2015/07/15 のログ
ご案内:「公安委員会外事部特殊情報課」にライガさんが現れました。
■ライガ > 机の一つで、書類作成をすすめる影がひとつ。
「えーと、本部提出用の書類、財団への意見書。
……よし、こんなもんか」
(あと……嵯督にもあとで流しておくかな。繋がりが悟られないよう、適当に調整してもらって)
■ライガ > 書類には、フェニーチェの劇場跡での案件。
警邏の人員が壊滅していたこと。
『演出家』のひとりに遭遇し、それが“ワンマン・レギオン”と確認されたこと。
フェニーチェの思想とは別に動く可能性があり、注意喚起をしたい旨。
「……やっかいだよな、あの能力」
誰にともなく、独りごちる。
■ライガ > 「ま、単独で行って勝てるとも思えないし、
バックアップに専念するしかないんだけど」
公安風紀の有望な人員が、乗っ取られないことを祈りながら。
流石に、秩序が崩壊するのは立場上、困る。
ため息をついて、各部の事務へ、書類を渡しに向かった。
ご案内:「公安委員会外事部特殊情報課」からライガさんが去りました。
ご案内:「委員会街」にライガさんが現れました。
■ライガ > 「ふーう、公安本部はさっき廻ったし、あと回すところ回しとくか。
風紀委員会本部ビルは……っと、ここか」
書類を服の裏に隠して近くまで歩いてくるが、はっとして立ち止まる。
「そういや風紀、嵯督に堂々と渡すわけにもいかなかったな。
事務に置いとくかな、でもあんまり出入りを見られたくないんだよなー」
日差しがきついので日陰に移動し、腕組みをする。
“時間外”だけどこっそり入るか?
■ライガ > 周囲をさっと確認する、人影はとくになし。
物陰に潜んで詠唱を始める、ササッとやってしまおう。
体に刻む呪紋──ちょうど心臓よりすぐ下に左手を当てて、呪文を唱える。
それは召喚儀式。この男の肉体を鏡とし、呪紋を魔法陣として、ある悪魔を呼び出し融合する秘術。
呪文を唱え終わると同時に、ライガの姿が周囲に溶けかけ……バチバチと火花が散って透明状態が解除された。
「……んなっ……!?」
慌てて手順を確認するが、前にやったこととそれほど変わらない。
そうこうしているうちに両眼に熱を感じ、思わず両手で顔を覆った。
■ライガ > 深呼吸して息を整える。
今は時間が悪いのか、それともこの間施された呪術跡のせいなのか。みぞおち付近に目を向ければ、呪紋に紛れて奇妙な模様が浮かび上がっている。
「こりゃあだめだな。普通に入って普通に出たほうがいい。
そうしよう」
入り口から入って事務の窓口を確認する。
うん、知り合いはいなさそうだな。
重要書類宛ての受け取り口に書類の入った封筒を差し込むと、何やら思い立ち、それとは別に一枚の書簡を投げ入れた。
■ライガ > (どうもリミットが早まってる気がするんだよな、
厄介ごとは早めに片づけたほうがいい)
書簡──差出人不明の依頼書だが、上手く届くかどうか。
まあ、あまり期待しないでおこう。
出入口から外に出ると、照り付ける日差しに顔をしかめ、少しでも涼しいところへ歩いていった。
ご案内:「委員会街」からライガさんが去りました。
ご案内:「公安委員会本部」に朽木 次善さんが現れました。
ご案内:「公安委員会本部」から朽木 次善さんが去りました。
ご案内:「委員会街」に朽木 次善さんが現れました。
ご案内:「委員会街」から朽木 次善さんが去りました。
ご案内:「公安委員会本部」に朽木 次善さんが現れました。
■朽木 次善 > 【珍しくネクタイを締め、だが頭はいつものままで、目の下に隈を蓄えた男が余所余所しく訪れる】
【公安委員会の内部、廊下に当たるのだろうか】
【迷っているようにキョロキョロと辺りを伺い、苦笑いをしている】
参ったね……こりゃ、多分迷子すよ。
【後ろ手に隠した花束をなるべくすれ違う人に見せないようにして声を掛けれる相手を探している】
■朽木 次善 > 苦手なんすよね……よその委員会の本部。
なんか、纏った空気が違う、っていうか……嗚呼。
【気分が悪くなってきた】
【苦笑いを保ったまま、口を押さえ、顔を青ざめさせる】
■朽木 次善 > 各種委員会の格差みたいなもんにも繋がるから、
建物の構造は同じにしといた方がいいんじゃないすかね……。
仕事が違うんだから当然の処置なんですかねこれ。
まあ、専門が違うから、そういうもんですか……。
【トイレの場所すらワカラナイので、とりあえず壁に背中を預ける】
【目的の場所も、そして目的の場所に一人で入れるかも分からずにはあと溜息を吐いた】
