2015/07/19 のログ
ご案内:「深夜の公園」に『室長補佐代理』さんが現れました。
■『室長補佐代理』 > 「あー……」
唸り声と共に、目の下に隈をこさえて現れたのは一人の男。
ザンバラの黒髪を振り乱し、光の無い黒瞳を持った男は庁舎から這い出して、公園のベンチに腰掛ける。
片手には世間ではクソ不味い事で有名な缶コーヒーを持ち、右手はポケットにつっこんだままだ。
■『室長補佐代理』 > どかっと乱雑にベンチに腰掛けて、夜天を見上げて溜息を吐く。
深夜の公園には当然ながら人気はなく、真っ白な光を吐き出す街灯が立ち並ぶのみだ。
月光を存分にその身に浴びながら、コーヒーを啜る。
中指の銀の指輪が、月と街灯の光を反射して不気味に輝く。
■『室長補佐代理』 > なんでこんな時間のこんな所にこの男がいるのかといえば、至極簡単な話で、仕事がたまっているからである。
何故仕事が溜まっているのかといえば最近内偵を進めていたとある団体の案件が余所の部署に移ったからであり、整理しなければならない書類が山積しているからである。
そして、何故書類が山積しているのかといえば、部下がそういう仕事をしないからである。
■『室長補佐代理』 > 当然、今の部下が仕事が出来ないわけではない。
むしろ、諜報員としてはすこぶる有能である。
現場に出ている分には非常にいい部下なのだ。
だが、こういった書類の処理は……どうも押し付けられがちである。
■『室長補佐代理』 > 「まぁ……一人よりはマシだけどよ」
真実であり、慰めでもある独白を口にしながら、コーヒーをまた一口啜る。苦い。
普段はその苦味が丁度いいと感じるはずなのだが、今日は苦みが強く感じる。
何故かといえば、恐らく脳が糖分を求めているからである。
何故糖分を求めているのかといえば、それだけ書類が山積しているからである。
何故書類が山積しているのかといえば、振り出しに戻る。
■『室長補佐代理』 > 麻美子も手伝ってくれるし、薄野には代わりに現場の仕事を積極的に任せているので、これだって一人の時よりは楽である。
だが、一人よりは楽だからといって、それがなんだというのか。
今苦労していることにかわりはなく、書類の山が崩れない事もかわりがない。
状況は何も良くならない。
ならないのだ。
ご案内:「深夜の公園」にヴィクトリアさんが現れました。
■『室長補佐代理』 > 頭を振る。嘆いたところでかわらない。
せめて気分転換にと外にでてきたのだ、今は忘れよう。
そう己に言い聞かせ、男はまた夜天を……そこに浮かぶ白い月を見上げる。
■ヴィクトリア > ……お?
【犬飼との件があってから、とりあえずヤバ過ぎるところと学校は避けっぱなしのまま
2級IDの管理だけして過ごしている
ただ、ボクの用途を考えれば、一応学校に従順で落第街の人員管理だけしてれば、とりあえずは見逃してもらえるのかもしれない
そんなことを思いながらほっつき歩いていたわけだが……あそこにいるのは代理じゃねーか】
……なんだ代理じゃねーか
また悩み事かなんかか?
