2016/05/29 のログ
ご案内:「学生通り」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ >  
「はぁ……結局訓練できなかったわね。
 このままだと鈍り切っちゃいそう。」

 そんなのは嫌ね。
 付け加えてぼやきながら学生通りを歩く。

「……。」

 特に予定もないし、代用できそうな所を探す気力もない。
 このままどこかに立ち寄ろうか。
 

ご案内:「学生通り」に高峰 士さんが現れました。
高峰 士 > 学生服を着た少年が、何かを探すようにフラフラと歩いている。
目深にかぶった帽子はサイズが合っていないのだろうか。

探し物は見つからなかった様子で、ため息を一つ。
その後に気分を入れ替えるように気合を入れなおして……ぐぅとお腹が鳴った。

高峰 士 > 「……くそう、お腹が……早く探さなきゃいけないのに」

お腹を押さえて ぐっと我慢。
道行く人に色々と尋ねて回る。

水月エニィ > 「ま、どこかで補いましょ。
 ……クレープ。食べていきましょうか。」

 意識を切り替えて再度歩き出し。
 途中で適当なトラッククレープ屋を見かければ、そこに並んだ。
 
 

高峰 士 > たずねて回りながら、ちゃっかりクレープの列に並ぶ。
ついでに前に並んでいるお姉さんにも聞いておこう。

「あの……すいません。ちょっとお尋ねしたい事があるんですけれど」

水月エニィ > 「……どうかした?」

 どこか弱弱しそうな――お腹が空いている故にかもしれないが――
 ――ともあれ、そのような少年の姿と掛ける姿を認めれば振り向いた。
 
(何だか、つい最近見たような顔ね。
 すごく覚えがあるのだけど……)

 

高峰 士 > 「ちょっと人を探してるんです。
 高峰 司って女の人なんですけど……ご存知ないですか?」

言いながら首から提げているロケットペンダントを見せる。
中には不貞腐れて仕方ないといった風情で写真に写っている少女。

「……あと、常連さんだったらここのおすすめクレープ教えてください」

水月エニィ > 「高峰 司?聞いた事がな――」

 この不貞腐れ気味――もとい、斜めに構えた様な調子の少女には覚えがある。
 もっとも、自分の知るそれよりも"数段ヒネている"様にも思えなくはないが、おそらく本人だろう。
 装いの気配も通じている。
 
 数刻前に出会った少女がそうであった。

「ああ、さっき見たわね。
 名前は聞いていなかったけれど、高峰 司、ね。へぇ……
 クレープは、私も初めてだから知らないの。……それで、どうして探しているの?」

高峰 士 > 「その姉さんは、家出みたいに出て行ってしまって。
 なんとか伝手を駆使してこの島にいるのまでは突き止めたんです。
 両親も心配してて……その、説得は無理でも納得はしたいなって。
 せめて大丈夫だよって連絡が欲しいんです」

実に心配そうなできた弟。
そう見えるだろうか。

「ああ、そうですか……ちょっとお小遣い厳しくて外れを引きたくないなぁって思ったんですけど」

そっちは冒険してみます と苦笑い。

水月エニィ >  
「難儀なものね……
 ……分かった、お金が無いならクレープをおごってあげるわ。
 立ち話も怒られるから、座ってしましょ。」

 そう言ってみせれば、先に進む。
 会話している内に大分捌けていたのだろう。少し急ぐ。

「ビッグチョコクリームバナナパフェと……」

 貴方は、と、少年に声を掛けた。

 

高峰 士 > 「……ごめんなさい、お言葉に甘えさせていただきます」

ぺこりとお辞儀。

「あ、僕はストロベリーチョコクレープをお願いします」

そのまま、せめて商品を持つくらいはしようとする。

水月エニィ > 「――ストロベリーチョコクレープを一つ。」

 小さくうなずいて、
 持とうとする手にストロベリーチョコクレープとお冷を手渡す。

「こんな良くできた弟が居るのに家出をするなんて。
 社会力では姉より優れた弟かもしれないわ。……弟って言い続けるのも失礼な話ね。
 貴方の名前を聞いても良いかしら。」

 座れるベンチは用意されているらしく、そこに腰を預けた。

高峰 士 > 「タカミネ ツカサ っていいます。
 読みが同じでややこしいって思ってるんですけどね」

笑いながら受け取って、そのままベンチの隣に腰を下ろす。

「姉さんは……」

少し小声になって。

「素直じゃないですから」

ちょっぴり慌ててフォローするように。

「あ、でもでも素直じゃないだけでやさしくないわけじゃないんですよ!?
 ちょっと自分を悪く見せたがるというか。良い子に反発するっていうか」

水月エニィ > 「そうね。
 ……素直じゃない、ねぇ。」

 小さく息を吐いて。間を置く。そうして、ふと、と、少年を見据える。
 ……いまだに帽子は目深くかぶっているのだろうか。
 何気ないような調子で、彼の瞳を見ようとするか。
 何を、見ているのか。
 

高峰 士 > 帽子はいまだに目深にかぶっている。
瞳を見せないように。
何気なく覗き込んだその瞳は、妖しい紅に彩られている。

「“ええ、素直じゃないから本当の事を聞きたいんです。僕は”」

目が合えば、エニィの全てを覗き込むような視線を感じるかもしれない。
不躾に遠慮なくエニィの演じてきた舞台の全てを見るような、そんな瞳で。

水月エニィ >  
 
 見せない様にしている隙間から見える瞳。
 不躾に遠慮なく、全てを見たがるような視線。

 ……不躾(すなお)な視線には一切拒むことをしなかった。

(……まぁ良いわ。)

 確かにとてもよくできた弟だ。
 誰もがそうするように、自分を繕っている。

(あの姉にしてこの弟あり、かしら?)
 
