2015/08/25 のログ
■久藤 嵯督 > (……ほう、立ち食い蕎麦)
こういうのは二年前に日本で見たっきりだったか。
結局一度も入らなかったが、他の国では中々見ない珍しい形式だ。
細かい事は抜きにして、まずは入ってみる。
それなりに客は来ているようなので、そんな不味いモノは出てこないハズだ。
■久藤 嵯督 > 瓶入りの一味唐辛子を一気飲みしたくなるのを堪えて、メニューに目を通していく。
無理矢理見せられた刑事ドラマなどではよく見かけた料理も、実際に見て匂いを嗅いでみればその価値がインプットされていく。
さて、味を確かめると言うのならば自分も注文しなければならない。
「蕎麦、一つ」
それから蕎麦が来るまで、あまり時間は掛からなかった。
『はい、おまち。いつもありがとねぇ』
たまーに、こういうのがいる。
そいつがどんな人間かも確かめないで、ただ見てくれが風紀委員のソレだってだけで労ってくる奴。
おい、おばさん気取りの中等部生。中にはサボリ魔やとんでもないキチガイだっているんだぞ。
風紀の制服を着た偽者だって結構いる。そんなんでよく今まで生き残ってきたな。
「……どうも」
しかしそこまで説明してやる義理もないし、わざわざ相手の機嫌を損ねることもない。
それに今は、かなり疲れている。
早く目の前の蕎麦を片付けて、栄養補給の続きを行わなければならないのだ。
■久藤 嵯督 > ……蕎麦は、『おいしい味』をしていた。
つゆの香りとダシの風味。麺のしなやかさ。
舌触りも良好で、ネギの量も丁度いい。
これをそれっぽっちの値段で売るのは、些か大損が過ぎるのではないか?
「美味いな。すごく美味い」
まあ、それを教えてやる義理も無いワケで。
料理単品としての価値は値段以上であれど、今更値段を変更してしまえば客に嫌われる。
己の力を過小評価しているからこうなるのだ。不幸なヤツめ。
『んふふ、ありがと』
まだ何も言ってやってないぞ。
■久藤 嵯督 > そんなこんなで、出鼻はピノキオの如く立派に立ったワケだ。
会計を済ませればまた、他の店を探しに行く。
……ここは誰かに紹介しといてやろう。大損させてやる。
まだまだ食い足りないので、もうしばらくは食べ歩く事になりそうだ。
汗だくで、フラフラしていて、疲れ切った顔をした風紀委員は
夜の街並みに消えていく。
ご案内:「学生通り」から久藤 嵯督さんが去りました。
ご案内:「学生通り」にトトさんが現れました。
ご案内:「学生通り」に東雲七生さんが現れました。
■トト > 八月も終わりに近づく中、レンタルショップで借りた映画の入ったバッグを片手に、トトは待ち合わせ場所で待っていた
「取り敢えず名前とかでそれっぽいのを借りてみたけど………。」
珍しく少し不安げな表情である、ぼんやりとパッケージを眺めながら、早くこないかな、とポツリと呟いた
■東雲七生 > 「おぉ~い、トトー!」
トトが待ち合わせについてから少し遅れて駆けて来る小柄な影。
器用に通行人を躱しながら、待ち合わせ相手の名を呼ぶ。
「悪い悪い、ちょっと遅くなっちまった。」
そんな七生の服装は学校帰りを示す制服姿では無く。
少しカジュアルめな、私服姿だった。
■トト > 「ふふん、大丈夫、今来たところだよ!」
ぱぁっ、と彼の姿を見ると目を輝かせて、彼の返答にそう答える
「一度言ってみたかったんだよね、これ、ずっと七生のほうがはやかったし。あ、今日は制服じゃないんだね、帰ってから着替えてきたの?」
トトもトトで、タンクトップハーフパンツといった、いつものワンピースとは大分方向性が異なる格好をしていたり
「じゃ、早速行こうよ、漫画喫茶、というところで部屋を借りれば、この映像が見れるらしいからね。」
がさがさとレンタルされた(おそらくDVD)が入ったバッグを揺らしてみせる
■東雲七生 > 「いやー、何着てくかちょっと悩んでさ。
……おう、余裕があったから着替えようと思って帰ったは良いけど、案外すぐ決まらねえもんでさー。
そういうトトも、いつもの格好じゃねえんだな?
