2015/06/18 のログ
■ヒカサ=カノ > コツコツと、一つ塔を上る音。
現れたのは、緋色の髪の学生か。
外は星空、手には傘。
上は星空、下は夜景。
塔は島の光を、映していた。
■ヒカサ=カノ > 塔のてっぺん、展望台。
"進入禁止"に目もくれず。
南方を向いて、座り込む。
夜風に当たる少女が一人。
かつていた、街が一望できた場所。
それを思い出していたかもしれない。
強くなろう。"これ"と共に。
手には傘と、数冊の魔術本。勉強勉強。
■ヒカサ=カノ > 魔術本を床に置いて、傘を持って、立ち上がる。
重ねた本を傘でトンと突く。
少し試してみよう。
スゥッと一つ、息を吸う。
少し傘が光を帯びる。その光は塔を照らす。淡く、紅く。
■ヒカサ=カノ > いつもより強く、光を帯びる。
持ち主も驚くほど。
光を見て、スイッチが入る。
傘を高く掲げ、振る。
舞うように、無我夢中で。
■ヒカサ=カノ > 私が傘を強くする。
傘は私を強くする。
共依存の、この異能。
軽い振りは、強化魔術か。
強い光は、魔撃魔術か。
傘がないと引き立たない。
私がいないと、使えない。
しばらく試し、立ち止まる。
少しだけ、強くなった気がした。
ご案内:「大時計塔」に万車堂さささんが現れました。
■万車堂ささ > 『ヒカサ=カノ?』
全くの前触れ無く
全くもって唐突に
鍛錬に集中するヒサカ=カノの脳内へと、不意に誰かの声が響いた
彼女はこの声の主、こんな芸当をしてみせる同級生に心当たりがあるかもしれない
■ヒカサ=カノ > ふわりと聞こえた、自分を呼ぶ声。
空耳に似た、しかしはっきりとした呼び声。
もしかするとその声が聞こえて立ち止まったのかもしれない。
気配もなく聞こえる声。やっぱりか。
「――かくれんぼ? もういいかい?」
今日はどこからなのやら、と一言と。一つ間を空け
「万車堂ささ。」
名指しで呼びかける。聞こえる声はどこからなのか。ヒカサにはわからない。
時計塔は紅く残光が残っている。
■万車堂ささ > 『もういいよ―――今、大丈夫?』
理解が早くて、とても助かる
テレパシーでは相手の状況までは把握できない、話しても平気かどうか、とりあえず確認をして
『今は家、なんだけど…ヒサカの教科書、間違って持って来ちゃったみたい』
『たぶん、私のがそっちにあると思うけど…確認できる?』
同じ授業を受けた際に取り違えてしまったのだろう
課題を片付けようという段になって、初めて気がついた
■ヒカサ=カノ > 「んぁっと・・・、ちょっとまってて・・・」
教科書と言われ、心当たりのある本と言ったら・・・床に置き、傘で突いた魔術の本。
もしかするとそれは魔術の教科書かもしれない。
そしてもしかするとそれは・・・
「げ・・・」
万車堂ささ、当人のものかもしれない。
■万車堂ささ > 心が読めるわけではないが、反応からすると予想通りだったのだろう
『うん、ごめん…返すの、明日でいい?』
課題を片付ける上では問題ないし、ヒサカの都合さえ悪くなければ、特段急いで回収する必要も無い
『時間は、いつでも良いけど』
言いながら、手元の時間割を眺める
同じ授業を取っていたなら手っ取り早いが、朝でも昼休みとかでも別に構わない
■ヒカサ=カノ > 「そうだったみたい・・・ごめん。」
床でついた砂埃、傘で突いた跡。
頑張って何もなかったように払いながら。
「じゃあ明日、だね。時間的には昼前かな」
と、メモ帳の確認。おそらくその時間がちょうどいいだろう
いつものようにカフェにいるのもいいがこうなったら学園内にいた方がマシか、そう思いながら。
■万車堂ささ > 『うん、了解。第一のロビーとかでいいかな』
時間と場所を指定し終わり、そこで要件は済んだはず…だったが
『…今、何かしてた?』
会話を切らなかったのは何となく
無自覚ではあるが、単純に会話に飢えているのかもしれなかった
会話相手の正確な居場所まではわからないが、大雑把な方角くらいは掴める
それによると、ヒサカ=カノはまだ学園の近くにいるようだったが…?
