2015/08/02 のログ
ご案内:「学生通り」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > (──夕方の学生通り

 いつもの様に午後からの補習を終えて家に帰る前に、
 と東雲七生は学生通りをぶらぶら歩いていた。

 目的なんて特に無く、適当な漫画やミュージックショップなどに寄って行ってみるのもアリか、とか考えた結果である。
 日は傾き空は橙と紺のグラデーションが出来つつあるが、まだまだ暑い。)

「……あっちぃ~なぁ、もう。
 こんな事なら大人しくエアコン利いた教室に残ってりゃ良かった。」

東雲七生 > 「……それにしても。」

(辺りを見回して道行く人々を見る。
 夏季休暇の影響もあってか、私服姿の学生が多いように見える。
 
 ──しかも妙にカップルが多いような。)

「このクソ暑い中でもベタベタと飽きないもんだよな。」

(ち、と舌打ちをして呟く。
 羨ましくなんかない。羨ましくなんかないぞ。羨ましくなんかないったら。)

ご案内:「学生通り」にトトさんが現れました。
東雲七生 > 「というか──」

(一見して男女の組み合わせが多いように見えるが、

──実際どうなんだろうな。
 
 もしかしたら男っぽい女性と女性かもしれないし、
 女性っぽい男性と男性かもしれないし、
 “両方”と“両方”かもしれない……
 
 あの日からやたらとそんな風に道行くカップルを見てしまうようになっていた。
 凄く野暮なことだとは、自分でも分かっているけれど。)

「ついでに、人間同士なのかどうかも怪しいもんだよなぁ……。」

(こちらの存在など眼中にも無いかのようにすれ違っていったカップルを振り返って呟く。
 ……あまりにも不毛な考え事なのでさっさと頭を切り替えようと、軽く頬を叩いた。)

トト > 「ねぇねぇ、君、契約とか興味ないかな?水分を提供してくれるならそれなりのお願いを…   あ、行っちゃった。」

「ねぇ!僕と契約して……… むぅ。」
なんだか危なさ一歩手前の言葉を話しながら、道行く人に呼びかけを行っている知り合いの姿を、そうこうしていると見つけるだろう

「やっぱり、人目で人間じゃないとわかる要素がないととっつきづらいのかな?… でも、そういうのは僕はちょっと……。」
と思ったらぶつぶつ呟いて、眉間にしわを寄せるようなしぐさをしていたり、忙しない、どうやらまだ七生には気づいていないようだが

東雲七生 > 「──あ?」

(ネットの動画共有サイトで知った数十年前のアーティストの楽曲、もしかしたら売り出されてないかな。
 そんな風に頭を切り替えようとしていたところに、聞き慣れた声が耳に届く。
 七生の表情がわずかに強張り、その後肩を落として自分の頬をむにむにと解した。緊張したところでしょうがない。

 思い切って声のする方へと歩いて行く間に、その内容もはっきりと聞こえてきた。)

「──契約? トトの奴、何やってんだ……?」

トト > 「むぅ、やっぱり、いきなりお願いするんじゃだめか、でもあの悪魔の子はうまくいってたんだけどなぁ。」
暫く声をかけているが、その内周りも遠巻きに見守るようになる…ようはただの変な子扱いである

「やっぱり、自分で集めるのにも限度があるし……… 魔術のほうはそれ以前だもんね。」
はぁ、とため息をついて、又珍しく困ったような顔をしていたり

「おーい、誰か、ちょっとしたお試しでもいいからさ!僕を使ってみないかな?今なら代償もほんのちょっとだよ!」
と気を取り直して声をかけ始めるが… 今度は引っかかる人すらいないようだ

東雲七生 > 「怪しい……」

(思わず足を止め、そのまま立ちすくむ。
 何の勧誘を行っているのか分からないが、あまり健全そうな話には聞こえない。
 ……もしかしたら、もしかしなくても言葉の選択が悪いのかもしれないが。)

「変な奴に騙されて変なバイトに足突っ込んだんじゃねえだろうな……」

(何度か訪れた落第街や、歓楽街の路地裏で似たような客引きをしている二級学生を見たことがあった。
 その姿があまりにも友人の姿と重なって見えるので、徐々に心配になってくる。)