【いつものようにいつもの挨拶で声をかける
ま、そんなもんだ】
■『室長補佐代理』 > 「ん? ああぁ……ヴィクトリアか」
気だるげにそう呟いて、左手を掲げ、じわりと笑みを滲ませる。
汚泥のような笑みだが、いつもの事である。
男にとっては標準的な笑みだ。
二人きりなので、話し方もフランクである。
「仕事が片付かなくて管まいてるだけさ。そっちも、暫くみなかったな。例の面倒事、片付いたのか?」
害来腫の破棄IDを渡した件である。
当然ながら、直接言及できることではない。
■ヴィクトリア > 【つーかボクのことは公安周りにはどんだけ回ってんだろな
十三教室の件で考えれば、まー公安でも情報出まわるとはあんま思わないしなぁ】
まー、片付いたっちゃ片付いたが、片付いてないっちゃ片付いてないな
割とえらい目にあったからなァ
【肩をすくめつつ、隣に勝手に座る
そりゃ物理で2回もぶっ壊された挙句、記憶の改ざん喰らえばなー
ふつーはえらい目って言うよなー】
ま、現在進行形なんだけどさ
とりあえずそんでもまだ何とかなってるから何とかなってんだろ
【……屈託なく笑う
以前のような自嘲した感じではなく、なんか吹っ切れた感がある】
■『室長補佐代理』 > 「まぁ、えらい目にあってもなんでも、何とかなってなきゃ、そもそも此処に現れることもできねぇわけだしな」
苦笑交じりにそう言いながら、少しずれてやって隣にスペースをつくる。
二人そろって、月を見上げるように首をあげながら、寄り添って座る。
以前はこれでも多少ギクシャクしたものだが、色々あって済んだ今は、もう気安いものだ。
「現代進行形ってことは、また『何かある』のか? 片付いてねぇこともあるんだろ」
そう、月を見上げたまま、何でも無いように聞く。
銀の指輪が、月明かりを受けて怪しく輝く。
■ヴィクトリア > ん、何かあるってーか、人生変わりすぎて正直泣いた
片付いてないっていうか、できれば正直頼りたいレベルだな
そこんとこも頼れるかどうかもわかんねーけど
【同じ月を見あげる
ま、正直ボクはどーなるかわからん立ち位置だからなァ
などと考えつつも、ま、それはそれでいいかな、とも思える
実際問題、知ってしまった今は同じ感情的になっても焦燥感が減ったのが大きい】
あとまー、そーだな。
その件でたまたまわかったんだが、ちょっとお前のこと見なおしたのと、ちょっと謝っとかなきゃいけない
やっぱお前すげーわ
……そこはマジ感心した
で、さ……前の公園ン時は言いすぎて悪かったよ
ボクは仕方ないこととはいえ、だいぶ自分のことで手一杯だったからな
あと、柄にもなく王子様だってお前のこと思いたかったのもある
【普段は殆ど謝らないというか、悪くてもむしろ引かないのだが珍しく素直だった】
■『室長補佐代理』 > 暫く、それを聞いて押し黙ってはいたが……ふと、男が笑う。
その笑みは、いつも通りの不敵な笑みだった。
滲むような、汚泥を思わせるような、滴るような……そんな笑みだった。
だが、それでも、その笑みは……どこか柔らかい。
「別に構わねぇよ。済んだことだろ」
気安く、左手を伸ばして、ポンポンと頭を撫でる。
妹にするそれのように。少し乱雑に……それでも、温かく。
月明かりに照らされるまま、男は微笑み続ける。
「まぁ、王子様を気取れるほど俺は大した奴じゃねぇし、凄くもねぇよ。
凄くねぇから頑張ってるし、凄くねぇから今だって納期におっかけられてる。
どこにでもいる普通の男さ。
その普通の男が出来る範囲でよけりゃ、また『善処』はするさ」
意味深に、そう呟く。
ちらりと、横目でヴィクトリアの目を見て……瞳を細めながら。
■ヴィクトリア > まー、普通気付くところじゃないところをたぶん警戒されてたんだってわかったからな
たぶん今のボクは前ほどなんか引っかかるよーな……なんつーの、たぶんなんか納得行かない感じないんじゃないか?
……とりあえずそんなことぁどーでもいーんだけどな
【苦笑しつつ、嬉しそうに頭を撫でられ、軽く身を寄せる】
えーとさ、ボクが公安に行くことは可能か?
可能ならそーするし、そうでなけりゃこの立場でどーにかする
っていう身の振り方だな
……ま、言っとくがボクのやることはそんな変わんねーよ?
落第街入り浸って、いつものとーりだ
そこにそういう余地があるかどうかってことになる
【相変わらずいきなりで唐突で爆弾発言だった】
■『室長補佐代理』 > 「どうだろうな。俺が臆病なだけってことにしといたほうが、そこは都合がいいんじゃねぇか?
どうでもいいことなら、そうしとけよ」
身を寄せられるまま、話を聞く。
唐突に語られた提案であり、『願い』であったが、男はただ微笑むのみ。
気にした様子もなく、返答する。
「命令系統でいえばヴィクトリアのほうが上なんだから、書類さえ揃えりゃできるんじゃねぇのか?
