2015/08/30 のログ
ご案内:「大時計塔」にやなぎさんが現れました。
やなぎ > 悩んで悩んで悩みぬき、ついに青年は行動する―

「よしよし、近いうちに学生デビューだ!」

にこにこと嬉しそうに大時計塔付近を歩く一人の青年。
手にはピカピカの学生証明書を持っており、時折空にかかげて眺めている。

先ほどまで常世学園の入学手続きをしていた。
それは案外すんなりといったのだが、度重なる事件により
実際に教室に入れるのはまだ先だ。

それでも気持ちは少しばかり晴れやかだった。

ご案内:「大時計塔」にサリナさんが現れました。
サリナ > "学生デビュー"?ふと、そんな声がした方へ振り向いた。あれは…やなぎ先生だ。
…初めて会った時、教師の補佐役と聞いたはずだけど、"学生デビュー"とはどういう意味なんだろう。

「…やなぎ先生?」

後ろからそろりと近づいて声をかける。

やなぎ > 本格的に入学する前に準備をしなければならない。
そのため学校側から資料一式を渡されていた。
校則や持ち物一式などが書かれた内容のパンフレットだ。

学生書を丁寧にポケットにしまい、
そのへんのベンチに座って冊子を読みはじめようとして―

やなぎ > その時、聞き覚えのある声がして振り向いた。

「…あれ、あなたはサリナさん、です?
 久しぶりですね!」

本を開きながらにっこり笑った。

サリナ > …久しぶり、か。"あっちの方のやなぎさん"と会ったのは確か一週間ぐらい前。
一週間じゃ久しぶりとは言わないだろうか…"こっちの方のやなぎ先生"は二週間ぶりぐらいだけれども……

「…どうも、お久しぶりです。ところで、今耳にしましたが、"学生デビュー"とは?」

言いながら彼の持つ冊子に目が行く。学園案内のパンフレットだ。私も見た事がある。
先生も入学と言うのだろうか…?しかし学生デビューとはっきり耳にしたし、どうにも状況がわからない。

やなぎ > ―やはり服装以外、"あっちのやなぎ"と見た目が酷似している。しかしこちらのほうが少しだけ背が低い。
当然青年はあの出来事を覚えているはずもなく、ただ屈託のない笑みをみせた。

「ええ。ちょっといろいろあって、
 先生やめて生徒になるんです。その手続きをしてきたのです。」

そういってパンフレットを仕舞う。

「…ごめんなさい、授業、できなくて。」

サリナ > ……やっぱり同一人物ではない。どうして顔も名前も一致する人が別の世界にも居るんだろう。
違うのはやっぱり服装…それと、目線の高さが"あっちのやなぎさん"より少し下になったのに気付いた。
身長も恐らく違う。食べてる物が違うからか、環境が違うからか…それは私にはわからないけれども、何かしらの違いはあるのだと思う。

「いいえ、それがやなぎ先生の選択ならば構いませんよ。
 …それに、これからは同級生ですね?やなぎさん」

きっと、彼も何か決断したのだろう。
私も昨日、重大な選択と決断を迫られたから、今の彼から似たような何かを感じた。
ならばそれを祝福するのが私の選択だ。

やなぎ > 「あははは、同級生なんておこがましいです。
 これからはサリナ"先輩"とお呼びします。
 是非いろいろ伝授していただきたい。」


ぴかぴかの一年生なのだからと笑って、
座って話しませんかとベンチを指さす。

サリナ > 「せ、先輩…ですか?」

流石に驚いた。同学年なのに先輩と呼ばれるのはなんかヘンでむず痒い。
とりあえずは勧められるままにベンチに座る事にしてから続けた。

「いえ、同じ一年ですし、ちょっと入学が遅れたぐらいでしょう?別にいいですよ、その、先輩だなんて…
 私の教えられる事だなんて、魔術ぐらいしかありませんし…」

ちょっと所ではなく、半年ぐらい入学が遅れている。いや、一年の範疇だからまだ大丈夫なはずだ…
それに私が教えられる事と言えば魔術学だけしかない。彼はそういった事に興味があるだろうか?

やなぎ > 「そうですか?」

彼女の様子に不思議そうに小首を傾げる。

「わたしにとっては先輩なんですから、お気になさらなくても。
 魔術も知りたいですねぇ、わたしが生まれた所には、
 そんなもの滅多にみませんでしたから。
 ああでも基本的な教科も勉強したいなぁ、国語とか。数学とか。」

いろんなものに興味ありげにぽんぽんと思いついたことを口走っている。

サリナ > 「むぅ…」

何か、さも当然の事のように言われて、それでもって彼がそのまま話を続けてしまうので、
口を挟むタイミングを見失って何か言い包められてしまった感じがする…

そんな彼はやりたい事、興味を持った事を次から次に言っていく。
…なんだかここに来たばかりの私を思い出す。私もこの世界に来た時は驚きが多くて、やりたい事も色々あって……

