2015/06/27 のログ
ご案内:「生徒会本部内休憩室」に正親町三条楓さんが現れました。
正親町三条楓 > あわただしく人が駆けて行く音がする。
どうやら、落第街方面で何か起きたらしい。
それも、かなり大規模な事が。

もっとも、正親町三条楓には関係がない。
彼女は落第街の事など考えた事はなかった。
当然だろう――そんな街は『存在しない』のだから。

「――ふぅ」

紅茶が美味しい。
もっとも、スイーツまでは揃えてないのがここの欠点だ。

正親町三条楓 > 生徒会の公安担当が駆けて行く。
それに風紀委員も。
というと、治安面での問題か。
やれやれ、毎日物騒な事だ――

「お仕事頑張ってくださいねぇ」

まるで他人事のように呟く。
自分で持ってきたクッキーを一口。
なかなか上手く出来たようだ。美味しい。

正親町三条楓 > 誰も式典委員である彼女には話しかけない。
まったく、この件で式典委員の出番があるとすれば被害者の合同葬儀の時くらいだろう。
楽で結構な事だ。

「――この日常が変わる事なんて、あるわけないですよねぇ」

あぁそうだ。
この日常が、常世島が、変わるわけないのだ。
それでも変える事を夢見た愚か者――西園寺偲。
あのような輩は、二度と出ないようにしなければならない。

「頼りにしてますよぉ、風紀と公安の皆さん」

正親町三条楓 > 紅茶を飲み、クッキーを食べる。
その顔はまるで「あぁ、今日も平和ですねぇ」と呟きそうなほど、緩い。

そう、西園寺偲が打破しようとした体制。
無関心と平和の名を借りた抑圧――
楓に代表される「パワーゲームの結果の平和」の信奉者にとっては。それが学園の平和の全て。

「……あ、ちはや君とのデート、何を着て行きましょうか~♪」

正親町三条楓 > 人の出入りが慌しくなってきた。
特に公安関係者が多いように見受けられる。

――また公安か。
まったく、終わった後バランス調整をするこっちの身にもなって欲しいものだ。
内部処理をするのはいいが、もう少しスマートに出来ないものか。

(――西園寺偲を焚き付けた私が言う事でもないですね~)

正親町三条楓 > ここで彼女のタブレットにメールが入る。
どうやら関係各所にようやく情報が行き渡り始めたらしい。

――公安委員の一部が暴走。
落第街で『門』を開こうとしている。

つまりはまた公安の暴走というわけだ。
マジメな人間ほど、ストレスを溜めると暴発しやすいのだろうか。
風紀は普段から暴走しているようなものだから、決定的な事件を起こさないのかもしれない。

などと益体もない事を考えながら、楓は考える。

「――さて、どこを落とし所に持ってきましょうかぁ」

正親町三条楓 > 風紀委員会は動かず。
まぁ、この件に関してはノータッチだろう。彼らとて天秤を傾けすぎる事は望まないだろうし、下手をすれば生活委員会あたりから公安・風紀纏めて糾弾されるネタを作るだけだ。

公安委員会はあくまで『公安内部の問題』で事を済ませるつもりだろうし、そうでなくては困る。
ただでさえ先の事件で公安の力は落ちている。これ以上はまずい。

生活委員会はいつも通り、内部の局内での調整中。
巨大な機構は意思の統一に時間がかかるゆえ、こういう突発的な事件に介入する事をあまり望まない。
今回の事件での被害補填に関する事を取り仕切ろうとくらいしか考えないだろう。

図書委員会。そもそもこの非常時に連絡員さえ寄越していない、我関せずを貫いている。まぁそうでしょうね。

式典委員会はテストが終わった後の海開きの準備中。
スイカ割用のスイカが足りないと悲鳴を上げてた。
そんな足りなくなるまで割る気か、あいつら。


さて、ここまではいい。
大方予想された事ばかりだ。ただ、問題がひとつだけある。

今回の件で、島内の列車が運行を停止した。
これに関して鉄道委員会が確実に抗議をしてくるという事だ。

正親町三条楓 > 鉄道委員会。
島内を走る鉄道の全運行、管理を任されている委員会。

彼らは島内で起こる事件にほとんど関わろうとしない。
――それに鉄道が絡まなければ。

ただ問題は、何か事件があって鉄道の運行が阻害されると、烈火の如く怒り狂う事だ。
1分遅延が出れば悲鳴を上げ、3分運行停止すれば誰かのクビが飛ぶと揶揄されるほど、彼らは運行スケジュールに気を配っている。
今回、常世島の鉄道を一部運行停止する事態を引き起こした事に関して、確実に抗議してくる。