そういう『意味』じゃないんだとすりゃ、正攻法は難しいだろうな」
正規の人事異動なら何も問題はないだろうが、わざわざそれを提案してきたということは『それは通らない』可能性があるということだろう。
ならば、返答内容は当然そうなる。
「協力員ならいつでも求めてるのが実情だけどな。何せ仕事が多くてな」
そう、公安協力員。かつては今の部下……薄野も書類上の扱いとしてはそれであった。
つまり……正規の手続きを踏まなくても、公安の立場を得ることはできる。
当然最下層ではあるが、そのほうが都合がいいこともあるだろう。
例え話に過ぎない話ではあるが。
■ヴィクトリア > ま、正直、通るかどうかってより、そもそも局長の籍が残ってるかどうかもボクからはヤバくてチェックできないんだよなー
残ってりゃとりあえず正面からやるけどね?
んじゃさ、悪いけどちょっとそっちから調べてもらって、ボクの立場チェックしてもらえる?
残ってるならそこからこっちで引き継ぐよ
あと、いて欲しい立場晒せ
ま、今回はマジでヤバかったからなぁ
ボクの方としても身の振り方っつーか、ちょっともっと誰かとつるまないとやってらんねーってのが正直なとこでさ?
【本人はだいぶ軽口で気軽に話してくるのだが
話を聞く限り、まあだいぶやばいというかよく生きてるなという感じではある
まあ実際一度死んでるのだが
ただ、以前だともう少し深刻に話を振ってきた気はする、何かトゲがとれたフシはある】
■『室長補佐代理』 > 「そりゃあ無理だ。そこに食い込んで調査をするには踏まなきゃならない手続きが多すぎる。どこか足がつくのがオチだ」
ヴィクトリアの話を聞いて、男は頷き、左手を離して思案する。
正規の手続きが踏めない可能性があるということは、『そういうこと』だ。
故に、男にヴィクトリアは接触してきた。
その上で、それを訪ねるということは。
「こんな風にな」
それは、『そういう事』なのだろう。
男は、静かに微笑んで……いつのまにか、左手に持っているハンドガンの銃口を向ける。
懐から、一瞬で抜き出したそれだ。
無論日頃から持っているわけではない。
だが、時期を考えれば……『下手人』の接触は想定の範囲内だ。
なら、それに備えるというのは、当然のことでしかない。
「上手くやれって、俺はいったはずだろ」
いつかのリピートのように、男はじっとりと嗤って……そう呟く。
■ヴィクトリア > あー、その件に関してだが、お前が直接手を下すってのはうまくないなァ
実際状態、今はまだ、ボクも状況を掴みかねてんだよ
ってことは、「公安」が「局長」を吹っ飛ばす可能性があるってわけだ、公式にな?
お前、そういう話が出るってことはボクの状況掴んでるんじゃねーんだろ?
【銃を構えられてもさして動じない
ま、コイツはこういうのに長けてるしな、だから信用が置けるのもある
小心者で敏感だからな、話が早いのは助かる】
んで、ご丁寧なことにボクにはそういう時にちょっとした「制限と保険」ってのがあってな?