「…やなぎさんは異世界から来た方ですか?」

と、唐突に聞いてみた。

やなぎ > 「それから…」

サリナのことを気にすることもなくまた思いついたものを言おうとして、
はっと気づいた。

「あぁ、そう言われると不思議なものですけれど、そうなりますね。
 この島、このホシでないどこかだと思います。」

そういって、遠くの日が沈む様子を眺める。

「…そういう方って結構いると思うのですが、あなたも異世界から、とか?」

サリナ > ああ、やっぱり…なんとなくそんな気はしていた。

「そうですよ。私も異世界…ここより文明が発達していない所から来ました。だから、あなたを見てなんだか懐かしい気持ちになったんです。
 私もですね、ここに来た当初は知りたい事、多かったから」

彼が見遣る先を私も見て、そこに夕陽がある事に気付く。
私も沈むそれを眺めて、今日の晩御飯はどうしようか、等とまるで関係ない事を考えていた。
昔に比べれば、随分余裕ができるようになったなぁと感じて、少し笑って…

やなぎ > ふと視線をサリナに移してみる。
その表情に、つられるように笑みをうかばせた。

「そうなんですか!
 魔法があるのに文明が発達してないって、ちょっと不思議だなぁ…あ、失礼な意味じゃないですよ!?」

一人で勝手にあわてはじめて手を振りはじめる。

「…こことは別世界で、あなたとも別世界…、世界は広すぎて、学びたいことが多くなるのは必然ですよね。」

苦笑しながらベンチに座りなおした。

サリナ > 「むしろ魔法の方が発達してましたから、科学の発達が遅れてたのかもしれません……
 …そういえばやなぎさん、住居はまだ職員寮なんですか?」

ふと思い出したが、彼は以前、職員寮で暮らしてると言った。
学生になるのであれば職員寮はどうなるのだろうか…

やなぎ > 「なるほど、だからわたしの方では機械が発達してたのかも…。」

二階ほど頷いたところで、またもやはっとして。

「…今日手続きして、職員寮は入れくなって……。
 あっ、どうしよう、考えてないです!」

サリナ > 「ああ…私もそこをどうするのかと思いまして…もうあなたは学生ですから」

しかし何も考えてないというのにさっきの浮かれ様…学生になる事がそんなに嬉しかったのだろうか。

私がこの世界に来た時は異邦人街に住む事を勧められ、現在もその住居だ。
彼もまた異世界からやってきた人間だと言うし、私の勧める場所もすぐに決まった。

「異邦人街であれば住居の紹介できますが…どうします?ああ、それとお金は今おいくらほど持ってます?」

やなぎ > 困っていたところに助け舟。顔をぱっと明るくさせた。
なんと無鉄砲な男だやなぎ。

「異邦人街ですか!是非ともお願いしたい。
 お金のことなら心配ありません、入学分に生活費に…まぁたぶんたります。多分。」

"軍"にいたころ稼いだ金はまだ残っている。
が、全てまかなえる金額ではなく…

「……安い住居でお願いできますか。」

申し訳なさそうにぽつりと言った。

サリナ > 安い住居…月4万ならまあ安い方、だと思う。私の友人はその倍以上の部屋に住んでるし…

「そこは家賃一月ぐらいなら待ってくれますから大丈夫ですよ。
 それに私も暮らしてますし……お風呂とトイレが一緒のアパートですが大丈夫ですか?」

私がこれから紹介するのは異邦人街にあるカサベルテというアパートだった。
一人暮らしするには不自由しないだろうし、入居もすぐにできる。

やなぎ > 「えぇ、えぇ!大丈夫です。ありがたいっ!…今日からもう入居したいんですけど……。あ、むりなら大丈夫です。」

野宿も慣れているのだった。
しかしこの先ずっと野宿はいけない。

サリナ > 「大丈夫。私の時もその場で入居できましたので…学生街だとこうはいかないみたいですが、
 異邦人街はこういう所は便利らしいんですよ。今から案内しますね… …」

住居に関してはこれで問題がなくなった。それじゃ早速……と、思ったがそこで腹の音が鳴ってお腹が空いてるのに気付いた。

「と、その前にやなぎさん、ご飯…まだですよね?どこか食べに行きませんか?ご馳走しますよ」

やなぎ > 「そうなんですかぁ、いやぁ気づかなかった。」

腹の虫が聞こえた。思わず自分のものだと思った。
そういえば朝から水しか飲んでないな…

「ほんとですか!?…おごりはいいですよ、食べたものを払いましょう。いろいろ教えてもらいってその上、悪いですし。
 何食べよっかなぁ。」

もはや入居よりもメシだと言わんばかりに話題に食いついた。

サリナ > 彼もお腹が空いているようで、食べ物の話題を出せばすぐに食いついてきた。
と、すると沢山食べられるものが望ましい。何にしようか、ラーメン…?

「…わかりました。それじゃまずは学生街でご飯食べて…それから異邦人街に列車で行きましょう」

ベンチから立ち上がって歩き出す。気付けば陽も沈みこんで、街灯と建物の光だけがこの場を照らしていた。

やなぎ > 「はい!学生街というと有名なファミレスですねぇ、あ、たまには行ったことないお店でもいいですね!」

また思いつくばかりの飯話題を口走りつつ、サリナと共に歩いていった…

ご案内:「大時計塔」からサリナさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からやなぎさんが去りました。