2018/05/13 のログ
ご案内:「禁書庫」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 表向きには、正式な―しかも特別な―許可が無ければ立ち入ることが出来ない禁書庫。とはいえ、無許可の生徒でも容易に立ち入り可能であるとまことしやかに囁かれてはいるのだが。
ともあれ、今回はコソコソと許可を得ずに立ち入った訳では無い。
風紀委員としての権限とコネクションを活用し、正々堂々と許可を得てこの禁書庫に足を踏み入れた。

「…尤も、活用できるかどうかは私の魔術的な素養次第ではあるのだが」

母方の血族が魔術に優れた素養を持っている事が幸いし、魔術そのものを行使する事は出来る。
しかし、それが人より優れているかどうかは別問題。日頃は異能による圧倒的な火力で押し潰す戦い方を好んではいるが、異能や魔術の能力向上に対する努力は必要だろう。

特に、日頃行使しない魔術についての知識や力は早期に手中に収めたい。そんな思いを胸に、期待半分諦め半分な気持ちで異様な雰囲気に包まれる禁書庫を散策していた。

ご案内:「禁書庫」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 『うわぁ・・・こんなに広いだなんて聞いてないですよ・・・』

禁書庫、普段であれば立ち入ることの許されない場所。
そんな場所にわざわざやってきたものの、想像していたよりも規模が大きくて心の中で唖然とする。
自分自身ここに用事があるわけではないので尚更げんなりする。
いわばお使いのような形でここに立ち入ったわけだが、
果てさて頼まれたものはどこにあるのだろうか。

「って、あれは風紀委員の・・・」

通路を進んでちらりと本棚のあいだをみやると、そこに見知った人影。
こんな場所でみかけるとはおもっていなかった>

神代理央 > 広大であり静謐。魔宮であり茫漠。そんな不可解な感覚に囚われる禁書庫で、己を引き込もうとする様な怪しげな書物を眺めつつ歩みを進める。
だが、僅かに響いた足音が耳に入れば、書物に集中していた意識が一気に現実に引き戻される。
禁書庫とはいえ、自分だけがいるわけではない。まさか本の精霊等というモノが現れた訳でもあるまいと、視線を向ければ―

「……奇遇だな。貴様とは血生臭い場所でしか遭遇しないのかと思っていたが、よもやこんな場所で会うことになろうとはな」

視界に映ったのは、自分よりも一回り小柄な銀髪の少女。
彼女との遭遇は本当に予期し得ぬものだったのか、口調は高慢ながらも驚いた様な表情を隠す事もなく声をかけた。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ほんと奇遇ですね。あなたがこんな場所にいるとは思いませんでしたし、
 あなたも同じことを思っているようで」

血なまぐさいとは失礼な。
そんな風に言ってみせるが、彼の口調に関しては今更と思っている部分も多い。

「てっきりあなたは破壊と力の誇示にしか興味がないものだと」

彼が高慢な態度をとるなら、こちらは笑えない皮肉で対抗しようではないか。
別に対抗心を燃やす理由なんてあってないようなものだが、
癪に触らないと言えばそれはそれで嘘なのだ。
とはいえ、こんな場所で喧嘩をするつもりなど、こちらに彼にもないのだが>

神代理央 > 「何だ、気が合うじゃないか。まあ、汚泥と瓦礫の中で再会するよりは、余程マシな場所で会えた事は素直に喜ばしい事だと思おうじゃないか」

彼女の言葉に小さく笑みを浮かべて肩を竦めてみせる。
癖というよりも最早素の状態に近い高慢さも、彼女は気に留めていない様に見える。
此方も、今更紳士的に振る舞う事もなかろうとそのまま言葉を続ける。

「酷い言われようだが、否定しようの無いのも事実だな。まあ、私にも己を研鑽しようという殊勝な心掛けがあることくらいは知っておいて欲しいがね。……そういう貴様は、こんな場所に何用だ?別に咎めるつもりも、言いたくなければ無理に聞こうとも思わんが」

相変わらずの口調ではあるが、纏う空気は友好的なもの――それが彼女に伝わっていればの話だが――であり、態度も幾分柔らかくして彼女に尋ねる。
尤も、告げた言葉通り、彼女の目的に対しては興味はあるが無理に聞き出そうという様子は見受けられないだろう。
ただ単純に、彼女が此処にいる理由を訪ねただけ。そんな平凡な世間話の様な口ぶりで、小さく首を傾げた。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「その汚泥と瓦礫を作ることに陶酔して、己を磨いてまた建物を壊すんでしょう?」

彼のもっともらしく聞こえる言い分に、短く一言。
なんとも手厳しい言葉を浴びせるが、彼だってこの程度で心が折れる玉ではあるまい。
むしろ彼自身がそういう自覚を持っているのだから、こちらから何を言ったって今更だ。