(で、何処にババを引いてもらいましょうかね~)

正親町三条楓 > まったく頭が痛い。
鉄道委員会は、確実に今回の件に関して責任の所在を求めてくるだろう。

つまり、誰かを吊るしあげろ、もしくは予算を寄越せ、という事だ。
何処かがミスをしたらそれを徹底的に追求し己の利とする。
その駆け引きを行わなければ舐められるだけだ。

(――はぁ、面倒ですねぇ)

楓はひとつ溜息をつく。
彼女の中では公安がどうのこうの落第街がどうのこうのより、差し迫った問題なのだ。

正親町三条楓 > そして正親町三条楓は考えるのをやめた。
彼女は所詮調停者。バランスは取るが、そもそも委員会同士が話し合って決着をつけてくれるならそれ以上の事は無い。
鉄道委員会とは当事者同士で話し合ってもらえばいい。


さて、クッキーも尽きた。
そろそろ行くとしよう。
そしてゴミを捨て休憩室から出て行く彼女は、ぽつりと漏らした。

「――そういえば、暴れた公安委員って誰なんでしょうね~?」

ご案内:「生徒会本部内休憩室」から正親町三条楓さんが去りました。
ご案内:「公安委員会の一室」にクロノスさんが現れました。
クロノス > 一連の騒動の後、彼女は公安委員会に回収され、
『裁判を待つ』という名目でその一室に幽閉されていた。
どちらにしても『職権乱用』の上に『大量殺人』まで犯している。
自分自身が口にしていた通り、『死刑』は免れないだろう。

そう思いながら、彼女は暗がりで目を伏せた。
―――死ぬまでの間に見る甘い夢。これまでの思い出を、振り返るために。

残された時間を、最大限に幸せに過ごす為に。

クロノス > 先の戦闘で疲弊しきっている、
頭はゆっくりと薄いまどろみの中に落ちて行く。
いつもの甘い夢が終わって、目が覚めれば、自分は死ぬ。

眠りたくない、という思いと、
眠ってしまいたいという思いが、
彼女を薄いまどろみの中に留めていた。

『―――まぁ、偲様の所にいけると思えば、
    それはそれで幸せなのかもしれませんね。』

彼女の手枷のはめられた手が、帽子を探して泳ぐが、
その帽子は既にここには無い。

配属された時に彼女に被せて貰った、大事な帽子。
あの帽子は、衝突の時に焼けてしまっただろう。

―――諦めるように、目を伏せる。
彼女を思いながら、甘い夢に落ちて行く。

クロノス > ふとその甘い夢に滑り込むように、
最近知り合った『二番目に大好きな子』の顔が浮かんだ。

そうだ、私は『まだ』生きている。
あそこまでの大罪を犯してなお、私はまだ、生きている。

『猿の手の持ち主は、大きな代償を払って日常に戻れる』
―――彼女はそう言った。

『まだ、死にたくない。』

ぎりっと歯を食いしばる、頬を、ゆっくりと涙が伝った。

『まだ、死にたく、ない。』

彼女はゆっくりと身体を起こす。

『―――やっと彼女以外に、好きな人が出来たんですから。』

魔術と異能を封じる手錠と足枷が、ちゃりっと音を立てる。
ふらふらと扉に寄ると、食われ、片腕になった手をかけた。

『あの子に私と同じ思いをさせるわけには行きませんから。』


―――開くわけも無い、その扉に。

クロノス > 意外な手ごたえが、彼女の手に帰ってくる。
その『空かないはずの扉』は、何故か何事もなく開き、
彼女の居た暗い部屋に、外の電灯の光が差し込んだ。

それは彼女の死にたくないという思いが生んだ『奇跡』なのか、
その扉にはかかっているはずの『鍵』がかかっていなかった。

彼女はいぶかしむ間も無く、その扉から外に出る。
何故か、居るはずの見張りもいない。

『助けてあげようか?』
最近聞いた五代のその言葉が、思い返される。

―――彼女は、ただ外に走った。
その、無いはずの『奇跡』に縋って。

ご案内:「公安委員会の一室」からクロノスさんが去りました。
ご案内:「公安委員会 第二特別教室『調査部別室』本部」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > 普段通りに流れ始めた高速。
なにもなかったかのように『何時も通り』の様子を見せた街は、静かにまた動き始める。
タクシーに乗り込み落第街に向かう予定だった彼女だが、何を思ったのか公安の教室に来ていた。

