2015/09/14 のログ
綾瀬音音 > (無表情でも嫌がってる様子がなければスキンシップを取りに行きたい心持ち。
真っ直ぐなまんまるな綺麗な清流の様な瞳を覗き込みながら、額を合わせて、ちょっとだけ体温をかわしてから、離れていく。
相変わらず抱えたままだけど。
いい香りの吐息は、この子が人間じゃないのを理解させるるに十分だったけれど、別に気になりはしなかった。
元々世界の変容後の人間で、常世島の住人だ、割りとそこら辺はアバウトだ)

ああ、なるほど。そういうことなら解るよ。
だね、常世島は先生か学生しか基本ダメだからね。
色々、解ることが増えていくのは楽しいよー。
ふふ、リヒットくんの未来は、案外夢がいっぱいなんだね
(自分はこの年の頃(彼の実際の年齢は解らないけれど)何になりたかっただろうか。
なんとなく漠然と“お嫁さん”程度のものでは無かっただろうか。
凄いなぁ、と感心してしまう)

なれるもの……か、それはたくさんあると思うよ。
頑張ればだけどね、だけど、全部は試せないかなぁ……。
でも、そっか。
やってみれば、何かしらヒットはするの、かぁ……
(確かに彼の言うとおりである。
なれるのもの中には、一個くらい、なりたいものはきっとあるだろう。
すとんと、少しだけ気持ちが軽くなった気分。
指先から生まれたシャボン玉を、夜空に見送って。
キラキラとして、夜でも綺麗)

――――――――。
ああ、そうか。
まあ、大人って訳でもないけどね、私もまだ。
でも、うん。
こう言う人になれたらいいなっていう、大人は何人か居るかなぁ。
尊敬できるっていうかね、なんて言うか
(子供の言葉は単純で。
だからこそ真実に近い所にきっとあって。
瞬きを数度繰り返してから、小さくて軽い、彼を見る。
何か、ヒントをもらえた気持ち。
だから笑って)

ありがとうね、リヒットくん

リヒット > 「リヒット、べんきょうしないと、『あっち』に帰れないかも、とも言われた。
 まだ友達も多くないけど、『とこよじま』には長く居なきゃいけなさそうだから、『こっち』のこともべんきょうしなくちゃいけない。
 ……がんばる。いろいろわかるのは、たのしいからね」

勉強ということについては、音音さんのほうがきっと先輩なのでしょう。……いや、事実先輩にあたりますが。
その先輩の言には、リヒットはこくこくと深く頷いて応えます。

「リヒットの夢……なりたいもののこと? リヒットにはまだよくわかんない。
 先生をみたら、先生になりたいなって思っただけだから。『この島には色んな人がいる』って言われたから、きっと色んな人になりたくなるかもしれないけど。
 ……でも、今はまだ、先生だけだね」

その表面に映す景色ばかりでなく、形そのものを周囲に応じて変えるシャボン玉というのがあっても、いいのかもしれません。
……そんなものが存在しうるかどうかはともかくとして。いや、リヒットがその第一号になる可能性だって、きっと。

「お手本がないと、お仕事はできないからね。
 学校に通わなかった『あっち』の友達も、畑仕事は親に習いながら、親のするとーりにがんばって、上手くなって行ってたから。
 おとねも『お手本』をさがそうね」

……そして、ありがとうという言葉。実は、リヒットはこの言葉をあまり言われたことがありません。
シャボン玉を飛ばしても、『きれい』『たのしい』と言われることはあっても、『ありがとう』という声は掛けられませんから。
これは、きっと……。

「リヒット、おとねに『つたえられた』かな。先生に会って、リヒットが思ったことを。
 ……リヒット、先生になれたかな?」

リヒットの丸い目がふと細まり、眉が下がります。
はじめて見せた、幼子の『笑顔』かもしれません。

綾瀬音音 > うーん、それは私じゃなんとも言えないけれど。
リヒットくんならすぐ友達も沢山出来るんじゃないかな。
でも、そうだね、こっちの世界にはこっちの世界のルールもあるしね。
……うん、私もまだまだだから、一緒に頑張ろう?
(よしよし、と頭を撫でたい気分だけど持ち上げたままだったのでやっぱり出来ないので。
代わりにゆらゆらと彼の軽い身体をあやすみたいに揺らして)