■朽木 次善 > 【…しばらくそこで、誰かが通りがかるのを待つことにした】
【待つのは慣れている。忍耐力には自信がある】
……誰か都合よく人が通ってくれるわけもないか。
そもそも、ここ施設のどこなんですかね。
【ハハ、と乾いた笑いがこぼれて、そのまま声は廊下に落ちる】
ご案内:「公安委員会本部」にギルバートさんが現れました。
■ギルバート > そこへたまたま、見知った顔が通りかかる。
別段親しいわけでもなく、数度会話した程度ではあったが。
「朽木先輩……?」
「何してンスか、こんなトコで。」
立場上公言はしていないが、少年は公安委員会所属の身。
今日は出動はないものの、書類上の手続きのために顔を出しに来たというわけだった。
■朽木 次善 > 「あれ」
声を掛けられると、驚いたように表情を変える。
片手に下ろした花束を足の後ろ(大半がはみ出ていて丸見えだが)に隠し、
愛想笑いで手を振った。
「ええと……。
そう、思い出せるんだ。カフェテラスの」
スコーンのときの。……ギルバートサン、でしたっけ」
外れていたらどうしようとばかりに口元を歪めて尋ねる。
■ギルバート > 「ええ。間違ってないスよ。オレです。」
少年の目から見てもおおよそ不審者のそれではあったが、どうやら事情がありそうなのは理解できた。
じとりと片目で見つめるのを止め、スイッチを切り替えるように咳払いを一つ。
「……で、何スか。その。後ろの。」
「うちはライブハウスじゃないんで、出待ちしてもロックスターなんて来ませんよ。」
■朽木 次善 > 「ハハ、良かった……記憶力には本当自信なくてですね……」
見るからに愛想笑いと分かる苦笑いで少し憔悴した顔で不審者は言う。
ギルバートに指摘されると手でそれを少し不利。
「ああ、これ、ですか。
公安にロックスターがいるなら、是非とも捧げたいところだけど。
……出来れば、これはキミ達のお仲間に捧げたいと思ってまして」
相手の出方を伺うように視線だけを逸し。
「……話だけは聞いているので。例の……劇場の。
殉職者の共同墓地等があれば、と思って。
キミは……もしかして公安委員会の人、なんでしょうかね……。
だとしたら、無礼を詫びて、そして出来ればそこへの案内をお願いしたい、んですが」
■ギルバート > 「ああ。成程、そういうことスか……これはとんだ無礼を。」
目を伏せ頭を伏せ。
異能という存在のため、負傷者……殉職者は後を絶たない。
今回の出来事は、いつもよりも輪をかけて壮絶で、陰惨だったと少年も聞いている。
接収した建物ごと、保持を負かされていた人員は全滅。
現場に火を放った犯人はそのまま逃走。おかげで誰が誰なのか、遺体から判別する方法はなかった。
現場に居合わせた公安委員は特に制止することもなく、報告書にいて「管轄外だから」と記述したらしい。
その話を聞いた時には彼は頭が真っ白になり、備品のロッカーを一つオシャカにした。
殴りつけた右拳は、今も包帯が巻かれている。
「すいませんが、性質上親族でなければ明かせないことになってるんス。」
「どなたか、近しい方でも……?」
■朽木 次善 > 明かせないと聞くと力なく困ったように、だが知っていたように笑い。
「ハハ、ですよね。
なんとなく、そう言われる気はしていました。
……すみません、今回の件について、その人達の中に俺の親族はいないです。
この花も、実は、俺個人からの物じゃないんですよ」
接収した建物の件。それには、今後生活委員会も関わることとなっていた。
もっと言えば、建物の接収という機能はインフラを整備する側の生活委員会にも与えられていて、
公安が踏み込まなければ生活委員会にもお鉢が回ってくることは十分にありえた。
「整備課には、その危険性を確かめる先遣隊がいます。
あの建物の接収を目的とすれば、その隊が今回の犠牲者だったかもしれない。
だから……どうしても他人ごととは、俺達生活委員会も、思えないんで。
なので……今回は、そういう人間の代表で来ただけなんです」
ハハ、とやはり力なく笑い。相手の表情の苦々しさを見たまま、花を両手で持って――。
「ギルバートサンを壁にして、受け取ってもらえたと思いますかね。
これは、後で処分して、皆には俺から嘘でも吐くことにします。こういうのは、気持ちが大事らしいですから。
内緒、ってことにしてもらえると、嬉しいです。すいません、不躾でしたね」
■ギルバート > 人が死ぬのは、ただ引き算されて穴が空くわけじゃない。