……そうだな、行くか。」
この辺の漫画喫茶っていうと、何処の辺りだろう。
普段そう言った個室付きの施設を利用しない七生にはいまいちよく分からないでいた。
■トト > 「うん、色んな僕を七生に見せたいからね、コレもその現れってやつさ。」
くすくすと笑って、ほら、あっちのほうにあるらしいよ、調べただけだけど、と指さしながら先行して歩き出す
ほどなくして一軒の漫喫にたどり着く、看板に書かれている説明によれば、学生は当然ながら時間制限があるが
今から映画を2本ほど見る分なら問題ない程度だろうと分かる。
「そういえば二人一緒に見るんだから、ペア席ってことでいいんだよね?」
こてん、と首をかしげてみたり
■東雲七生 > 「さいですか……。」
よくもまあ恥ずかしげも無く言えるな、と若干頬を赤らめながら。
トトに導かれるままに漫喫の前に来れば、物珍しそうに辺りを見回している。
「へぇ、ほぉ……あ、うん。別にそれで構わねえと思うぜ。」
特に困る事も無いだろ、と二つ返事で肯いた。
ペア席って何だろう、と返事をしてから疑問に思ったりもしたが。
■トト > 「おっけー♪」
既に予習でも済ませてきたのか、スムーズに部屋を借りるトト、鍵を貸し出されて七生の元に戻ってきて
「えーと… 2の15番だってさ、ペア席は二階みたいだね?はやくいこいこっ。」
くいくいと七生の手、あるいは裾あたりを引っ張って急かしながら、楽しげに向かう… 前に
「はっ、そういえばドリンクバーつきだったよ!七生、もっていこ、コーラコーラ♪」
はっ、と思い出したように言いながら、配布されたコップになみなみとコーラを継いでいたり 既にちょっと騒がしいくらいだ
■東雲七生 > 「こら、もうちょい静かにしろよ……!」
はしゃいでいるトトを窘めながら店内を歩く。
ドリンクバーという存在を教えたのは確か自分だったような。
すっかり気に入ったんだな、なんて感心しながら自分も飲み物を準備して。
「それで?何のDVDなんだ?
ゴーレムものって言っても、そんなに多くないだろうに。」
■トト > 「えっとね、見てきめたのと、本を読んで決めたのがあるんだけど…。」
そういうと二本のDVDをコーラを片手に持ったまま器用に取り出す、一枚は【ゴーレム】というそのままずばりの題名で
もう一枚は【フランケンシュタイン】と書かれている
「あ、ここだね、鍵をあけて… と。」
部屋につくとトトが鍵を開ける、中の部屋は狭く、二人用の大きめのソファがどん、と置いてある他には
PCやビデオデッキが一体化した大きな液晶画面、それに物や軽食を置くための小さなテーブル、といった構成だ
■東雲七生 > 「ほうほう、聞いたこと無いタイトル。」
そもそも映画を見る様な趣味は最近まで持ち合わせていなかった。
──というより、じっとしているのが苦手だった。
しかし、最近特撮変身ヒーローのDVDを借りて見るという密かな趣味が出来つつある。
「……へえ、個室はこうなってんだな。
思ってたより狭い……けど。」
まあ小柄で細身な二人だから、窮屈ではないだろう。
■トト > ことん、とコーラをテーブルに置き、早速とばかりにDVDを取り出す
「どっちからみよっか、こっちのそのまんまな名前のやつのほうが新しい映画らしいけど。」
見ればフランケンシュタインのほうは、1944年公開と書かれている…大分、というかかなり古い映画だ
「ふかふかだねぇ。」
