2015/08/10 のログ
■岡部 吹雪 > 「忙しいときにゃいいじゃん。嵩張ンなくてさ。
それよかお前、一発かましてやろうと思って渡したろ。
なんつー奴だよ。ったく……。」
ぼさぼさと頭を掻きながらすくりと立ち上がる。
そしてあくびをひとつ。とても大きな大あくびをだ。
夜もすっかりと深まっており、住宅街の方からは明かりが消えている箇所も増えてきた。
「さあて、俺はそろそろ帰って寝るかね。
明日暇がありゃ、その店探してみるよ。」
エレベーターを操作する最中、ふと気付いて振り返る。
「まだ操作わかんねーってなら一緒に帰るか?」
なんて笑ったところで扉が開いた。
■ダナエ > 「フン。一矢報いずに帰るわけにはいかんからな」
強気。
操作がわからないなら一緒に帰るか、
との言葉にはまた苛立つ。
「操作は!分かる!分かるが!
私も帰って休む時間だから、同行させてもらう!」
エレベーター付近に移動した相手に大声で。
塔に来た時よりは軽い(当社比)足音を立てて、ゆっくりとゆっくりとエレベーターへ。
開延長は必至かもしれない。
■岡部 吹雪 > 「それじゃ、暫しの間エスコートさせてもらうとするぜ。」
所詮はただのエレベーターではあるのだが、それが余計に微笑ましくあった。
行きと同じく瞬く間に一階へと着く。
遠目に出迎えたのは彼の愛車。大型二輪。
キーを回し込めばそれを合図とし、エンジンは停止していた時間を取り戻す。
「それじゃまた"学園"で。
俺は待ってるからよ。頑張りな。」
そう言い残してヘルメットを深く被る。
表情はバイザーに隠れてうかがい知ることはできないが、軽く振った指先が、最後に別れの挨拶をした。
アクセルをまわせば後はもうあっという間。
彼女の視界から消えていった。
ご案内:「大時計塔」から岡部 吹雪さんが去りました。
■ダナエ > 「あれは……?」
一階で待っていたのは街中で見たことのある、
とても速く走る二輪の乗り物。
間近で見る迫力に気圧され、そのエンジン音と走り出した速度にも気圧され、別れの挨拶もできなかった。
「…………もちろんだ。受かるまで努力する」
遠ざかるバイクの音に、そう呟き。
夜の道を這うようにして帰って行くのだった。
ご案内:「大時計塔」からダナエさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に鈴成静佳さんが現れました。
■鈴成静佳 > (ガチャリ。大時計塔の塔内階段を登り切った頂上、塔屋の重い扉を開ける)
(蒸し暑い塔内から、一転風の吹きすさぶ屋外へと身をさらけ出す、この瞬間が好きだ。ちょっとした苦労が報われたような気がする)
ふぅ……。
(汗が急速に乾いていく感覚に目を細めながら、静佳は南の柵へとゆっくり歩んでいく)
(青いTシャツが風を孕み、膨らむ)
(この屋上から眺める夏の太平洋のキラメキ、そして常世島の景色もまた、静佳の好きなものの1つだ)
(そしてその想いは、生活委員会に所属してから、日増しに強くなっている気がする。とはいえ委員会所属前にここに来たことはないが)
■鈴成静佳 > (本日は静佳の『仕事』は非番。とはいえ、非番の日には保健室の当直のシフトを入れているため、夏休みといえど家でのんびりくつろげる日は少ない)
(まぁ、学生生活なんてそのくらいで丁度いい。今は休憩がてらに屋上に足を運んだというところだ)
(ふと、歓楽街にある自らの『仕事場』がこの屋上から見えないかと、東のほうへ視線を移す)
(雑居ビル群は遠目にはいずれも無個性で、見分けは付かないが)
(そして、歓楽街のさらに東……心なしか大気が赤茶けて見える、小さな区画も目に入る)
………落第街。
(誰が呼んだか、落第街。その名の通り、「落第生」のたむろする街)
(この島に来た当初は、名前だけ小耳に挟んだ程度で、自らには全く無縁の場所と思っていた)
(しかし、今はなぜか、その区画を「近く」に感じる)