ご案内:「大時計塔」にヒカサ=カノさんが現れました。
■ヒカサ=カノ > 「おっけ!じゃあその時にだね」
一つ返事を返して用を済まそうとしたが・・・続いた会話。
考えも纏まったようで、あとは暇潰しか、しばらく付き合うことにしよう。
「なにか・・・やってたけど、やってないかもしれないかな」
ものすごく曖昧な返事で返した。
「じゃあ私からもかくれんぼ。―――もういいよ。」
時計塔は淡く照らされている。外を見たらわかるかもしれない。
■万車堂ささ > 『…?』
自室の窓から見える常世島の景色、その中で一際目立つ塔の天辺に、仄かな輝き
『…時計…塔……?』
感じ取れる位置が妙に“高い”ような気がしていたが、なるほど、そういうことだったのか
■ヒカサ=カノ > 「ご名答、さっすがぁ。ダテに異能使いこなしてないだけあるねぇ」
感心しながら、それでいて羨ましそうに。
「まぁ、そういうことよ。」
立ち入り禁止の時計塔。
何もしてないと騙る理由。
そこには何かしていた光の跡。
曖昧な返事となるのは当然であっただろう。
いつもの傘の銃、居住区に向けて撃っただろう。
光は軌跡を残して消えていく。
花火のように。そして存在を表わすように。
■万車堂ささ > 見つめる視線の先で伸び上がり、煌めく光の軌跡
それが夜空に消え去るのを見届けて
『だいじょうぶ』
『私も、登ったことある』
僅かな瞬間、顔の見えないその声がほんの少し、本当に少しだけ、微笑んだような色を帯びる
『――降りる時気をつけて、足元とか』
自分の時も、ちょうど今ぐらいの時間だったか
あの夜以降、時計の調子も良さそうだ
『それじゃ…また明日』
最後にそれだけ伝えて、声は途絶えた
ご案内:「大時計塔」から万車堂さささんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に万車堂さささんが現れました。
ご案内:「大時計塔」から万車堂さささんが去りました。
■ヒカサ=カノ > 「それならよかった。ありがとね」
登塔の同士、心配されて。
声と光、二人の表情を通わせていた。
途絶えた言葉、次は明日か。
傘と間違えた本、手にもって。
明日の楽しみを抱えて展望台から遠い地面を。
飛び降りれるかな。いつかだけど。
強くなったら、その時かな。
展望台から階段の足音。それは遠く小さく。
淡い光も消えていき。
今日も時計塔は時を刻む。
ご案内:「大時計塔」からヒカサ=カノさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に駆藤 栄Qさんが現れました。
■駆藤 栄Q > 『バラバラバラバラバラ…………』
空から、音が聞こえてくる。
見上げれば、時計塔の向こうに現れる小さな点。
それはどんどん大きくなり、次第にその形がはっきりしてきた。
■駆藤 栄Q > 『ゴゴォォーーーー……』
『フィィィーーーー……ン』
現れたのは、大きなダルマの形をした銀色の物体。
それは衝撃少なく、狭い足場に見事に着地した。
■駆藤 栄Q > 『ガチャッ キュララララ……
ジャコッ……ギュイーン シュカッ』
プロペラが折りたたまれて上部に格納され、ダルマ型の二段目左右から金属製のアームのようなものが展開する。最後に一段目の斜め上部からコーンのような円錐が回転しながら飛び出せば、銀色に輝くメカ駆藤の完成である。
『あー あー…… テステス』
『任務完了だな さて 戻らせるか』
若干のノイズに混ざって音声が聞こえる。
■駆藤 栄Q > カメラには上空から撮影した常世島の映像が映し出されているが、すぐに暗くなる。
『期末試験の課題は 【身近な魔導工学製品についてのレポート】だな これにしよう』
がしゃんがしゃんと音を立てながら、メカ駆動は時計塔を後にした。
ご案内:「大時計塔」から駆藤 栄Qさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にクゥティシスさんが現れました。
■クゥティシス > (誰も居ない時計塔に、足音が響く)
(薄暗い階段を足早に登るのは、大きな耳と尻尾が特徴的な亜人の少女だ)
(その手には何処からか調達したであろう食料)
(一段階段を上る毎に。頂上が近づく度に、その口元は緩む)
「…一度、来てみたかったんだよね」
