2015/09/14 のログ
渡辺慧 > ふ、と。その目線からそらすように。
コンビニのあかりはすぐそばにあるのに。
どうしたって、何をしても暗いそらに目線を上げ。

「そうだね。いい夜だ。……こんな夜は肉まんが食べたくなるね」

ならない? と。また一つ、首をかしげながら、少し笑っているかのような、そんな雰囲気で、問いかける。

「……そして、そんな夜なのに」
「――まぁ、悩み事というほどでもないけどね」
そう言って、また。かじりかけの肉まんに目線をやって。
ため息をつく。

「買いすぎちゃった」

四十万 静歌 > 「肉まんですか――」

う、ん。とあごに人さし指をあてて、
軽く首をかしげて――

「確かに、少し涼やかになってきましたし、
 暖かい肉まんなんかいいかもしれませんね。」

と、クスリと笑って――

「――それなら、お手伝いいたしましょうか?
 からしぬきなら食べれますし?」

と提案するだろうか。

「――それでいくつ買ったんです?」

渡辺慧 > 「でしょ」

と、ようやく。そちらを見据えて。
――いやどことなく。その視線は、目線から外れているような気はするが。
そう言って、猫のように笑って頷く。

「……………」
決して、この沈黙が。
自分の買った物の中に、からしが入っているものがあって、そしてそれを黙って渡したら面白いだろうか、と考えている、なんてことはない。
もちろん、入っていないのだから、その思考は無意味そのものではあるのだが。

「ん、なら……お相伴、おねがいしようかな」

5個、と。なんのことはない、ただそれだけの数だ。
だが、一人で食べることを想定した数、でもない。

四十万 静歌 > なんというか、人懐っこい人だなぁ、
なんて思った。
きっと、色んな人に好かれているんだろうなと思うと、

――自分が声かけてよかったのかな?
なんて考えがよぎるが、
気にせず――

「では、一ついただきますね。」

と、微笑んで、肉まんを買い物袋からひょいと取り出し、
買い物袋を腕にかけて、両手でもって、
はくり、とハムスターのように齧って、

――じっと上目遣いに慧を見るだろう

渡辺慧 > 「うん。……食べちゃって」
どうせ、自分一人ではもう気が進まない。
――いや、どうだ。気分なんてどこで変わるかわからないし。

そういうものでも、いい。
周りに憂鬱をまき散らすよりは、よっぽど。

その小動物の仕草に。そして、その後の視線に。
少しばかり笑って。

「…………いい夜だから、肉まんも、多分おいしいでしょ」
そう言って、再び自分でも。
肉まんへ齧りついた。

四十万 静歌 > もきゅもきゅ、こくん。
噛んで、飲んで――じっと上目遣いに見つめたまま――

「とっても美味しいですね!」

と、にっこり笑って答えるだろう。

「このシンプルな味わいがまた素晴らしいというか、
 でも……」

そこで笑顔を潜め、じっと真剣な顔で尋ねるだろう。

「あまり美味しそうって感じがしませんけど、
 ――何かありました?」

なんて。

普通のにくまんだ。

結構いけてると私は思うんだけどな、
なんて、ちょっと首をかしげた。

渡辺慧 > 「いい顔してる。……うん、ならよかった」
前――前とは、以前、その前。どこかしら。――より、どことなくおとなしくなったような。そんな笑み。微笑みというほどでもなく。

「ん、ぐ…………」

少し、言葉を詰まらせる。
何も、ない。いや、飽きただけだ。……否、きっと。
気が変わりやすいのが性分で、ただ、それがこの場面で出てしまっただけ。
だというのに、それを口にすればいいだけだ。
――。

「……いや。……ほら、調子に乗ってね。買いすぎちゃって」
先程と同じような答えで、だが、その問いそのもの答えではないことに。

「ほら。だから、悩み事、って程でもない、ってさ」

四十万 静歌 > 「それならいいんですけどね。」

うん、と一つ頷いて、
もきゅもきゅこくんと、肉まんを平らげて――

「でも、確かにこんなに一杯の肉まんだったら、
 飲み物必要ですよね。」

そう、ふんわり笑って――

手に小さなコーヒー缶をもって見えないようにしながらゆっくりと近づいて、

もっていない手の指を鳴らすと同時に、
コーヒー缶を差し出すだろう。

まるで何もない所から取り出したかのように。

渡辺慧 > 「そ」
「…………それならいいんだ」

「…………なんか、可愛らしいね」
同じように。うん、と一つ頷いて。
また、同じように、小動物のような動きに微笑みに似た――それを、お粗末様、とでも言いながら見届けた。