もしそれに引っかかるよーならお前の立場も面倒くさいことになる
あとはっきり言っとくと、既にボクは一回吹っ飛ばされてる
「処理」は終わってんだよ
いま問題になってんのは、実はその後の「不慮の事故」だ
コレは正直ボクにも想定外だったし、あの当時のボクには絶対に読めない出来事だったんだが
たまたまボクがそこそこ「上手くやった」せいでちょっと事故ってんだ
で、その不慮の事故に対する解釈がどーなってるのか今調べに行くのは怖くて出来ねーって話なんだよ
グレーを白か黒にする可能性があるんでな
少なくとも、ボクが今のボクのままでとりあえずいられて、その上、権限がどっかに残ってるってことは
まだボクはゼロじゃねーんだよ
【ふふーん、という態度で、やっぱり身を寄せる
もっと撫でて欲しいらしい】
■『室長補佐代理』 > 「察しがいいな。全くその通りだ。俺はお前のことは全く掴んでないし上から指示も来てない。
だが、『ああいう話』を寄越したあとにお前から音沙汰が今までなかった状況から鑑みてお前がうちの管轄外で何かやらかしたことだけは分かる。
だから、俺に物を頼みに来た。時期的にそろそろだろうとは思ってたよ。
本来命令系統では上のはずのお前が頼ってきた時点で、この件はグレーだったが……今の話で完全に黒になった。
『不慮の事故』の『処理』のあとにお前が出てきたのが最大の理由だ。
その話が嘘でも本当でも、俺にとっては厄ネタでしかない」
ヴィクトリアの察しの通り、この男はこういう男だ。
故に……引き金を引き絞り、そのまま撃鉄を落とせば。
カチリ、と、渇いた音だけが響く。
よく出来たモデルガンである。
逮捕の第一権限がない以上、実銃は正規の手続きを踏まなければ持つことは難しい。
少なくとも、調査部別室である第二特別教室ではそうだ。
故に、『上から指示も出ていないのに勝手に持ち出せる銃』となるとこれしかないのである。
正確には、銃のようなものだが。
「だが、『上手くやった』のは間違いないみたいだな」
懐に玩具をしまって、がしがしと頭を撫でてやりながら、笑う。
下手をうってるなら、上から指示が着てないはずのこの男が銃を向けて……あまつさえ引き金を引いた時点で誰か来るはずだ。
しかし、それらしい誰かが現れる様子はなく、状況は動いていない。
ならば、少なくとも『今』この時だけはまだ監視の目はない。
ノーマークであるということだ。
「今の態度がとりあえず答えだ。
用意してやれる立場は『急場凌ぎ』のもんしかないし、俺のところに来たってことは時間がねぇんだろう。
協力者IDだけ寄越してやるからそれでどうにかしろ。
わかってると思うけど、『盗品』扱いにするからな?」
実際に渡した協力者が『不慮の事故』にあったのなら、それが落第街にあっても不思議ではない。
そういう道筋なら、ひとまずは問題ないだろう。
■ヴィクトリア > まー、今のボクが処分とか処理されるってならまあ、たぶんそーなってると思うんだよ
お前みたいな非戦闘員がわざわざそんな物騒なもの構えなくてもな?
でも、それがさ、しばらく待っても権限がボクに残されたままで相応に動けるじゃねーか
ってことは、ボクにはまだ利用価値がどっか残ってるか残さざるをえないかだ
ならさ、まだボクにもどっか使える道が残ってるってわけだろ?
それが局長なり何なり生徒会続けるのか、お前らんトコに身を寄せるのがいいのか、そこまではまだわかんねーよ?
ただ、お前んトコ経由でマズイ事しでかしたんなら、詫び入れるのは筋だと思ってるからな?
だから、お前のところ行けるならそれもアリだし、でなけりゃこのまま頑張るっていう曖昧な話なワケ
【嬉しそうにわしわし撫でられつつ嬉しそうに身を寄せる】
……ま、正直な話、上手くやったってよりかは首の皮一枚つながったって感じだな
やることは今までどおりやるしかないし、もともとそれが明確ならたぶん構わないんじゃないかなってのが一応の算段だ
あと、「処理」の後の「不慮の事故」だ
順序が逆
で、その不慮の事故が後処理終わってないんで立場が宙ぶらりんじみてるわけ
まあ、そういう話だったらID扱えないなァ
さすがに今の立場で拾得物横領は笑えないんでな
【丁重に(?)その申し出はお断る
ま、此処でさらにそういう公安に迷惑かけるって訳にも立場をコレ以上やばくするわけにもいかない】
でもま、そっちがその状態なら、十中八九へーきだろ
ボクがしたかったのは出処が確かな……つまり誰かに操られない他人に調べさせるか、アナログな方法で調べるかだ
この場が監視されてなくてお前がその判断なら多分問題ない
【問題無いとなれば身を寄せてごろごろするだけだ、ごろごろ
無事を確かめる意味もある】
……んでさ、ま、協力員ぐらいならなってもいーぜー?