編み込まれた糸が切れたのと同じく、干渉しあっていた部分から解れていく。
補填することで元に戻ることなど、絶対にありえない。
だからこそ、憤りもあった。手前勝手に人を命を奪った男と、それを追及しなかった男両方に。
だがしかし目の前の上級生は、ギルバートの狭窄しきった視野で見えなかったものを見据えていた。
最初はあんなにも頼りなく、小さく見えていたはずなのに。
今はあまりにも大き過ぎて―――遠い。
「……嘘付く必要なんて、ないじゃないスか。そんなの。」
「オレ、さっきまで『生活委員の人が何しに来たんだろう』って思ってて。」
「そこまで思ってくれる人なんて、いると思わなくて。」
出したい言葉はいくらでもあるのに、胸の詰まりがそれを許さない。
語るだけの舌がなく、ただ下唇を噛み締める。
「せめてその花束、オレに預けてくれませんか。」
「……お願いします。」
先程まで疑いの視線を投げかけていた彼の右目は、千の言葉の替わりに熱を持って覗き込む。
■朽木 次善 > 「ああいや、そんな。大げさですよ……」
下唇を噛んで何かの感情に耐えるギルバートに情けなく狼狽えた。
自分の風体は理解している。思われるであろう不審さも。
それに、本当にそう思われたくないのならきちんとした格好をするだろう。
真っ直ぐに熱を持った彼の瞳を見て、微笑むような苦笑いをした。
「でも、受け取っていただけるのであれば……個人としては嬉しい、ですね」
言いながら、両手で、届かないはずだった花束を渡す。
それが、本当に届くかは問題ではない。渡せたということで、自分のやるべきことは終わりだ。
それ以上に、真剣にその花を受け取るその両手こそが、故人を何よりも悼んでくれるだろう。
「俺は、部外者です。今回の件に関して、生活委員会……
少なくとも『俺たちの班』は接収を含めて手を引くことになっています。なので、今後も個人以外では関係はしてこないでしょう。
ただ、俺たちみたいに、誰かに知られないように、誰かの何かを支える仕事に従事する者にとって、
名前もワカラナイ、自分の正義を信じてた誰かを……見て見ぬ振りが出来なかっただけです。
これは、ある意味で当事者であるキミ達の方が、辛い問題のはずですが、ね」
けして、その事自体は珍しいことではない。正義を掲げ、調和を保つには、必要な犠牲と割り切る事もできる。
だが、それを割り切れない者もいる。彼や、自分のように。ただそれだけのことだった。
「……キミは、今後直接的に、あの劇場に関係してくる、んですかね。
いや、それも、簡単に漏らしていい情報ではないか。……忘れてください。
出来れば、俺はキミのためにもう一度花束を持ってくるのだけは、勘弁してもらいたいですから」
その時はまた、迷って、きっと今度は声を掛けてくれる親切な後輩は現れないだろうから。
「……じゃあ、目的も達成したので、また今度、もう少し軽い空気のときにお話しましょう」
何も用事がなければ、伝えたいことがなければこの場を辞する意思を伝えた。
■ギルバート > 朽木の想いを耳に聞き、最後に粛々と頭を下げた。
一介の隊員に許される発言内容は非常に限られる。
少年はこの時ほど息苦しさを覚えたことはなかった。
まるで締め付けられた首輪の革が、皮膚に食い込むかのような錯覚。
誠意に向こう正面から応えられないのが、こうももどかしいものだとは。
「またよければメシ、行きましょう。」
「結構いいとこ知ってますから。」
「あと……あのっ オレ!」
「オレのできることをします。これからも!」
「花束はその、絶対とは言えないスけど!」
「"いただかないよう"、善処しますからッ!」
花束を抱きかかえ、最後にもうひとつ深々と頭を下げる。
そのまま駆け足で、曲がり角に消えていった。
ご案内:「公安委員会本部」からギルバートさんが去りました。
■朽木 次善 > 「ああ、是非とも。
ハハ、それは、頼もしいですね。ありがとうございます。
その言葉で救われる人も、多いと思いますよ」
角を曲がっていくギルバートの背中を見ながら、その背中に向けて手を振った。
その手を下ろし、花束のなくなった両手をポケットに入れて、目を瞑って天井を眺めた。
十秒だけ、誰の目にも触れない、名前も知らない故に届かないであろう黙祷だけを捧げ、
一瞬だけ生活委員の顔で正面を見ると廊下を反対方向に歩いて行った。
ネクタイを、少しだけ緩め、だらしのない朽木次善の顔に戻りながら。
ご案内:「公安委員会本部」から朽木 次善さんが去りました。