2015/07/02 のログ
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > あまり目立たない場所にある狭苦しい資料室のような一室。
そのまた隅に押し込まれた『室長補佐代理』のデスクに視線を落とし、黙々と作業を続ける男が一人。
作業内容は課題……ではなく、書類整理である。

『室長補佐代理』 > 課題も当然まだ山ほどあるのだが、試験期間ということで期日の近いものはまとめて提出してしまったため、今はある程度余裕がある。
では肝心の試験はどうなのか? 
といわれれば課題を満足に提出も出来ていない男のそれが当然振るうわけもなく、追試の連打雨霰、その様正しく篠突く如し。

『室長補佐代理』 > しかし、まぁここまではある意味で目論見通りである。
男は端から一発で試験を通るつもりなどさらさらない。
いわば、最初の試験は下見。
見である。
成績ギリギリの男にそんなものが一発でホイホイ通過出来る訳もなく、男は最初から一本目はむしろ取らせるつもりで挑んでいた。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
己の程度を知っているのなら、次に知るべきは敵の布陣。
即ち問題の出題傾向である。

『室長補佐代理』 > 既に一通りの試験を受け終わり、それらの情報を十二分に調査した男にとって、今は貴重な休戦期間なのである。
あとは本試よりも普通は易しくなる追試を受けて悠々と『可』をとるだけなので、勉強はそこまで必要ない。
そんなものは一夜漬けでもこの際良い。
だが、こっちの書類は流石に放っておいて久しいので、いい加減手を付けなければならないのである。

『室長補佐代理』 > 薄野は優秀な部下であるが、それは調査員としての話であるし、何より今までの部下たちと比べるとあまりに公安職員としては奔放である。
特に書類の類に関しては意図的にこっちに押し付けている気配がある。
そのような経緯から、結局書類整理は此方に回ってくる事が多く、昔はなんだかんだで最低限の書類はある程度片付けてくれていたクロノスを思い出して、つい溜息が出る。
その前の害来腫に至ってはむしろ押し付けた仕事は脂汗を垂らしながらも概ねやってくれていた。
 
「代を重ねるごとに部下に使われるようになっている気がするんだが……気のせいだろうか」
 
つい、独り言も漏れる。
恐らくそれは正確な観測であるため、その後の溜息は殊更深くなった。

『室長補佐代理』 > 出てくる書類は始末書と報告書の山。
どれもこれも一枚一枚はどうでもいい雑事に関わるあれそれなのだが、何せ量が多い。
兎にも角にも面倒くさい。片手ともなれば尚更である。
それでもやらねば終わらない。ならそれは結局やるしかない。
日頃、公安委員会が良く使うフレーズがここで脳裏を過る。
即ち。『仕方がない』
これもまた、そういうことなのである。
己でも多用する以上、それが脳裏に浮かぶのならば、粛々と従うまでである。
今回は多少遺憾ではあるが。

『室長補佐代理』 > 己の中に浮かぶ鬱屈に逐一そう受け答えをしながら、退屈としか言いようのない作業をひたすら続ける。
最早、工場の流れ作業である。
これで書類を横一列に並べ、ベルトコンベアでも設えれば非の打ちどころもない。
そのまま試しにコンベアの上をぐるぐると回る書類を思い浮かべてみたが、笑えるどころかもっと気が滅入ったので頭を振って中断する。
作業ごと中断したくなる勢いだった。

『室長補佐代理』 > 上申して事務員でも増やして貰おうか。
妙案のように思えるが、部署の都合上、機密を扱うこともある調査部別室に気軽に人を寄越せるはずもない。
それも男や薄野のような外回りをする人間の相手をするともなれば、それは本当に何かと『あれこれ』面倒に巻き込まれる可能性もあるということであり、現実的とは言い難い方策であった。
実際、第二特別教室のエージェントは男や薄野以外にもいるにはいるのだが、『室長補佐代理』の肩書を持った男ですら顔を合わせた事がある相手は多くない。
ここはそういう部署なのである。