「私はお使いを頼まれたの。"昔の職場"からね」

何の用事でここにいるのかを尋ねられると、首から下げている許可証を見せて答える。
カードの裏には"フィンランド国防陸軍"の文字。

「なんでも獣人に関してこの島にしか存在しない資料があるとかで、
 それを探して借りてこいとかなんとか」

別に秘匿義務があるわけでもないし、任務でもない。
昔の同僚に都合がいいからという理由でお使いをやらせただけだろう。
手続きを済ませる上でいろいろ楽なのだ。>

神代理央 > 「手厳しいな。とはいえ、概ねその通りではある。貴様は嫌うだろうが、私はそういう道しか知らんからな」

彼女の言葉を肯定しつつ、僅かに苦笑いを浮かべてみせる。
その表情自体が自分には相応しく無かったかと、直ぐに熟れた仏頂面を浮かべる事になるのだが。

「獣人の資料か。確かに、そういった資料や書物の蔵書量に関しては此の島の図書館は随一だろう。……任務ご苦労。忠義に励む姿勢は好ましい。その点に関しては、賞賛を惜しまぬとも」

ふむ、と彼女が告げた理由に納得した様に頷いてみせる。
その後少し考える様な素振りを見せた後、少し誂う様な口調で彼女を労い、そしてこれは本心だと言わんばかりに、彼女が訪れた理由に対して賞賛の言葉を告げるだろう。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「任務じゃないわ。私はもう軍人じゃないもの。
 あくまでこの島では一般人よ。特別な権限もない」

この禁書庫に入ることができたのは軍が正規に手続きをしたからだ。
自身はその手続きに基づいてここに入ったわけで、
自分の意志や軍の後ろだてを使ってここに入ったわけではない。

「もっとも、軍に対して非協力的な態度をとれば何をどうされるか分からないし。
 そんな崇高な志なんて私にはないわ」

彼はもしかしたら本気で私に賞賛の言葉を送っているのだろうか。
だとしたらそれはまちがいだ>

神代理央 > 「ほう?組織への帰属意識が高いわけでは無いのか。ならば、飼い主を選べない事を哀れんでやるべきかな?」

僅かに目を細め、興味深そうに首を傾げる。
しかし、流石に言葉の選び方が悪手だったかと珍しく自省すれば、一瞬悩ましげな表情を浮かべた後再度言葉を続ける。

「……いや、飼い主という表現は悪かったな。貴様にも色々と事情はあるのだろう。今の発言で気分を害したのなら、その点に関しては謝罪しよう」

別に極端な人類主義者でも無ければ、過度に人外に対して敵愾心や差別意識を持つわけでも無い。
獣人である彼女に対して、飼い主という言葉は不快だっただろうかと思い至り、其処に関しては素直に謝罪の言葉を告げるだろう。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「組織への帰属意識ねぇ。
 強いて言うなら私は獣人という組織に帰属意識があるわ。
 どうだか。今になっても獣人に頼る軍隊なんて、どっちが飼い主なのか分からなくなるけど」

かのお偉い方がなぜ獣人の資料を見たがっているのかは分からない。
大変容後、異能力を持った存在が珍しくなくなり、我々獣人も軍隊に守られる必要がなくなった。
だというのに、今更獣人について調べるとは。

「それを言ったら、あなたの飼い主は破壊の音と硝煙の匂いでしょうね。
 手段を目的と履き違えるって言うのは、誰にでも起こり得るわ」>

神代理央 > 「彼の国の人口や仮想敵国を考慮すれば、人外だろうとなかろうと使える戦力は何でも使わざるを得ないだろうよ。尤も、それでもロシアや北欧諸国とやり合うには戦力不足やも知れんがな」

或いは、そういう危機感を持ったが故に改めて獣人に関しての資料を欲しているのかもしれない。
尤も、憶測に過ぎない思考は口に出すこともなく、彼女の言葉には曖昧に肩を竦めるに留めるのだが。

「まるで私が只の戦争狂だと言わんばかりだな?闘争を求めてはいるが、無益な争いを好む質でも無いのだがね」

面白い事を聞いた、と言わんばかりに唇を歪めれば、高慢な態度を崩さぬまま数歩彼女に近付いてその体躯を見下ろした。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「どうでしょうね。
 今更獣人にこだわる理由が見えないし、そんな能率の悪い軍隊なんて
 運用するだけ無駄に思えるけど」

軍隊とは世界の組織の中でもっとも効率的であるべきだ。
そんな組織が、今更古い方法に固執する理由が、自身には理解できない。
もしくは何か違う目的があるのか。

「あら、事実戦闘凶とまでいかなくとも、破壊に一定の快を覚えているようにみえるけど」

彼が近づいてきても、特にどうということはない。
見下ろしてくる彼、こちらはただ見上げるのだ>

神代理央 > 「無駄ということは無いかも知れんぞ?少なくとも、戦力を増強する為の行動ではあるのだろう。それがどの様な行動に繋がるかまでは、私も判断が尽きかねるがね」

獣人を軍に組み込むのか、或いは違った方向からアプローチするのか。
何にせよ、フィンランド国防軍が獣人に対してアクションを起こしたというのはそれなりの理由があるのだろう。
実家に問い合わせてみても良いかもしれないか、と頭の片隅に記憶を留めておく。