ついこの間、上司に抱きしめられて泣いたこの教室に今はひとり。
部屋の温度が、初夏にしては随分と低いように感じた。

薄野ツヅラ > 「───ひとりになっちゃった」

誰に云うでもなく、ぽつりと言葉が零れる。
一人にしないでと云ったのに。
あの上司は自分を置いて一人で好き勝手に行ってしまった。
何処に所属することもないと大口を叩いていた自分を公安に引き抜いた上司は。

「だから公安の人間は嫌いなのよねェ──……」

必死で悪態をつく。
両の眼に涙を湛えて、ぐしゃぐしゃな笑顔を浮かべながら。
第二特別教室はどうなるのだろう、とぼんやり思案する。
誰もいない教室の椅子を引く。

薄野ツヅラ > 椅子に座って、机に突っ伏す。
────普段上司が座っていた席に座って身体を机に預ける。

「……生きてるか死んでるかくらいは此処に居れば入ってこないかしらぁ」

高圧的で、余裕綽々の笑みをいつも浮かべて。
白い髪に血のように赤い双眸。
癖のように何時も帽子の鍔を引いていた彼女を思い出す。

「────あッは」

特徴的な笑い声が、乾いた教室に反響する。
一人の教室は、随分と広く感じた。
思考は堂々廻りを続けるばかり。不意に目眩に襲われる。

薄野ツヅラ > 『ずっとこんなことを繰り返していたところで何も変わらない。
 ただ同じようなことを繰り返して、また繰り返すだけ』

自分がついこの間、白い死神に語った言葉。
───街は普段の様子にだんだん戻っていく。
それこそ"何事もなかった"かのように。
屹度、公安委員会は。────"また繰り返す"のだろう。
自分の皮肉混じりな其の言葉通りに。
幕が下りればまた役者を変えてこの喜劇を繰り返すのだろう。

其れは終わりもなく、始まりも何処か解らない。
悪意に満ちたショウを、明日も繰り返すのだろう。

ぽたり、ぽたり。
机に大粒の涙が零れ落ちる。

薄野ツヅラ > 「ボクが──ボクが昨日止められていれば。
 ボクが、もっと強くて、あの人を止められれば」

────若しかしたら、此の喜劇を終わらせることが出来たのかもしれない。

ガン、と机を蹴った。
自己嫌悪と、無力感と、心細さと、それから、さみしさと、せつなさと。
こんなきもちになるならこうあんになんてはいらなければよかった。
いつもどおり らくだいが いで、すき かってし て


「ば か───……」

薄野ツヅラ > 其れでも彼女が教室から離れないのは。
こんな気持ちになるのが解っていても此の教室から離れられないのは。


────あるかもしれない奇蹟に縋りたかったから。


もしかしたら、この教室に悠々と踵をゴトリと鳴らして。
自慢げにあの大きな鎌を携えて。

『何を泣いているんですか、ツヅラ────』

なんて。そんな言葉と共に帰ってきてくれるんじゃないかと。
限りなく在り得ないだろう"奇蹟"に縋ってしまったから。

薄野ツヅラ > 彼女の語る正義は実に真っ直ぐだった。
愚直なまでに、正義を愛した彼女の姿を思い出す。
屹度もう会えない、と頭では理解しているのに。

「認められるわけないじゃない、ねェ」

ダン、と思い切り机を叩く。
静かな教室に、ただただ其の音が反響する。

薄野ツヅラ > そして、彼女が自分に託した置き土産。

―――彼女の『魔術』の欠片、そして、彼女自身の『欠片』。
理屈を抜きに『魔術』を信じられる、そんな『奇跡』の力の断片。

両手を胸の前で合わせる。それは神に祈るように。
最早祈る神なんて何処にもいないのかもしれない。
其れでも、唯祈ることしか出来ない。
自分の愛した正義を、絶対に裏切らなかった彼女が無事であるように。

薄野ツヅラ > 見様見真似で、言葉を紡ぐ。

  ───彼女の『魔術』の断片を喰らうように。
      ───彼女自身の『欠片』を喰らうように。


        ────奇跡を喰らうように。


                            

ご案内:「公安委員会 第二特別教室『調査部別室』本部」から薄野ツヅラさんが去りました。
ご案内:「式典委員会本部」に正親町三条楓さんが現れました。
正親町三条楓 > 朝から最悪だ。
公安委員会から昨日の騒動に関して極秘裏に見解が伝えられた。