『室長補佐代理』 > 一通り作業を終わらせ、部屋の隅の時計を見れば、そこそこいい時間であった。
 
「……まぁ、続きはまた今度にするか」
 
終わらないようなら無理にでも薄野にやらせるとしよう。
こういう事を覚えるのも経験である。
 
言い訳じみた物言いだと男は自分でも感じていたが……まぁ、真意はこの際どうでもいいことだろう。
 

ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室」から『室長補佐代理』さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本部会議室」に五代 基一郎さんが現れました。
五代 基一郎 > 委員会街、風紀員会の本部にある会議室。
そこを貸切り、書類のファイルやら機材の調整をしつつ
今回呼び出した人間を待つ。
テスト期間でもあることも、上半期報告会が終わったこともあり
使用の予定を入れるのは楽だった。

ご案内:「風紀委員会本部会議室」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル > 「よっ」
その人物は、そう時間の経たない内にやって来たことだろう。
普段通りのクローク姿で、彼女は会議室へとやって来た。

「何とかテスト勉強終わらせてきたぜ、先輩」
小さく手をあげて、声をかける。

五代 基一郎 > 「悪いね、こんな時期に」

待ち人が来れば、席につくように促す。
その席には厚みのある書類ファイルが置かれていた。

「まぁ勉強で不足分あったら手伝うよ。
 成績どうこうするのは不正だが、勉強の手伝いくらいはできる」

そうして自分も同様のファイルを手にして捲り始める。

「それじゃ、2年前のことを含めてロストサインの話をしようか
 主に幹部連中のことをさ」

レイチェル > 「ま、手を煩わせることはないぜ。テスト期間になって慌てないように、コンスタントに勉強は
 してきたからな」
席につくように促されれば、クロークを翻してどかっと座る。
手元の書類を見やれば、手を添えてぱらぱらとめくりつつ、そんな風に返す。

「ん、よろしく頼むぜ、先輩」
レイチェルはまだ常世学の一年生だ。
ロストサインのことに関してはあまり詳しいとは言えない。
殆ど彼らのことを知らないと言ってもいい。
真剣な面持ちで、五代の語が継がれるのを待つ――。

五代 基一郎 > 「それは何より。それじゃ始めようか。」

そういって手元の書類束の最初の方から補足するように
話し始めた。成り立ち、そして……

「正式に誕生したのはいつとはわからない。
 ”ロストサイン”という違反部活、犯罪組織はあった。
 この学園社会が出来てからとも言われている。
 長い間、そいつは存在していた。外の組織とも繋がりを持つ、秘密結社といったほうがいい。
 故に本来派手に動くような組織ではなかった、と推測されている。
 これは所持していたロストサインの門が関わっていると見られているな。
 それが何の門であるかは、公的なデータはない。
 さておき数十年単位で影で動いてきたわけだから、それなりに隠密性を重視していたらしい。
 だが近年組織の肥大化等もあってそれらに綻びが出始める。
 それが2年前のこと。末端と一般生徒であった否支中活路とのいざこざ乱入により
 遭遇戦から組織戦に変わっていった。
 ページをめくってくれ」

ページを捲れば出てくるのが”2年前”の否支中活路の
学生プロフィールデータ。履歴書等にも近い。

「否支中活路。現在22歳。日本人。異能は”破門”(ゲートクラッシャー)等と呼ばれている。
 能力もあって、彼が切っ掛けとなり、乱入を招いたことでロストサインの門は破壊。
 それを皮切りに組織は崩壊して今って感じだな。」

まぁ、ロストサイン自体の話の切っ掛けだから今は特に重要ではないな
こいつはとページを飛ばす。

「こいつについて何か質問はある?今包帯男で、絶賛生きてる話とか。
 ”ミイラ男”とか”シュラウド”とか”不死身の”とか呼んでるけどさ
 まぁ、戦うわけでもないし」

