2015/06/19 のログ
■『室長補佐代理』 > 『公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室 一般職員クロノス』
『これより口頭にて辞令を告げる』
■『室長補佐代理』 >
そのとき、間違いなく、そのホログラムは……顔の見えないその、何者かは。
■『室長補佐代理』 >
『本日付けを持って君を公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室 室長補佐代理に任命する』
■『室長補佐代理』 >
『嗤って』いた。
■クロノス > ホログラムの男を頭を下げたまま、辞令を聞く。
法の番人である『公安委員会』に『英雄』は必要ない、
今回の1件で『公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室』の印象が過剰によくなると困る。
つまり、私は奇しくも『彼女』と同じ役割を任された、というわけだ。
「―――承知致しました、謹んでお受け致します。」
【次の尻尾】は―――私だ。
■『室長補佐代理』 > こいつら……そういうことかよ。
クロノスのやっていることを、この連中が知らないはずがない。
全て知った上で、全て『黙認』した上でこういっているのだ。
俺の時のあれこれだってそうやって『黙認』していた。
だが、クロノスのしていることはどうだ?
『黙認』をやめて公表した途端に、それは。
「お待ちください、コイツはまだ、新人もいい所ですしそのような管理職を任せるのは……」
■『室長補佐代理』 >
『「部外者」の意見は聞いていない』
『これは既に決定事項だ。全て書類上では受理されている。今更何をしても覆ることはない』
『それに、クロノスくんも……むしろ、本望なのではないかね?』
■『室長補佐代理』 >
『憧れの元・副委員長殿に少しでも近づけてなぁ?』
■『室長補佐代理』 > 哄笑が、木霊する。
何者かわからない者たちの哄笑が。
『正義』を掲げる『法の番人』の哄笑が。
正義は、潔白ではない。
男は知っている。だからこそ公安委員になった。
だからこそ、この結果も理解している。
これは、必要な事だ。
故に一切の反論もできない。
故に一切の反駁もできない。
正義も悪も、相対価値でしかない。
所詮は『今』の判断で、そんなものはすべて変わる。
であるならば、今を『手段を選ばず守る』彼らは正に、『正義の味方』と呼ぶにふさわしいのだろう。
この学園の秩序は、保たれている。
血塗れの法と、鉄錆の浮いた正義によって。
■クロノス > にっこりと口元を歪め、その辞令を受け取る。
表向きは、『最近の功績』を讃えての昇進。
その実、『大義名分』を与えて暴走させ、
『第二特別教室』のイメージを落させた後に切るつもりなのだろう。
いいじゃないか、貰ってやろう。
……その、『大義名分』ってやつを。
「―――ええ、確かに。喜ばしい事です。『昇進』は。」
紅い瞳を輝かせ、そのホログラムを見上げる。
■『室長補佐代理』 > 『殊勝結構。キミは「良い子」だねぇクロノスくん』
『想像以上に優秀なエージェントのようだ。今後の働きに期待しよう』
『では、以上で今回の要件は全てだ』
『それでは、二人とも――良い学園生活を』
■『室長補佐代理』 > ホログラムが一斉にきえ、薄暗い部屋に二人だけ取り残される。
元上司と元部下。
今なっては一般人と『正義の味方』だ。
流石にお得意の苦笑も漏らさずに、男は懐から生徒手帳を取り出し、クロノスに渡す。
「今日中ってことなんでな……処理しといてもらっていいか?」
■クロノス > ゆっくりと頭を上げ、帽子を正す。
「ええ、構いませんよ、『元・室長補佐』。」
彼とは対照的に、
いつも通りにクックと笑って彼の生徒手帳を受け取る。
「枯れてるように見えて、実は熱い人だったんですね。
―――少し『見直し』ましたよ。」