ぽんぽん、と軽くソファでお尻をはねさせてみる、少し楽しいらしく、口元を緩めて、はやく七尾も座りなよ、と横をぽんぽんする
■東雲七生 > 「どっちからでも良いぜ。
今日はトトから誘ってくれたんだし、お前が決めろよ。」
軽く微笑みながらソファに、トトの隣に腰を下ろす。
あんまりはしゃぎ過ぎるなって言ったろ、と再度トトを窘めてから、手に持った飲み物を一口。
「うん、美味い。」
■トト > 「ね、七生は何飲んでるの?」
美味い、という言葉を聞いて興味を示しつつ、じゃあ、こっちのただのゴーレムっていうのにするね、とDVDを読み込ませる
パッケージは恐怖の表情を浮かべる女性たちの後ろに、黒く巨大な、硬質的な影が蠢いているというもので
「~~~♪一体、どんなゴーレムなんだろう、僕に似てるかなぁ…。」
とかわくわくしながら七生に聞いてくる、どうやらパッケージ裏の説明文なども特に読まずに借りてきたらしい
ジャンルは、まぁ、パニックホラー、といったところ、なのだろうか
■東雲七生 > 「うん? 7UPだよ。」
知ってるか?と小首を傾げてコップを差し出す。
無色透明な炭酸飲料。名前もどこか親近感を覚える。
「いや、流石にお前に似てるゴーレムはそうそう居ないと言うか……」
それはどっちかと言えばサイボーグなんじゃないだろうか。
そんな事を思いつつも、流石に気分を損ねるかもしれないと思い口にはしなかった。
■トト > 「7UP… なる程。」
なんとなく納得したようだ、のんでいーい?と聞いてみる、後で取りに行ってもいいんだけど
「そうなの?ゴーレムって、人を模した存在じゃないのかい?」
不思議そうに首をかしげながらも、映画が流れ出し
「あ、はじまったはじまった!」
と画面を真剣に見つめ出す、部屋は薄暗く、それなりに高価な液晶が、安っぽい映画館くらいの雰囲気なら与えてくれるだろう
■東雲七生 > 「一口だけな?
それと、他の客の迷惑になるから、なるべく静かにな。」
再生を始める画面を見ながら7UPの入ったコップをトトに手渡し。
そういえば映画の音は漏れないのだろうか、と軽く部屋の外の気配を探る。
部屋自体に防音の魔術か、はたまた店員にそういう異能の持ち主が居るのか、
ヘッドホン無しでも音漏れなどの心配は無さそうだった。
■トト > 防音技術って何げにかなり需要高い気がするね
「ありがとっ、ん。」
こくこく、と頷いて同意しながら、一口こくり、しゅわ、と飲み込む
「ふむふむ… 色がないけどおいしい、サイダー系?」
ちろ、と舌を出して味を思い出すように呟いて
映画は既に始まっている、廃墟となった街にある理由で訪れた男女達が、呪われた本を開き、ゴーレムを目覚めさせてしまう
彼らは次々に餌食になっていき… という内容なのだが
はっきり言って割と単調で、盛り上がりどころにかけるような… ぶっちゃけ余り面白い部類ではないように見える
■東雲七生 > 「そう、サイダー系……なのかな。
何か好きなんだよねえ、これ。」
トトからコップを返してもらいながら、画面を見つめる。
薄暗い室内、明かりは液晶の照明のみだ。
再生される映画の内容は、お世辞にも面白いとは言えず。
わざわざこんな所で見る様なものでも無いとは思ったが、果たしてトトはどう思っているのだろう。
そんな事を考えながら、横目で様子を窺ってみる。
■トト > 「……… 。」
割と真剣にメモを取っていた、ゴーレムらしきものが出てきた時の描写や、行動パターンなどが羊皮紙に纏められている
