2015/06/30 のログ
■薄野ツヅラ > 「えーと、」
室長がどんな人かと云われれば、自分が室長に会ったことが無かったのに気付く。
あの伽藍洞のような黒い眼で厭な笑い方をする『室長補佐代理』にしか会ったことはない。
且つ、公安の上層部にはほとんど関わりがなかったなあと顔を顰める。
「………『室長補佐代理』って中間管理職なら知ってるわよぉ?
ただ室長に関しては会ったことがないし居るのかも知らないし興味ないわぁ」
ひらひらと右手を振る。
降参、とでも云うようにやる気なさげに背凭れに寄りかかる。
コーヒーを再度傾けた。冷たい。
■ギルバート > 「……?」
「『室長』の『補佐』の『代理』……ですか?」
ここで一つ巡らせる。
最初から室長のポジションには、誰も存在してないのではないか?
でなければ『室長補佐代理』などという回りくどい地位が、わざわざ存在するのもおかしな話だ。
勿論、理由があって"そう"であれば"そう"なのだが、確証はない。
では何のために『室長補佐代理』は存在するのだろう。
真っ先に浮かんだのは、首の挿げ替えのし易さだろうか。
情報源の乏しい彼の耳にも、何度か第二教室で異動があったと噂に聞く。
持ち回りで舞台役者を用意しているような、そんな奇妙な空想ができあがった。
「なんか……変な感じッスね。」
■薄野ツヅラ > 「ええ、『室長』の『補佐』の『代理』よぉ──……」
少年の考察を知る由もない彼女はぼんやりと言葉を返す。
自分も初めは『室長補佐代理』と云うポジショニングに違和感を感じていた。
けれど今は何を考える必要もない。
「そういうもの」だ。考えたところで本当のことに行きつける訳もない。
公安委員会の用意した第二特別教室の『室長補佐代理』は「そういうもの」なのだ。
「別にぃ?そういうものなんじゃないのかしらぁ?
第二特別教室はそういうものだって全員が───今は2人しかいないけど。
全員がそういうものだって理解できてると思うわぁ」
だから別に変でもないんじゃないのか、と。
外部から見ればそうかもしれないが第二特別教室からしたら別に当たり前よぉ、と。
■ギルバート > 「そういうもんなんスかねー……うちはオーソドックスなチームだから、なんか。余計に。」
対照的に彼の所属する第一隊は、命令系統も画一化されて極端に単純化されている。
情報部との違いなのかと、少年は一人思案する。
「……先輩はなんか、手馴れてますね。」
「余裕があるっていうか。ちょっとオトナっていうか。」
「えーっと……『室長補佐代理』も、そういう人なんですか?」
■薄野ツヅラ > 「まァ本名を名乗るな、みたいな通例があるような部署だしねェ」
くああ、と小さく欠伸をひとつ。
口元を押さえながらのんびりと言葉を選ぶ。
「そりゃあ此処数日ずーっとクレーム対応してたらそこそこは慣れるわぁ。
ボクを大人だーなんて云うならこの島の大人全員に謝ったほうがいいわよぉ」
くすり、悪戯に小さく笑う。
少年が思案しているのに気が付けば、自分も最初はこうだったわぁ──……と楽しげに眺めた。
「『室長補佐代理』に関してはよく解らないわぁ、ただ好きな女の子相手にはタジタジってことと───
ボクの淹れたコーヒーを飲めないってくらいしか知らないわぁ」
其れでも相応に信用に足る人物なんだゾ───……☆
何処か自慢げに笑った。
■ギルバート > 何処か仮面越しだった表情から、覗かせた不意の一瞬。
その笑みはあまりにも印象的で、少年の頬を紅潮させるには十分の威力。
ギルバートは感情を誤魔化すようにかぶりを振って面を上げた。
「あ、あのスイマセン!」
「オレ、そろそろ行きます!」
「ほんとスイマセン、忙しいとこ邪魔しちゃって……。」
そそくさと荷物を纏めて出ていく姿は、何処かそそっかしい。
少年が染め上げていたもの珍しい空気の色は、退室と同時に再び第二教室にとっての日常を取り戻していく。
―――薄野ツヅラ一人の空気に。
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」からギルバートさんが去りました。
■薄野ツヅラ > 「はいはーい、ご利用ありがとうございましたぁ」
いつも通りのやる気のない声を投げかけながらひらひらと手を振る。
慌ただしく第二の教室を出ていく少年をぼうっと眺めれば、
最近の公安はエルピスといいああいうキャラでイメージアップを図るのかしらぁ、と独り言ちる。
大きく欠伸をひとつしながらマグカップを手に。
また居心地のいい一人の時間を満喫するのであった。
────他の公安の生徒に教室を私物化しすぎだ、とクレームを入れられたのはまた別の話。
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」から薄野ツヅラさんが去りました。
ご案内:「委員会街」にアルフェッカさんが現れました。
■アルフェッカ > 委員会街を、一人の少女が歩く。
パーカーにワンピース、ジーンズにローファー。
ハンチング帽は被ってはいるが、目や髪型を隠す程に目深ではない。
人目を気にする様子もなく、胸を張って堂々と歩く。
ポケットから、封筒が頭を覗かせていた。
■アルフェッカ > 「――――。」
昨日の事を、軽く思い出す。
公園で、不安を抱えていた所に話しかけてきてくれた、学園の教師。
彼女との会話で、随分と心につっかえていたモノが取れた気持ちだった。
その後、夕食をご馳走になり、部屋に一晩泊めて貰う事が出来た。
まともな食事も、しっかりした部屋での宿泊も、この世界に来てからは初めてだった。
(――本当に、ありがとうございました。)
彼女が出かける前にお礼は言ったが、改めて心の中でお礼を繰り返す。
■アルフェッカ > 「………。」
彼女から教えて貰った情報から、導き出した結論は一つ。
この学園都市に滞在するなら、然るべき手続きを受ける必要がどうしても出て来る。
その為に受けるべき検査の類についても、既に教えてもらっている。
提示される選択肢は二つ。
「市民登録」に留めるか、この学園に入学し「生徒」となるかだ。
これについては、完全に自分の判断一つだろう。
どっちを選ぶにせよ、相応に負うべきモノは出て来る。
それがこの世界、この学園都市の流儀であるなら、異邦人たる自分はそれに従うべきだ。
郷に入っては郷に従え。まさにその通り。
そして、自分が選んだ選択は――――。
■アルフェッカ > 「……よし。」
昨日も訪れた、生活委員会の棟。
ごそり、とポケットから封筒を取り出す。
これを提出すれば、もう後戻りは効かないだろう。
自分の判断に間違いはないか?
深呼吸をして、自問する。
「――問題なし。どうせ選ぶなら……賑やかそうな方が、いいよね!」
にっ、と笑顔を浮かべ、封筒の文面を見る。
封筒に書かれた文字は――――「入学届」。
「失礼しまーす!!」
大きな挨拶と共に、少女は建物の中に消えて行った。
ご案内:「委員会街」からアルフェッカさんが去りました。
ご案内:「委員会街」にリーセ・グリエさんが現れました。
■リーセ・グリエ > 暑い、とばかりに扇子を広げて歩いている。
「――書類確認で駆けずり回る……
必要な事とはいえ、
この夏場はこたえますねぇ……」
はー、やれやれと、少し肩をすくめて