■『室長補佐代理』 > 「正義の味方は熱血漢って相場で一応きまってんだぜ? そういうことさ」
以前よりは朗らかに微笑み、左手で、右腕の腕章をとる。
室長補佐代理の腕章。
公安委員会のそれも、今日限りで返却である。
「ほらよ。こいつも、今日からお前のもんだ。『好き』に使え」
■クロノス > 「そうかもしれませんね、『正義』に殉ずる人間は、
なんだかんだでそういう人間ばかりなんでしょう。」
にっこりと笑うと、腕章を受け取り、腕につけた。
書類上は既に『室長補佐代理』の地位を受け取ってはいるが、
改めてそれを見て瞳を伏せる。
「ええ、存分に使わせて貰いますよ。例え反逆者の三日天下だとしても。」
ぐっと帽子の鍔を握ると、正す。
「―――お勤め、ご苦労様です。『室長補佐代理』
……後任はお任せください。」
口元を歪め、彼の瞳を覗き込む。
「しっかりと、勤めさせて頂きますよ。」
■『室長補佐代理』 > 「出来れば、三日といわず末永く頑張ってほしいもんだがな。俺と違って弁えてな?」
クロノスの笑みに、男も出来る限りは朗らかに笑い返す。
それでも、男の笑みは滲むような笑みで、決して明るい表情とはいえない。
だが、それはこの男の、間違いない笑顔なのだ。
「―――これから、頼むぜ。『室長補佐代理』
……後は任せた。」
合わせるように、口元を歪ませ、紅の瞳を伽藍洞が覗き込む。
その覚悟を見極めるように。
だが、すぐにそれも無駄な事と判断して、目を伏せた。
「上手くやれよ、『正義の味方』」
踵を返し、男は去っていく。
いくらか軽い、足取りで。
■『室長補佐代理』 >
「ま、安易に仕事を逃げ道につかうなって、ことなんだろうな」
最後にただ一言、 誰にともなく、そう呟いた。
ご案内:「公安委員会 調査部 本部 とある一室」から『室長補佐代理』さんが去りました。
■クロノス > 「ええ、上手くやりますよ。元『室長補佐代理』。」
クックと笑うと、最後にホログラムが消えた虚空をその紅い瞳で見て、瞳を伏せる。
「―――ええ、上手くやりますとも。」
最後に自嘲気味に笑って、鉄底の靴の音を暗闇に響かせてその場を後にした。
ご案内:「公安委員会 調査部 本部 とある一室」からクロノスさんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本部」にレイチェルさんが現れました。
ご案内:「風紀委員会本部」に犬飼 命さんが現れました。
■レイチェル > 風紀委員会の本部。そこには風紀委員会の刑事課の面々が集まっていた。
立ち並ぶ机の中、大きく伸びをする金髪の少女が一人。
欠伸をすれば、普段は目立たない小さな、吸血鬼の牙が見える。
「ん~~、とりあえずこんなもんか……」
テスト勉強と、風紀委員の仕事と。
気分転換を兼ねて交互にやるようにしている。
テスト勉強はまずまずよし、といったところか。
風紀委員の仕事は、まぁ今後次第といったところだ。
近頃起きている様々な事件。
レイチェルは、見回りを強化する必要性を強く感じていた。
「さて、と……そろそろ帰るかねぇ」
そう呟いて、刑事課の一室のドアを開けて、廊下へ出るレイチェル。
■犬飼 命 > 廊下には犬飼が居た。
右手には例のネコマニャンぬいぐるみ季節限定浮き輪バージョンが下げられていた。
「なんだ、調度いいタイミングじゃねぇか。
ほらよ、魔術書の件のやつだ、これで借りは返したぞ」
レイチェルへとぬいぐるみを差し出す。
それにしてもだ、むき出しの状態。
この男はぬいぐるみを抱えたまま堂々とここまで来たというのだろうか。
普段から捨て猫を頭に乗っけて校内をうろついたりしている。
ネコマニャンのぬいぐるみなら猫と変わらないというのだろうか。
■レイチェル > 『わー、狂犬の犬飼だよ! ネコマニャンのぬいぐるみ持ってるよ! 可愛い趣味してんな!!』
『しーっ、聞かれたらただじゃ済まねぇぜ……!』
『でもって何あれ、レイチェルにプレゼント?』
『さぁ……』