「……… ねぇ、七生、これって資料か何か?」
ただ、感想に関しては七生よりも直接的であった、うん、そうだね、資料として(?)しか役に立たなそうだね、みたいな
「前にテレビで見たロードショーの映画は、もっとこう、わぁーって感じの場面があった気がするんだけど。」
「七生はどう思う?種族名そのままだったし、資料としての側面が強いのかな…。」
そう呟きながら、あ、死んだ、とゴーレムに襲われるシーンを眺めている
■東雲七生 > (──メモ取ってる……)
七生の視界に移ったのはトトのそんな姿。
何のメモを取ってるのか、少し気になったりもしたがきっと七生が知って得がある事ではないだろう。
「いや、俺には資料映像にも見えねえんだけど……
ま、まあ映画も色々だからな。こういうのもあるさ。」
以前学校の視聴覚室で見た映像資料に化けたクソ映画を思い出す。
あれらと同列だと思う。正直今かなり眠い。
「どう思う、って言われてもな。
……何とも言えない、としか言えねえっつーか……」
非情にコメントに困った。
映画にも、そしてトトにも。
■トト > 「… そういえば、七生の知っている、いや、思っているゴーレムって、どんなやつなんだい?僕とは大分違うんだろうけど。」
そういえば、之を聞いてなかったな、と思い出しつつ
「何とも言えないかぁ… うーん、そうだね、何とも言えない、それは的確な気がするよ、うん… 大丈夫?」
眠そうなのを感化したのか、じーっと七生の目を見つめて
「ごめんね、つまんなかったかな… えっと、これはこのくらいでいいから、もう一個の方、見てみる?」
半ばを過ぎたあたりで映画を止めて、きゅるるる、とDVDを取り出す、飲みかけのコーラは大分氷が溶けていて
それをごくごくっと一気に飲み干し、ちょっとおかわりいってくるね、とそのまま席を立って
■東雲七生 > 「うん?俺の知ってるゴーレム?」
んー、と少し考えるように視線を彷徨わせる。
七生の脳裏に浮かぶのは、石や岩や木で構成された無機質な怪物。
それこそビジュアル面では今見た映画と変わらない。
それをどう説明したものか。七生は考えていた。
「うんまあ、ちょっと眠くなっただけ。暗いからさ、ここ。」
クッションもふかふかで心地良い。
何度か首を振って眠気を払い、謝るトトに笑みを向ける。
「いいって、気にすんなよ。
そうだな、ちょっと休憩して次の観るか。」
いってらっしゃい、とその背を見送った。
■トト > 「たっだいまー♪」
もどってきたトトは、7UPがはいったグラスと一緒に、カップを二つ持っていた
中身はソフトクリーム… どうやらこれもドリンクバーの内らしい、バニラにチョコのソースが掛かっている
「えへへ、此処も飲み物いっぱいでいいねぇ。」
笑顔を輝かせながら、くぴ、と7UPを改めて飲む
「うん、美味しい、流石七生が推すだけあるね、ふふ。」
さっきより、少しだけななみの近くに座りながら、はい、七生もどうぞ、とカップを差し出してくる
「眠かったら、寝てもいいよ、帰る時間になったらおこしてあげるし… ね。」
ふかふかだもんね、と手でソファを押して見たりしつつ、【フランケンシュタイン】を再生し始める
■トト > 「あ、質問は、七生が思いついたときでいいからさ… 何だか。」
答え、なんとなく分かる気がするし、と、ちっちゃく呟いた
■東雲七生 > 「おかえり。
何だ、アイスまで持って来たのか?
