2015/06/14 のログ
来島宗仁 > 「ガキか俺は……」

ぼそりと呟く。
まったくガキのような理由でガキのような場所でガキのように煙草を吸っているわけだ。

(でもなぁ、こればっかりはなぁ)

まぁ、これまでにもたまにあった。
拾って来た女に情が移った事も。
迫られた事だってある。
お礼代わりにと身体を差し出された事だってあった。

が、その全部をすっぱり切り捨てた。
身体を差し出した奴には説教してやった。

来島宗仁 > 来島宗仁は医者だ。
どんなに助けたくても、どんなに情が移っても。
『医者』と『患者』である以上は、最後の一線は、越えてはいけない。
それが、命を扱う者の使命だ。

で、今回はというと……

(どうなんだろうなぁ)

今ひとつ、分からない。

さいこが魅力的である事は確かだ。
よく気が尽くし、美人だし、スタイルもいい。
家のガキどもも懐いてるし、患者の評判も上々だ。

じゃあ、女として見ているのか?

……まぁ、そうなんだろう。
そりゃぁ、ここ数日の自分の不審っぷりは、それが原因としか思えない。
それが分からない程ガキじゃない。

問題は、これが一時的なものかどうかだ。

来島宗仁 > 煙草を足元にある缶コーヒーの空き缶に押し込む。
夜のコンビニ前は、学生が多く通る。
たまに見知った学生が怪訝そうに見ながら挨拶してくる。

「おら、夜遊びしてないで帰れよ」

適当に声をかける。
本当、何やってんだか。


一時的に、なんとなく女性を感じてしまってムラムラする、という事はこれまでもあった。
まぁ、ひとつ屋根の下に住んでる以上はしょうがない。
そういう時は大抵来島が外泊して事無きを得た。
大体魅力的な女性が長く来島家に居ついた事はない。
そういう人間が行く場所なんていくらでもあるのだから。

でも、さいこは、なんとなく今までの人々とは違う気がした。

来島宗仁 > 次の煙草に火を点ける。
来島自家製の、薬草を使った煙草。
ニコチンがほとんど入っていないので、身体にあんまり悪くはないのだが……
それでも吸いすぎだ。
缶コーヒーの空き缶に何本も吸殻が入れられている。


そもそも彼女には行く宛てが無い。
来島邸が唯一の家だ。
彼女は働き者だし、みんなに好かれている。
だから、受け入れてやりたい。ずっと家に居て欲しい。

――このままの関係で?

「っっっあ”~!」

髪をかきむしる。
どうすりゃいいんだ。

来島宗仁 > しゃがみこんで煙草を吸う。
落ち着いて考えよう。

このまま、家族の一員としてさいこと一緒に暮らす。

うん、無理。
俺の精神が持ちません。
あんな魅力的な女とひとつ屋根の下で手も出さずに暮らせって?
出家した坊主だって無理に決まってんだろ!


さいこに新しい落ち着き先を見つけて出て行ってもらう。

……正直、したくない。
というかガキどもはぴーぴー泣くだろうし患者から文句も出る。
第一、本人が居たいと言ってくれてる。
この案は最終手段、できれば取りたくない。


俺が出て行く。

いや、自宅だし。
そもそも診療所があるからどこに住んだって通わなきゃいけないじゃん。
この案もダメ!

「……詰んだ」

来島宗仁 > 「あー……」

ここまで来て、この朴念仁も気がついた。

最近、さいこの事しか考えてない。
というか、ずーっと、一日中考えてる。
涼子とのデートの事すら頭から消えてた。

「俺、あいつに惚れてんだなぁ」

来島宗仁 > (そうか、惚れてるのか。うん)

そしてそこまで認めて、固まった。
どうしよう。

(いや、どうしようって……どうすんだ?)

涼子の死。
氷架を守る事、涼子が復活してからは彼女も守る事。
そして、悔いの無いように、誰かを助ける事。

それ以外の生き方をしてこなかったわけで。

(……どうすりゃいいんだ!?)

