2017/10/15 のログ
ご案内:「大時計塔」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 「…ええ。魔術使用に対する雑感は、添付した報告書をご覧下さい。実戦で使用可能になったら、また詳細をご報告しますので。ええ、では、また」

夜の帳が下りた時計塔の最上階。人気の無い此の場所で、端末相手に淡々と言葉を紡ぐ少年の姿があった。
如何にも聞き分けの良い子供の様な声色だが、その声に感情は灯っていない。

尤も、通信相手も少年にそんなことを期待してはいなかったのか、短いやり取りの後端末は通信相手がオフラインになった事を示す暗い青色に染まる。

その端末を小さな溜息と共に懐にしまい込めば、肌寒さに僅かに身震いしながらぼんやりと夜空を見上げた。

「…相変わらず、父さんは何を考えているのか理解出来かねるな」

少年に取って畏怖すべき存在であり、超えるべき壁であり、少年期特有の反骨心を持つ相手。
実業家であり、紛争と憎悪から多大な利益を得る男。
そんな実父の事が、少年は正直苦手であった。

神代 理央 > 父の命を受け学園に入学し、学業に励みながら風紀委員として砲煙を撒き散らす日々。
皮肉な事に、苦手な父親と同じような――といっても、自分は前線の兵士の様なものだが――事をしている自分が滑稽と言えば滑稽ではあるが、それもまた致し方なし、と言ったところなのだろうか。

「…それよりも、早いところ魔術を実戦で使ってみないことにはな。転移荒野辺りで化物狩りに勤しんでも良いのだが…」

肉体強化や母方の家系から受け継いだ魔術。使用可能になったとはいえ、十全の習熟度があるとは言い難い。

風紀委員としての任務にも幅が出るだろうし、早いところ魔術に慣れておく必要があるだろう。
ポケットから取り出した暖かい缶コーヒーのプルタブを捻り、僅かに温くなった甘ったるいコーヒーで喉を潤しながら、ぼんやりと手摺にもたれかかる。