(学生でないこの身は、日中に学生区をうろつくには目立ちすぎる)
(人目を避け、日が沈んで月が登ったこの時間帯を狙って時計塔へと足を運んだのだ)
■クゥティシス > 「―わ」
(最後の一段を上りきると同時に、心地よい夜風が髪を撫でていく)
(目の前に広がる星々と、眼下に広がる街の灯り)
(幻想的な光景を前に、暫し言葉を失って―)
「…きれー」
(小さく、呟いた)
■クゥティシス > (街中の喧騒も、遥か天上のこの塔までは届いてこない)
(自分に危害を加えようとするニンゲンも、信用ならない他種族も居ない)
(普段なら恐ろしいニンゲンが生み出した文化の煌めきも、此処からなら美しく思える)
(けれども―)
「……やっぱり、島なんだね」
(小さくため息一つ)
(手にしたドーナツを一つ頬張れば、優しい甘さが口中に広がった)
(甘いドーナツと対照的に、思惑が外れたほろ苦さが心をちくりと刺激する)
「……帰りたい、な」
(周囲を海に囲まれたこの島から脱出する術を彼女は持たない)
(改めて島の全景を見渡せば、橋でもかかっているのを見つけられるのではないかと思っていたがアテが外れた)
(ここは、孤島だ)
■クゥティシス > (外界から隔離されたこの島は)
(ある者にとっては楽園となり得るだろう)
(多数の生徒たちは友人に囲まれ、楽しく日々を過ごしているのだろう)
(けれども、彼女にとっては―)
「脱出出来ない、のかなぁ…」
(身寄りもなく、行くアテもなく、知識もない彼女にとっては)
(この島は牢獄にしかならないのだ)
「……はぁ」
(再びため息が漏れる)
(心地よかった夜風は、寂しさに震える心を凍えさせかねないものにすら思えてくる)
(口にしたドーナツだけでは、この心の隙間は埋められそうにもない)
ご案内:「大時計塔」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > カツリ。
のんびりとした、階段を上る音が聞こえてくるかもしれない。
フードを頭にすっぽりを被り、右手には紙袋――鯛焼きのマークが刻印された――と、左手には缶コーヒー――ブラック――をもって、機嫌よく鼻歌――わざとらしい下手くそな――を鳴らしながら。
やがて、気づけば塔の屋上へやってくるだろう。
■クゥティシス > 「―っ」
(亜人たる少女の鋭敏な聴覚はその来訪者の気配を聞きのがす筈もない)
(彼が屋上へと足を踏み入れた時には―)
「……ニンゲン、ニンゲンだ」
(物陰へと体を隠し、そっと顔だけをのぞかせて来訪者の様子を伺っていた)
「………あや、しい」
(言ってしまえばこの時間に時計塔に居る輩など軒並み怪しいのだが)
■渡辺慧 > まぁ、言ってしまえば怪しいだろう。
普段通りともいえるが。
相変わらず、へたくそな鼻歌を鳴らしながら、機嫌よく。
景色が一望できる位置。そこへ来ると。
胡坐で座り込んだ。
「ニャー」
下手くそな猫の鳴きまね。
……以前。ここで、気紛れで猫の鳴き声を真似して。
聞かれるわけもないこの声を聴かれ。
なんとなく、それ以来。一人でここに来ると、ついやってしまうようになった癖。
――まぁ、何も知らない周囲から見れば、ただの奇行でしかないのだろう。知っていても奇行でしかないんだろうが。
■クゥティシス > 「うわ」
(思わず声が漏れた。まさか此処に来て唐突にネコの鳴きまねをするような輩がいたとは)
(何の意味があるのかつい真剣に考え込んでしまう)
「何かの、合言葉とか…?仲間が来るとか…!?」
(特に意味の無い行為であることなど知らないクゥティシスは思わず辺りを警戒してしまう)
(その際にかつん、と足元にあった誰かが捨てた空き缶を蹴飛ばしてしまったことは彼女にとって不幸なことであった)
■渡辺慧 > ビクリ。
少年の肩が震える。
聞こえるはずのない、誰かの気配を感じたからだ。
恐る恐る、背後――具体的に言うと。音がした方角――を、振り返り。
――その、少女の姿を発見してしまう。
「………………………」
暫し無言。
しばらく、したのちに。
――以前と、まるで同じ。そう、orzのように、項垂れて。
「にゃんで、また、ひとが、いるんだよぉぉぉ………」
とてつもなく情けない声を出した。
■クゥティシス > 「っ、な、なに…?何でこの人落ち込んでるの…??」
(さっぱりわけが分からない。変な鼻歌を口ずさんでいたかと思えばネコの鳴きまねをしてみたり)