来島宗仁 > 「……よし!」

決めた。
腹を括った。

「飲むか!」

酒に逃げると。

結局この男、まだまだガキなのである。

ご案内:「学生通り」から来島宗仁さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に旗野みずなさんが現れました。
旗野みずな > 【下校途中の生徒で溢れる学生通り。歓楽街へと続く道を歩く少女が、携帯電話を片手に何事かをまくし立てている】

……だから、言ってるんですけど。昨日のオーダー、BRFの時はその後のアフターケアの話なんて一言も出てこなかったじゃねーか、ですけど。

【何事か揉めているらしく、ジト目がさらに細まって非常に愛想の悪いことこの上ない。総体は子犬めいた外見なのだが、その目つきは妙に険のあるものであった】
【電話相手に噛み付きつつ腕時計の時間を確認する。もうすぐ五時、急がねば目当ての店が閉まる】

とにかく追加でなんかあるなら手ぇ抜いてないで直接言えよ、ですけど。切りますよ。

【電話相手の何事かまくし立てる声を断ち切り、スマートフォンの通話終了ボタンを押した少女ははぁ、と溜息をついた】

旗野みずな > ……あぁもう。今からじゃ電車使っても間に合わないんですけど。

【独りごちて、舌打ちを一つ。飾り気の無いスマートフォンを乱雑にパーカーのポケットに突っ込み、足元の学生鞄を拾い上げる】
【鞄から目的の店――近頃学生たちに人気のクレープショップのチラシを取り出し、五時三十分までと書かれたセール時間に舌打ちをもう一つ。今からではギリギリのタイミング】

……諦めてこの辺で何か探しますかね。何か甘いもん食べたいんですけど。

旗野みずな > 【人間一度妥協すると決めれば選定基準はとことん曖昧になる。少女が目の前にあったからという理由でドーナツ販売をメインとするチェーン店を選んだのも無理からぬ事であろう】
【此処は我が領土とばかりに店内へ足を踏み入れ、お気に入りのドーナツを物色。狩人のような瞳でイチゴ系のドーナツを片っ端からトレイに載せ、ミルクティと共にオープンテラス席へ】
【その場に腰を落ち着け、見るとは無しに下校途中の生徒達へ視線をやる】

……。

【仲睦まじくおしゃべりをしながら帰宅する女生徒達。連れ立って今自身の居る店に入ってくるグループも居る】
【関係ないと言ってしまえばそれまでだが、自分にそういう気の許せる友人が居ないのは少々寂しい】

旗野みずな > 【だからと言って嘆いた所でどうなるというものでもない。そもそもそれ以前の段階で苦慮している立場なのだ】
【憂鬱な方向に流れそうになった思考を目の前のドーナツに切り替える。居並ぶピンクは女子力の証】
【適当に手を伸ばしてパクつけば、舌の上に広がる甘味が十秒前の憂鬱を蕩かした】

……意外にやるじゃねーの、ですけど。

【この系列チェーンに入ったのは初めてであるが、絶対もう一度来よう。そう心に誓う】

旗野みずな > 【はぐはぐと、年頃の女子としては少々慎みに欠ける食べっぷりで瞬く間に二つのドーナツを平らげるとミルクティーで流し込む。蒸し暑い中口中に残る甘ったるさが洗い流され、代わりにミルクと茶葉の香りが鼻に抜ける】

ぷは。

【可愛らしいと形容出来る吐息をついて、ウェットティッシュで掌を拭う。人心地ついた所で先ほどパーカーに突っ込んだスマートフォンを操作】
【着信は入っていない。つまりはこれ以上自分がやることはないという事だろう。『アルバイト』先の上司は小うるさいが一度突っぱねればそれ以上しつこくすることが無いという事は分かっているが、それでもやっぱり少し安心した】

【心境も落ち着いた少女は、携帯画面をぼんやりと眺めつつ物思いに耽る】
【一年前はこうやって店に入って買い食いをする余裕も無かった。そういう意味で今の『バイト』には感謝している】
【――内容そのものはあまり好ましいものではないけれど】