レイチェル > 「成程、秘密結社……だった訳か。ま、組織がでかくなりゃ統制も取り辛くなるのは当然だな。
 綻びが出ない方が不自然ってもんだぜ」
へぇ、と頷きつつ、五代の言葉に従ってページを捲る。

「成程な、否支中活路。名前を聞くのは初めてだが……こいつがきっかけ、か」
プロフィールの細部まで目を通すが、尋ねられれば首を振る。

「いや、まぁ事の始まりは分かった。先輩の言う通り、この男に関しては今これだけ
 知ってりゃ十分だろ。戦う訳でもねぇなら、尚更だ」
そう言って、次のページを捲る。

五代 基一郎 > 「世界規模ってなら話は別だったろうけどさ。
 まぁ狭いからなぁこの島、広いけどさ」

そいつには話通しておくから、とも伝えて起きつつ。
次のページについて説明する。
次のページ、ロストサインの首領にしてトップ
全ての者を従え、マスタークラスをおく者

「ロストサインのリーダーでありボス、グランドマスター。
 すまないがこいつに関しては一切データがない。
 データがないし、姿もわからない。
 ただ2年前に誰もその存在を確認できなかったものだから
 グランドマスターがいる、というのは組織を纏めるための方便であり
 実際は存在しなかった、と見るのが妥当とされている。
 あの時も姿を現さなかったし、今も出てきているわけじゃない。
 知らざることは語りえないんだよ。
 データがあるのは次のマスタークラスからかな」

話せることがなくてすまないな、としつつ。
ページをめくることを促す。

レイチェル > 「実際は存在しなかった可能性、か。その推測が正しいものとすれば、
 下に向けて頭の存在を信じ込ませてた存在が居る、若しくは居たって訳か。
 そいつは興味深い話だな。まぁ、現状からじゃ判断しきれねーか」
そんなことを呟きつつ、ページを捲る。
「マスタークラスね、こいつらとは色々関わることになりそうだから、しっかり聞いておかねーと
 いけねーな」

五代 基一郎 > 「マスタークラスは8人いたとされている。
 正確には遭遇したのが8だか、情報があるのは8というか
 まぁハッキリはしないがその半数は現在消息不明だ。
 ”葬戯業”エンバーマー、折神 直
 ”調慄者”ネゴシエイター
 ”戦創屋”ウォーモンガー、ヴェルミア・オーリス
 ”時刻剽”デイウォッチ、オーランド・ウィルマース
 以上4名が2年前に消息不明、死亡した者達だ。
 まずはこの4名からだな。」

そしてちら、とページを捲ればまず出るのが

「”葬戯業”エンバーマー、折神 直(おりがみ なお)
 専攻科目等など在学時のデータは存在するが、その他
 特殊な技能については不明。
 ただ2年前に直接戦闘した否支中活路の話等から消息不明とされた。
 二つ名等からネクロマンサーか呪術師ではと見られているが、現在じゃ確認のしようもない。
 似たような奴を見かけた、と報告はあるが実際はどうなんだかなというのがさ。」

書類には身体検査の数値、または専攻していた科目等がある。
それらだけとれば、優秀な生徒だったのだろうが。

レイチェル > 「ネクロマンサーか呪術師、ね。面倒だな、そいつは。搦手使いそうな奴は好きじゃねーぜ」
死霊術師や呪術師ならばかつて交戦したことがある。
どちらも、かなりの苦戦を強いられた記憶がしっかりとレイチェルの脳には焼き付いている。
果たしてこの男はどれほどの者なのだろうか、とプロフィールを見ながら思案する。
マスタークラス、と言うのであれば相当なのであろうが。
何にせよ、警戒しておく必要がある一人なのには間違いない。

「成程、成績も優秀だった訳か。もしまた表に出てくることがあれば、の話だが、
 余計やり合うのが面倒臭そうだぜ」
まず正面から殴りあってくるタイプではあるまい。
ロストサインと関わる以上は、こいつの存在は常に留意しておく必要がありそうだ。

