2017/07/08 のログ
■イチゴウ > 「・・・?」
目の前の少女が頭を撫でると
イチゴウは不思議そうに顔を傾けながら
じっと彼女の方に目を向ける。
彼女の手には複合装甲で構成された彼の
機械ゆえの硬さが伝わったことだろう。
そして横からの少年の注意を聞けば
「無暗に詮索したのは失礼だったな。
疑問に思った事はすぐ質問してしまうのが癖なんだ。
・・・まあキミが何者なのかは
わかる時にわかるだろう。」
このロボットが兵器であると明かしたからか
場の雰囲気が若干冷たくなるが
少年が口に出した疑問にイチゴウは反応した。
「ボクは元々HMTという名前のシリーズのロボットでね。
HMTは軍用だけでなく他の用途も想定しているから
あまり兵器らしいフォルムはしていないらしい。
特に量産型は本土において医療、福祉、建設現場で
活動しているのだがこの辺では見ないな。」
いかにもうーむといった様子で
このロボットは低音の合成音声を鳴らす。
そうしているうちに彼女が名前を名乗ると
「ああ。ボクの名前はHMT-15、イチゴウって呼んでくれ。」
他人が名乗れば自分も名乗る、このロボットの
持つ一つのルールだ。
■真乃 真 > 話してる間それこそ彫像のように動かない。
手に持った笹と首に巻いた白く異様に長いタオルが風に揺れるだけ。
ずっと見ていればじわじわ来るだろう。(カッコよさが)
「ああ!僕の名前は真乃真!四年生だ!
よろしくね鈴ヶ森さん!イチゴウ君!」
冷たい空気なんてなんのその!
空気は読まないのがこの男の持ち味だ!
「うーん、僕がいたのはとんだ田舎だったからね!!
君みたいなハイテックなロボットは見たことないよ!
あっいやテレビでは見たことがある気がするぞ!」
何か見たような見てないような気がする。
まあ、直接見たのは今日が初めてだった。
「…ていうか忘れてたよ!メインの目的を!」
持っていた笹にポケットから取り出した短冊を取り付けると
笹を空に見せつけるように柵からはみ出させる!
「なんかさ!空に近い方が早めに願いが叶いそうな感じするだろう?
実際叶うかどうかはともかくさ!こういうイベントって楽しいよね!!
君たちもなにかあるなら吊るすかい?短冊の予備ならあるよ!」
■鈴ヶ森 綾 > 「あぁ、ごめんなさい。深い意味はないのよ。ロボットと知り合いになるなんて初めての事で、どんな物かと思ってつい…気に触ったかしら?」
手に伝わる固く冷たい感触、やはり見た目通りというところか。もし対峙する事があったとして、爪で相手をするには難儀するかもしれない
そも、倒しても自分に何も得るものがない相手と戦うこと、それ自体を避けたい
そんな考えを巡らせた後、その機械の身体から手を離して
「HMT…あぁ、ではイチゴウさんと。それにしても、兵器とか軍用とか、随分物騒ですけど…やはり先程の、”奇妙なモノ”に対抗するために?」
「こちらこそよろしくお願いします、真乃先輩」
じっと見ていると、確かにじわじわと来る(笑いが)
あまり長時間見続けているのは危険と思ったのか、彼と話してる間、視線は彼ではなくその手にある笹の方に向けられて
「えぇ。えぇ、とっても。では私にも一枚、いただけますか?」
願いが早く叶うかどうかはともかく、イベントが楽しいという点に同意できる
強調するように言葉を繰り返し、大きく頷いて見せる
そうして彼の手から短冊を受け取る際、殊更その指に、肌と肌が触れるような受け取り方をして
■イチゴウ > 「いや、特に問題はない。」
彼女は撫でた事に関して気を使ったのだろうか
ロボットは単純に不思議に思っただけのようだ。
そして手が離れた後の彼女の言葉に
「そうだ。魔術師や異能者、はたまた怪異や
化け物と色々な異常存在を倒すために
本来HMTシリーズは作られた。ボクは
それの最新型だ。」
人間が化け物を打ち倒すために
鉄の化け物を作り従えているというのは
何とも皮肉な話だろうか。
「真乃真・・・か。」
少年が名乗ったその名を聞くと
イチゴウは少しの間考え込む。
確か風紀のデータベースの中に
そんな名前があったような気がしたからだ。
そしてまた少年がまた元気に声をあげると
「人間は星に願うのか?変わってるな。
だが面白そうだ、ボクも一つ貰おうかな。」
こういったイベント事には疎いが
興味がない訳ではない。
そうして真から短冊を貰おうとした所
彼女が先に貰うようだった。
「・・・・」
イチゴウはしっかりと彼女のその
不可解な受け取り方を認識していた。
■真乃 真 > 「はい!どうぞ!っ!?」
短冊を手渡すときにその手が指が触れる。
…触れ合った時に何だか少し背中にゾクリとした感覚が走り
そのせいか思わず力が抜けてしまって笹を取り落としそうになる。
「…おおっと、危ない!
下に落としたりしたらしたら大変だ!」
誰か通りかかる人がいるかもしれない!落としたら危ない!