旗野みずな > 【自分の『バイト』が誰の役に立っているのかは知らない。興味もない】
【恐らくそれは上司も同じだろう。自分たちはただオーダーに従い
決められた手順で決められた事をこなせばいい。そこに感情のさし挟まる余地はない】
【少女はテーブルに置いた学生鞄の中に手を突っ込み、仕舞ったものをそっと撫でる】
【プラスチックと鋼鉄で出来た物体。『仕事道具』を初めて見た時はなんだか玩具みたいだと思ったものだ。仕事を教えた人間は、長く使えば愛着も湧く、などと言っていたが――】

愛着……湧きそうもねー、ですけど。

【それのグリップを握り、引鉄を引く事の感慨が余りにも無さ過ぎたからか。よく聞く頼もしさも、嫌悪感も覚えることのなかった少女にとっては、愛着もまた同様に湧くことはなかった】
【故にどこまで行ってもこれは仕事道具で――】

――あぁもぉ。オフの時位楽しい事考えさせろってんだ、ですけど。

【軽く頭を振って鞄から手を引き抜き、目の前の女子力を取り込むべく再度手を伸ばし、頬張る】

旗野みずな > 【甘いものはいい。糖分は脳を活性化させると誰かが言っていた気がする】
【つまりこれは講義で山ほど出された課題を片付けるのに必要な補給なのだ。あと女子力】
【偽装身分であり、本来の自身のものではない与えられたものではあるが――やっと手に入れた学生生活】
【友達が居ない程度で楽しくない等と言うのは損だ】
【可能な限りエンジョイし切らねば割に合わない】

ぅ、食べ過ぎなんですけど……。

【そんな思考が仇となったか。甘ったるさに少々胸焼けを覚えながらミルクティーをストローで吸う】

旗野みずな > 【ともあれそこそこに学生らしいいい気分が出来たような気もする。残ったドーナツは持ち帰りも出来るらしい。流石チェーン店、如才ない】
【ウェイトレスに貰った紙箱にドーナツを詰めていると卓上に放り出してたスマートフォンが震動し、着信を伝えた】

【――どうせこの携帯に入っているアドレスは『バイト先』関係だけだ】
【さっきの今で気が乗らないが、さりとて無視が出来る立場でもない。上機嫌に下がっていた目尻を再び水平に、画面に表示された着信ボタンを押す】

はい。旗野ですけど。
……あぁはい。追加。昨日のの関係。はぁ。いや別に――

【詳細を説明しようとする上司の言葉を遮る】

別に、誰だとか、関係ねーんですけど。
やれと言われりゃやるだけだ、ですけど。

はい。んじゃいつもの所で。20時からBRF。はい、了解ですけど。

【感慨無くそう言い、通話を切る。鞄の中から可愛らしいデザインの財布を取り出しレジへと進み、支払いを済ませて外を見ればもうすっかり辺りは日が落ちている】

【なんとなく、この時間――薄暗がりが夜に変わる時間からが本番だと言われた気がして】

チッ……。

【三度目の舌打ちを鳴らし、飲み干したミルクティの容器を、通りを挟んだ向こうのくずかごへと放り込む。軽く放った筈のそれはしかし、まるで強肩のピッチャーの放つストレートの如く加速、騒がしい音を立ててかごへと身を投げた】

ご案内:「学生通り」から旗野みずなさんが去りました。
ご案内:「学生通り」にスピナさんが現れました。
スピナ > 「……はわぁ」

学園都市、その大通りにはとても不釣り合いな
ワンピースを来た小さな少女が歩いている。

しきりに辺りをキョロキョロとしている。

スピナ > 歩いている方向としては、学園の方向だろうか。
しかしその足取りは、目的地を目指すような確かな足取りではなく
どっちかというと、ふらふらとあてもなく歩きまわっているような足取りだ。