なりたいものだったり、やりたいことだったり、かな。
うん、この島には沢山、色んな人がいるよ。
いい人も、怖い人も、素敵な人も、悪い人も、優し人も、沢山。
案外リヒットくんは、色んなモノになるのかもしれないね
(柔軟。形が定まっていないから、何でもきっと吸収していくのだろう。
願わくは、沢山の良い物を彼が吸収していきますように)

うん、それもそうだね。
そうだなぁ、良いお手本、探さないとだね。
どうしたらそんなふうになれるのかな、なんて恥ずかしくて訊けないけど
(この島で、沢山の人と出会って、尊敬できる人や素敵だと思う人は当然いる。
だけど、そんなこと直接聞くのなんて、照れくさくて出来やしないけれど。
目標として掲げるくらいは、許してもらえるだろう)

――――うん。
ちゃんと伝わったよ。
だから、リヒットくんは私にとって先生だね。
ちっちゃいけれど
(初めて変わった、彼の表情。
それに目を数度瞬かせてから、思わずぎゅーっと抱きしめようとしながら。
彼が冷たい身体をしていたってお構いなしに、そうしてしまいたい。
ありがとうって。
君のおかげで、出口に近づいたよって)

リヒット > 抱えたままリヒットの身体を揺さぶれば、腕も脚も、女の子みたいな長髪もあっちへブラブラ、こっちへブラブラ。
表情を一切動かさないままだったら、それこそ大きめのお人形さんと変わるところはなかったでしょう。それにしたってやけに軽いですが。

でも、いまのリヒットは微笑みを浮かべています。満面の笑みとはいえないまでも、色素の薄い唇は弧を描き、目はうっとりと細まり。

「リヒット、先生になれた。よかった。
 おとねもきっと、なりたいものになれるよ。やりたいことをできるよ。
 いろんな『先生』に会って、たくさん『勉強』すれば、きっと。べんきょう、がんばろーね」

この学園都市においてはきっと、誰もが『先生』になれるのかもしれません。
境遇もいろいろ。能力もいろいろ。出自や故郷の世界だっていろいろ。そんな連中が集まる島で、体験する出来事だっていろいろ。
同じコトを紋切り型に学んで体験してきた人は、ひとりとしていないでしょう。
……文字通り『無垢』だったリヒットは、それにいち早く気付いたのかもしれません。そして、それを音音さんに伝えたくなったのです。

「だから、気になることがあったら訊いていいと思う。
 わからないことは質問しなさい、って、どんな先生も言ってたからね」

まぁ、さすがにここまで来ると、幼さゆえ、無垢ゆえの特権と言えなくもないですが。
大人なら大人で、「見て察する」能力が熟達しているであろうとは思いますが、さてはて。

綾瀬音音 > (案外力の入っていない身体をゆらゆらと揺らしながら。
あんまり揺らして気持ち悪くなっても何なので、数秒で辞めたけれど。
彼の笑みをを間近で見つめて、こちらも釣られるように笑みを浮かべて)

うん、そうだね。
きっとやりたいことも、なりたいものも見つかるね。
――“先生”か。
うん、色んな人がいるから、いろんなこと、“勉強”出来るもんね。
頑張るよ。リヒットくんに負けないくらいに。
(沢山の人がいて、沢山の生き方が、沢山の世界が交差する――特異点、とも言える場所。
それが常世島だ。
今までだって学んできたけれど、これからもまだまだ学ぶことは多いだろう。
勉強だけではなくて、もっと大切なことを。
今までがそうだったように。
彼に教えてもらったように。
これからも、きっと)

あはははは……ほら、でも訊かれる方も照れくさいよ。
どうしたらそんな素敵になれるんですか、なんて
(流石にそんなストレートは投げられない。
だから、ちょっと困ったように笑う。
見て察する能力がどこまであるのかは――今も養っている最中であるので)