(それを聞かれたとなると露骨に落ち込んでみたり)
(少なくとも、彼女がしるニンゲン、とはどうにもピントがズレているように感じた)
(だからだろうか)
「あー…え、と。ご、ごめんなさい」
(普段なら絶対に口にしないような言葉を口にしてしまったのは)
(或は、彼の落ち込みっぷりが真に迫っていたために、何だかこっちが悪いような錯覚を覚えたからか)
■渡辺慧 > 「う…………こ、こんな俺に謝ってくれるのかい……?」
大分錯乱している。違う、そうじゃない。
「いや、まて。おちつこう、まって。落ち着く。いや、落ち着いてる」
どう見ても落ち着いていないが。
まぁ、とりあえず先ほどと同じように、胡坐に座りなおすと。
「…………い、今聞いたのは、内密に、はい。オネガイシマス」
なぜか、普段割と気にしないほうなのだが。猫の鳴きまねだけは、妙に。妙に恥ずかしさを感じるようだ。
■クゥティシス > 「あー…と。クゥ、話すような相手とかいないから…うん、平気だよ」
(口にして自分で凹むようなセリフだった)
(なぜ自分はわざわざ友達がいないことをカミングアウトしているのか)
「違うから。友達居ないとか、そういうんじゃなくて」
(違わないが)
「あの、何というか。そう、クゥは一匹狼ってやつだから!」
■渡辺慧 > その言葉を聞いて、なぜか顔を輝かさせる。
「そうなのか。俺も友達少ないぜ!」
妙に自信ありげだ。
いや、いなくもない。というより、いるはずだ。
いるはずなのだが……。
……根本的に、周囲が彼の行動についてこないという、事態。
後人の話をあんまり聞いていない。
「そうなんだ、一匹狼なのか。大丈夫、俺も友達少ないから!」
二回言った。
■クゥティシス > (いけない。何だか妙なシンパシーを覚えられている)
(同族と判断されるのは何だか今後の自分の人生において帰って来られない一歩を踏み出してしまう気がする)
「違う、違うの。友達少ないとかじゃなくて!」
「クゥは友達とか、いらないし!ルルフールは一人でも…大丈夫なの!」
(耳と尻尾を動かして自分は人間ではないぞと)
(ひいてはあなたとは違うんですよとアピールしてみる)
(してみるがどっちにしろ傍から見れば友達居ない子の強がりでしかない)
■渡辺慧 > 「まぁまぁ。とりあえず鯛焼き食べる?」
こいつ人の話聞かねえ。
さっきの猫の鳴きまねの一幕がなかったかのような、楽しそうな顔で袋をあさり、ふい、と差し出す。
別に、シンパシー、を感じた。というより。
単純に、なんか面白そうな子だな、と感じた結果による、とは、あまり伝わらないだろうが。
■クゥティシス > 「何でクゥが宥められる側になってるの…?」
「ルルフールを餌で釣ろう、だ…なんて…」
(言葉を紡ぐ代わりによだれが出たのに気づき、思わず口元を手で拭う)
(なんだこの食べ物は)
(わずかに立ち上る湯気。魚の形をした小麦色の物体からはふんわりと甘い匂いが漂ってくる)
「こ、れ。食べられる…?」
(すんすんと鼻を鳴らす。良い匂いではある)
(しかしながら、思い出してしまった。相手は、ニンゲンだ)
■渡辺慧 > 「うん?」
当の本人は既にもう片方の手で袋をあさり鯛焼きを取り出すと咀嚼し出している。マイペースというか、なんともはや。
もぐりもぐり、と口を動かしながら、うんうん、と顔を縦に振る。
そうすると、おいしかったのか。
楽しげに。いつものような猫のような笑い方を浮かべた。
■クゥティシス > (初対面のニンゲンが差し出す食べ物なんて、よほどの空腹でなければ絶対に手を出さない)
(そもそも、初対面のニンゲンと普通に話しているこの状況が彼女の日常からすれば大分異常ではあるのだが)
(マイペースに鯛焼きを頬張る少年を見ていると、なんだか警戒しているのがバカらしくなってきてしまった)
(自分に危害を加えようというのなら―)
(そもそもこんなところでネコの鳴きまねなどしないだろう)
(気づけば少年の手から鯛焼きを受け取り―)
「あ、む」
(恐る恐る、鯛焼きの頭にかじりついていた)
(一口、二口。口中に広がる餡子の優しい甘さと、生地に残った仄かな温もりが何とも言えず心を温めてくれる)
「……おいしい」
■渡辺慧 > 少年はこの少女についてはまるで知らないし。
少年は、少女のそんな心情を、まるで気にしていないかのように。