通りにあるお店や、路面電車を見ては、「はわぁ……」と声を漏らしている。不思議がっているのだろうか。

ご案内:「学生通り」にさんが現れました。
> 帰り際
慣れない話をしたから、少し腹が空いて
学生通りのどっかで飯でも食べようと色んな店内を見ていたら

ごく、当たり前の日常のように
あの猫耳が居た

思考がぶっ飛んで思わず電柱の陰に隠れて
「え、マジで?」
と言葉が勝手に漏れている

> いやいやまさか
まさか、そんな、なぁ?
電柱からそっと中を伺う

あ、なんか普通に5人でテーブル囲んでる
マジふっつーに楽しそう

「あー、マジカ」
電柱に体重をガッツリかけて、巡った感情は

よかった
あいつ、普通に一人じゃねーじゃん
「全く、バカ猫が」
自分でも気持ち悪いんだろうなーと思いながらも、笑みが浮かぶのを止められない

スピナ > 「……?」

何かが、おっきな棒(電柱)の裏に隠れるのが見えた。
あと、建物の中を覗いてる?みたい。
もちろん少女が不思議がる。どうしたんだろう。

とてとてとその人物に駆け寄って、声をかける。

「なに、してるの?」

> なんつーか、本当心配して損したっつーか
いや、本当
よかった
あの瞳は、もう無いんだな

誰が手を貸してやったのかはわからない
だけど、誰かが手を握ってやったのなら
俺は、それでいい

深い、深いため息が漏れて
「うっぉぅっおぁあぅ!?」
自分でもびっくりするぐらい情けない声を出しながら身体を盛大に跳ねさせた
いつ近寄ってきたんだろうか
見知らぬ少女だ
「え、えぇと、なにしてるのかだって?
 え、えっとだな、なんつーか、腹が減って、な」
挙動不審に返しながら落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせる

スピナ > 「ひゃわ!?」

びっくりしたのをみて、こっちもびっくりした。おもわず尻もちをつく。
目を丸くして、青年を見上げる。

「おなか、すいたの?
 おなか、すいたら……あっ」

少女は気づいた。
青年が覗いてた店は、自分も知ってる場所。
ここは、昨日来た場所だった。甘いものと、しゅわしゅわするものを飲んだ。
だから、お腹すいたなら……

「えっと、ここ、はいると、いいよ!
 ここ、あまいもの、たべられる!コーラ?も、のめる!」

はきはきと、嬉しそうに言う。
指さしているのは、目の前のカフェテラス。

> 今度は深く深く深呼吸する

よし、大体は落ち着いた
猫耳は、まぁ楽しんでるんだ
邪魔する必要はねーだろ

改めて目の前の少女を見る
短髪の少女で、この時間に外を出歩いてると風紀委員に話かけられてもおかしくないぐらいは幼そうに見える
とりあえず、自分のせいで転ばしてしまったのだから
「わりーな」と声をかけながら手を伸ばす

善意がグサグサと胸に突き刺さる
「あー、いや」
実はこの店、入ったことがない
俺みたいな奴が入るには少しコジャレ過ぎている気がして
それに、と店内を見て
「いや、ほら、今日は日曜日の夜だからな
 こんだけ混雑してるんだ、はいんねーほうがいいだろ」
確かに席は大体埋まってるが、二人ぐらいなら余裕で入れそうだ
が、やっぱりまだ会うには気持ちの整理が足りない
今入ったら、なにいえばいいのかわかんねーし

「それよりも、だ
 お前、もうこんな時間だけど大丈夫なのか?
 子供はそろそろ帰って寝る時間だぜ」
と、一応常識的な言葉をかける
教師の子供だろうか、勝手に推測だけはして

スピナ > 「あ、ん……ありがとう」

差し出された手をとり、立ち上がる。
もう転ぶのにも慣れた。痛いけど、我慢できる。すぐ立ち上がれる。
少女は、この陸上での行動に支障がでない程度には、歩行に慣れていた。

「んー?」

ちょっと曖昧な様子の青年を見て、目を丸くする。

「にちよう、よる?こんざつ……」

聞きなれない単語がいっぱい出てきて、少女は首をかしげる。
だけど、その意味を聞き出すようなことはしない、キリがないから。

「ん、わたし?わたし、スピナ。こども、じゃないよ。うみのせいれいなの。
 ……えっと、あの……がっこうって、どっち?」

意味を聞き出す代わりに、自己紹介をする。
自分は海の精霊、陸の上のことはよくわからない……そういう意思表示のつもりだった。

同時に、忘れかけていた目的を思い出した。
学校、入学……今日は、その方法を探しに来たのだった。

> 立ち上がるのに腕を引っ張られるが、見た目通りに軽い
子供の見た目のそういう存在なのかと思っていたが違うのか?