■『室長補佐代理』 > 「侘びは一先ずいい。俺は今のところ別に迷惑は被ってねぇしな。
とりあえず、そっちの状況を全て把握してるわけじゃあねぇが、まぁ迷惑かけた分だけ後々返してくれりゃあいいさ。
元々、俺達はそういう関係でもあるわけだしな」
お互いの事が分かっているからこそ、普段そこについて多く語ることはない。
互いに利用できる関係にないなら、それは『どちらかに危ない橋を渡らせる関係』ということになる。
翻れば、それはお互いに泥船に乗ったまま沈む関係ともいえる。
当然、男も、ヴィクトリアも、それは望んでいないことだ。
故に、そこは互いにわざと突き放した言い方になるのである。
「じゃあ、上のどこかしらの思惑でお前の処理が進んでない公算が高いってことで、これ以上処理が進む前に別系統の人事処理を無理矢理捻じ込んで時間を稼ぎたいってことか」
調査部臨時協力員は特性上その辺りにも融通は効く。
なぜなら、臨時協力員というのはようするに『二重スパイ』などの立場を明らかにするわけにいかないものも含まれるからである。
ともなれば、その辺りは生徒会や公安委員会人事部への報告も『ある程度』は曖昧に済ませることができる。
「まぁ、お互い無事で今この場に監視も無い時点で、調査部の思惑とは離れた位置に今お前がいることはわかったからな……好きにしろよ」
そういって、ごろごろするヴィクトリアの頭を撫でる。
少なくとも、今ヴィクトリアを追っている連中はどこかの一勢力に過ぎないということは分かった。
ならば、その情報は翻れば調査部の欲するそれなのだろう。
調査部から自分に何も指示がきていないのが証拠といえる。
要するに、黙認されているのだ。この密会すら。
そういうことなら、さしあたって『今』の心配はない。
■ヴィクトリア > んー、追っかけられてるってわけでもないからな
むしろ単なる不備なんだよ、だから「事故」だ
しかも不慮の事故ではあるんだが、どうにもボクはコレを狙ってやったらしい
で、事故だから処分じゃないんだろ、たぶんな
【ま、泳がされてんのかも知んないけどな、と付け加えつつ
泳がされてる時点で流れを見てるんだろうってことになる
だいたい、ほんとに下手を打ったんなら……代理に対しても何らかの処分があるはずなのだ
そのラインが出てない時点である意味上手く行ったとも言える】
まあ、そういうことだ、ボクがほしいのはつまり既成事実だな
悪くないところに収まったからまあいいか、ってやつだ
ま、お前を探してたわけじゃないんだが結果オーライだ
聞いてみてよかったし話早くてほんと助かるわー
【たぶん事を荒立てたくない、というかボクがほぼ今までどおりの行動を行ってミコトに従ってまたあんなことをやるんでなければ
基本的には問題ないんだろう
ミコトのやつがボクにまた危ない橋を渡らせたいともあまり思えない
となればむしろ今まで以上に従順になる、というかせざるを得ない公算のが高いとも言える
ただ、ボクとしては、それだと自由がマジなくなるので、余裕がほしい
ま、プライベートってやつだな
その程度の些細なお遊びくらいは残しといてほしいし
この立場ならたぶん怒る奴ァいないだろ】
■『室長補佐代理』 > 「曖昧な物言いだな……まぁ、そこについては『察した』ことにしとくけどよ。
とりあえず、事情はあんまりわからねぇけど今の俺とお前の状況から現状は理解した。
泳がされてるならむしろ今は好きにしていいってことだし、敵も味方も見えないところにいるってことだ。
そういうことなら、一先ず遠慮はいらねぇってことだな」
いうなり、むんずとヴィクトリアを片手でひっつかみ、小脇に抱え、公安庁舎……調査部の持っている別棟の一つに踵を返す。
「協力員になるなら即仕事だ。書類が山積みなんでな。拒否権はない。
それが終わったら好きにしていいぞ。手続きはこっちで勝手にしてやる」
そういって、ずんずんと別棟の公安庁舎にヴィクトリアをつれていく。
手続きが必要な事は事実だし、書類が山積していることも事実だ。
そして、新しい協力員がいるというなら、もうやることは決まっている。
■ヴィクトリア > まあなァ……だいぶ日本語としておかしな言葉になるからなァ………………んぁ?
