2016/01/06 のログ
ご案内:「大時計塔」に西永かがりさんが現れました。
■西永かがり > がちゃり、と大時計塔の最上階への扉が開く。『立ち入り禁止』なんて言葉は建前だけで、よく他の生徒達もここに出入りするのを僕は知っている。
「んー、良い眺め。本日も晴天なり!」
目の前に広がるのは、雲一つない蒼穹。現在時刻13時26分。青空を見に来るにはとても丁度いい時間。
今、僕は参加するべき授業をさぼってここに来ている。大丈夫、まだ単位には余裕があるはずだ。
「って言っても、単位が取れなくったってペナルティなんか無いらしいけどねー。」
んー、と伸びをして、目の前に広がる大空を見遣る。今日は本当に天気がいい。
■西永かがり > 何故自分は授業をサボってまで此処に来ているのか、なんて事に深い意味は無く、単純に青い空が見たかっただけ。なんて理由じゃあ先生に怒られそうだな。
しかし、自分はアウトローであり気紛れであり自由人なのである。例え先生に怒られたとして、この場所へ来る事をやめる事はないだろう。
「空は――空は、良いね。世界は今日も正しく回ってる。」
なんて、聞かれていたらちょっぴり恥ずかしい独り言を呟いてみる。でもそれだって、ひとりぼっちの特権なのだ。
■西永かがり > 自分は空を見るのが好きだ。青くて、赤くて、黒くて、広大な空が。この島に来る前から、ずっとずっと好きだ。理由なんてない。
「来世は鳥にでも生まれ変わりたいなー。」
そうしたら、この広い大空を自由に飛び回れるだろうか。それとも、こんな思いは『夢見がち』で済まされてしまうのだろうか。
そうだ、もしかしたら鳥に変身できる魔術とかあるんじゃないか。もしあったら――どんなに楽しい事だろう。
「あーあ、こんな事だったらもっと真面目に授業生聞いとくんだったよ。」
■西永かがり > 今現在、授業には必要最低限の単位が取れるようにしか出ていない。
その訳とは実に単純明快。つまらないからである。
島に来て最初の頃こそ、異能を制御してやると張り切ったものだが、今ではそんな事もすっかり忘れて自分のしたい事だけをする毎日である。
「そんなんだから魔術もちっとも強くなんないんだなあ。うーむ。」
悩んでる素振りは見せているが、その実これからの生活を改めようなんて気は全くない。
我ながら、実にダメな子だと思う。
■西永かがり > 「授業には出なくても、お金は稼がなくちゃいけないしなあ。」
と、一人ごち。
正直明日の食事さえ危ういのに、学費まで払わなくてはいけないのには厳しいものがある。
それでも、シフトやら何やらが決められたバイトをする気にはあまりなれない。
だってそんなの、退屈じゃないか。
「夢で飯は食えぬ、とは先人もよく言ったものだよね。はあ、今日も空が青い!」
■西永かがり > 夢で飯は食えなくとも、空は青い。自分にはそれで十分な気がした。
「いや十分じゃないよ!」
一人ツッコミが大変虚しい事くらいは知ってるが、流石にここはツッコまざるを得なかった。
ロマンチストな思考にやられて体を壊しては元も子も無い。
青空が僕に与えてくれるのは精神的な満足感だけだというのに。
「ほんと、明日のご飯どうしよっかな。」
ご案内:「大時計塔」に蔵田 怡与さんが現れました。
■蔵田 怡与 > 高い………
(吹きすさぶ風に髪の毛を吹き散らされながら、迷いなく屋上に踏み出してくる。)
(肩にかけた巨大な鞄に手を突っ込み、なにかを取り出そうとして…先客に気づく)
あ……ごめん。 あー、お邪魔、します。
■西永かがり > ふ、と誰かがここにやってくる気配がする。足音、衣ずれの音。僕には気配を感じる、なんて特技は持っていないので大体そんな感じ。
振り向くと、黒い髪に黒い目、しかめ面を浮かべた女の子がそこに立っている。少なくとも、自分は知らない筈の顔だ。
「こんにちは。君は――?この塔は、一応立ち入り禁止の筈だけど。」
なんて、自分を棚に上げた発言。それは分かっているけれど、純粋な興味から何となく聞いてみたかったのだ。
「ねえ、もう少し傍においでよ。そこより、こっち側の方が空がよく見える。」
■蔵田 怡与 > (やや据わったような目を相手に向ける。愛想よく挨拶してくる相手を無遠慮に眺め)
「…こんにちは。立ち入り禁止、って、あなたも入ってるけど。
ここの生徒。訓練しに来た」
(短くそう答えると、傍においで、という言葉にやや警戒したように相手を見つめ)
「え…… あ、じゃあ……お邪魔します」
(やはり仏頂面のまま、近くへと歩み寄った。)
■西永かがり > 「へえ、訓練。異能か、それとも魔術?」
訓練、なんて懐かしい響きだ。
彼女は何の訓練をしに来たのだろうか。立ち入り禁止の場所に来てまでやらなくちゃいけない事、とは?
