2015/09/12 のログ
ご案内:「委員会街ラウンジ」にアトラ9さんが現れました。
アトラ9 > ブウウーンンン――人の数もまばらになり、どこか静寂の漂う委員会街のラウンジ、その片隅に響く冷却ファン音。
その音は、夏も過ぎ、秋が近づいているというのに相も変わらず黒い浴衣に身を包んでいる一人の女――否、ガイノイドである――公安委員が一人、アトラ9の体内から響いているものだった。

「……ウーム。ウウウウーム」

机の上に山積みにされているのは、ハッキング対策に関連する書物。アトラ9は椅子に座りこんでそれら書物に目を通しつつ、無機質な機械音声で唸りを上げている。
しかし、それら書物に彼女が求める情報――すなわち、魔術によるハッキングの事例と対策――は記されていなかった。
アトラ9の悩みの種。それは先日、研究区で初めて遭遇した、"望月満月"を名乗る少女。
彼女は物理的手段でなく、魔術によってハッキングを行う、一種のハッカーのような存在であった。
幸い、アトラ9に施された厳重なハッキング対策により、公安上の機密に該当する情報が漏洩することはなかったものの、望月の能力はアトラ9にとって大きな脅威と感じられていたのだ。

アトラ9 > アトラ9は研究区において開発された、純粋なガイノイドである。
だがこの常世島には、機械の体や電子頭脳を持つ異邦人も決して少なくは無かった。
そして彼らが必ずしも、アトラ9のように二重三重のハッキング対策を保有しているとは限らない。
故に、あのようなハッカーを放置すれば、彼らまで危険に晒すこととなりかねないのである。
範囲内のあらゆる電力を地面へ流し、周囲の電気系統を強制的にダウンさせてしまう強力な電気系魔術も、
使われる場所によっては先日より深刻な結果を招くだろう。
しかし、かの少女ハッカーが学園のあり方を揺るがすような目的のために活動する違反組織の一員というわけでもなく、
ただ一人で活動しているのであれば、それは公安の管轄とは言い難い。
その点もまた、アトラ9を悩ませる一因であった。

アトラ9 > 望月の目的には未だ謎が多い。しかし彼女がもし一山いくらのどこにでもいる犯罪者ならば、
風紀委員に現在知り得ている情報を提供した上で、後の事は彼らに任せてしまうほうが手っ取り早いだろう。
公安委員として動こうにも、ハッキング能力と電気系魔術の使い手とあっては、アトラ9とはとことん相性が悪い。
いずれにせよ、一人で彼女の身辺を探ろうとするのは無謀でしかない。なれば、次にすべきことは。

「協力者……デショウカネー……」

――アトラ9の電子頭脳は、そう判断していた。
風紀委員に情報を伝達するのであれば、万が一に備え、ある程度の戦闘能力を有している委員に話をしてみるのが望ましい。
公安委員として動くならば、調査部に掛け合ってみるのがよいだろうか。

アトラ9 > いくらアトラ9の電子頭脳であっても、一人で悩み続けているだけでは答えが出ないことがある。
然らば、行動あるのみ。山積みにしていた書物を鞄へと収納すると、席を立ち、その場を離れんとする。
そして黒い浴衣のガイノイドは、再び街へと出向くのであった――

ご案内:「委員会街ラウンジ」からアトラ9さんが去りました。
ご案内:「生活委員会本部」に嶋野陽子さんが現れました。
嶋野陽子 > 「…はい、昨夜の英国航空ハイジャック
事件の犠牲者の川治敬一は、私の保護者です。です
ので葬儀および法的な手続きの為に忌引きを申請し
ます。保健課にはこの後で行きます…」
 四十万先輩の助言を受けた陽子はその足で生活委員
会本部に赴き、忌引きの手続きを開始する一方、移動
中に英国航空と外務省のホットラインに電話し、川治
敬一が自分の保護者である事と、現在常世学園に在籍
中である事を名乗り出る。
 私以外の身寄りがいない事と、ハイジャックの阻止
に多大な功績が有った事から、敬一君はロンドンで、
犠牲となった機長らと一緒に葬られる事となるらしい。
仏教徒として火葬と陽子への分骨を希望する旨が生前
の意向として伝えられていたそうだ。
英国航空では敬一の要望により、既に東京ーロンドン
のA3000の往復切符を2席続きで用意していた。問題
は、スパイだったらしいサリエル先生の脱出阻止のた
め、常世島発着の全ての航空便が止められている事だ。
羽田まで行く手段が無い。