「その点に関しては、些か誤解を与えている様だな。私は別に、破壊そのものに快楽を覚える様な事は無い。どの様な形であれ、闘争の末に敵を屈服させるという行為自体が滾るのさ。貴様には、理解し難い事だとは思うがね」

暴力によるものでも、財力や政治力を駆使したものでも構わない。己の力を振るった闘争の結果、相手を屈服させるという事に己の心は満たされる。
此方を見上げる彼女に僅かに獰猛な笑みを浮かべ、愉しげな口調で応えるだろう。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「別に何だっていいけど、人間の都合で振り回されるのは勘弁して欲しいわ。
 人間のために銃を構えるのはしばらくは後免よ」

少なくとも、私が生きているうちは獣人に干渉しないで欲しいものだ。
が、彼には関係のないことだし、もしかしたら彼にとって美味しい話になるかもしれない。
とかく、戦争で儲ける人間がいて、獣人は未だに弱い立場にいる。
その事実は今のところ変わらないのだ。

「あなたのそういう考え方、獣以上に獣じみてるわね。
 もっとも、私たち"獣"は屈服で快を得たりしないけど」

彼が目の前に立って、こちらを見下している。
その表情は見るに耐えないほどのものだ。
軍隊にいたころ、同じ表情をした上官を何人か目にしたことがある。
彼は私に対して今、どんな思考を抱いているのか。
考えるだけで忌々しいようだった>

神代理央 > 「ならば構えなければ良かろう?貴様には、銃を取らないという選択を取る自由がある。その選択によってどの様な結果が現れようとも、選択するのは貴様自身なのだからな」

弱者が弱者のままでいることも、強者に抗うことも全ては己が選択すること。何方の選択を選ぼうとも、その結果に伴う責任を自身が取れば良いのだから。
だからこそ、自分は戦争によって利益を感受する強者である事を選択するし、それに抗う者達が己に刃向かう事も否定はしない。その選択を選んだ者達を、正面から叩き潰すだけなのだから。

「違いない。生存本能に関係なく、己の嗜好の為に相手を屈服させる事に享楽を見出すのは人間くらいだろうよ」

愉快そうに笑みを浮かべ、彼女の言葉に頷いてみせる。
彼女は相手を屈服させる事に快を得ず、また己の様な人間に屈する事も無いだろう。
だからこそ、その誇り高い精神を屈服させてみたいと思う。別に彼女が憎い訳でも、争いたい訳でもない。ただ、己の闘争心を満たす相手を屈服させたいという、ある意味年齢相応の子供じみた欲求に過ぎないのだが。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「あなたみたいに自分以外に守るものがなさそうな人間だけよ、そんなこといえるの。
 構えなくちゃいけないときがくるのよ。自分の意志と、とるべき行動が乖離する時が」

自分の気持ちを優先させる選択が、自分にとって最善になる場合なんてそうそうない。
我々獣人のような立場の弱い集団なら尚更だ。
選択によって得られる自由と、それによって失うものを天秤にかけたとき、
必ずしもどちらかに傾くとは言えないのだ。

「そういう意味では、あなたを含めた人間って言う存在は、自然の摂理に反した、
 "それだけで効率が悪い生き物"なのね。
 ある種の醜さを極めた存在だと思うわ」

技術と、数と、エゴによって自然に反する存在。
力づくで相手を屈服させたいという欲求を腹に抱える彼は、
そういう欲求に甘やかされた駄々っ子のようにも見える。
ある意味では所詮子供と言ったかんじだが、
そんな子供が強力なオモチャを手に入れて遊び回るような怖さもある>

神代理央 > 「己の力だけで守るべきものを守れないのならば、強者に従って従属するという選択肢が最適解やもしれぬし、守る為に戦う事もあるだろう。私は別に、守るために従属するという選択を否定はせぬよ?己の意思で選んだのだから、選んだ事に対する責任さえ果たせば良い」

結局のところ、己の意思で選択するという自由そのものが尊いのであって、それが常に最善である必要は無い。
そう告げながらも、自分以外に守るものがなさそうという言葉には、そこまで冷血な人間に見られているのだろうかと僅かに苦笑した。

「その効率が悪い生き物とやらに従属している貴様達は、果たして効率良く生きている種族と言えるかどうか、私には疑問だがね。いや、従属して尚その精神を失わない事に関しては、賞賛を惜しまないがな」

見下ろす彼女の頬に触れようと、緩慢に、ゆっくりと手を伸ばす。
跳ね除けようと思えば十二分に距離を取ることも跳ね除ける事も出来る程の動作。まして、以前彼女の能力を受けた事を忘れた訳でも無いのだが―

ご案内:「禁書庫」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > そんなやりとりの中、持ち込んでいた通信端末が僅かな振動音を伝える。
端末を開いてみれば、相変わらずの委員会からの呼び出しであった。

「…さて。貴様のいう様に効率の悪い作業に励むとしよう。また何処かで再会出来るのを、楽しみにしているよ」

ゆっくりと彼女から離れれば、制服を翻して此の場を後にする。
次は、もう少し態度を改めて話そうかと内心自省すながら―

ご案内:「禁書庫」から神代理央さんが去りました。