2015/06/26 のログ
ご案内:「学生通り」にテオドールさんが現れました。
テオドール > 「……ついた」

一人の少年が、朝の早い、その人通りの少ない学生通りへ立つ。
右手にはキャリースーツを携え。物珍しそうにあたりを見回している。

「……長かった」

ドイツから、ここまで……多分すごく長かった。

『どっかの子供はずっと寝てた気がするがね]

「……うるさい」

余計なことを言うな、とでも言いたげな目で胸元を睨む。
少なくとも、少年の周りにはだれもおらず。そして、その声は恐らく。
少年にしか聞こえていなかった。

テオドール > ……えっと。

「……フラン。あいつ、どこ」

『知るか』

「……役立たず」

独り言を喋る少年は、少しだけ奇異に映る。だが、その少年の声は。気のおける友人に対する声音とよく似ていた。


……わかってる。自分で探せ、ということなんだろう。
……うん。……オレは、自分で見つけたい。

テオドール > ここに、彼女がいる。……探し出すのは苦労しそうだ。
でも、此処に居る。だから、自分も此処に来た。



「……手続き」
ならばまずは、此処の生活の地盤を整えないといけない。
郷に入れば郷に従え……だったっけ。
そんな感じの。恐らく……事務所、とかだろう。
それがどこにあるかと言えば、手元のマップを見ながら。

