2016/07/27 のログ
ご案内:「大時計塔」に化野千尋さんが現れました。
化野千尋 > 本土もこの常世学園も、変わることなく世間は夏休みだった。

夏休みだろうが学校には生徒がいるし、部活で汗を流す少年少女だっている。
勿論当番なのだろう先生もいて、職員室もある。
だから当然、転入生が訪れても対応は問題なく行われて、生徒手帳を手渡される。
そしてありきたりな「転入生?」「よろしくねー!」なんて会話もある訳で。

それでも、違うことは勿論ある。

部活で汗を流す少年少女の中に、少なくとも人間に見えないシルエットの人がいて。
当番の先生の机には翼を生やした人間とのツーショット写真が挟まっていて。
その生徒手帳には「異能詳細」「魔術詳細」なんて項目があって。
そしてさっきすれ違った生徒たちは振り向いた瞬間、その姿は虚空に溶けて。

そんなに違うように見えないのに、丸きり違う場所だった。

「はい、あだしのはここまででだいじょーぶですよ。
 ありがとうございました! はい。もし、なにかあれば、ですねえ」

最後は、そんな言葉だけを落としてそのままここに来た。

化野千尋 > 立ち入り禁止! なんてところに入りたくなってしまうのは本土と同じ。
それでも、ここは本土とはまるきり違う場所であることは事実である。

「……ついに、ここにきちゃいましたねえ」

上手くやれていると思っていた学校生活は上手くいくことはなく。
残念ながら、「普通」ではなかった彼女の居場所というのは存在しなかった。
彼女は、「普通」になるためにこの島に来た。

「みいんな、あだしのの仲間なんですよ。
 見えます? これ、みいんな普通じゃない――これが、普通なんですよ」

携帯端末に自分を写して、そのあとすぐにぐるりと常世島を見渡せるように
左右にゆっくりと動かした。

さながらパノラマ写真の撮影中である。

「と、ゆーわけで。あだしのはがんばりますからね!
 みなさまさまも、ゆっくりゆっくり頑張ってくださいねえ!」

楽しげに画面に語りかけて、そのまま端末をスリープモードにする。
遠くまでよく見渡せる、綺麗な夕景だった。

ご案内:「大時計塔」に龍宮 銀さんが現れました。
龍宮 銀 > そこで何をしているんですか。

(そんな希望に溢れる転入生の背中に投げられる無慈悲な声。
 立ち入り禁止に指定されていても、見晴らしが良いとか風が気持ちいいとか、煙じゃないほうとか、色々な輩がやってくる。
 ならば当然、風紀委員の見回りコース内にそこは指定されているわけで、風紀委員である自身はやはり当然、見回りの途中で規則違反をやらかしている生徒を見つけたのだ。)

ここは立ち入り禁止です。
逮捕されたくなければ、すぐに立ち去ってください。

(新生活に胸を躍らせている転入生にとって、この風紀委員に出会ってしまったのは不幸と言えるかもしれない。
 指示に従わなければ即刻逮捕・拘束も辞さないと言うような目で彼女を睨みつける。
 ちなみに自身も立ち入り禁止区域に立ち入っているわけだが、それはそれ。
 まずは違反者を取り締まる事が最優先事項であるので、彼女を此処から追い出した後にその罰は受ける覚悟である。
 黙っていればわからないのに。)

化野千尋 > ……ええとですね。いーわけは認められますでしょうか。

(たはは、と苦い表情を浮かべる。
 彼女の言っていることに間違いはひとつもないのだから、苦笑いくらいしか出来ることはない。
 きっと睨まれれば、ううんと視線を宙に泳がせた。)

逮捕。たいほですかあ。
ちょっとだけ見逃してくれるとか、あだしのが実はおばけだったーとかだと、
もしかして許されたりとかってしないでしょうか。

(思いつく限りの屁理屈だった。
 そういえば聞き流していた説明で、教師がそんなことを言っていた気がする。
 生徒が自治をしているのだー、とか、なんとか。)

(それにしても生徒を生徒が逮捕とは、本土であれば冗談のような台詞だ。
 これもまた、常世島の流儀……と、内心ほんの僅かに思うのだった。)

龍宮 銀 > 一切認められません。
違反者には然るべき罰を。
それがこの世の摂理です。

(自身の摂理である。
 いや大まかには間違ってはいないのだが、違反即罰則ではいくらなんでもあんまりすぎる。
 しかし堅物の校則絶対主義者たるこの風紀委員が相手ではそんな理屈は通用しない。)

見逃すなど。
しかしなるほど、おばけですか。
おばけであれば確かに生徒とは言いがたいですが、この常世島ではおばけも立派な住人の一人です。
正規の住人であれば学生証もしくはそれに類する身分証を持っているはずですね。
お持ちでないと言うのであれば、不法入島者として拘束します。

(屁理屈を正論で返し、身分証の提示を求めて手を差し出す。
 慈悲はない。)