2015/07/13 のログ
■遠条寺菖蒲 > 「『普通』にしてればそんな事はないと思うわ。
風紀委員会や公安委員会なんかは少し危ない仕事もあるみたいだけれどね」
そう言って微笑みながら目をとじる。
そう普通はない――のだと。
アリスの妄想には今はまだ気づかずに……。
目を開けて少女の言葉を聞いて少し姿勢を一度正す。
「見学でしたら恐らく生徒会なら軽く見て回るくらいならさせてくれるかもね。
風紀委員会や公安委員会なんかは色々と犯罪対策的な事を常に考えて動いたりしてるところがあるから厳しいかもしれないけれど。
式典、鉄道、生活委員会なんかは忙しくない時期なら歓迎してくれるのではないかしら」
そこまで喋ってから少しアリスの顔を覗き込むようにして、
「あ、分からない委員会とか説明必要な委員会とかあるかしら?」
そう言えば、教えて欲しいと来たのだったなと思い出した。
■アリス > 「……普通?」
視線を刀袋から顔へと戻して…
まず普通って何だろう、と思い浮かべて。
普通だから出来ない事があるから妄想が出来て、それで自分が生まれた。つまり、自分は普通にはあまりしていられない。社会の普通が間違っている。そんな感覚だ。
これでも、生まれたばかりの時よりは大人しい自覚はあるけれど…。
むーん、と悩む表情。
「犯罪対策を考えてると、危ないお仕事も有るって事ですよね。
でも、そのー。多分、風紀、公安の違いが解らないのとー。」
どっちも犯罪対策で、一箇所に纏めれば良いのに位にしか思えない。
覗き込まれながら、もう少し困った顔をして。
「生活、はなんとかー。保護して貰えたからなんとなく。
鉄道も言葉通りだと思うので…多分それぞれの専門分野のお仕事をしていると思うのですけれどー、式典、風紀、公安…あれ?生徒会って一体…?」
さっき妄想したけれど、それはどちらかと言うと風紀や公安のような対犯罪っぽい所だ。と気付いて、結局生徒会が分からなくなりました、と挙手。
■遠条寺菖蒲 > 悩ましい声を上げる後輩を見守るようにして、
疑問について答えようと頭を少し回転させる。
「認識は大体合ってるかな。
じゃあ、1つずつ説明していくけど……その前に」
と言って立ち上がり、そんなすぐそこに設置されているジュースの自動販売機へと歩いて行きオレンジジュースを片手にすぐに戻ってくる。
「良ければ、どうぞ」
冷えたオレンジの缶飲料水を笑顔でアリスへと差し出す。
■アリス > むーん。まず自分で考えてー。解らなくて質問。あ、これがクルケイアー先生に聞いた頼り方なのかなーとふと気付いた。
「だいたい、それなら良かったー…うん?」
あれ?と何かあるのかな?と小首かしげて見送って。
オレンジジュースを…喉が渇いてたのかなぁ、とそんな認識。
「え?あ、ありがとーございますっ」
ちょっと驚いた顔をして、笑顔で受け取って。
プルタブに爪をかけて、バチンとブルタブが少し上がって滑って戻る。
もう一回。人差し指の爪をかけてー、浮き上がったら中指を入れてー。よし開いた。
■遠条寺菖蒲 > よしよし、と自分は最初缶の開け方も怪しかったがこの子は大丈夫のようだと何故か変なところに安心した菖蒲であった。
「ああ、図書委員会ってその名前のままの意味で考えて恐らく問題ない委員会もあるけれど、それは大丈夫よね」
少し忘れていたことに恥ずかしく頬を赤らめるが、
先を続ける。
「式典だけれど、学園が主催したりする式典…簡単にいえばお祭りだとかイベント行事を実行する委員会ね。最近だと海開きのイベントなんかね」
「風紀と公安の違いだけれど、風紀委員会はテレビドラマなんかで見る刑事さんとかそういう立ち位置って認識かな。警察って感じね。
ソレに対しての公安委員会は、諜報……犯罪組織の情報を集めたりだとか未然に事件を防ぐ為に暗躍する組織みたいな感じかしら。表に出る風紀委員会と違って事務仕事もしたりしつつ色々と手を回すって感じかな…公としては。色々と生徒会の私も知らない秘匿情報があったりするけど、それも安全の為だったりするから危ない秘密なんかもあったりするのかもね」
と冗談っぽくそう言う。
少し大胆に色付けした説明だけれど、分かりやすくするならこんな感じではないだろうかと菖蒲の個人的なイメージを被せて説明してみた感じであった。
詳しく知りたくなれば細かい文字の生徒手帳の委員会の項目を自分で読めばきっと概要もわかるのではないかと言う思考の下であった。