 ――それが本来どういうものであるかは分からない。

 エニィにはその素振りが、ただただ"純粋な子供"のように見受けられた。
 社交の殻で身を覆っているから、よく出来ているのだとだと。
 出来た立ち居振る舞いは、自分の欲求を隠すものだと。 

 ……それならば、伝手を経て家出人を探す能力にも納得する。
 これほどの不躾(すなお)があるのならば、きっと手段は択ばない。

「そうね。本心を聞きたいわよね。
 ……分かったわ。次会った時にちょっとやってみる。
 連絡先だけ、教えて貰って良いかしら?」

 ・・・・・・・・・
 そう思ってしまって、張っていた警戒を解す。
 それ以上の理由も聞かず、粗も探さない。

 隠しきれないのか、隠していないのか。
 それも少し気に掛かったが、些細なものだろう。

 パフェを食べる。黒いチョコと白いクリーム、
 そして食べでのある太いバナナとそれを包む皮が美味しい。 
 

高峰 士 > 警戒されたかと思ったが、どうやら自分にとっていい方に転んだらしい。

ああ、人間……欲望(すなお)が一番だ。
やはり子供姿は『やりやすい』。
細かなミスも相手が勝手に勘違いしてくれる。

「ありがとうございます、お姉さん」

帽子を目深にかぶり直して、携帯電話を取り出して連絡先を交換……する前に。

「先にクレープを食べちゃいましょう。作り立てが一番美味しいんですから」

はにかんだ笑顔を見せた。

水月エニィ >  
 
 はにかんだ笑顔。
 それは不躾なものではないし、子供らしい自然な笑顔に見えた。
 目を合わせて、微笑み返す。

「そうね、……んっ……れろ……
 作りたてのうちに食べちゃい……んむ、んっ……ましょ……」

 頬張るように、少々行儀を悪くしてクレープを食べる。
 頬に白いクリームぐらいは付く。……そうして、食べ終えるだろうか。

 

高峰 士 > こちらは躾の賜物だろうか、上品に食べていく。

「頬にクリームついてますよ」

自然な感じで指を伸ばして……すくったクリームをそのままパクリ。

「甘くて美味しいですね」

その笑顔は年相応に見えただろうか。

「はい、これが連絡先です。
 商店街近くに宿をとっていますので……そちらに連絡していただいても構いません」

水月エニィ > 「全く、もうっ。」

 自然な笑顔な所作が見受けられる。
 気を張っているなら相手だってそうしている。
 たまにそうしないお人よしもいるけれど、大体の人間は考える。
 
 気を抜いたから彼が年相応の振る舞いを行っているのだろうと思ってしまえば、
 差し出された連絡先を 受け取った。

「頂くわ………と、悪いわね。名乗っていなかった気がするわ。
 私は水月エニィよ。ま、宜しく。」

 そのまま、握手に切り替えようとするだろうか。
 

高峰 士 > 笑顔のままで握手に応じる。

「改めて。高峰 士です。
 よろしくお願いします、水月さん。
 どんな小さな事でも結構ですので……姉のことお願いします」

そのまま頭を下げる。

水月エニィ >  
「取りあえず、ツカサ君と呼ぼうかしら。
 紛れちゃいそうだからあだなでも付けてあげたいけれど、
 思い浮かばないからまた今度ね。

 ……ええ。出来る範囲でやってみる。」

 頷いて応えてみせて、立ち上がる。

「それじゃ、私はそろそろ行くわ。
 また会いましょう、ツカサ君。」

ご案内:「学生通り」から水月エニィさんが去りました。
高峰 士 > 「はい、ありがとうございます!」

頭を上げて、エニィを見送る。
そのまま笑顔のままで嗤う。

「ああ、大変だ大変だ。
 日常は気がつけば非日常へと変貌している」

荷物からメガネケースを取り出して、中身を身につける。
大きな丸いサングラス。

「平穏を感じられたからこそ……その大切さもわかるというものでしょう?
 どこの誰だかは忘れましたが、そう言った方がいらっしゃったはずですねぇ」

帽子をとる。
髪をかきあげれば、腰まで届くような黒い長髪に。

「まぁ……舞台の幕は人知れず上がっている というのもいいでしょう?」

学生服を翻す。
白を基調にした司祭服を着た男性が立っている。

「それでは、次の幕まで―――どうかごゆるりと」

優雅に舞台役者のような一礼をすると スポットライトが消えた。

ご案内:「学生通り」から高峰 士さんが去りました。