2015/09/24 のログ
ご案内:「学生通り」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 夕暮れ。日暮れ。暗くなっていく道。下校によって、人が増える道。
それを歩きながら、ふと目じりを指で押さえた。

――不調だ。

肉体的なものではない。
じゃあ、なんだといえば。……なんといえばいいのだろうか。
異能的な、副作用によって。とでも言えばいいのだろうか。

ずれる。自らの見えている映像が、時たま。時折。ほんの数瞬。数秒。
それは早送りだったり、スロー再生だったり。または、コマ落ちだったり。

原因といえば――訓練場での、あのひと幕であろう。
明らかに、安全圏である出力を無視した事。

渡辺慧 > こめかみを指先で叩く。

原因が分かり切っているのに、分からない。
自分の異能について、知らなすぎる。
――そも、原理不明、と言われてはいたが。
加速するだけならば、明らかに肉体的に作用するものであろう。
と、考えていた。――なら、この現象は何なのだろう。

前回昏倒した時は、そこまで気は回らず。――肉体的に限界を迎えた末の物だと思っていたのだが。

おかしい。――自分の現実が、ずれそうになる。
考えをやめようとして。

――何が悪かったのか。
日が悪かったのか。間が悪かったのか。それとも、ただ間抜けだったのか。

都合よく(わるく)。
自らの映像(ゲンジツ)がずれた。

渡辺慧 > 「――――――――あ」

何故かわからない。
なぜか、自分の顔の、すぐ傍に地面が迫っていた。それも、勢いをつけて。

――あとから考えれば、ただ、何かに。
考え事から気を取られ、何かに足を引っかけただけなのだろうということが分かりそうなものだが。

まるでコマ落ちの映像を見ているかのように、その部分が抜け落ち。
ただ、すぐさま倒れこみ、目の前に迫る地面だけが、今は現実だった。

「……ぅ、ぁっ!?」

反射的に右手を、地面と、自らの体の間へ差し入れる。

渡辺慧 > 右手――それは当然の如く、利き腕だ。――から、いやな感触が届く。
それと同時に、ひどく、鈍い痛み。鋭くて、鈍い痛みが届き。

「…………………っつ、ぁ…………」

そしてようやっと。自分がこけたことに気付いたのだ。
間抜けすぎる自分の絵面を、客観視する暇もなく、右手を守るように横に転がった。

ご案内:「学生通り」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  
 髪も伸びてきた。
 散髪するかそれとも伸ばすか――などと考えながら路を歩いていれば、
 なんか、片隅に捨てられた猫みたいに転がっているパーカー少年が見える。
 
 確か、彼は――

「慧だったな。やぁ慧、生きているかい。」

 ――しゃがみこんで、転けたパーカー少年へ向けて手を差し伸べる。

渡辺慧 > 左手で、右手を抑えながら。わずかに痛みに呻く。
気持ち悪いぐらいに、右手は熱を持って。

「…………ぁぐ。…………やぁ、です。……リ、ビドーさんも……割と、お約束なこと」
「言うんですね……」

痛みに喘ぎながらも、苦笑を浮かべ。
そっと、左手をその差し伸べられた手へ重ねた。

リビドー > 「おはよう。思い出せるかい。とかの方が良かったかい……と」

 重ねられた左手を優しく引っ借り、もう片方の手で慧の背中を支え、ゆっくりと抱き上げる様に起こす。
 そうやって起こしあげれば手を滑らせ、姿勢が安定するまでは背中と肩を支えて姿勢の安定化を図るだろう。

「……ふむ、風邪かい?」

渡辺慧 > 「…………ふ、ぅ」
「ありがとう、ございます」

抱き起されるまま、地面にやっと。自らの足だけで立ち上がると。
右手を、左手で庇うように持った。

「……今日は、お城に行く日でしょう、とかでもよかったかもですね」
少しの脂汗。これは――。打撲、捻挫。骨折。はたまた――。……さて。
痛みからか、あまり気の利いた言葉も言えそうにないのは許してほしいところだが。