「それで、生徒会だけど一般的には学園内の情報の整理って感じかな。デスクワークってところね。
基本的に事件とかで動くのは事後だし、いるのはここにある生徒会本部が基本だから学園地区で何か事件が起きなきゃ一番安全かもね。一応、幹部役員になれば色々と事後対策会議みたいなのにも参加しなきゃいけなくなったりもしたりする場合もあるみたいだけどね」
そういい終えてから自分の桃の缶ジュースを飲んで喉を潤す。
「そんなところかしら」
どう?と言う感じでアリスの顔をみる。
■アリス > 一度失敗したからか爪の間がちょっと痛い。でも我慢して。
「あ、あー。図書館は見学もしたのでー、多分。」
そういえば図書館も委員会があるんだ、と素直に思ってだいじょぶ、とこくり頷く。
その後最後まで聞き終えて。むーん、と腕組んで悩んで考え纏める事数分。
「えーと、スイカ割りとかー。学校のお祭り…」
ちょっと想像中。上半身裸の男子学生がお神輿を担いでぶつかるような。
何か誤解が発生したかも知んない。
「えーっと、犯罪者を捕まえて個室で机を叩いて聞いたり、犯罪者を撃ち抜いたりー。家宅捜査でピッキングしたりライフルを撃ったり…するのが風紀で…」
刑事ドラマのチョイスがあぶないかも知んない。
「えーと、事前に組織を潰したりとかー、…色々裏方な感じー、と。…秘密が多い…んー。ん?そうするとー、もしかして入る事も難しいのではー?」
冗談交じりな口調に対して、あれ?と気になったことを。生徒手帳はそう言えばあまり読んでいなかったかも。むしろ今携帯していない。
「あー、全体的な裏方と事務仕事ーって感じなのが生徒会なんですね。」
なるほど、大体解った、と思う。と頷いて。先輩が飲んでから、オレンジジュースを一口。
「ありがとうございますっ。大体は、あ。そうするとー、秘密の多い所とか見学しにくそうな所って入りにくい感じもしますねー。」
大体解りました、って顔をして。
それは、学生生活で気をつけるべき委員会も…ちょっぴり真面目な表情を向けました。
■遠条寺菖蒲 > 「図書館は行ったことあるのね。何度か訪れてれば図書委員の人にあった時にでも詳しく聞いてみると面白いかもね」
特に深くは考えずにそう言う。
図書委員の人と一緒ならどこを歩いてもきっと平気だろうと考える。
それから大体のアリスのイメージを聞いて。
「少し違うかもしれないけれど、脅すのは逆に犯罪だし犯罪者は出来る限り殺さずに捕らえるものだし。家宅捜査には令状とか必要だしね。
公安は風紀よりは難しいかもね。色々と大変…みたいだしね」
苦笑いしつつそう訂正は一応しておく。
「秘密の多いようなところでも表向きの場所……窓口みたいなところはあると思うから気になったら訪ねてみるのも面白いかもね。変なことを聞かなきゃきっと何もないだろうし」
そこからほっとしたような顔をして
「でもよかったわアリスさんに教えられて。
私、あまり人に説明することってなかったから少し不安だったんですよ。
きっと、これから仕事の都合上そういう機会も増えそうだしね」
■アリス > 「面白い…?んー、じゃあ機会があったら、かなー。」
次に図書館に行くなら、本を読みふけりそうな気もするし。
素材研究もしたいし。居合わせられたらって感じなのかもしれないなぁと思って。
「えー。…うーん、ちょっとイメージと違った、かなー。犯罪者捕まえる為なら規律違反も仕方ない、上司が責任とるみたいなのだったから…。
…大変って、この島、そう言えば…私がいた所、地図に載ってなかったりしたような…」
イメージがもっとあぶなくなってた所だった。
苦笑をみれば、色々違うんだなーと思いつつも、スラムで生まれたのに地図に載ってなかった事を思い出して、そう言えばそこは公安が何かしてるのかなーと。
「窓口…んー、探してみる所からかなー。」
ちょっぴり流すのは公安に近づくと自分もあぶないかもと思った為で。
「え、えーと。お役に立てて、じゃないや。不安が解けてよかったですよー?私も大分誤解が解けましたからー。自信持っていいと思います、よー。
色々とありがとー、ございました。」
驚きながら、笑顔を浮かべて。
そしてふと気付く。
「時間取らせちゃいましたけど…大丈夫、ですかー?」
■遠条寺菖蒲 > アリスの言葉を聞きながら、
この子も色々と大変なのかもなぁと少し考えるけれど、踏み込んで聞くのも野暮かもなんて思い心に留めるに収める。
「この辺りにある各委員会の本部なんかがそんな感じかな?
