2018/04/09 のログ
ご案内:「大時計塔」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 「――ええ。頂いた資金は有効活用させて頂いてますよ。既に風紀委員会の先輩方には、十二分な御理解とご支援を頂けるだけのモノをお包みしました。それについては、お送りしているデータからも御理解頂けるかと思いますが」
日も暮れて、夜の静けさが支配する時計塔の一角。春先とはいえ、少し冷たい夜風が吹き荒ぶ此の場所で、青白く輝く通信端末を相手に淡々と言葉を紡ぐ。
「…勿論。支社の皆様のご期待を裏切るような事は何も。…ええ、当然。第一、たかだか学生の身分に過ぎない私に一体何が出来ると?………はい。その件については報告書の通り。此の島において島外からの政治力を活用することは困難かと―」
能面の様に表情一つ動かさず、慇懃無礼とも取れるような丁寧な口調で少年の言葉は続く。
「……分かりました。その件については、次回の定期報告までに。ええ、はい。活動資金は、何時もの口座にお願いします。それでは」
通信端末の光が、少年の言葉が終えると同時に失われる。
後に残るのは、つまらなそうな表情で端末をしまい込む少年一人。
「…老人共の言うことも理解できなくは無いが…此の島に安直に手を出そうとしたのがそもそもの間違いだろうよ」
事前に買っておいた缶コーヒーを取り出すと、小気味良い金属音と共にプルタブを捻り、甘ったるい液体を喉に流し込んだ。
■神代理央 > 風紀委員として活動を始めてからそれなりの日数が経つ。
一応、求められている情報は送っているつもりだが、落第街等所謂裏社会のデータは収集しきれているとは言い難い現状だ。
委員会で保管されているデータベースにアクセスする為に相当な金銭をばら撒いてはいるのだが―
「やはり、何かしらのコネクションが必要だろうな。いっそ、自分から乗り込んでみても良いんだが」
落第街の住民や組織の人間からはそれなりに恨みを買っているだろうが、それは即ち此方の顔がある程度知られているということ。
金で情報を売るような連中に声をかけてみるか、と缶コーヒーをちびちび流し込みながら今後のプランを思案する。
■神代理央 > 缶コーヒーを飲み終えた頃、再び通信端末が淡く輝く。
何事かと怪訝そうにポケットから取り出してみるが―
「……いやはや。なんというか、気が抜けてしまったな」
実家で世話になっていた使用人からのメッセージ。
進級祝いと、季節の変わり目に風邪を引かない様にという簡素なもの。
だが、そんな短い文章でも頬が緩んでしまうのを抑えることは出来なかった。
「…偶には、自炊してみるか」
自分で料理を作れない男は云々と使用人は言っていた。
ならば、その言に従って自分で作ってみるのも一興だろう。
そうと決まれば、と踵を返して時計塔から立ち去る事にする。
数時間後、仏頂面でレストランにて夕食を取る少年の姿があったとか―
ご案内:「大時計塔」から神代理央さんが去りました。