――実際に、気づいていないだけ、とも取れる。
どちらか判断できるのは、この少年だけだろう。
しかして。
そのおいしい、と言う言葉に、ひどく嬉しそうな、楽しそうな顔をしたのは、少なからず真実なのだろう。
「でしょ」
簡単に、それだけ返すと。
再び自分も鯛焼きに手を付ける。
そうして、楽しそうに、見るものからも、おいしそうに。
もぐもぐと。
――今日は、時計塔で、景色を眺めながら鯛焼きを食べよう。
ここに来たのは、ただ、それだけの目的だったとは、まぁ。
今のところ、この少年しか知らない。
■クゥティシス > (互いのことなど何一つ知らないけれど)
(星空と夜景がとても綺麗で)
(頬張る鯛焼きは美味しくて)
(この二つの思いは多分二人とも同じなのだろう)
(特に何を話すわけでもなく、互いのことについて知ろうとするわけでもない)
(静かな時間が流れ―)
「ね。貴方は…此処によく来るの?」
(鯛焼きを食べ終え、指先についてしまった餡子を舐めとりながらふ、と尋ねてみる)
■渡辺慧 > ぺろり、と自らの指をなめ。
そばに置いてあった缶コーヒーを開ける。
鯛焼きの袋の中身はまだ、残りがある。
「んー、よく。よく来る、かな?」
暇つぶしに、昼寝に、一人で作業するときとかに。
等と喋りながら、指折り数えていく。
最後に小声で「……後猫の鳴きまねするときに」
と、言ったのは。まぁ、余談ということで。
「ここ気持ちいいしさー」
風とか。
なんて話しながら、猫のように体を丸める少年の雰囲気は。
やっぱりどこか猫じみていた。
■クゥティシス > (猫のような少年の仕草に、少し納得がいった)
(高いところが好きな猫であるのなら、此処によく来るというのも頷ける気がする)
「ねぇ、クゥが此処に来て…その時貴方がいたら、クゥはまた「これ」、食べられる?」
(ちらり、と袋の中に残っているであろう鯛焼きを見やり問う)
(あくまで食べ物を目的としているのだと)
(別にネコのような少年となら、普通に過ごせるからだとか)
(そんな理由はないんだと、無意識に主張する)
■渡辺慧 > ニンマリ、と。
楽しそうに笑うと。
「他の食べ物のリクエストだって聞くぜい?」
そう言って、シシシ。
と変わった笑い方。――だけど楽しそうな。――
ブラックのコーヒーを煽るように飲み切った。
■クゥティシス > (少年の言葉に、ぱっと表情が明るくなる)
(食べ物のリクエスト、という言葉が嬉しかったからだろうか)
「え、えっと!それじゃアレ、アレ食べたい。タコが入った…丸い奴!」
「前、メアが買ってきて…一緒に食べたやつ」
「それと、それと」
(あれも、これもと思い付くままに食べ物の名前を列挙する)
(どれも日銭すら持たない身ではなかなか食べられないもの)
(そしてそのどれもが、いつかこの街で初めて他人と共に食事をした時のもの)
「え、えと……難しい、かな」
(一通り候補を挙げきった後、流石に言い過ぎたかなと思い至る)
(指折り数えていた視線を戻し、上目づかいに少年の様子を伺って―)
■渡辺慧 > 少女の明るい表情を見ながら、うんうん、と頷く。
上目遣いのその視線にも、動じることなく。
「うん。それ全部は運ぶの大変だね」
あっさりとそう言った。
……だが。
「でも、まぁ。……一度じゃ、だからな」
つまるところ。少年が言わんとしてるのは。
ここで。
また会おう、そんだけの話なのである。
まぁ。少年の気が向いたら、だけども。
■クゥティシス > (少年の答え。その意味を数瞬考えてから―)
「うんっ!」
(満面の笑顔で大きく頷いた)
「ね、貴方…名前―」
(と、口に仕掛けてやめる)
(そのままおもむろに立ち上がり)
「やっぱ、言わなくていい」
「次にご飯食べた時に聞かせてね」
「そんで、一回ご飯食べる毎に、一個ずつ話しよう」
(指を立て、ね?とでも言いたげに首を傾げる)
「一回だけで終わっちゃうの、やだし」
「そうすれば、何回も会う理由になるし!」
■渡辺慧 > はて?
少しだけ首を傾げ。
会う理由なら、食べ物、というのがあるはずだけども。
等と胸中で考えてはいたが。
まぁ、口に出すのはやめておいた。
「あいよ」
軽く笑いながら。
それじゃ、お近づきのしるしにでも。
等と言いながら、鯛焼きの袋をつかむ。
「もってけー」
胡坐をかいたまま、少女の方へ、それを押し付けるように伸ばした。