【お持ち帰りだ
何のつもりだと思ったがもう少し持ちやすい位置にすりゃいいのにと思う
思うが、わざわざコレってことぁ……またコイツもったいぶってカッコつけたいんだな?
と思ったので素直に抱えられる】
あー、その手のことは面倒くさがりなだけでボクはすげー優秀だぞ?
お前が泣くぐらいにな
たぶん仕事はスムースになるが、ボクのチェックは鬼厳しいから覚悟しろよ?
【詳しくは見てみないとわからんが、ボクの素性からして一番得意な作業だ
以前と違って人間らしい閲覧じゃない見方までできる以上、むしろ必要な書類の必要事項は全チェックできるだろう
アナログのデジタル化だ
電子化の波はここまで来たか】
■『室長補佐代理』 > 「チェックも含めて押し付けるに決まってんだろ。泣くほど優秀なのなんてそれこそ昔からしってるんだからな」
普通に抱き上げてもいいのだが、何分片手でもあるし、王子でもない。
なら、こんなもんだろう。
「終わったら経費で蕎麦くらいは奢ってやる」
そう、軽く苦笑交じりに嘯いて、そのまま公安庁舎に向かって歩きだし、公園を後にする。
ヘマをしたならまだしも、そういう事じゃないのならいいのだろう。
上手くやったというなら、お互いに上手くお互いを使える筈で、それはようするに『今まで通り』ということだ。
現状がそれを肯定するだけの材料を揃えている以上、今疑う必要はない。
互いに十分な打算と、最低限の信用を持って接する。
それは、わりといつも通りの事でしかない。なら、それ以上の邪推もまた今は必要ない。
これは多分、そういう事なのだろう。
誰にともなく、一度だけ、男は虚空へと苦笑を漏らした。
ご案内:「深夜の公園」から『室長補佐代理』さんが去りました。
■ヴィクトリア > あー!? てめぇこの、んなことしたら室長補佐代理代理になんだろ、ふざけろ
【ま、収まるべきところに収まった、ともいうんだろう
ボクもこいつもミコトもやるべきことをやるしかないことに変わらない
ボクが人間じゃないことにはびっくりしたが、だからって根本的に物事が変わるわけでもないし
それでもいいってやつがいる以上、ボクが気にする問題でもない
第一、マスターがそれでいいっていうのにボクに従わない理由がない
なら、それはそうなんだろーし、あとはできることをする
つまりは新しい「いつも通り」ってやつだ
いつもは新しい今の積み重ねであり、未来をつくる行為でもある
いつも通りっていうのは、更新されていくものだ
こうしたバカ騒ぎができることは、幸せなんだって、そう思った】
ご案内:「深夜の公園」からヴィクトリアさんが去りました。
ご案内:「式典委員会本部」に正親町三条楓さんが現れました。
■正親町三条楓 > 久々に本部に顔を出した楓。
各委員からの報告に目を通す。
ふむ、とひとつ頷き。
ゆっくり紙を下ろす。
「――大分平和になったようですねぇ」
まったく、結構な事だ。
■正親町三条楓 > フェニーチェと呼ばれる演劇集団は既に壊滅状態。
もう組織だった動きはしないだろうという事。
あとは公安、風紀に任せておけばいいだろう。
ロストサインはほぼ動きなし。
うん、大変結構。
平和が一番だ。
正親町三条楓は平和を愛する。
■正親町三条楓 > さて、書類の始末は終了。
さぁ、また休日に戻るとしよう。
正親町三条楓はゆっくり本部を後にした。
ご案内:「式典委員会本部」から正親町三条楓さんが去りました。
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」に薄野ツヅラさんが現れました。
■薄野ツヅラ > 公安委員会。調査部別室。
そう銘打たれた、無数の部屋の一つ。
乱雑に積まれた書類の束の中のデスクに、彼女はいた。
赤いジャージにヘッドフォン。
小柄な体躯に、立て掛けられた前腕部支持型の杖。