リヒット > 「……ただ、なりたいものが多すぎると迷っちゃってあたまが疲れるから、リヒットはしばらく『先生』だけでいいかな」

揺らすのをやめても、余韻を楽しむようにリヒットは脚をぷらぷらと振っています。太ももから足先まで、汚れ一つなく真っ白。

「だから、『いほーじんがい』はちょっと疲れる。『がくせいがい』に住みたい。
『りょう』ってのを勧められたけど、どーやったら住めるのかイマイチまだわかんない……これもべんきょう……」

異世界で文明も未発達だったとはいえ、人間社会のすぐ傍で生まれ、生きていたリヒット。人間のいる空間のほうが落ち着くのです。
……まぁ、この世界の人間は異邦人並みに千差万別だということは、いましがたリヒットが言ったばかりですが。五十歩百歩といったところでしょうか。

そして、音音さんの『どうしたらそんなに素敵になれるんですか』という質問。
リヒットに向けて問いかけられたわけではありませんが、ふと、その答えを探してしまいます。
……というのも、リヒットはシャボン玉だからです。
シャボン玉は綺麗なので、リヒットも綺麗。それは自惚れではなく、『性質』あるいは『事実』なのです。損なわれれば彼の存在自体が危うくなる『性質』。

……さて、それを言葉で人に伝えられるものでしょうか? その綺麗さを、『性質』のままで他人に伝播させることはできるのでしょうか。
答えは否です、今のところは。それはリヒットも理解しています。
……教えられない、伝えられないことだって、あるのです。

「……そ、そうだね。そんなこと聞かれて、答えられないと、悲しいね。うん」

もとの仏頂面に戻り、力無く頷くリヒット。

「……先生って、むずかしいね。おべんきょうも」

綾瀬音音 > あはははは、いっぱいあるのも楽しそうだけど、ね。
(頭が疲れる、と言う彼にやっぱり笑って)

私の時はどうしたっけ、入学手続きの時に一緒に書類書いたはず……。
生活委員会の管轄だったと思うけど……。
後はちょっとだけだけどお金がいるかなぁ。
(自分の時はどうだっただろうかと考えつつ。
手配等は生活委員会の人に当たればなんとか出来るだろうが、あいにく知り合いはいない。
手続きを手伝うくらいしか出来そうにないのが現状だ。
悪い子ではないし、決まるまで自分の部屋でもいいが、流石に男の子をちっちゃいといえ女子寮に連れ込むのは問題か)

(何かを考えている様子に不思議そうに眺めて。
彼の中の葛藤を知らないまま。
どこかしょんぼりとした雰囲気を漂わせる少年に、ああ、自分の質問に答えようとしてくれたんだなぁ、と思って、少しだけ申し訳無さそうに、だけどちょっとだけ嬉しそうな、そんな微妙な笑顔を浮かべてまた額を合わせようか)

……うん。ちょっとだけね。
でも、ありがとう。

だから、人に教えることのできる先生は凄いんだよ。
勉強たくさん頑張った人も多いしね

リヒット > 「うん、先生はすごい。リヒットはべんきょうしたことがなかったから、先生のまねっこもできない。
 これからいっぱいべんきょうするけどね。
 おとねにお礼されて、リヒットは自信ついたから、がんばるよ」

今度の『ありがとう』は、少し申し訳無さそうな語気。でも、気を使ってもらえるのは嬉しいものです。
額に再び暖かいものが触れると、リヒットは顔を上げ……仏頂面のままですが……今まで同様にくりっとした瞳でじっと音音さんを見つめています。

「おとねは、『りょう』で暮らしてたんだね。
 ……お金かぁ。リヒットはまだお金、持ってない。やっぱり、お仕事しなくちゃいけないなぁ。
『せーかついいん』で……」

様々な人から口の端に上る『生活委員』という言葉。よっぽど、学生の暮らしに密に関わっているのでしょう。
そこで働けば、きっといろんな人々の『生活』を垣間見れるのかもしれません。
幸い、幼いリヒットでも『綺麗にする』仕事はこなせます。それ以外はからっきしですけどね。