五代 基一郎 > 「まぁ消息不明の一人だから、いるかもいなかも程度に。
 ちょっとどころではなくデータが少なすぎるんだよな。
 現状動けるのは少ないから、そこも考慮してね。
 ほら今だってこの折神が何かして騒ぎになってるってわけじゃないでしょ。」

実態として出ていないなら、考慮はしなくていいというような言い様で済ませる。
実際未然に防ぐにしても、身構えすぎて別のところから脇腹刺されたら本末転倒だ。

「次は”調慄者”ネゴシエイター……こいつは交渉術や悪魔学を力とするマスターだったようだ。
 いや、伝聞ですまないが当時公安の上の方から直接な。
 詳細は一切伝えられなかったが、対処したとは聞いた。
 どこが、とは聞かなかったが出来たというのだから出来たのだろうってさ。
 公安のそういう時に動く部署が動く、ということはそういうこと……というわけ。」

レイチェル > 「ま、それでも用心しておくに越した事はねぇだろ。消息不明とはいえ、いつまたひょっこり顔
 を出すか分からねぇ。呪術師だとか、ネクロマンサーだとか、そういった輩ってのはどうにも
 しぶといイメージがあってな」
個人的な経験に基づいただけの話だが、と付け加え。
そしてこれ以上は見る必要は無いだろうと判断し、ページを捲る。

「交渉術に悪魔学、か。伝聞なのは仕方ねぇだろ。何たって秘密結社だったんだから。
 特に何か文句言う気もねーよ。こういった情報を教えてくれるだけで十二分だぜ、
 感謝してる。悪魔ってんなら一応オレとしては慣れた相手ってとこだが、対処したってんなら
 まぁ……やり合うことは無いかもな」
そう言って腕を組み、次のページを捲る。

五代 基一郎 > 「ただ、これも忘れないでほしいが
 と、見られているだからさ。まぁ後でいうけどザデルハイメスのような奴もいるんだ。
 まだ何かしらでいる、というのは否定できないけどさ。」

ページを捲れば次に出てくるのが学園での地位が教師の男性。
異能、行使可能な魔術等の記入。
そして二つ名と顔写真にその名前。

「”戦創屋”ウォーモンガー、ヴェルミア・オーリス。
 学園以前の経歴は不明だが、まぁ外では傭兵をやっていただろうことは間違いない。
 ただ戦争が好き、というよりそれに民間軍事会社等組織の経営者、が加わった厄介な感じかな。
 こいつにより勧誘されて教育されたロストサインの兵隊も結構にたようだ。
 そのせいで2年前だいぶ苦しめられたからな、こいつには。
 ただ当時引き入れた人間に寝首をかかれて死亡とある。
 死骸等の確認はされなかったが、当時率いていた軍団や
 指揮系統が乱れたことから推測される。
 問題があるとするなら、後のウィルマースと同じく
 奴が教育した兵隊等がまだ生きてるってところか。
 死んだこいつ自身より、こいつの部下やらと遭遇する可能性は高い。」

レイチェル > 「オーケー、オーケー。頭に入れとくぜ……で、こいつは成程、教師、ときたか」
そう言って、次のページに目をやる。
教師、という記述を見て、胸の下で腕を組む。

「良い兵を育てるだけの力があった男、ってことか。そいつの教え子が健在って
 んならまぁ、厄介なことこの上無いな」
傭兵としての技術や知識を持っている者達がそれなりに居るということだろう。
楽しくなりそうだな、などと心の片隅で思考を過ぎらせつつ、レイチェルは次のページを捲った。

五代 基一郎 > 「厄介と言えば次のヤツも厄介でな」

ページを捲れば現れる男の顔写真と名前。
前半のトリ、最後は

「”時刻剽”デイウォッチ、オーランド・ウィルマース
 こいつは当時鉄道委員会の運行管理をしていた。
 そのせいで2年前の制圧作戦のときに列車等の運行麻痺から足の軒並みを狂わせられた。
 時間関係の広域魔術だった。ヤツ自身相当な高位の魔術師だったんだが
 作戦中に所属が密告されてな、内部の人間から。
 その際に当時の執行部役員、俺の部下を”一人”送り込んでさ。
 そのページに挟んである資料の奴ね。
 まぁ戦闘どうのはさておきその際に死亡、遺体も確認された。」