「だと、よかったんですけどね」
「なにがなにやら」

リビドー > 「なんだ、キミはシンデレラのお姉さんだったのかい。
 もっかい転んでガラスの靴を落とさないようにな。……と。」

 立ち上がれば手を離す。
 どうにも具合は悪そうだ。額を伝うパーカー少年の汗を見て察する。

「具合が悪いなら寝ていれば良いだろうに。
 どうせ後で休むか今休むかの違いでしかないだろう。キミは。」

渡辺慧 > 「残念、その靴は、サイズが合うものが存在しませんでした」

その心配してるのか、端的に事実を述べているのか。
それとも――。
どちらにしても、それに苦笑しながら。
その赤くはれた右手の手首を見遣った。

「……今、まさに悪化したところですよ」
「でも、変なんですよね。具合が悪いわけじゃないんですよ」

肉体的に。なにも悪くない。悪くないのだ。

「いえ。この右手は、相当痛いですけど」

リビドー >  
「めでたし。めでたくもなし。
 ……ふむ、異能と魔術が蔓延る常世島で具合が悪くないのに具合が悪い、かい。
 女遊びでもして恨みを買った覚えはないかい。……ああそうだ、あの後はどうなったのかな。
 ほら、黒髪ストレートの桃太郎侍。」

 軽い口を叩きながらも、視線は右手に。

「しかし……その右手は大分痛ましいな。しかしボクは治癒系の魔術は持ち合わせていなくてね。
 持つ気もあんまりないんだが。……病院にでも行くかい。誰かに直して貰うかい。」

渡辺慧 > 「靴にとっては、いつまでもディスプレイされ続けるわけだから、めでたしかも」
「……だからこそ、じゃないですかね。肉体と、精神だけが自分の“内”だと言えていたのが、そこの“内”に、異能と、魔術が入り込んだんですから」
なにも矛盾はない。なぜならば、ある意味最初から矛盾しているからだ。

「そういうリビドーさんの方が恨み――」
いや、この人はきっとうまくやるだろう。
だが、慌てふためくところも見てみたい、というのも本音であり。
だからこそ口を噤んだ。
「……あぁ、そういえば。……一人で行っちゃいやがりまして。助けてくれてもよかったじゃないですか。――なんとかなりましたけど」

そう言って。右手の痛みに、少し呻く。

「……どうしましょうね。利き手で、っていうのもあって。とっても痛いんですけど」
「――俺、そんなに。治癒系の魔術。受けるの好きじゃないんですよ」

そう言って軽く。病院にでも行きますわ。笑った。

リビドー > 「なんだ。何も変な事などはないじゃないか。
 異能や魔術が入り込んだ――された覚えがなければ、その辺りを変な使い方をしたんじゃないかい。」

 軽い"ジト眼"を見せる。とは言え本気でそう軽蔑する/訴えるように見るのではなく、
 その視線は冗句めかしたそれだろう。寧ろパーカー少年の彼が此方を見る眼がそれなんじゃないか、とも思いつつ。

「ボクがあの場で出張ったら何も変わらんよ。
 もう一度あのクールビューティに付け狙われるだけだぜ。ボクが弁護して聞くようなタマだと思うのかい?」

 "めっ"、と ひとさし指でパーカー少年の彼――慧のおでこをつつこうとする。
 ――可愛い巨乳の女教師ならその行為も似合うのだろうが、残念ながらリビドーはそうでもない。

 そんなムーブをみせてから、姿勢を戻す。

「ああ、分からなくもない。便利な事には違いがないが、アレの濫用は人間を化物や超越者にするからな。
 決して悪いとは言わないし、この島では便利なものだが――まぁ、依存性の高い薬みたいなものかもしれないな。」

 "それが良い"。
 放り投げるように答えてから、軽く手をはたつかせた。

渡辺慧 > 「そこですよ」
「……俺、自分の異能」
――目をそらしていた、といえば、いた。
研究の為、いや。……違う、劣化品ではないと、証明するため、ともいえる。そのために、きた、なんて。