思いっ切り満喫してるなぁ。いや、良いんだけどさ。」
カップを受け取って、楽しげな様子のトトを見つめる。
その様子を見ているだけで七生まで何だか楽しくなってきていた。
それはそれで、まあ眠いの事実だったが。
「いや、起きてるよ。
それより、さっきの質問なんだけどさ。
ゴーレムってやっぱりこう、岩とかで出来た巨人なんだよなあ。
トトとは大違いでさ。無機質って言うか、そんな感じ。」
分かる気がする、との呟きに小首を傾げる。
■トト > 「ご飯のメニューもあるし、二人なら此処で一日いても、退屈しなそうだよね! ん、だって、甘くて美味しいもの。」
んー、と満喫してます、と言いたげな笑顔でソフトクリームも頬張っている
「…… やっぱり、か… うん、分かったよ七生、ありがとう… 。」
彼の質問への答えに、そういって少し微笑んで
「あ、ほら、始まったよ。」
そういって、映画が始まった画面を指差す
映画では永遠の生命を欲する男が、罪人や様々な死体の身体をつぎはぎし、蘇りし怪物、クリーチャーを作り出していた
だが、継ぎ接ぎだらけの醜い怪物の姿、自身のした事に恐怖した男は、クリーチャーを捨ててしまうのだった
「…… 折角作ったのに。」
また、先ほどのゴーレムと同じく、メモを取っているようだが、そんな言葉をぽつりと漏らす
■東雲七生 > 「居るだけでも料金掛かるんだからなー?
まあ、分かってるとは思うけどさ。」
こちらも笑いながら、ソフトクリームを舐める。
そういえばどこまで基本料金なんだろう。そんな事をぼんやりと考えたり。
「………トト?」
礼を述べるトトを怪訝そうに見たが、同時に映画が始まってしまい。
ちょっとした違和感はすぐに流れてしまう。
今度の映画はちゃんとしたモンスター物の様な気もするが、
どうにも集中出来ず中身が中々入って来ない。
横目で再びトトの方を覗うも、またメモを取っていた。
■トト > 「わかってるよー、ちょっと言ってみただけだもの。」
ぐいぐいと七生を押しながら笑う、メモを取りながらでも、今回はまだ笑う余裕があるようで
「なんでもないよ、なんでも、ね、七生、勝手に作っておいて捨てるなんて、迷惑な話だよね
ほら、あの子も、目的がなくて困ってるじゃないか。」
首をふるふると振って、画面を差す、怪物はその容姿と強力な力から迫害され、森の中で過ごすことを余儀なくされていた
こっそりと助けていた家族にも、正体を知られた途端拒絶され、すれ違い、別れてしまう
「……… 勿体無いね。」
そう呟きながら、そーっと横目で七生を見て、こっそり手を合わせようとしてきたり
■東雲七生 > 「ならよし!」
にっ、と笑いながらもその顔は画面へと向けられている。
わざわざ顔を見なくても、どんな表情をしてるかくらいは分かる。
「んん、そうだな。 ……確かに、いい迷惑だろうな。
造られたとはいえ、怪物だって生きてんだからな。」
神妙な面持ちで映画を見ている。
見た目や、力なんて、些細な違いでしかないのに。
「……ん、そうだな。」
手に触れたトトの手を払う様な事もせず。
トトもトトで思う所があるのだろう、とその手を軽く握ろうとするだろう。
■トト > 「本当そうだよ、それに、あれで怪物っていうなら、僕だって十分そうじゃないか
それなら困るよ!まるで僕が普通?の人と仲良くなれなかったり、怖がられたりするみたいじゃないか。」
だよねー、と七生に同意しながら、映画の続きをじっと見ている、
「… っ、 ふぁ…。」
安堵のような、ため息のような声が漏れて、少しだけ強く、彼の手を握り返す
映画では、男への憎悪に満ちた怪物が、彼を追い詰め、自らの恋人を作らせていた
だが、作られた恋人は、彼に似た自身の醜さに絶望すると、自ら命を絶ってしまう
絶望した怪物は何処かへと消え去り、男はそれを追っていった………