「おべんきょうと、おしごと。この島の暮らしって、ほんとに大変だね」

額と額の間に挟まったリヒットの髪は、つるつると滑らかで冷たく、まるで頭頂から流れ落ちる小さな小さな滝のよう。

綾瀬音音 > たくさん勉強するなら、きっといい先生になるよ。
解らないことも、解るようになったら、同じようにわからない人に教えてあげることも出来るようになるしね。
――ふふ、そう言ってもらえると、嬉しいな
(まんまるな目に見つめられて、嬉しそうに笑いながら。
そう言ってくれるのは、正直に嬉しいものだ。
表情が乏しいが、別に感情がないわけではないのは、もう解っているのだし。
つるりとした髪の感触を楽しみながら)

うん。女子寮だけどね。
リヒットくんが入るなら、男子寮になるのかな……。
ううん、奨学金制度とか無いのかなこの学校……でもお仕事する気があるのなら、この島ならいいのかな、うーん……
生活委員会に入ってお仕事すればお給料はもらえるはずだけど……。
(こんなちっちゃい子が働くなんて、と日本人的な常識感の少女には悩むところではあるのだけれど。
とは言え先立つモノは必要だ。それは絶対に)

あはははは……まあ、そのうち慣れるよ、結構楽しいところだよ、ここ。
色々あるけれどね――くしゅん!

(大変なこと以外にも楽しい事が沢山あればいい。
そんなこと思いながら話していたが、くしゃみが出た。
夜風に身体を冷やしたか。彼の体温のせいではないと思いたい)

ううん……今日はもう帰るよ。
リヒットくんも遅いしもう帰ろう? 送っていくよ
(と、彼を持ったまま塔を後にする姿勢。
断られれば彼が望む所で下ろすだろうし、受け入れられれば異邦人街まで送っていくだろう。
どちらにしてもまたね、なんて言葉も付け加えて)

ご案内:「大時計塔」から綾瀬音音さんが去りました。
リヒット > 「そうだね。リヒットはわからないことばっかり。まだ……ひらがなも10個くらいしか覚えてない。
 はやく文字も覚えて、いろいろ教えられるようになりたいね」

空中で鉛筆を握る仕草をするリヒット。鉛筆どころか羽ペンですら握ったことのないリヒット、字の習得速度はかなり遅いようです。

「……むー、『りょう』って女の子と男の子が分かれてるんだ。知らなかった。
 リヒットは男の子だから、男子寮なんだね。ともだち、できるかなー。おとこのこともおんなのことも仲良くなりたいけど……」

徐々に具体的になりつつある寮生活というビジョン。あれこれと想像し、中空を眺める一方で、ちょっとした不安も。
……リヒットは以前、就学前に『寮』のお風呂に不法侵入してしまったことがあります。
もし、あそこが『女子寮』だったとしたら……リヒットは怒られてしまうのでしょうか?
バレてないことを祈るしかありません。まぁ、怒られたらそのときはそのとき、素直に怒られましょう。それもまた勉強。

「……おとね、おはなし、ありがとう。リヒットはとっても楽しかった。
 おとねの悩み事も綺麗に消えちゃったなら、リヒットも嬉しい」

帰ろうとする仕草を見せる音音さんに、リヒットは名残を惜しむように、再びお礼を言います。
お話をしてくれたこと。どっちが悩みを持っていたにせよ、きっとお互いが生徒で先生なのです。勉強できたことには、感謝の意を表するのが生徒です。

「リヒットも、これ以上風に吹かれたら乾いちゃうから、帰る。
 リヒットは飛ぶのも歩くのも遅いから、持って帰ってくれると嬉しい」

お持ち帰り要求が出ました。まぁ、それも異邦人街と住宅街の境界までですが。
帰途でも、二人はきっと楽しく談話していたことでしょう。

ご案内:「大時計塔」からリヒットさんが去りました。