連絡先なんかは、先生方や委員会の人に知り合いがいれば聞けば教えてくれると思うよ。
私は、今のところ生徒会の連絡先くらいしか把握してなくてね……」
てへ、と言いそうな口調でそう言う。
「時間を取ったとかそんなことはないかな。ちょっと新設の部署任されてて疲れてた所だったから息抜きには寧ろこっちが感謝してもしたりないくらいだったりね」
左手の人差し指を円を描くように動かしながら軽くウィンクする。
少しお姉さんっぽさを意識して。
■アリス > 「本部…んー、直接よりもまずは知り合いを作ってー、の方が良さそうですねー。
…あれ?それって、事務仕事大丈夫なんですか…」
委員会間どうしで連絡先一個は必要そうな説明だったと思う。
ちょっと心配そうに見てみた。
「あ、ほほー。新設…息抜きになったなら良かったですー。」
わーい、とばんざーいして。あ、その仕草可愛い…とちょっと見とれて。
「もしかして、広報ー、ですかー?」
ポーズからイメージキャラクター的な何かを思い浮かべた。
■遠条寺菖蒲 > 「私はこれまで書類を次に回したりする程度の仕事だったからね。
それと、連絡先の名簿みたいのは各部署に置いてあったりしたからそこまで必死に暗記する必要もなかったというのもあるわね」
これからは必要なのだけれど、と苦笑して。
「広報という訳ではないわ。
監査局ってしばらく停止してた部署をほぼゼロから再始動ってところみたいでね。
基本的な委員会の情報だったりお店をやってる部活動の情報だったりの書類が停止してた数年分…山のように来ててね。それがちょっと大変でね」
僅かに遠くを見るような目で、書類の山でも思い出しているのか瞳は少し虚ろになったように思える。
心なしか笑顔もぎこちないものへと変わったような気がするだろう。
■アリス > 「んー、あー。…生徒会の中の郵便やさん?
あ、そっか。覚えなくても名簿、そりゃありますかー」
あ、と気付いてなかった所を聞いて。苦笑どうしで見つめて。
「監査?…えーっと。え、それってー。もしかして、個人で小さな店を出しますーとか、お届けしないといけないのですかー?」
委員会の情報とかよりも、お金をこれから稼ぐ為のお店を考えていて…登録しないといけない?と不安そうに聞いてみた。
虚ろな目だし、お仕事は増やしたくない気がするなぁ、と…お店の品物、ウス=異本の予定だし…。
「気分転換、何か妄想でもしますかー…」
ついでに小さく妄想を勧めてみた。
■遠条寺菖蒲 > 「うーん…こう多くの人で料理する厨房みたいなものかしら
私は野菜を切って次の人はフライパンで炒めるとか…」
そういう流れ作業なんだけど、と補足する。
「個人商店なら、普通の事務や公安委員会が調査するかな。
生徒会の監査局は権力組織が法にと照らして問題がないかとか問題があればその証拠を収集して、生徒会本部に連絡したりして財団にも判断を仰ぐ場合もあるそうだけれど……それはまあちょっと内容が脱線してるからいいとしましょうか」
気分転換になにか妄想でも、と言われて首を傾げる。
「妄想って言うとどういうのがいいのかしら、理想を思い浮かべて想像することはよくあるのだけれど」
と仕事脳からプライベートの思考に切り替えて興味ありという風にアリスに尋ねる。
■アリス > 「えーと。ベルトコンベアー…?」
料理がそんな物に乗って流れていく何かを想像した。
工場とかに近いかも知んない。
「普通の事務ー…。に公安…公安…
組織相手のお仕事なのですね。…法。法?」
公安でウス=異本お店計画の心が折れた。
後に続く部分はちょっと朦朧として虚ろな返しになっていた。
「…んー、基本は好きな人やかっこいいと思う人、可愛いと思う人を想像して一緒に遊ぶとか、デートするとか、好きなシチュエーションを考えるとー。」
妄想初心者講座。まずは人間関係の成功、幸せな楽しい事を妄想するところから、と笑って言ってみる。
「そーですね、まずはさっき言ったような人を思い浮かべて…シチュエーションが浮かぶかどうか…」
そこで、こっそりと思い浮かべたその合間に、人物とのイチャイチャデートの妄想を視線から投げ込む。上手く人物に当てはまればいい補助になるだろうか