『そもそもの原因は予算不足による設備、教育の不十分にある』

よくまぁ言ったものだ。
だが、その主張に一定の理がある事を認めなくてはいけない。

正親町三条楓 > 楓は珍しく本部の椅子に座りながら考え込む。

公安委員会の一部が暴走するのは仕方のない面がある。
何故ならば公安委員会は学園に対して過激な思想を持つ者、元犯罪者などの受け皿になっているからだ。

蛇の道はヘビ。元犯罪者のネットワークは、公安委員会の大きな助けになっている。
元ロストサインの生徒まで受け入れていたとの話だが、それはそれで各種の軽犯罪撲滅に多大な功績を上げていたと聞く。

いわば、江戸時代にあった岡っ引きを現代に復活させたようなものだ。
異能犯罪蔓延る常世島の必要悪と言ったところか。

正親町三条楓 > それは各委員会も分かっている。
だから悩ましいのだ。

『どこからどこまでがミスで、どこからどこまでが必要な犠牲なのか』

公安委員会は全て必要な犠牲とのたまうだろうが、それを許すほど各委員会も甘くはない。
最終的には委員長たちと生徒会が決める事だが、どうせ各委員会がなんのかんのと文句をつけてくるに決まってる。

「頭が痛いですね~」

正親町三条楓 > 一番頭が痛いのが鉄道委員と式典委員だ。

鉄道委員は言わずもがな。
これに関しては多分、公安と両委員会同士で何か合意が為される事だろう。
さて、どう納得させる事やら。

式典委員は夏の海開きの為にはやく予算案をとせっつく。
彼らにしてみれば、落第街の治安も委員会街のパワーゲームも関係ない。
『一度しかない青春を盛り上げる為のイベント』に全てを賭けているのだ。
あとスイカは揃ったらしい。本当何をするつもりなのか。

正親町三条楓 > 後はお偉方が考えるだろう。
いつもこの島は『ケ・セラ・セラ(なるようになれ)』だ。

『正義の味方』たちもご苦労な事だ。
西園寺偲も、あとなんか今回暴れた公安委員も。どうせ己の正義を実行しようとしたのだろう。
そしてそれを『正義の味方』に潰された。
『正義の味方』たちが寄ってたかって共食いをしている。

「――はぁ」

正親町三条楓 > 正親町三条楓は平和を愛する。
だが、きっと自分はどんな事があっても『正義の味方』の気持ちはわからないと思う。

(――なんで顔も見えない『誰か』なんて救いたがるんでしょうねぇ?)

部下の委員たちから上がってきた書類を読む。

『海開き記念! 限界を超えろ、その先に待つものとは!
今度は浜辺が戦場だ、激闘スイカ割りタイムアタック!!』

楓はにこやかにで『不許可』の判子を捺した。

ご案内:「式典委員会本部」から正親町三条楓さんが去りました。
ご案内:「公安委員会本部 の廊下」にエルピスさんが現れました。
エルピス > 「はぁ……」

 先日の落第街でクロノスが起こした騒動。
 それに"居合わせた公安委員"として"報告書を提出し"、今に至る。

 サイボーグと言えど不眠不休は少し疲れるのだろう、小さく溜息をついた。

エルピス >  
それは要請があった故に無駄な行為と思いたくはないが、
事務的に処理され運ばれる書類を見ると、一抹の不安を覚えなくもない。

「公安委員会の腐敗、だっけ……」

あの場でクロノスが叫んた言葉。
1年弱程此処に所属して活動を続けている身としては、それに心当たりは無くもない。

「確かに最近の公安委員会、凄く変だけど……」

エルピス >  
 短期間における公安の暴走は二度も生じている。
 普通に生活していても各種思惑の交錯や、黒い噂、雰囲気を感じる事は少なくもない。
 第二特別教室、と言った機関を始めとした、特殊な下部組織も台頭し始めている。

「……うぅん。」

頭を悩ませながら、廊下の壁に背を預けて溜息を付く。
特殊な役職でない一般の公安委員が考えるだけ無駄なのかもしれない。
そんな事が脳裏に浮かぶ。……その弱い考えを振り払うかの様に、首を振った。

「だめだめ、だからと言って弱気になんかなれないよね。
 ちゃんと公安委員として活動して、頑張らなきゃ。」

エルピス >  
 最近の公安委員会は不安定だ、と、エルピスは思う。
 だから、こそ。

「普通のお仕事もいっぱい頑張って、ちゃんと皆を安心させなきゃ、ね。
 他の人達が、お仕事をしていない訳じゃないけれど……」

 その場で、小さくガッツポーズ。
 ぷるん、と、エネルギーパックを兼ねた人工胸が揺れる。
 スイカと言う程には、大きくない胸だが――

ご案内:「公安委員会本部 の廊下」からエルピスさんが去りました。