トト > 「… 場所が悪いのかな?むー… あ、そうだ、だったら、身近な人にお願いすればいいんだね!」
と、一人で勝手に納得してから、きょろきょろと周囲を見回して

「こっちなら迷惑しないかな、えーっと。」
とことこと路地裏のほうに入っていって… 暫くすると、七生の携帯から着信音が

……… 名前を見れば、今しがた路地裏に入った友人からの電話だとわかるだろう

東雲七生 > 「………。」

(結局声を掛けるタイミングを計り兼ねてるうちに友人は閉じ裏へと消えて行った。
 純粋というか、素直というか、
 一歩間違えたら危うい方へ突っ走りそうな友人の身を案じる間も無く着信音に我に返る。)

「ふぉっ! だ、誰だよこんな時に……!」

(往来の真ん中で歩きながら通話するわけにもいかず、
 トトが入って行った路地へと駆け寄ってから端末を取り出す。
 その着信元は今まさに様子を見ていた友人のものだった。

 僅かな逡巡の後、通話に応じる。)

「── もしもし、トトか?」

トト > 「あ、もしもし七生?今何処にいるのかな、ちょっとお願いがあるんだけど。」
何時もの調子で声をかけてくる、というか、下手すると声が聞こえる距離にいる気がする

「うん、ちょっとお願いがあってね、会いたいんだ… あ、『あの事』じゃないよ?単に、友達としてさ。」
くすくす、と笑う声が聞こえてくる、その声は楽しげで、少しだけ久しぶりに話す友人への会話を楽しんでいるようにも思えた

東雲七生 > 「今、学生通りに居るけど。
 ……ああ、うん。お願い、ねえ……。」

(端末越しと直接路地裏から聞こえてくる声の妙なステレオに苦笑を隠せず。
 軽く咳払いなどしてから努めて普段通りを意識して通話を続ける。)

「まあ、今は時間あるし、良いぜ。
 学生通りのどの辺に居るんだ? 近かったらすぐに向かうから。」

(言ってから、しまった、と眉根を寄せる。
 相手は自分の現在地を言ってなかったはずなのに、こちらから「学生通りに居る」と断定して話をしてしまった。)

トト > 「ええっとねぇ、○○って店の横の路地だよ!あ、わかるかな。」
こういうお店なんだけどー、と特徴を伝えたりなんかして

「すぐにきてね!待ってるからね。」
よかったぁ、と安堵するような声をあげながら、じゃあ、きるね?と一言おいて電話を切る

東雲七生 > 「あー、はいはい。分かった。
 んじゃあ結構近いし、5分もかからないで行くと思うから。」

(5分もかからない、目と鼻の先だ。
 通話の切られた端末を見つめ、ふぅ、と息を吐く。

 電話越しなら“いつも通り”を装えるが、面と向かって会うとなると上手く出来るかどうか。
 “あの後”、夕飯を共にした時はさほど意識しなかったが、日が経つにつれてどんどん大きく、重くなってきている気がする。
 ──もちろん、そんなのは杞憂だと分かっているけれど。)

「……行くか。」

(ぼんやりとした頭で路地へと踏み込んだ。)

トト > ~~~~~♪
澄んだ歌が聞こえる、待っているトトが歌っているようだ
歌っている内容は聞き取れないが、奏でる旋律は、何処となく賛美歌を想起させる

「~~~~    あ、来たんだね、七生。」
七生が踏み込んできた音を聞いて、彼のほうを見て微笑みかける
歌をとめてとことこと七生に近づいて来て

「来てくれてありがとう!そういえば用事の内容を言ってなかったよね。」
でも、本当はやかったねぇ、と続けながら、彼の周りを楽しげに歩き回る

東雲七生 > 「よぉ。」

(こちらに気付いたトトへと軽く手を振って笑みを向ける。
 思ったよりはいつも通りに振る舞えそうな自分に安堵しつつ、周囲を歩き回るトトを眺める。)

「ああ、そうだったな。 何だよ、お願いって?」

(例の件では無い、と電話口で言っていたので、あまり緊張はしていないが。
 先の通りでの様子を見るに、もしかしたら怪しいバイトの片棒を担がされるのだろうかと疑ってしまう。)

トト > 「うん!実はね、僕の作った魔法陣で、水を作ってほしいんだ!」
にぱぁ、と笑みを浮かべて

「この前魔術の授業を受けた、って言っただろう?あの後勉強してね、簡単な魔方陣なら作れるようになったんだ。」
ごそごそと、複数枚の羊皮紙を取り出すと、そこにびっしりと書かれた文字を見せて