■遠条寺菖蒲 > そうそうそんな感じ と頷いて
「そんな感じで個人の場合は私には関係ないかな」
と笑顔で答える。
妄想の説明について聞いてから少し想像する。
「好きな人たちと一緒に遊ぶ……
(家政婦で住み込みのヘラさんとか後輩のラヴィニアさんに同じ生徒会の乙訓さん。
その人達と―――イチャイチャ…?)」
想像が妄想に発展し、目をつむり頭の中でやってみると楽しくあるけれど少し不思議な感覚があった。
「面白いけど、ちょっと変な感じかも」
と目を開けてから笑って言う。
悪くはないのだけれど、と笑う。
■アリス > 「色々と、ある物なのですね…これからが大変見たいですけど、頑張って下さいね」
他人事じゃなくなりましたよー、とちょっと突っ込んで応援。
そして、上手く妄想混ぜれたかなーと、反応にわくわくして、待つ。送るだけで読み取れない事が残念である。
「ふむー、最初はそんな物ではないかとー。慣れてくると幸せな気分になったりとか…、あ。ちょっとしたアドバイスとして失敗を考えない事ですよー。」
妄想は都合よく、が基本です、と笑い返して。
「あ、もう夜も遅いですし、お互い戻りましょうかー。
それじゃあ、ありがとうございましたっ、おやすみなさーい」
妄想の第一歩も踏み出させて、収穫たっぷり。気分上々のまま立ち上がって。そして呑みかけ缶ジュースをお土産に片手振って笑顔で帰路へ。
ご案内:「委員会街の一角」からアリスさんが去りました。
■遠条寺菖蒲 > 「な、なるほど……!」
衝撃でも受けたかのように反応して頷く。
妄想とは……なんと奥の深い、と。
「そうですね、結構長い間喋ってしまいましたし。
帰り道、お気をつけて。
おやすみなさい、アリスさん」
と帰路につく妄想の先生とも言えるその少女の後ろ姿を見守って手を振った。
■遠条寺菖蒲 > 「ふふ、なんだかちょっと元気づけられた気分ですね」
最近知り合った後輩の子たちは皆いい子が多いなぁと嬉しくて笑顔になる。
それから立ち上がって、軽く伸びをする。
「残りの仕事は明日にして今日はもう帰っておきましょうかね…」
そう一人呟いてから缶をゴミ箱に捨てて菖蒲も帰路につく。
ご案内:「委員会街の一角」から遠条寺菖蒲さんが去りました。
ご案内:「生活委員会本部・整備課・整備班詰め」に朽木 次善さんが現れました。
■朽木 次善 > 電話の受話器を肩と顔に挟み、ノートパソコンに何かを打ち込んでいる。
電話口で何かを言われたのか、頬を持ち上げる。
「ダイジョブすよ。後まとめるだけなんで。
昼間の内に調達班が上手くやってくれましたから。ええ、これ終わったら帰ります。
いつものことじゃないすか、ロストなんちゃらが暴れてた頃に比べりゃ可愛いもんすよ……」
目の下の隈を擦る。電話では伝わらないであろう眉間のシワも指で伸ばす。
無理をしていないわけではないが、誰かがやらねばならない。だったら自分がやってもいいはずだ。
苦笑して電話での会話を続ける。
「ああ、あと、例の『空歩き』の子ですが。
会えました。何日も張り込み続けてた甲斐ありましたね。
情報くれた調査班にはちょい感謝です」
■朽木 次善 > 「……やだな。そんなに仕事熱心じゃないすよ。
調査班に任せろっていうんでしょ。大丈夫すよ、深追いはしませんし、個人的な興味の範疇です。
面白いすよ、彼女。ああ、彼かな、暗闇だったんで正直はっきりしてないすけど。
少なくとも風紀や公安がどうとかする前にコンタクト取れて良かったとか、まあそんな感じす。
いえ、そんな感じはなかったすね。危険っていったら他の異能者だってそうでしょう。
今んとこ空飛べるだけの子に対策課つけるまでもねーすよ。今んとこはですが」
パチ、と最後の行に丸をつける。
マウスを動かして軽く誤字がないか流し読みして、保存のボタンを押した。
「ただ、目立ちますからね。本人がどんだけわきまえてても。
であるなら、出る杭は打たれる。ここはそういう場すから。
あの例の演劇集団とか、ロストなんとかとかが、学園施設内で暴れない理由がそれすからね……。
どう考えても、抑止力の方が正義を盾にする分強い。え?