ふう、と小さく息を吐きながら、両手でコーヒーの入ったマグカップを握り締める。
普段から浮かべられている笑みは、今は其処にはなく。
───不機嫌そうな、其れで居て悲しそうな表情をしていて。
■薄野ツヅラ > 現在も現場では此の島の"平和"を脅かす連中と闘っている人員が居る、と云うのは彼女の耳にも入っていた。
其れは風紀であれ、公安であれ同じ話。
誰かが誰かの正義の為に戦っている。
其れ故に、荒事担当でない彼女が珍しく"公安委員"として委員会街に足を運んでいた。
何処か、そうしなければいけない気がしたから。
何故か、そうするべきだと思ったから。
自分に何が出来る訳でもない。
されど、此の場に居ることは出来る。
───死んでいった公安の人員は今回かなりの人数が出ていたと聞く。
───現場に出ている人間が、そうならないことを祈ることは出来る。
───何も出来ないけれど、せめてそれくらいは、と。
くい、とコーヒーを勢いよく傾けた。
■薄野ツヅラ > されど、彼女が書類仕事をするかと云えばそうではない。
あくまで彼女がやるのは今回のようなことを未然に防ぐことだ。
面倒な書類仕事なんてあのザンバラ頭の上司に任せておけばいい。
彼はそう云う仕事に関しては──自分のミスを起こしたときだって彼はそつなく書類を片付けてくれていた。
そう云う意味ではとても感謝していたし、現状だって自分は趣味の一環として情報収集をするだけでいい。
抜け目のない、本当に人の使い方が上手い上司だと思う。
恐らく、直接の上司が彼かクロノスでなかったら自分はさっさと公安の情報を抱えてトンズラしていただろう、なんて。
あっは、と。
彼女は特徴的な笑い声を洩らす。
先日の風紀公安の合同捜査では後輩──部署は違えど、公安の後輩。
ファミレスで、此の教室で言葉を交わした後輩がなんとも活躍したらしい。
可愛い、なんて印象が先行していた彼──ギルバートがお手柄だったと、風の噂で聞けば内心賞賛を送る。
そんな彼の初任務に少しだけ関われたと思うと、幾らか気分もよくなる。
クッキーの缶を引っ張り出して、すぽっと蓋を開ける。
───幾らか自分が最後に見たときより減っていた。
「はァ──……?
『室長補佐代理』って甘いモノ食えたかしらぁ……?」
溜息をひとつ、落とす。
■薄野ツヅラ > 次に彼女が公安で聞いた"風の噂"は、ひとりの公安委員の話だった。
其れが何処の誰かなんて知ったことではなかったが、かなり腹立たしい話。
死んでいった公安委員を見遣りながら、其れを気にせずに。
明らかに目の前で島の治安が損なわれる行為───厭、其れ以上に、仲間を見捨てた。
そんな人物がいると聞いて、彼女は大層憤慨した。
目の前で犯罪行為が行われて、其れを見逃して。
仲間の──名前も知らない彼らを見殺しにして。
其の公安委員にどんな理由があったのかは知り得ない。
どんな思惑の上で其の公安委員が動いていたかなんて彼女にはなにひとつ知り得ない。
其れでも。其れでも間違っていると、思った。
甘い考えなのかもしれない。
甘い考えだろうが、目の前で死んでいく同じ組織人間を見捨てられるような人間を目の前にして。
自分は果たして冷静でいれるのか。
自嘲したように、また笑いを洩らした。
「無理に決まってんじゃない」
誰に云うでもなく、独り言ちる。
大分冷めてしまったコーヒーのマグカップを、また両手で握り締めて嗤った。
■薄野ツヅラ > ───数刻後。
彼女は杖を片手にゆったりと立ち上がる。
大きく欠伸をしながら、左手の腕章を乱暴に外してポシェットの中に仕舞いこむ。
彼女はまた、落第街に向けてかつりと杖を鳴らして歩き出した。
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」から薄野ツヅラさんが去りました。
ご案内:「風紀委員会事務局」に眠木 虚さんが現れました。