「んー…僕はいいの!あんまり細かい事を気にしてると禿るよ?それにそんな顔してたら老けちゃうって。
ほら、スマイルだよ。」
傍に依った彼女へ満足そうな笑みを浮かべれば、冗談めかした声でそう喋る。お手本とばかりに、にーっと彼女へ向けて笑ってみた。
■蔵田 怡与 > 「ん… 異能の方、かな。わたし、魔術は使えない。
あなたも…異能を使うのかな。それとも…魔術?」
(言いながら、鞄に突っ込んだ手を抜き出す、そこには折り紙の束が握られている)
「老け…? いや…老ける…って… そうなの?
でも、特に理由もなく笑ったりは…しないんじゃ、ないかな」
(にーっと笑う相手の顔を見て、やや不思議そうにそう返す。
相手には笑顔はとてもよく似合うが、自分にはどうだろうか…という煩悶もあるのだが、周りには知る由もないだろう。)
■西永かがり > 「えっと……異能を使うか…いや、まあ、一応、使えるはず。」
異能を使うか。その言葉に、言いにくそうに言葉を濁す。
果たして全く制御出来ない出来ていない異能を、『使う』と言っていいのか。
答えは分からない。
その思考を打ち消すようにふるふると頭を横に振ると、今度は彼女の持つ紙束に目が行く。
「んん、それよりも君の異能を教えてよ!その折り紙を使うんでしょう? 興味あるなあ。」
と、ここで彼女の言葉が耳に入る。理由も無く笑ったりしない、なんてそんな言葉。
「ええっ、そんな事ないよ! 笑うって言うのは、楽しいからするんじゃなくて、楽しくなるためにするんだよ。知らなかった?」
まあ、そんなのは口から出まかせに過ぎないが。
兎角、笑う事は楽しいのだ。無理にでも笑ってれば、もしかしたら本当に楽しくなってくるかもしれない。
そして、それはいつか大きな幸せになると、そう信じて。
■蔵田 怡与 > (異能を教えて、という相手の言葉に、素早く手を動かして折り紙を折る。完成したのは紙飛行機だ。
と、紙飛行機が手のひらの上で小さな飛行機に変わる。かつての戦争で使われた艦載機と呼ばれる戦闘機だ。)
「わたしの異能は…これ。 折り紙を艦載機に変える。
…今日は、長距離飛行訓練をしたかった。」
(艦載機が手のひらを離れ、空へと飛び立っていく。濃い緑色の機体は風を受け、屋上の上を大きく輪を描いて回り始めた)
「……楽しくなる、ために?
ふうん。…そういう考え方もあるんだ。面白いね」
(とは言いながらも、相変わらずの仏頂面だ。だが、相手に対する興味が湧いたようで、楽しそうに話す相手を眺めている)
■西永かがり > 慣れたような手つきで見事に形作られていく折り紙を見て、思わず感嘆を漏らす。
あっという間に紙飛行機として完成されたそれは、今度は本物の飛行機に姿を変えて、僕はきらきらと、目を輝かせるしかなかった。
「凄いすごい!へーっ、こんなワクワクする異能があったなんて、いいなーっ! それ、昔の…えっと、ゼロセン、だっけ?」
見事な旋回を見せるそのミニチュア戦闘機は、僕の目を釘付けにさせる。ああ、なんて楽しくて、胸をときめかせる異能だろう!