……怒ってるように聞こえました? やだな。こんな深夜にキレてたら狂人じゃないすか」
■朽木 次善 > 口ではそう言いながらも、少しだけの苛立ちが胸に蟠るのを感じていた。良くない兆候だ。
「ええ。センパイもまあ、いまさらでしょう。
個人的な好き嫌いすよ、公安や風紀に対しては。
……言ってみりゃ些細な拘りみたいなもんすよ」
ノートパソコンのアイコンをドラッグし、フォルダに仕分ける。
その状態で同期を取り、ネットワーク上にファイルを共有して、深く深呼吸をした。
「最近風紀の子とも会いまして。
いえ、偶然す。レイチェルとかいう、女の子の。市場調査で引っかかった感じで。
……組織の体制として良くは思ってない組織の好ましい個人って、どう扱っていいのか未だよく分かってなくて。
上手く誤魔化せてりゃいいんですけどね。妙に敏い男子生徒もいたんで、場合によっちゃちょっとピリついてるのバレてたかもしれないすね……。
分かってますよ。そこは切り分け出来てます」
■朽木 次善 > 「……理由すか? 空歩きの、ってことですか?
いや……別に空歩き個人に拘りはないすよ。正直なところ。
最初に耳に入った噂がそれだっただけなのと、あと調査班からの依頼があったからす。
それこそ、木っ端の俺が接触できるレベルっていう限定をするのでありゃ、あれより目立つのは一杯いますし。
なんでしたっけ、他にも空歩ける子いましたよね。地面蹴って飛べる。道着着た。あれも目立つっちゃ目立ちますよね。
俺としては、どれからでも良かったんですよ。
ただ……そういう人間にとってみりゃ、きっと視点が違うことで見えることもあるってだけの話です」
机の上のコーヒーを手に取り、温くなったそれを喉に流す。
同期も無事に終わったようで、後はここを閉めて早朝組に託すだけでいい。
「気になるじゃないですか。
空を歩ける人種が。
どんなインフラを欲してるのか。
少数だからって、それが特別だからって……。
考慮に入れないっていうのは、生活委員会としちゃ怠慢でしょう」
事も無げに言う。
■朽木 次善 > 「……ええ、相変わらずです。知ってるはずですよね。
もう二年目ですから。相変わらず、このスタンスですよ。
でなきゃこんなに遅くまで事務所残ってないです。
生活委員会なんて地味なこと、続けてないですよ。
単純に。
空を歩ける連中が、欲しいと思うインフラが、俺は知りたいだけです。
はい。
ああ、そうですね。いや、そういうのはまた昼間にしてください。
ええ、はい。はい。また。お疲れす」
電話を切り、親機へと戻した。
パソコンを二つに折り、席を立つ。
■朽木 次善 > 大きく一回伸びをすると、背骨からパキパキという疲労蓄積の音がする。
大きく首を廻し、時計を見る。
空も明るみ始めていると思っていたが、相応の時間になっていた。
「窓を割った犯人を捕まえても。
割れた窓が元に戻るわけじゃない。
そして、割れた窓の学び舎には。
絶対に秩序は降りず、正義は生まれない」
何度目になるか分からない、その呪文のような言葉を繰り返す。
うさん臭い笑みを浮かべて、男は鼻でも笑った。
「なんてな」
冗談めいた口調とは裏腹に、表情から笑いを消して、男は呟いた。
だらしなく着た服と、夜勤明けのボサボサの髪のまま、事務所の電気を消して施錠をした。
ご案内:「生活委員会本部・整備課・整備班詰め」から朽木 次善さんが去りました。
ご案内:「公安委員会外事部特殊情報課」にライガさんが現れました。
■ライガ > 書類が山と積まれた片隅の机で、大柄の青年が電話に出ている。
「……なるほど、いくつかの結社の消息がつかめなくなってきている、と。