「……多分。あっち?」
『……だから、知るか』

「……けち」

少年の顔は、澄ました表情から特に変わることはなく。
そして、その顔つきのまま悠々と人気の少ない学生通りを歩いて行った。

テオドール > 歩き始めて数分。ぴたりと少年の足が止まる。
マップを覗き込みながら、あ、と一言声を漏らした。


「……フラン」

これは、大変だ。

『なんだ』

日本語で言うと……由々しき、ゆゆしき。確かそれ。

「……大変だ」

聞こえる声もどことなくめんどくさそうな声音だ。
……それはいつものことか。

『だからなんだ』

「……迷った」

『…………………そうか』

ちょっと困った。

テオドール > 「……大丈夫」

問題ないだろう。だって、此処は島だ。海さえ渡らなければ……ドイツに逆戻りすることはないだろう。

「……今週中には、多分、つける」

『…………ずっと彷徨い続けてるつもりか、お前』

そんなことない。

「……たまには、寝る」

『いや、そういう事じゃなくてだな』

その少年にしか聞こえない声は、本当にめんどくさそうにため息をつくと。

『……あっちだ』

頭の中に、道筋が浮かぶ。うん、流石フラン、役に立つ。
――つい先ほど役立たずと言った気がするが、それはそれ。

「……1週間、じゃなくて。2日で行けそう」

『いや、今日行けよ』

テオドール > 「……がんばる」

『…………』

もう疲れた、と態度で示すかのように言葉を発することはない。
それを特に気にしないで、歩き出した。
少しだけ、不安はある。だって、そもそも彼女は――。

……今は、いいや。

キャリースーツを引きずり、歩き出した少年の姿は。
どことなく楽しげだった。

ご案内:「学生通り」からテオドールさんが去りました。
ご案内:「学生通り」にテオドールさんが現れました。
テオドール > 「………………」

学生通り。その途中で、キャリースーツを手に持った少年がじぃっと。学生通りに面したファミレスを見つめている。

「……フラン」

独り言。独り言だけど、それに応える声。……ただし、少年以外には聞こえてはいないが。

『なんだ』

「……ファミレスってなに」

『……あー。ファミレス、つーのは……家族で来る、料理店というか…………それがなんだ』

なるほど……うん。家族……。うんうん、と納得したようにうなずく。家族じゃないと入れない、のか。

「……フランとオレ。家族?」

『……いや、違うだろ』

……じゃあ、入れない。がっくりとする。

テオドール > 『……お前、まさか』

うん。

「お腹すいた」
疲れたし、休みたい。じぃっと見つめる。おいしそう。

『……お前。今日の目的は』

? それは、まだ。事務所に行って、転入の手続きをしないといけない、けど。

「まだ、2日たってない」

『馬鹿じゃねえの?』

嘘は、言っていない。……入れないのか。じゃあ、しょうがない。また、当初の目的通り。――急がば回れ、だ。
キャリースーツを引いて、学生通りを歩く。

テオドール > 「……ナイス、冗談」

もちろん、冗談だ。そのぐらいわかってる。お腹はすいたけど。

『笑えない冗談は冗談じゃねえ』

「……手厳しい」

笑いの道は深い、らしい。

『……で?』

フランが、まるで本題は、とでも言いたげな声。
お腹がすいた、って言えばいいのかな。

『鳥頭かお前は』

「……冗談」


歩きながら、少し調べた。回り道、も必要だ。
この街は、平和が表立ってるけど、危ないところも、ある。

テオドール > 「……近づかなきゃ、大丈夫だとは、思う」

けど、あいつだからなぁ……。正直、不安が多い。
公安、風紀、落第街。色々、難しい大人の世界、という奴だろう。

……彼女が、安全なら。それでいいのだけれど。
だけれど、彼女がそこに行きたいというなら。

「……仕方ない」

がんばる。


表情を変えないまま、澄ました顔。
キャリースーツをひっさげ、彼はどこへ行く。

……今日中に、手続き。やる気はないようだけれど。

ご案内:「学生通り」からテオドールさんが去りました。
ご案内:「学生通り」に河山 海空さんが現れました。
河山 海空 > 「さて、と……出物はあるかしらー……」

ぼんやりしたような顔で食材を見まわる女性が一人。
表情はぼんやりしているように見えるが、一応本人的には真面目である。

「んー……物はいいけれど……値段が……時間も悪かったかしら―……」

河山 海空 > 「んー……お店の方に顔を出して、そっちからもらおうかしらー。
 でも、なんて言って言い訳しようかしら……公私混同、だものねえ。
 あんまり迷惑もかけられないかなー……」

思考を回す。これというのも、急に思い切り料理をしてみたくなったのが悪い。
久しぶりに研究成果も試してみたい所であるし……やるなら健康食か、薬膳か……
そうなると香辛料もたくさん欲しいし、必要な物だけが増えていく。実に不毛だ。

「こだわらなければ、いいんだろうけれどー……んー……難しいわねー」

質は腕でカバー……というのはよくある話だが、とはいえ限界がある。
裏技を使えば質の向上も出来なくはないが、流石にあまりやりたくはない。
そこは料理人のプライドとかそんな感じの何かなのである。
……本業は教師のはずだが、気にしない。

河山 海空 > 「……妥協しようかしらねえ」

安いレタスを眺めながら、真面目に思案する。
誰かに振る舞わないのであれば、いっそもう常夜鍋とかでもいいだろうか。
この暑い季節に鍋? この暑い季節だからこそ、だ。

「でも、シンプルすぎるのも、ねー……いっそレタス尽くしとかでいこうかしらー」

ちょっと想像する。
食卓並ぶ レタス レタス レタス レタス
レタスとレタスで被ってしまった――なんていうレベルの話ではない。
彩りを気にしなければ、まあそれもいいのだろうか……

「あー……なんか頭がまとまらないわねー。
 んー……やっぱり目標決めて……来週辺り、お店、開いちゃおうかしら――」

謎の仮面料理人、と本人はちょこっとだけ格好良い、とか思っているが世間から見れば割と恥ずかしいもう一つの姿。
それを思って、遠い目をする。ただし、手にはレタスだ。

河山 海空 > 「ん……じゃあ、今日は寮で研究ー……かしら」

軽く小首を傾げながら結論を出す。
そういえば、そろそろテストもあるし課題を考えなければいけない。
まあ、いつもの通りでいくのは変わらないけれど。

「今回は、何が飛び出るのかしらねえー」

ちょっと面白そうな顔をして、レジへ向かう。
彼女の"実践"重視の授業ではテストも実践形式だ。
時として思いつきで無茶な課題を振るので、生徒を恐怖のどん底に落とすこともなくはない。
本人は、面白いものが見れる、とノリノリなのが始末に悪い。

河山 海空 > 「よし、とー……結局一杯になっちゃったわねー……」

山と買い込んだ食材を前にして溜息。勢いとは怖いものである。
いっそもう、究極のドーピング料理の研究でもしてみようかしら……
そんなことを思いながら、よいしょ、と荷物を抱える。

