満たすとか、教養とか、そういうことを重視した時間割を組んでいた。…あとは、魔術とか。
蘭自身は、そういった勉強の仕方と受験勉強が完全に別のものだとも思っていないし…中堅クラスの大学に悪くない判定がついているのだから、それはある程度実証されていると見えなくもない。

(…受験は来年だし…今は、分からないところを潰したり問題演習に慣れていくのを、地道に積み重ねていくだけね)

蘭は、険しい表情を解いて、紙を再び畳む。
すると、そこには…

「………?」

やたらそーっと移動を試みている青年…同年代だろうか、「彼」とは別の意味で、あまり親しくならないタイプの人物だ…がいるのを見て、不思議そうに、きょとんと目を丸くして首を傾げる蘭。
彼の振る舞いが自分のせいだということに、まるで自覚がないらしい。

鈴木竜一 > こっそり移動しつつも,青年は貴女の方を見ていた。
表情の理由が気になったのもあるし,美人さんだなーなんて思ったのも事実。
瞳の色に気付いたのは,貴女が視線をこちらに向けてからだった。

「……あ,どーもどーも,そのまんまで良いから,気にしないでー。」

気付かれたので笑って誤魔化しつつ,自販機でスポーツドリンクを買う。
すぐに出ていこうとしたが……

「……あ。」

……しまった飲み終わらないと出ていけねぇ!

そんな内心のマヌケな発見は,表情を見ているだけでは分からないだろう。
貴女から見たら,きっと,ちょっと挙動不審なスポーツ系男子。

美澄 蘭 > 顔立ちにはまだ若干のあどけなさが残り、「整った顔立ち」という意味では、この学園都市には上はいくらでもいるだろう。
…ただ、赤みにも黄みにも乏しい…ともすれば静脈の青みが透けて見えそうなほどの白い肌と、左右で色違いながら、両方に等しく自我が宿っていることが窺われる瞳は、この島に来たばかりの青年には、強い個性として映り得るものだ。
すらりとした、少女としては長身の部類に入るだろう体躯は、どこかモデルのようなイメージでもあるし。

「………せっかく休憩室なんだし、適当な椅子に座って飲んだら?」

ことりと、首を傾げたまま。
少女は、青年にそう提案する。真顔で。

鈴木竜一 > 別段貴女を避けていたわけではない。
単に邪魔をしない方がよさそうな空気だったからそうしただけだった。
つまり,貴女の提案を拒む理由はまったく無い。

「……そーさせてもらおっかな。」

にかっと笑って,青年は貴女の向かい側に腰を下ろした。
スポーツドリンクを半分ほど飲み干して……

「……なんかすげー表情してたけど,原因は聞かないほーが良いやつ?」

……気になったことは発言する竜一君。

美澄 蘭 > 「………」

にかっと、太陽のような相手の笑み。それを受けて、少女は少し、戸惑ったように視線を上下させる。
まるで、太陽に弱いその白い肌の如く、異性のその手の表情に慣れていないかのように。
…それでも、相手が話題を振ってくれば…

「…ああ…そんなに酷い顔しちゃってた?
そんなつもりなかったんだけど…」

と、優しい苦笑いを浮かべた。

「…ちょっと、今月頭に受けた模試の結果が微妙だっただけ。
受験自体は今年は見送るつもりでいるから、あんまり神経質にならなくて良いかな、と思うことにはしたんだけど…やっぱり、全然気にしないってのも無理だし」

「気にさせちゃってごめんなさいね」と言って、自分も手にしたアイスティーを少し飲んだ。
「模試」という言葉が出てくるところから、この少女の出自あるいは境遇…そして年齢が、青年には類推出来ることだろう。

鈴木竜一 > 貴女の瞳の色には少しだけ好奇心も働いたが,
それが多少デリケートな話題であることくらいは心得ていた。

「模試かー……あんまし聞きたくない響きだなぁ。
ってか,この学園って進学率とかぜんっぜん不明だよな!」

そういう方向性の学園ではないから,当たり前と言えばその通りである。
そして,貴女は比較的,此方側の人間であることは想像に難くない。

「あぁ,ぜーんぜん気にしなくって良いよ。
頭良くなる魔法とかあればいいのにな!」

冗談混じりにそんな風に言いつつ,笑う。
実際にこの青年は勉強が得意な方とは言えなかった。

美澄 蘭 > 「私もこの学園に入ってからはしばらく無縁だったんだけど…卒業したら本土の大学に行くって決めたし、自分がどのくらい出来てるかは、測っておかないと駄目だと思って。

…受験対策用の授業はあるし、先生方は進路相談にも乗ってくれるけど…進路の全容把握してる人ってどこにいるのかしら?」

この学園の進路についての曖昧さに同調するように、苦笑いを浮かべる。
左右で色の違う瞳を筆頭に、日本本土では多少浮いた印象になるだろう少女だが…口ぶりからすると、この世界の日本出身者、ではあるようだ。

「…「頭良くなる」の定義次第だと思うけど…どんな魔法の使い方にしろ、普通に勉強する方がかえって負荷がかからなさそうな気がするわ」

青年の冗談には、そんな風に言って肩をすくめて笑う。
冗談と知って受け止めてはいるのだろうが…応答がどうにも真面目だ。

鈴木竜一 > 「俺まだぜーんぜんこの学園の事知らないけどさ,多分居ないんじゃねーかな…。」

苦笑しながらスポーツドリンクを飲み干した。
実際のところ,入学に際して説明を読んだり聞いたりしたが,進路実績についての話は一切触れられていない。
その辺りも,各生徒の裁量に任されているということか…