急に触られたから驚いてしまったのだろう!
きっと、そうだろうそうに違いない!!
「イチゴウ君もどうぞ!
ホント何で星に願うんだろうね!
分からんね!!」
織姫や彦星も折角会えた日に人の願いを聞かされていい迷惑なのでは?
まあそれはそれとして願うけど!!
「書けたら吊るしなよ!」
笹を内側にいれてそう言って促す。
その笹の先には『更にカッコよくなる!』とかかれた短冊が吊るされている。
■鈴ヶ森 綾 > 「そう…つまり、あなたがと言うよりは、それが必要とされてるこの島自体が物騒な所なんですね」
時計塔の外の景色、今度は空ではなく、地上にある街灯りを遠く眺める
そこに数多く潜む闇、自分もまた、その一つに数えられるのだろう
「私も、十分注意して生活しないといけませんね」
手が触れ合い、慌てた反応を見せる相手。そしてそれを見つめる機械の瞳
その視線に気づいてはいるが、特に気にした風もなく、相手が取り落としそうになるのを素早くフォローして
「大丈夫ですか?すいません、少し暗くて手元が見えづらかったもので…」
二人の会話を聞きながらもう一度空を見上げ、織姫と彦星、そして天の川を視界に収めて
「本当に。一年に一度の逢瀬だというのに、それを覗き見られた上に願い事までされてしまって…あら、七夕って案外趣味が悪いのかしら」
現在進行系で覗き見ている本人が言うのでは、これは笑い話という他あるまい
冗談めかして笑いながら、受け取った短冊にさらさらと願い事を書き綴る
内容は、なんの事はない、単なる健康祈願という特に面白のない、ありがちなものだった。
その短冊を彼に習って笹に吊るすと、とんと跳ねるような軽い足取りで階段の方へ向かう
「あまり夜遅くなると危ないですし、そろそろ帰りますね」
くるりと振り返り、一人と一体へそう告げた
■イチゴウ > 「この島だけじゃない。もはやこの世界全体が
そういう闇に包まれているんだ。」
かつての科学信仰による怪異否定はもはや
意味を成さなくなったこの世界。
この世界は一体どこへ向かってゆくのだろうか。
そして不意に力が抜けてしまった真を見て
「おいおい、大丈夫か。
気を付けた方がいいぞ?」
しかし何やら真は一人凄い勢いで
納得しているので大丈夫なのだろう。
そうしながら短冊を脚底面から出した
マニピュレーターで器用に受けとると
そのまま自分の願いを書く。
書き終えれば中途半端な二足歩行をするかのように
後ろ両足で立ち、上げた前足のマニピュレーターで
笹へと吊るす。その短冊にはでかでかと
『自由』という文字が書かれていた。
「ふむ、確かに良い時間だな。
ボクも戻るとするかな。」
綾が帰る事を伝えた後に同じくそう言葉を発する。
するとイチゴウは素早くバックステップで
後ろに下がったかと思えばそのまま勢いに乗って
屋上の柵を軽く越え時計台から飛び降りていく。
■真乃 真 > 「大丈夫!大丈夫!オーバーな反応をした僕の方が悪いよ!」
触れた時に感じた直感に近い嫌な感覚。
それはもう離れた今は気のせいだったと言い切れる。
「うん、そう言うとなんか罪悪感も感じちゃうね。
まあ、願い事叶えてくれんのは明日以降でもいいよ!」
星を見上げてそんな事を言う。
見上げながらも上から目線でそんな風な事を言う。
「ここいらは未だ治安はいい方だけどそれでも夜中は危ないからね!
もしかしたら、人を襲うような悪い怪物が出たりするかもしれないし!
あんまり驚かすような事言うのもあれだけど本当に危ないからね!
気を付けて帰りなよ!!」
笹を片手で支えたまま空いた手で手を振る。
「イチゴウ君も…いや彼は平気だな!!」
兵器だけに!兵器だけに!!
「さて、まあ頼むぜお星さま!
折角ここまで来たんだからしっかり見てくれてもいいだろう?」
誰もいなくなった後ポケットからもう一つ短冊を出して飾る。
『みんなの願いが叶いますように。』なんて馬鹿らしい!なんて!夢見がちな!
そんな願いも書かれた短冊も取り付けて絶賛イチャイチャ中の星たちに
きっと、朝が来るまでこの場所で主張しつづけるのだろう。
ご案内:「大時計塔」から真乃 真さんが去りました。
■鈴ヶ森 綾 > 「そうですね…でも、この島はその中でもさらに特別、特異点と言ってもいいのかもしれません」
振り返った視線の先、笹に吊るされた短冊に書かれた自由の文字が目に入った
色々な意味で食えないロボットのようだ
そのロボットが身軽に柵を飛び越え、夜の闇に消えるのを見届けると自分も階段へ足をかけ
「えぇ、十分、用心して帰るようにします。では、真乃先輩もくれぐれもお気をつけて…」
最後に、どこかそれまでと違う妖しげな笑みを浮かべて階段を下っていく
ご案内:「大時計塔」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からイチゴウさんが去りました。