2015/07/06 のログ
ご案内:「大時計塔」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 1日で聞く最後の1時間を迎える。


ここの所、数日おきに誰もいない―――誰かが居た形跡だけはあるが―――時計塔に登っては落ちていた。

遥か眼前に広がる常世島の景色、学園地区の全てを上から見下ろすのは
思っていた以上に気持ちのよい眺めだった。

谷蜂 檻葉 > 「今日も、よろしくね。」

囁きかける相手は風の妖精。
其処に在りて其処に無き、寄る辺なき放浪の力達。

時計塔の少しだけ壊れかけの柵に足をかけて風を受ける。

風を感じ。


風になる。

谷蜂 檻葉 > 『包んで、止めて、』


ゆらり、と体重をかけるままに世界が垂直に自分と向き合う。

一度目は自らが鳥になったように思えた。

二度目で風になったように思えた。

三度目から、何者でも無くなった。


無心で落下し、クスクスと"彼ら"と笑う。
逆巻く風に捕まえられて中程でふわりと静止する。

谷蜂 檻葉 > 『打ち上げて』

グン。と重力を感じる程の上昇。

まるでビデオの巻き戻しのようにグングンと時計塔―――その頂点を超えて天に昇る。
爽快という言葉すら生ぬるく感じるほどの神経を刺激するソレに、知らず笑みをこぼす。


声もなく笑ったまま、時計塔の頂上に降り立った。

谷蜂 檻葉 > 【高さに比べて不自然なほどの無風の頂点から、静かに学園街を見下ろしている――】
谷蜂 檻葉 > 【頂上から降り、時計塔の階段を降りていく―――】
谷蜂 檻葉 > ―――やがて、長い長い階段を降りきって改めて見上げる。

島を一望できる時計塔。

遠近法が狂いそうな程、目が眩む程のその高さは理解しやすい『不可能』を示していた。


「人はこの高さから落ちて無事では済まない」

「人はこの高さを一飛に登り切ることは出来ない」


人とは”異”なるから出来たのか。

人ならざる”魔”であるから出来たのか。

彼女の疑問に答えるものはこの場には居なかった。

谷蜂 檻葉 > 【時計塔を背に、学園街へと戻っていった……】
ご案内:「大時計塔」から谷蜂 檻葉さんが去りました。