2015/07/23 のログ
ご案内:「学生通り」にサリナさんが現れました。
サリナ > 今日はなんだか涼しい。朝方に雨が降ったお陰か、それとも風が吹いているからか…外に居るのも悪くない日だった。
そんな学生通りに"ぱかぱかぱか"と蹄鉄が硬い地面に鳴る音が響く。…つまり、今の私は馬上に居る。

「随分慣れてるなぁ…」

なんだか人目を感じる。無理もない。馬でこの辺を歩く人間は私が確認する限りじゃそんなに居ない。
しかし、私が乗っているこの鹿毛の馬はあまり人目を意に介さない。というか慣れている感じだ。
今日は開拓村で世話になっている人に配達を頼まれて、その時に貸し出されたのがこの馬だった。

それにしてもなんだかすごい見られている。馬がそんなに珍しいのだろうか…
開拓村じゃよく見るのだけれども…

サリナ > 目的地のレストランについたが、馬を繋ぐ場所がない事に気付く。私の元居た世界であれば必ず繋ぐ場所が見つかるのだが…
仕方なく、店よりちょっと離れた所にある街灯に繋いで降りた。馬の横合いに立ってその頭を撫でる。

「よしよし、あなたはよく慣れていますね…」

学生街に入っても落ち着きを見せていたので少しぐらい離れていても安心できそうだ。
最後に一撫ですると、鞍の後ろの方に乗せていた荷物袋を降ろし始めた。

「お、重い……」

…10kgぐらいあるんじゃなかろうか、配達先が飲食店という事で恐らく食料品だという事しかわからないが、持った瞬間汗が出てきた。
店の前まで馬を寄せておくべきだったか…といっても一度降ろしたのだから仕方ない。不恰好ではあるがこのまま配達しよう。

「少し待っていて」

馬にそう言ってその場を離れる。

サリナ > ……
…… …
…………………

10分ぐらいしてようやく戻ってくる事ができた。
少し話し込んでいたので心配だったが、特に馬に異常はないようだった。相変わらず物珍しげな人目はあったが…

先程、店の人に馬で来ている事を話して、水の入ったバケツを用意してもらうようお願いした。
開拓村からここまでは割と距離はある。今日は涼しい方だが、水ぐらいは飲ませてやりたかった。

「お水を飲ませてくれるって、行きましょう」

すると、"ヒヒン"という返事が返ってきた。…ふふ、私の言ってる事、わかっているのだろうか。
横合いに立って手綱を引いて一緒に店の前まで歩いて行く。

そういえば、こうやって馬と一緒に行動するのは半年ぶりぐらいか…まだ私がこの世界に来る前の事で、懐かしく思う。

サリナ > 店先に水の入ったバケツが置いてある。私は店の人に礼を言うと、そこに馬を寄せた。
すると、店の人が人参まで持ってきてくれて、私は重ねて礼を言った。

「ほら、食べなさい。感謝するんですよ」
馬の前にそれを差し出せば、ボリボリとおいしそうに食べる。その光景を眺めていると、ふと背中に受ける風の感覚。
走っている時に当たれば、きっと追い風で気持ちがいいのだろうな、と…

───馬の嘶きが響き渡る。

私の気持ちに呼応したのか、ただ人参を食べ終えて満足したか…きっと後者だろうな。

「行きましょうか、風が止む前に」

鞍に跨り、最後に店の人に別れを告げると、馬を速歩で歩かせる。
…ああ、風が気持ちいい。背中に受ける風というのは心まで浮かせるようで高揚感とでも言うのだろうか…そういうものを感じる。

今度、頼んで開拓村で走らせてもらおうかな…また、こうやって配達の手伝いをこの馬とするのもいい。
小刻みな蹄鉄の音が学生通りに響き渡る光景を、今日の私達は演出していったのだった。

ご案内:「学生通り」からサリナさんが去りました。