微妙に噛み合わない言葉に首をかしげていたら、なるほど、海の精霊なのか
「は?海の精霊?」
思わず聞き返す
いやだって普通に陸歩いてるぞこいつ
大丈夫なのか?
「学校って、いやあっちだがお前」
どうしたもんか
海の精霊が夜の学校になんのようがあるんだ?
考えるが、全然よくわからない
海の精霊って本当に居るんだなって感想しかでねーぞ
「なぁ、学校になんのようがあるんだ?」
結局聞いてしまう

スピナ > 「うん、うみのせいれい。
 ちょっとまえに、りく、あがってみたの。
 ここ、いろいろあって、たのしいから……」

カフェテラスを指さし、「このおみせとか」とか言いながら無垢な笑顔を見せる。
純粋にこの島の造形物を楽しんでるようだ。

あっち、と言われると、その方向を見る。
建物が見える。どれが学校かはわからないけど、近づけばわかるかな?なんて
少女はそんなのんきな考えだった。

「がっこう、はいる。」

何の用か、と聞かれたら、すぐにそう答えた。。

「がっこう、いろんなこと、べんきょうできる、いろんなひとも、いる。
 たのしいところ……そうきいたから
 わたしも、はいりたい。だから、がっこういくの。」

期待に満ちた目で青年を見上げる。

> 「あー、大丈夫、なんだな」
全く知らない生態系だが、普通に楽しんでるなら大丈夫みてーだ

「はいる」
思わず聞き返しながら、不法侵入目的じゃねーんだろーなーと眼を見ながら考える
まぁ、妥当に考えたら入学のこと行ってんだろうなぁ、この眼は
まず最初に、入学出来るかを考える
海の精霊。かなり珍しい、と思う
入学条件結構ゆるいから入れそうではあるが、金を持っているようには見えない
だが本当に海の精霊だというならなんとなく入れてくれるんじゃないか、とも思う
「そうだな、結構いいところ、じゃねーかな
 その気持はいいと思うぜ」
幽霊生徒みてーなもんだからあんまり上手くはいえねーけど
次に、受付してもらえるかどうかだ
「あー、多分だが、この時間は無理だと思うぞ?
 電話とか書類とか色々しねーといけねーと思うし」
と、頭を掻きながら期待を裏切るような事を言う

スピナ > 「えへへ、だいじょうぶだよ、もう、いっぱいあるけるから。」

微笑みと共に返事を返す。

「うん、はいる。」

言葉を復唱する。
あくまでその目は、幼い少女が、希望を抱いてるようなときの、そんな目だった。

「じかん……だめ?」

言いながら、空を見上げる。
少女にとって時間という感覚はあまりないので、空が明るい昼か、空が暗い夜かしかない。
今は、夜。

「よる……だめ、ひるなら、だいじょうぶ?
 ……でんわ?しょるい?いろいろ……」

聞きなれない単語も、一気に耳に入ってくると混乱するものである。
うわごとのように、でんわ、しょるい、じかん……などと呟いている。

> 色々苦労したんだろうな、と思いつつも
現実を教えてることに胸が若干痛む

あー、そのへんから概念が無いのか
こりゃちと大変だな、と思いながらも
「そうだな、こうやって空が暗い時は人間は寝てる人が多いんだ」
流石に暗い明るいぐらいはわかるよな?と顔を見ながら確認する