「ん? あー……飲み物は用意……」
「して……」

と。そう言いかけた、いや、言葉になる前に空中に溶け。

「――わ」

心底。……素敵な物を見たかのように、子供のように笑った。

「……すごいじゃん」

四十万 静歌 > 「どういたしまして。
 手品は私の特技なんですよ。」

と嬉しそうに笑う。

「やっぱり飲み物があるとなしじゃ段違いですしね。」

肉まんは水分を容赦なく奪うのである……
諸行無常。
ともあれ、と微笑み、

「小さな悩み事で、
 こうやって一緒に食べることで解決できるなら、
 安いものじゃないですか?」

なんていいながら、さらに一つ貰って――

「カワイクナイデスヨー」

と、ちょっと膨れて答え、
また小動物のように食べるだろう。

渡辺慧 > 「分かっててやってるなら大したものだね」

クスり、と。小さく笑う。
その膨れた頬をつつきたくなる、というのはきっと。
万人共通だろう、なんてくだらないことを考えながら。

「ただ、肉まんを食べたくなっただけの俺に、そこまでの考えはなかった、ということで」
自慢げ、というわけでもなく。卑下するわけでもなく。
ただ……やはり。楽しげな。

「さて。……それは誰にとっての、安いもの」
「だったりするんだろうね」
「――おいしかった?」

と。再び。先ほども同じ答えを聞いたそれを再び聞き返す意味は。

四十万 静歌 > 「分かっててって何をです?」

と、肉まんを口元からちょっとだけ離して、
きょとんとした顔で首をかしげながら。

「うーん?
 ともあれ、なんていうか、
 ほら、肉まんにあんなに憎憎しげにしてたので、
 何かあったのかなって、
 ――でも、その様子だととっても純粋なだけだったんですね。」

とふんわり笑って、
再び食べて、食べ終えると、美味しかったと聞かれたので、

「はい!」

と元気一杯に答えるのである。

「誰にとっての安いものというと……」

そして、直ぐにうーん?と人さし指をあごにあてて考えて、

「こうして悩みを聞いただけで肉まんがもらえた私にとってですかね?」

なんて笑うだろう。

渡辺慧 > シシシ。
――なぜだか。ひどく久方ぶりな気がした。

「……ま、だからこそ、か」
相手には伝わらないであろう独り言。

「こいつ、どうしてくれよう、とは思っていたから、だね」
「……純粋。……変な言い方だなぁ」

その言い方に。自分自身も首を傾げ。
思い当たる節がないそれを。――いや、わからない。

「正解」
楽しげに。きっとそれは、間違いなく正しい。
――片方だけ、なんて別に言ってはいないわけだし。

「褒美として。最後の一個も上げるよ」
そう言って。袋を押し付ける。

そして、背を向けて歩き出した。
肩越しに。後ろを向かないで。

「…………ありがとー」

屹度多分。恐らくそれは。
届かなくてもいいものだった。

四十万 静歌 > 「――なるほど、確かに私もありますね。
 期待はずれの味だったときなんか?」

特に甘いものが甘く無い時とかそういう表情をしている気がする。
まぁ、ともあれ、純粋と聞いて首を傾げる様子をみて、
クスリと笑い、
押し付けられた袋をきょとんとして受け取り、
直ぐに笑顔になって――

「それにしても、
 最後の一個までもらってしまって悪いですね。
 ――あ……」

背を向けて歩き出す。
ありがとうみたいな声が聞こえた気がしたがわからない。
だが、言うべきことが一つだけ、
残っている。
それは――

「あのっ!
 私、二年の四十万静歌(しじましずか)っていいます!
 今日は色々ありがとうございました!」

肉まんもらって、と頭を下げる。
遣り残していた事、
忘れていたのは、自己紹介だ。

渡辺慧 > 後ろから聞こえる声に。
律儀だな、とぼんやりと考える。
特に、歩みを止めるそぶりもなく、後ろ手で、手を振った。

同じ学年じゃんか、と口の中で含ませて言うと。

「2年、渡辺慧」

聞こえるか、聞こえないか。
それはきっと、声が届く側にしかわからない。

――が、せめて。
その律義さに、この声は空気を読んでくれるのではないか。

なんて、おかしな期待をしながら。そうやって。
そのまま――。

ご案内:「学生通り」から渡辺慧さんが去りました。
四十万 静歌 > 「二年の渡辺、慧。」

噛み締めるようにその名を呟く。

微かに聞こえたその名前は、
確かに届いた。

間違ってないかちょっと心配だけど――

「また、会えるといいな、なんて。」

クスリと彼の姿が消えると思わず笑うだろう。

四十万 静歌 > 「――♪」

少し機嫌よく帰り道を歩く。

出会いというのはいいものだと思う。

ご案内:「学生通り」から四十万 静歌さんが去りました。