そんなやりとりが、風紀委員会本部の廊下の隅で行われている。
「お……」
廊下に出た途端、目に入ってきたのは犬飼――そして、右手に携えられた
ネコマニャンぬいぐるみ浮き輪Verではないか。
「お、お前……!!」
じりじり、と命に近づくレイチェル。その右手に握られたぬいぐるみが、本物であるか確かめるかのように、そっと、そっと近づき、震えるその手を前へと突き出す。
■犬飼 命 > 話し声の方へ振り向いて睨みつける。
『うるせぇんだよてめぇら』そんな声が聞こえてきそうな顔だ。
声が聞こえなくなったのを確認して顔を元に戻す。
「ハッ、こんなぬいぐるみ程度なんざ大したこともなかったぜ。
おい……何そこまで感動してんだよ。
ほら、受け取れってんだ」
実際は予定外の大出費となる苦戦の末に手に入れた。
安易とはいえ約束をやぶるのもプライドが許さなかった。
その成果が今レイチェルの眼の前にある。
震えるレイチェルの手にネコマニャンぬいぐるみを押し付ける。
■レイチェル > じりじりと歩み寄る。目と鼻の先にまで。
それでもまだ、何を躊躇っているのか、レイチェルはぎこちない動きで
命の顔を見上げる。本当に良いのか、と言わんばかりの、真剣な表情だ。
「お前……っ! それ……ね……ネコマニャン!! 季節限定のネコマニャンぬいぐるみ浮き輪バージョン!! 本当に、本当にとってきたのか……」
ようやく目の前のものが現実であると飲み込めた、と言わんばかりにその顔色が驚きの表情へと変わっていく。
そして、ぽん、と押し付けられたぬいぐるみ。
「はっ……」
まるで数千万の美術品を取り扱う鑑定士のように、受け取ったそれを慎重な手つきで撫でてみたりなどするレイチェル。
■犬飼 命 > 「お、おう……約束は約束……だからな」
ネコマニャンぬいぐるみを目の前にして明らかにいつもと様子が違うレイチェルに戸惑う。
軽い様子で頼んできた割には実物を目にしてこの様子。
こんなやつだったけと不審な者を見る顔になる。
(ぬいぐるみが好きだとは噂には聞いてたんだがな……。
これはレア物だったのか?
いや普通にゲーセンに並んでたし、でもこの様子は……)
少し引いている。
きっとそれほどぬいぐるみが好きなんだなと心の中で納得させる。
「一応本物だからな、一応。
……はぁ、そこまで欲しかったなら買えばよかったじゃねぇかよ」
後半ボソリとつぶやいた。
プライズ品なので買うという手段は難しいが。
■レイチェル > 「……取引はしたがマジで持ってくるとは思わなかったぜ……いろんな奴に聞いたけど全然とれねーって話だったしな、あのUFOキャッチャー。でもどうやら常世《ここ》じゃ、あそこにしか置いてないんだよな……。でも絶対欲しいって思ってて……オレも大分金使っちまったんだけど取れなくてな……」
実は彼女自身もそれなりに金を使った後だったらしい。
「何はともあれ、さんきゅー、犬飼命。取引とはいえ、だ。こいつは素直に嬉しいぜ!」
そうしてハッと気がついたように礼を言うレイチェル。
■犬飼 命 > 「ハッ、そうなのかよ……俺の前では大したことなかったな」
実際は筐体を何度も殴りそうになったし異能でズルをしそうになった。
結構な大口をたたいてしまったために露骨に目を合わせない。
「別にいい、俺も魔術書のお陰で十分なテスト対策ができた。
……お互い様ってやつだ」
礼を言われるのはなかなか気恥ずかしいものがあった。
凶犬として名を馳せてからはそんなことからは縁遠くなっていたものだ。
何やらムズムズした気がして首の後を掻いた。
■レイチェル > 「ま、お互い様なのは確かだけどよ」
目を閉じて、ふっと笑う。ようやくいつものレイチェルの調子に戻ってきた。たまにぬいぐるみを見てはそわそわしているが。
「しかし、あれが大したことなかったなんて、すげーなお前。じゃあ今度新しいネコマニャンのぬいぐるみが来たらまた取ってくれるか?」
ぬいぐるみを抱えると、そう言って小首を傾げる。
別に命の言葉を疑っていないらしい。