そして… 男は死に、怪物は、男と共に炎の中に消えた
「………。」
燃え盛り、怪物を飲み込んでいく炎を、トトはじっと見つめていた
心なしか、しっかりと七生の手を握り締めた手が、何時もより冷えている気がした
■東雲七生 > 「まあ、そう思うよな……。」
トトの言い分は尤もだ。
自分と違うというだけで迫害する、それはいつの時代にもあった事なのだろう。
そう思うと、胸が痛んだ。つい先日、異邦人街でも同様の話をしたばかりだというのもある。
「……ん。」
俺はちゃんと居るからな、と言わんばかりにトトの手を握り返す。
それはあくまで友人としての感情だったが、
それでもトトを安堵させることが出来た様で七生もまた安堵した。
「何つーか……。」
何とも言えない。先の映画とはまた、違った意味で。
手の中の温度が少し冷えている気がして、横目でトトの顔を覗き見る。
今のを見て、何を感じたのだろうか。端的に察する事は出来ても、その全ては七生には知る術も無くて。
■トト > 「… 面白かったね。」
ぽつり、と呟いて、そっと微笑む
「ゴーレムの勉強にはならなかったかもしれないけど、うん、面白かった。」
僕はそう思う、と続ける、そのまま七生に笑いかけて
「一緒に見てくれてありがとう、七生、一人だと… ちょっと怖かったからさ。」
嘘じゃないよ?僕だって怖いものくらいあるんだよ?と何故かそこを強調しながら、きゅーっとジュースを一口飲んで、ふぅ、と吐き出す
■東雲七生 > 「おう、面白かった……な。」
どうやら不安を覚えたりはしなかったようだ。
と、トトの表情から察して、こちらも微笑を返す。
「いや、どういたしまして。
そうなのか、意外だな。トトがホラー苦手だなんて。」
思ったほどホラーテイストは二作とも薄かった気がしないでもないが。
そんな事を呟いて、こちらも飲み物を呷る。
■トト > 「ホラーって、幽霊とかだっけ?そういうのが怖いわけじゃないよ。」
ふるふる、と首を振って
「… 今の僕には、寂しいのはちょっと怖いかな、って、ね、最後が救いだとしても、あの終わり方は。」
ちょっと、一人でみると、怖かったかも、と続ける、はむはむ、と溶けかけのソフトクリームに舌鼓を打って
「あ、だから暇も怖いよ、することがないって、とっても不安になるんだよね、僕らしくないっていうかさ。」
こくこく、と頷く仕草をしながら、ずずー、と液状になったソフトクリームを飲み干した
■東雲七生 > 「あー……
そっち、ね。」
少しだけバツが悪そうに頷いた。
そう言われれば当たり前の事過ぎて見落としていた。
何のために手を握ってるのだろう、と自分の要領の悪さに自嘲する様に笑みを浮かべる。
「暇も怖い、か……なるほど。
まあ俺くらいになると暇だと思ったら体が動いてるもんだからなあ。」
する事が無い、ってのはあんまりないな。
口の端を白くしながらそう言って笑う。
■トト > 「…? どうしたの?ね、七生も映画とかみるならさ、今度は七生の好きな映画見に来ようよ、この場所、僕気に入っちゃったしさ。」
自嘲気味に笑う七生には、少し不思議そうに首をかしげるも、気を取り直してそう告げる
「あ、僕だってまだまだやる事一杯だから問題ないよ?でも… いつかそういう日が来たら怖いなぁってさ。」
ぷぅ、と頬膨らませて見せるが、こっちも釣られて笑い出す
「あはは、まー、でも、フランケンシュタインのほうの怪物は、僕に似てたよね、人の姿してたし。」
大分目標地点が低いといえば低いが、あれもゴーレムなのかなぁ、材料が人間?
「… じゃあ、もしかして、僕も材料は…?」
なんか怖いこと言い出して、ばっと七生の方をみるが、思いのほか狭い空間で身体をひねったせいか
「ひゃっ!?」
思わずテーブルの上に置いておいた、飲みかけの7UPを自分にこぼしてしまう