「そうそう、だからさ、君もそんなにむすーっとしてないで、笑おう!」
両手の人差し指を相手の口元に突きつけると、そのまま口の端を持ち上げ、無理やりではあるが口だけ笑顔を形作らせる。
「笑う門には福来る、って昔っから言うでしょ。ね!」
■蔵田 怡与 > (零戦、を言い当てた相手に、ちょっと驚いたように目を見開き)
「そう。これは零式艦上戦闘機。ゼロファイター。ZEKE。空の侍。
あなたの言う通りの、零戦。
…驚いた。よく知ってるね。」
(素早く手を動かして折り紙を折り、艦載機をもう一機生み出す。二機目のゼロ戦は機体をひねって飛び立ち、直掩機さながらに相手の頭上を回り始める)
「あ、ちょ、ちょっと…! ふ、ふふ。本当に変な人。
笑う門に福が来るなら、そんなに簡単なことはないよ」
(相手の指のこそばゆさと強引さに、唇を曲げられるままに思わず笑ってしまう。)
「…わたし、蔵田。蔵田 怡与(くらた いよ) …よろしく。
あなたの、名前は?」
■西永かがり > よく知ってるね。その言葉に、何だか嬉しくなってしまって。
僕はちょっと得意げな顔で、ほんの少ししかない知識を披露したくなってくる。
でもそんなの、きっと相手にとっては分かり切った事だろうから、ぐっと飲みこんで我慢する。
それでも得意げな顔は直らず、ついついにやけてしまうのだった。
「うん、昔本で読んだんだ。
昔々、ノストラダムスがこの世界に降り立つずっと前、空を駆けた船。それがゼロなんだって。」
二機目、自分の真上をくるくる回る零戦に僕は夢中になっていた。たった一枚の折り紙が、こんなにも楽しいものになるなんて。
この世界は僕の知らない事だらけだ。
「それがあるかもよ!楽しくなると、世界がきっと輝いて見える。
それは絶対、今よりずっと楽しいに違いないよ!」
そう、きっとその世界は楽しいに違いないのだ。
笑っていれば、その世界はやってくると信じてるなんて子供染みてるだろうか?それでも、信じずにはいられないのだ。
「――! そっか、蔵田、怡与。それが君の名前だね。
僕の名前は西永かがり。かがりでいいよ。今日から君と僕は友達だ。
よろしくね、怡与!」
ほら、笑いは幸福を連れてくるのだ。だって、君と友達になれたんだから。
これを幸福と言わずして、何と言うんだろう。
■蔵田 怡与 > (どこか得意げにゼロの話をする相手に、かすかに微笑んで頷き返し)
「そう。世界の速さを変えた機体。…ふふ。本当に驚いた。
昔のことは、もうおとぎ話くらいにしか思っていない人も、多いのに」
(屋上の上空を回っていた機体が、不意に向きを変えてまっすぐに落ちてくる。
自分の体に機体がぶち当たる寸前、艦載機は紙飛行機に姿を変えた。くしゃくしゃによれた紙飛行機を空中でキャッチする)
「楽しくなると、世界が輝いて見える…
……わたしには、それこそおとぎ話みたいに聞こえる。
ええと…かがりさん。 あの、友だちになってくれて、ありがとう。…嬉しい。
その… かがりさんは… 幸福になりたいの?」
(相手が楽しそうに語る幸福論。眩しい程のその内容が、今一つ理解できずに、いぶかしげに眉を顰める。
意を決してそんなことを聞いてみた。が、これすら相手にとってとんちんかんな質問であることに、気づいていないようだ…)
■西永かがり > 紙へと還る小さなゼロを見て、わお、と漏らす。
成程、壊れる程の損傷を受けたものは元の姿に戻るのか、と予想してみる。
「そうだね……あの時から、世界は全く変わってしまったらしいから。
僕も、正直に告白すると現実味は感じてないよ。異能や魔術が出てくる前の世界観は、どういう風だったんだろう。」
それでも空は変わらなかったのだろうか。その中で飛ぶものが変わっても、今も昔も、ただそこにあったのだろうか。
どうやら自分は、生粋のロマンチストらしい。
「――そう、だね。僕は幸福になりたいよ。
でも、それは君だって同じじゃない?それは、人類が持つ永劫の夢なんじゃないかな。」
幸福になりたいの、という相手の質問の意図がいまいち見えてこない。
自分の紡ぐ言葉は、彼女の意に添えただろうか。でも、
「でも、僕は今幸福だよ。だって、君と友達になれたんだから。」
■蔵田 怡与 > 「異能のない時代。それを無秩序で不安定な暗黒の時代、争いの時代だったという者もいる。
でも、戦争がいつだって技術を飛躍的に進歩させたように、あの出来事が起きた後、人間は己の内面世界の豊かさにようやく目を向けるようになった…。
……そう、教わった。
今の世界、わたしは楽しいと思う。変だし、面白い」
(とうとうと語る。が、それが単なる受け売りである、と付け足し、咳払いのような声を出した。笑ったらしい)
「幸福? わからない。 幸福になりたいかどうか、は、考えたことがない。
…あ、でも、かがりさんと友だちになれたことは、いいこと。だと、思う。
それは…幸福、かな。」
(あまり深く考えた様子もなく、そんなことを言う。どうやら「幸福」という概念を持ち合わせていないらしく、不思議そうな顔をしている…。
しかし、目の前の相手と友人になれたことは嬉しく思っているようで、それに関しては正しく同意のようだ。)