「俺もそー言えるくらいようになりたいモンだなぁ。
 俺なんかほら,ぶっちゃけ身体動かすのは得意だけど頭動かすのは苦手だからさー。」

肩を竦めて楽しげに笑う。
けれどもこうして図書館で魔法についてある程度の予習をしているていどには真面目な部分もある。

「っと,そうそう,自己紹介してなかった。
 俺はこの島に来て2週間たった鈴木竜一。君はー?」

美澄 蘭 > 「生徒の数も先生の数も凄いものね…

………全員が全員、きっちり卒業していくわけでもないみたいだし」

後半の台詞は、少しだけ視線を落として、ぽつりと。
この学園都市の「裏」を、全く知らないでもない風だった。

「…私は、スポーツはあんまりやらないわね…体力測定の成績は悪いわけじゃないんだけど。
…本を読んだり、新しいことを知るのは楽しいけど…自分が頭良いか、って聞かれると、それはそれでよく分かんないわね」

「図書館に来てるくらいだし、勉強と全く縁がなさそうには見えないけど」と青年を評して、こちらも柔らかく笑い返した。
…と、相手から自己紹介をされれば、軽く目を瞬かせた後。

「…鈴木さんね。私は美澄 蘭(みすみ らん)。
中学校を卒業してからこっちに来て、今3年生よ」

「よろしくね」と言って、少しはにかみがちの微笑を青年に向けた。

鈴木竜一 > 「島いっこ学園にしちまーとか,すげーハナシだよな…。」

貴女がぽつりとこぼした言葉を聞いて,この島のスラム街を思い浮かべた。
決して近づこうと思わないあの場所に,そういった連中が住み着くのだろうか。

「だろうと思った…めっちゃ色白だもんな。
 まー,なんてーか,自分で自分を頭いいって言ってるヤツよりよっぽど賢く見えるぞ。」

だって馬鹿だってバレたらカッコ悪いじゃん?なんて楽しそうに笑って…

「よろしく…っと,ってことは学年は2つ上だけど,俺より1こ上かな?
 美澄先輩?この学園だとこーいうの変だったりする?」

美澄 蘭 > 「元々無人島だったらしいけど…それにしてもね」

この島の「闇」に積極的に近づく姿勢を見せないのは、この少女も同じだ。
…その胸の奥で考えていることには、きっと大きな差があるのだろうが…それを匂わせず、肩をすくめて軽く笑う。

「…すぐ赤くなって、痛くなっちゃうの。だから、夏以外でも日焼け止めは欠かせないわ」

「色白」を指摘されれば、困ったように眉を寄せて笑う。
彼女の育った家庭環境、学校生活で辿ってきた経緯の他に、こういった要素も、この少女が積極的に運動をしない理由なのだろう。
色素が薄い瞳は日光にもさほど強くなく、この季節の好天の日には日傘も欠かせない。

「「無知の知」なんて、よく言ったものよね。
…まあ実際、模試の結果がそこまで目覚ましいわけでもないし、普通の範囲よ。きっとね」

そんな風に語る少女は、語調は穏やかながらも少しいたずらっぽくおどけた風で。
青年の1歳上、というのが、少しだけ真実味を増すかも知れない。

「どうかしら…私は生徒の間の上下関係とか気にしないようにしてるけど、人とか…所属する団体、組織なんかにもよるんじゃない?
…私のことは…常識的な範囲なら、鈴木さんが呼びやすいようにしてくれればいいわ」

生徒間の上下関係を気にするべきか問う青年の言葉には、気負いのない様子でそう答える。
…体育会系と文化系の差だろうか。少女は、あまりそういったことに興味関心がないようだ。

鈴木竜一 > 体育会系のこの青年は,年齢やら学年やらという立場を気にしてしまう。
それはこの島の常識からすれば,あまり意味のない事だったが…。

「確かに風紀委員会とかはけっこー厳しそうだしなぁ。
 そんじゃ,そっちと合わせて…美澄さん,って感じで!
 美澄さんすっげー落ち着いてっから,もうちっと年上かと思ってた!」

明るくそう告げるこの青年は,外見からしても年相応に見えるだろうか。
見る人が見れば,引き締まった身体は割と完成されている。

「それじゃ,俺はそろそろ帰るんで…まだ勉強してくなら,頑張って!」

立ち上がってスポドリのペットボトルをゴミ箱に捨て,青年は軽く手を振った。

ご案内:「休憩室」から鈴木竜一さんが去りました。
美澄 蘭 > 「ああ、風紀委員会は厳しいかも知れないわね…色々体当たりな部分があるでしょうし」

相手が自分を呼称するやり方には、頷いて応えるが…

「…落ち着いてるっていうか…普段はそこまでテンションが上がらないだけよ。
好きなこととか、そういう話だと結構止まらなくなっちゃうんだけど…」

「だから気をつけてるの」と、苦笑い。
青年の引き締まった体躯は高校生としては完成されているようにも見えるが、いかんせん素人の蘭には判断しかねた。

「ええ…それじゃあ、また」

青年を見送った後…蘭もアイスティーを飲み干して。
図書館の、自習ブースに戻っていった。

ご案内:「休憩室」から美澄 蘭さんが去りました。