「さー……がんばりましょーねー」

気の抜けた気合をいれて、帰路についた。

ご案内:「学生通り」から河山 海空さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に猿女手児奈さんが現れました。
猿女手児奈 > 私はいつものように学生通りを歩いていました。
授業が終わった午後です。今日は一体何をしていこう。そんな気持ちでいっぱいでした
「そう、この世は舞台!」
私は空高くに手をかかげて言いました。皆が不思議そうな顔で私を見ていました。
うんうん、そうです。この世の一秒たりとも、同じ時なんで存在しません。
この世は舞台、この世は演劇。私は役者、皆も役者。
まさしく、この島こそ舞台なのです!

猿女手児奈 > ここは何と面白い場所でしょう!
覆水盆に返らずとなってしまった世界にあってなお、とても面白い場所です。
「まさしく、私が演技するのにふさわしい島!」
道行く人が――観客の人々が、私を見ていました。どこか変な顔をしています。何故でしょう。
私は天に掲げていた手を降ろして歩きはじめました。
さあ、今日はどんな演劇をしよう。どんな舞台にしよう。
そんなことを考えながら、街を進むのでした。

猿女手児奈 > 「学校とは、ひとつの閉鎖された異質な社会である」
昔々のテレビドラマでそんなことを言っていた気がします。
そう、ここは異質な社会。魔術や異能、異世界の存在に怪物! 今では世界中に溢れているそれが、この島に集まっているのです!
演劇、オペラ、ミュージカルはたくさんあります。
私がとても好きなのは「オペラ座の怪人」! いえいえ、他にも他にも好きなお芝居はたくさんあります。
だけど、そればかりではありません。私はここに生きています。
もしも、この島全体を舞台と考えるのなら、毎日どれだけ愉快で悲劇な物語が紡がれていることでしょうか!
思わず私が感涙のあまり、地面にひざまずいて天に祈るのも無理はありません。

猿女手児奈 > ――少し、お話が過ぎました。
とてもオモシロイ島とはいえ、私がただただ感激しているのでは意味がありません。
私もこの島に立つ役者の一人であるのならば、演劇を行わなければなりません。
この島に「デウス・エクス・マキナ」にはきっといません。きっときっと、続いていく演劇なのです。
だから私は、ここで演じ続けるほかありません。この島には、演技をするために来たのです。
昨日やった魔法使いでもいいかもしれません。それとも王子様。仮面をかぶった怪人としてもいいですね。
『千の顔を持つ英雄』の力で、私は心から何にでもなれて、なりきれるのですから。
では始めましょう、今日の演目は――

猿女手児奈 > 「英雄!」
そう、私は今日英雄になるのです。千の顔をもつ英雄!
英雄といっても、色々な英雄がいます。私は今日、その一つになるのです。
道行く人が見ている中で、私の前に幕が下りました。
そして、再び開いたときには、私は甲冑とマントに身を纏った英雄になっていて――


「よし、では往こう。彼の邪悪な龍を退治するのだ。この私の聖剣が敵を撃つのだ!」
おおお! と鬨の声が上がる。ついぞこの時がやってきた。
我が王国は彼の邪龍によって数百年と脅かされてきた。
しかし、私は苦難の果てに、「最果ての山」の頂上に突き刺さる女神の聖剣を抜いたのだ。
私の目の前に果てない荒野が広がっている――そう、今日はこちらから打って出る。
彼の邪龍の住む暗黒の魔城に攻め込むのだ!
「往くぞ! 森羅万象の神々の力はいま我らにある!」
私は愛馬に跨り、剣を天に突き上げる。部下の兵士たちが再び声を上げた。
いよいよ、その時は来た。これぞ、我らの王国の、最後の戦い!


ナレーション:
こうして、英雄テーコナーは艱難辛苦の果てに聖剣を手に入れた。
邪龍に対抗できる唯一の剣である。そして、龍は転移の荒野の城で待ち構えている。
剣と龍、神々の末裔たる人間と龍の最後の戦いが今始まる――


こうして、手児奈は一人変身を終えると、芝居がかった調子で叫び、学生街を突っ切っていったのであった。

ご案内:「学生通り」から猿女手児奈さんが去りました。