ウィルマースの手前に挟まれた一枚の資料
そこにはアルベールという名前と、出身地であるフランス
以外異能も魔術も表記されていない資料。
生徒会執行部役員の青年の顔写真があった。
金髪、細目であり上げられた片目から覗く翆眼
押されている印は”消息不明”

「厄介なのはオーリスと同じく、その後だ。
 ヤツの工作した鉄道等が今も残っている。
 ロストサインの元構成員らが使っていると見られているんだ。
 俺らはそれを”ウィルマースの遺産”と呼んでいて、今も捜査している。」

ご案内:「風紀委員会本部会議室」に虞淵さんが現れました。
レイチェル > 「ま、厄介な奴らしか居ねーだろうな……」
はぁ、と溜息をついてから、大きく伸びをするレイチェル。

「そいつはまぁ……ご愁傷様、だな」
その報告を聞きながら、資料に目を通す。
アルベール。当然だが初めて聞いた名前だ。
憶測だが、生徒会執行部役員と言えば、それなりの力を持っていたのだろう。
そんな男が、このような結末を辿ったのだ。
再び腕組みをし、レイチェルはうーむ、と唸った。


「ウィルマースの遺産、ね。成程、奴らはそういう遺産を色々蓄えこんでいる訳だ。
 確かに、厄介だぜこいつは」
これから風紀が、公安が、常世学園が、挑まなければいけないのはこのような相手なのだ。

更にページを捲っていく。

虞淵 > 突如、会議室のドアが蹴り開けられる

「よォ、邪魔するぜェ?」

ぬぅ、と突然現れたその男は、風紀委員ならよく知るはずの顔
そして、こんなところに現れるはずのない顔だろう

「お、知ってる顔がいるな…ちょうどいいぜ。
 なァオイ、川添ってヤツ知らねェか?学園の生徒だと思うんだけどよォ。
 風紀委員なら詳しいだろ?」
男は悪びれもせず、言葉を一方的に投げかけてくる

五代 基一郎 > <レイチェル
「アルベールは俺が執行部員の中から選抜した特筆すべき者達……
 ”エキスパート”だった。奴が出たのなら勝利は間違いないだろうが、アルベール自身も消息がつかめないのがな。
 ウィルマースの遺産と共に今も捜査中ってところだな。
 そういった点じゃ、連中もまだ秘匿している何かを持っているのかもしれない。
 壊滅しただろう後でもな」

>虞淵
川添……川添。
この常世学園でその名前を持つ者は一人しかいない。
ルシファー川添。GTR乗り……乃ち川添孝一。

「あぁ、川添?川添……ヤツなら生活委員所属だから
 生活委員本部の方で問い合わせるかのほうがいいんじゃないか
 今何してるか、なんてのは流石に監視しているわけじゃないからわからんよ」

特に乱入者について、驚きもせず続ける。

レイチェル > 「捜査中、とは言ってもな……ま、見かけたら伝えるとするさ」
言葉を濁しながらも、五代にはそう返し。

「動物園の檻《おうち》を探してんならここじゃねぇぜ、虞淵」
蹴り開けられたドアに肩を竦めたレイチェルは、溜息をついてファイルをぱたりと閉じた。
この男、風紀委員の本部にずかずかと入って来たのか。
呆れた男である。ここまでの警備は、どうなっているのだろうか。
まぁ、想像に難くない。