「ちなみにそれが之だよ、でも、お願いするだけじゃ問題だから、得意分野である契約で、代わりにお手伝いするよ、って聞いてたんだけど。」
皆忙しいからか、断られちゃったんだよね、と肩を竦めながら、別の紙に書かれた魔法陣を七生に見せる

東雲七生 > 「魔方陣で……水を?」

(きょとん、と見せられた羊皮紙に目を通す。
 何が書いてあるのかさっぱり分からない。
 分からないが、まあそれは説明して貰えば良いだけの話だ。)

「ちょっと待ってくれトト。
 ストップ、ストーップ。……もうっちょっと詳しく説明してくれねえか?
 悪いけど、俺そういうのはさっぱり詳しくなくてさ。」

(最初にトトが告げたことが全てなのだとしたら。
 そもそも魔法魔術の素養がまるっきりない自分には難しい事なのでは、と思う。)

トト > 「うん、えっとね、魔法陣による呪文って、どうやら、この地上… 常世島と、いわば『契約』する形で使うものみたいなのさ。」
こてん、と首を傾げてからうなずいて説明を始めて… 地面を指してから魔法陣を地面に広げる

「だから、これには簡単に言えば『水を出して』って書いてあるんだ、後は、これに呼びかければいい。」
魔法陣に手をかざしながら、トトが短く呟くと、紙の表面からとくとくと水が溢れ出す
その中身を空っぽのペットボトルでくみ上げていけば、程なくして水は止まり、びしょびしょになった紙を丸めて回収する

「だから、魔法陣の力を使うだけなら、後は呼びかけるだけで難しい事は必要ないんだ、そこは僕がやるから
七生は僕と一緒に、その魔法陣を発動してほしいんだ、そうすれば、多分、僕一人とは違う水が出来るはずさ。」
もう一枚、魔法陣の書いた紙を取り出すと、改めて地面に貼りなおし、之でわかったかな?と聞いてくる

東雲七生 > 「な、なるほど……?」

(詳しい説明を聞いてもちんぷんかんぷんである。
 自分には本当に魔術に関する適性が皆無だな、と思い知らされながらも説明の中から理解できた部分をかいつまんでいく。
 簡単な呼びかけを行って魔方陣を発動させて水を出す。
 ──withトト

 そういうことだろう。それ以上は分からない。)

「ま、まあ……特に何もしなくて良いって言うなら。」

(構わないけど、とまだ事態がよく飲み込めていないながらも、軽い気持ちで頷いた。)

トト > 「うんうん、ただの水だから、安全だよ?… あぁ、そうだ、まず聞いておこうか。」
先ほど出てきた水が入っているペットボトルを取り出すと、七生に見せて、飲んでみる?と差し出し
中に入った水は綺麗に澄んでおり、何時も自分が飲んでいる水と見分けがつかないものだ

「七生、君にとって『水』ってなんだい?ジュースでもなく、ただの『水』ってさ。」
七生の答えを待ってから、至って真剣な顔で、そう問いかける

東雲七生 > 「え? 水とは何か、だって……?」

(ペットボトルを受け取って、それを眺める。
 ためしに軽く口に含んでみたが、やはり水だ。水だった。

 水とは何か、と訊ねられたところで正直考えてもみなかった事だ。
 水とは水だ、としか答えようが無い。もっと科学的な答え方もあるのだけど、そういうのとはまた違う気がする。)

「そんな事急に言われてもな、水は水だろ。
 えっと、川とかプールとか海とか……海はまたちょっと違うか。」

(そんな当たり障りのない回答しか出来ずに、何だか情けなくなって声が小さくなる。)

トト > 「ん、いいんだよ、それで、だからこそ意味があるんだ、僕にとっても、水は水だしね。」
くすくすと笑って

「でも、それでも人によって、水とは何か、というのはほんの少し異なったり、人によっては、独特の考えを持つ人もいる
人間ってそういうものだろう?  それで、この魔方陣は『水』としか説明されてないんだ。」
じゃあ、この魔方陣に手をかざして、と七生に説明しながら

「なら、誰にとっての『水』なんだろう?之を使えば、きっと、七生が思っている『水』が出てくる筈だよ。」
僕はその違いが見てみたいんだ、と、七生が手をかざしたのなら、その手の上に、自分の手を重ねる