「多分、そのへんは昼にいけば職員が教えてくれると思うが」
そうだな、ついでだし、それでいいか
「ちっと待ってろ」
と行って師匠に電話をかける

「あぁ、もしもし師匠?」
『おう、どうしたー?』
「海の精霊って入学出来る?」
『は?突然何行ってんだ翔』
「いいから、入学できんのか聞いてんだよ」
『ウミのセイレイ、だぁ? まぁ全然聞き覚えがない種族だし、意志があるなら入学出来ると思うが』
「そっか。んじゃ明日師匠への紹介状持たせて行かせるからよろしく」
『はぁ?いやちょっとおまえまてまて、なんで俺が』
「うるせー、師匠なら黙って言うこときけバカ教師が」
ぶつ、と一方的に電話を叩き切る
その後、胸元から自分の名刺(一応持たされてる奴)の裏に師匠の名前を書き入れて
「これ、明日学校行ったら受付の人に渡して、この裏の名前の教師の奴に紹介されてきたって言え
 そうすりゃなんとかなるだろ」
と少女に名刺を渡す

スピナ > 「くらい、は、よる……わかる。
 あかるいは、ひるだよね。」

言い終えると、えっへん、って顔になる。
わからないことだらけの陸の上で、ちゃんと返事を返せたのは、嬉しいらしい。

「おひる、いけば、だいじょうぶ……んー?」

返事を返そうとして、待ってろと言われたので、おとなしく待っている。

……小さな、なにかに、話しかけているみたい。
小さな何かからも、微かに声が聞こえる。
……『ししょー』というのは、その小さな何かのことだろうか。

なんて思いながら待っていたら、名刺を渡された。

「がっこー、で、うけつけのひと、に、わたして、このうらの、なまえの、きょーしのやつに、しょうかいされた、っていう……
 がっこーで、うけつけのひとにわたして、このうらのなまえの、きょーしのやつに、しょうかいされた、っていう……
 うん、わかった、ひるに、やってみる!」

数回に及ぶ復唱の後、少女の表情が明るくなった。
渡された名刺を、大事そうに持っている。

> 「おう、そうだ
 それがわかってるならいい」
腕を組んで頷いて

「おう、やってみろ
 そうすりゃ後はその教師がなんとかしてくれんだろ」
おもわず、ポンと頭に手を置いて撫でながら
「今日はもう夜だから帰んな
 こんな時間に子供がうろうろしてる怖い人がやってくるからな」

スピナ > 「ん……えへへ」

やっぱり撫でられるのは心地が良い。
おもわず表情が綻ぶ。

「こわいひと……んー……こわいひと、きらい。
 あ、でも、あなた……んと、なまえ、きいてない。」

なにか言いかけて、まだ名前を聞いてないことに気づき、尋ねる。

> 「ん、あぁ、悪い
 いい忘れてたな」
がし、と頭をかいて
「荒木 翔(アラキ ショウ)だ
 ま、次学校で会えたらいいな、スピカ」
ポンポン、と最後に二回頭を撫でて身体を離す
「気をつけて帰れよ」
と手を振る
そのまま見守るだろう

スピナ > 「あらき しょう、うん、おぼえたよ、しょう!
 また、あおうね!つぎは、がっこうで!」

進行方向を反対向きに、そのまま進む。
振り返り、手を振りながら。

しばらく進むと、前を向き直し、意気揚々と歩き始めた。

少女の表情は、終始明るかった。

ご案内:「学生通り」からスピナさんが去りました。
> スピナが見えなくなるまで、なんとなく見送る
海の精霊の割には明るいやつだったな

カフェを覗くと、なんか甘いモノが豪華絢爛なテーブルの向こうで、初めてあった時見た人を小馬鹿に見る表情でパンケーキを食べている

少しの間その光景を見たまま、なんとなく電柱にもたれかかる
その時丁度、携帯に師匠から電話が来る

【数分の間、スピナのことで師匠と電話をする】

> これで、まぁ大丈夫だろう
電話を切って一息付く

最後に一度だけ、カフェテラスの中を見て
犬飼に会ったら礼を言ってぶん殴んねーとな
としっかり頷いてから、通りを離れた

ご案内:「学生通り」からさんが去りました。