「川添……ね。見知っちゃいるが、別に今何処に居るとかは知らねー」
五代と同じく、特に驚いた様子は無いのだが、呆れた様子で肩を竦めたまま、
そんな風に答える。

虞淵 > 「クックッ、相変わらずだな風紀の女。
 オマエはあの女とは違っていきなり喰ってかかってこない分、頭ァ切れるよな」
愉しげに嘲笑って

「ふゥん、アイツ生活委員だったのか、見かけに寄らねェもんだ。
 まァいいか、それがわかっただけでも探しやすくなる」

廊下から喧騒は聞こえない
警備にあたっていた不幸な風紀委員はおそらくあっさりとナックダウンしていることだろう

レイチェル > 「てめーにはいつか後輩の借りを返す。だが今はその時じゃねぇ、満足したならさっさと帰るこったな。
 悪ぃがここにはバナナの取り置きも無いんでな」
そう言って、虞淵が蹴り開けたドアを指さす。その表情は鋭く、虞淵を睨んでいる。
が、虞淵の言う通り、動く気配は無い。

「五代先輩、警備の奴らをもちっと扱く必要があるかもしれねーぜ」
やれやれ、と首を振ってそんなことを提言する。
まぁ、あの男相手ならば仕方の無いことだろうが。
風紀本部の警備をしている者達があまりにもあっさりとやられていることに
内心呆れているのは確かだった。

五代 基一郎 > >レイチェル
「まぁそういうことで。俺は今主にそいつらをって感じだけど」

ファイルを一度閉じてさてどうするかと考えながら
まぁ、それなりに答える。

>虞淵

「まぁそういうことだから。
 委員会の本部でやらかすのは”遊び”の範疇超えてるから
 お薦めはしないし、人探すだけなら受付とか派出所で十分じゃないの……
 一応仕事中だから、要が済んだら正面から帰ってくれ」

どうしたものか、という感じというか
やれやれというような呆れた雰囲気で首の裏あたりを揉みつつ告げる。
正直落第街でどうのというのはいいんだが、委員会本部でやられると
乃ち公権力への暴力や兆戦等にあたる。そこからどうなるか、それがどうなるか
そこまで頭が回らないとは思っていなかったのだが
30にもなって学生の身分で好き勝手やってるピーターパン
に期待するだけ無駄なのだろうかとも思い悲しくもなる。

虞淵 > 「クク、仇討ちするのにもタイミングを見なきゃアいけねーとは、
 良い子ちゃんは大変だなレイチェル・ラムレイ」

大仰に肩を竦める

「そうかね、俺として面白い遊び相手がいたらついでに、ぐらいのモンだったんだが。
 残念ながらそういう空気でもねェようだ。
 昔の風紀委員はもうちょい血の気の多いやつが多かったもんだがなァ」

やれやれ、と首を振って、踵を返す

「じゃあ、また来るぜ。
 正面の警備やらせるならもうちょい不意打ちへの機微も持たせておけよな」

ご案内:「風紀委員会本部会議室」から虞淵さんが去りました。
五代 基一郎 > 「警備はあれでいいんだよ、まぁそれなりにがんばるさこれを励みに。
 戦時下でもないんだからガチガチに固めてもさ。
 まぁさておき」


適当に指でファイルを小突いてレイチェルの意識をこちらに向ける。

「はいはい、余計な茶々が入ったけど続けようか」

ファイルのページをめくっていく。
先ほどの続きであれば、現在生存または確認が取れている
ロストサインの元マスターへと移っていく。

レイチェル > 「ここでやり合ったら本部がめちゃくちゃになるだろうが……ゴリラよか良い子ちゃんの方が
 マシだぜ」
ふん、と腕を組んで、再びファイルに目を落とす。
いずれ一発殴らねば気は済まない。
それに、風紀委員としても、放ってはおけない。
のだが。
時と場所を弁えないレイチェルでは無い。
向こうが引くのであれば、別にそれ以上どうこうする気もない。
満足したのなら、そのまま帰しておけばよいだろう。
放っておいても、また再会することになるだろう。
しかしながら、落第街を飛び出て活動を始めるとは。
ロストサインとは別に、またあれも実に厄介な男である。


「さて、まぁ続きを頼むぜ」
肩を竦めて、五代の方を見やった。