そしてそれは。それの“オリジナル”についても同じともいえる。
それについて、知らなすぎる。

「……まぁ、浅慮、浅学、か」
「きっと、そうなんでしょうね」
「――だから、変なんですが」

ジト目、にたいして。
苦痛と共に、楽しそうに笑った。

つつかれた事を認識して、薄く反射的に目を閉じて。
「随分、堂に入った仕草、ですね。……実は性別隠してたりするんじゃないですか? そうすればある意味憧れの一ページなんですけど」
ただの軽口だ。多分。
そう言ってから、彼の容姿をふと眺めて。
「――さて? 案外夢見がち、という風にも捉えられれば、ってところですかね」
意図を介さない言葉。着地するべき場所はどこにもない。

「そーいうのとは、またちょっと違うんですけどね」
ぼんやりと。――誰かが内に入ってくるような。変化を促してくるような感覚、等と言っても、納得してもらえるものももらえないだろう。

「……全治、2週間、ってところですかね」

リビドー >  
「そうかい。まあ、アレだ。
 寝てれば治るかもしれないぜ。」

 無責任に、探る気がないなら寝てればいいと含めて放つ。
 露骨に思い悩んだ素振りこそ見えるが、彼の背景は知る筈もない。、

                               《ティルト》
 だから、バンパーに引っかかった1の1⁄16インチの銅鉄製の球ボールを揺らすような、
 荒っぽい口調で言い放つ。お前それでいいのか、と含めて放つ。

(猫のような笑い方をする奴だ)

「残念ながらそんな都合の良い事はないよ。
 キミの方こそ、実は女の子だったりしないのかい。ガラスの靴を履いていたみたいに転んでさ。」

 くつくつと笑う。
 意味を持たない喩えをくっつけて笑う。

「そんな所だな。
 ま、使い物になるのはもっと早いだろう。」

渡辺慧 > 「名案ですね」
「寝て起きればいつも通りに朝が来るわけですから」

そうじゃないとだめなんだ、と含めて。
其のゲームごと、丸々と放棄した。

             《ポーカーフェイス》
反省すべき点は、やるゲームを間違えていたことだろう。

「舞踏会より、掃除してる方が、まだ好きなんで遠慮しておきますよ」

(水晶玉のような笑い方、か)

「お荷物の右手を抱えて、さて、どうしましょうね」
「スプーンでも買い込みますか」

リビドー >  
「希望の朝だな。」

 tilt。その場でゲームは終了する。

 強引に台を揺らしたってゲーム《ピンボール》は終わるし、
 感情にかられてゲームを放棄したってゲーム《ポーカー》は終わる。

 やるゲームを取り違えていたのかもしれないが、
 そうでなくてもきっとゲームは終わっていたのだろう。
 だから間違い無く間違いで、ゲームをすること自体が間違いだったのかもしれない。
 時期尚早、と。

 宝玉の様な瞳で見遣ってから、一歩踏み出す。

「それが良い。さて、ボクは行こう。
 傷病扱いにするかどうかは考えておくよ。また会おうぜ、慧。」

ご案内:「学生通り」からリビドーさんが去りました。
渡辺慧 > 「えぇ。……よろしくおねがいします」

そして、届くか届かない声で、ありがとう、ございます。
と呟いて。

「………参ったね」
たちつくし。……彼が鋭いのか、それとも。
余程自分が、ポーカーをやるのに向いていないのか。
それとも、ただ。この現状を嘆いたのか。

右手で頭をかこうとして、指先を動かした時に走る痛みで呻く。

「―――――参ったね」

――それとも自分は、――――と思っているのだろうか。
――過去の証が、いつまでも異能として残り続けていくのに。

浅ましい。
そう胸中で呟くと。

「病院、行くか」
自らの行く末を決めるかのように、そう言葉にして確認した。

渡辺慧 > 予想通り。
診断結果は、打撲。そして全治2週間。

ズレは、今はない。

ご案内:「学生通り」から渡辺慧さんが去りました。