……入国記録参照した感じだと、それっぽい名前もチラホラ見受けられますね。おおかた偽名でしょうけど、ああいうのは一定の法則がありますし。はい、じゃそういうことで」
電話の相手は国連のとある部署、異変以降、魔術や異能に対応するために新設されたところだ。
といっても、本当に国連と懇意なわけではなく、潜入した常世側の人間と会話しているだけなのだが。
「そういや今朝のニュース見ましたよ。
また爆弾テロですってね。なんとなく察しはつきますけど……ああ、やっぱりレコンキスタですか。彼らも好きですよね。
アフリカ支部で出くわしたときを思い出しますよ。聖戦だか何だか知りませんけど」
■ライガ > 聞けば、アフリカの方は財団子飼いの武装組織と小競り合いを起こしているらしい。
「ええ、学園で自爆テロやらかす人が出ないことを祈るばっかりですわ。
…こっちですか?
相変わらずですよ、足並みの乱れは学芸会の獅子舞もかくや、といわんばかりで。今日未明もフェニーチェとかいう連中から『挑発行為』があったらしいですし。
なんでただの警邏が単独行動するんですかね」
苦言を呈せば、相手はやや硬い口調になる。
「ええ、わかってますよ。
業務はまじめにやりますって。我々の働きで、現場が多少でも楽になるのであれば」
■ライガ > 電話を切ると、机の書類に目を通し、ため息をつく。
「ちょっと銭湯でも行ってこようかな。
過去の事件引っ張り出すのに、情報が足りなさすぎる」
ご案内:「公安委員会外事部特殊情報課」からライガさんが去りました。
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」に『室長補佐代理』さんが現れました。
■『室長補佐代理』 > 公安委員会。調査部別室。
そう銘打たれた、無数の部屋の一つ。
そのデスクに腰掛けた男は、静かに息を吐き出して、いつものように深く椅子に背を預ける。
自然と浮かぶ笑みは滲む汚泥のようで、伏せられた瞳の黒は光を返さない。
■『室長補佐代理』 > デスクの上に山積した資料は相変わらず減る気配がなく、むしろ日に日に増している。
だが、その資料は始末書の山ではないく、報告書の山。
それも、よそから回されてきた報告書の山である。
■『室長補佐代理』 > 無数に放り込まれてきた資料のうちの一つを手に取って、男は笑う。
薄く薄く、笑う。
酩酊しているのか、瞑目しているのか。
傍目から見ればそう見える様な、薄い笑みを浮かべる。
■『室長補佐代理』 > 手に取った資料は、風紀から流されてきた報告書。
別に非合法でもなんでもない。
単純に、正規の手続きを踏んで、普通に公安に流されてきた、報告書の一部。
警邏に関する報告書。そのうち、スラムを中心とした『落第街』一円の『あれこれ』に関するそれ。
■『室長補佐代理』 > 銀の指輪が嵌められた左手。筋張ったそれで資料を手に取って、黒い視線を紙面に這わせる。
咀嚼するように報告書を読み終えて、またデスクの上に放り投げる。
ばさりと、報告書が気を孕んで、宙を舞った。
■『室長補佐代理』 > 「仕事らしい仕事が舞い込んできたとは、いえるか」
ふと、一人ごちて、左手を仰ぐ。
窓の隙間から差し込む陽光を受けて、鈍く輝く銀の指輪。
その光を受けてなお、男の相貌には影が落ち、その笑みは昏く滲む。
■『室長補佐代理』 > 「夏は仕事で外を出歩きたくはないんだがね」
諦めたようにそういって、報告書を山に戻して教室を後にする。
いつも通りに。
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」から『室長補佐代理』さんが去りました。