2016/05/18 のログ
ご案内:「学生通り」にしののめ うさみさんが現れました。
■しののめ うさみ > ▼うさぎが あらわれた!
■しののめ うさみ > ──そもそもの発端は、ほんの1時間前に遡る。
本日の授業を終え、さて今日は実技が多かったから定食でも食べて帰ろうか。
そんなことを七生が考えながら廊下を歩いていた時である。
通り掛かった教室の中から、『あぶないっ!』と女子生徒の声がしたと思ったら、次の瞬間教室の扉が吹っ飛んだ。
むろん、扉の前を通りかかった七生も巻き込まれる形で吹っ飛んだ。
ごおぅ、という音と焦げ臭いにおいがしたので、きっと火球か何か飛んできたのだろう。
事実、教室の中では数人の生徒が魔術の練習をしていたのだった。
── 一般教室での魔術の使用は危険ですのでお止め下さい ──
まあそれはともかく、七生は炎の魔術によって生み出された火球の直撃を、教室の扉と一緒に受けてしまったのである。
■しののめ うさみ > はじめのうちは七生自身何が起こってるのか分からなかった。
ただ、意識ははっきりとしているし、扉が直撃した所為か全身から鈍い痛みも感じる。
そして火球の影響か、体の至るところがヒリヒリしていた。
酷く体が重く感じるのは、半壊した教室の扉が上に載っているからだろう。
すぐさま教室内から足音が聞こえ、
『大丈夫ですか!?』と女生徒の声がして、七生の上から扉が退かされる。
(大丈夫、大丈夫。ちょっと痛かったけど──)
すぐにそう答えようとしたのだが、何故か声が出なかった。
代わりに出たのは、喉の奥を鳴らしたような「ぷー」という鼻声のみ。
『ごめんなさいっ!すぐに保健室に──あれ?』
悲痛そうに謝っていた少女の声が、急に間の抜けた物に変わった。
思わずそちらを見上げる。
──思った以上に大きな女生徒が立っていた。
──というか、何故か廊下全体が大きくなっていた。
■しののめ うさみ > 『え、えっと……あれ?確かに誰か居たと思ったんだけ……ど』
戸惑う様にこちらを見下ろしている女生徒。
それを見上げる七生。七生の頭の上でぴーんと伸ばされた耳が揺れる。
七生には何故女生徒が怪訝そうな顔をしているのか分からなかった。さっきまでの心配そうな態度はどこに行ったんだと思った。
ただ、それもすぐ何処か行ってしまった。
見上げる七生の視線の先で、女生徒はあまりにも無防備過ぎた。指定より少しばかり短く折られたスカートの中が丸見えだった。
そんな事もお構いなしに、女生徒は教室内から掛けられた声に振り返り、怪訝そうな顔のままでやりとりを始める。
『え?うん、誰も居ない。服はあるみたいだけど──
あ、それと。なんかウサギが一羽……』
戸惑う七生の前で、女生徒がおもむろにしゃがみ込む。
「……ッ!!」
思わず、いても立っても居られなくなって全速力でその場を逃げ出した。
普段より広くなったように思える廊下を駆けて駆けて玄関を駆け抜けて門を跳び越えて──
──今に至る。
■しののめ うさみ > 七生が自分の置かれた状況を把握したのは、たまたま通りかかった店のショーウィンドウに映った自分の姿を見た時だった。
最初に見た時は何だコレ、と思って。
二度見をしても現実を受け止められず。
三度見してこれが夢じゃないのかと疑って。
恐る恐る自分の足を見て現実を思い知った。
ショーウィンドウに映るウサギは紛れも無く東雲七生 本人であった。
どうしてこうなった。現実と向き合った七生の第一声──のつもりが、やっぱり「ぷー」としか声が出なかった。