2016/06/07 のログ
東雲七生 > 「ううん、まあ……要所要所?」

参考にならなかったわけではない、が。
余計にこんがらがった気がする、と苦りきった七生の笑顔が物語る。
どうにも嘘はつけない性分なのだ。言葉でも、態度でも。

「それはそれとして、それでも少し気は楽になったっすよ。」

あざす、と短いながらも今度は心からの笑みを浮かべて礼を告げる。

金良 楽 > 「アハハ、余計混乱しちゃった……って顔に書いてあるねぇ
 まぁ、歌っておいてなんだけど、色語彙沙汰はケースバイケース
 絶対の回答はどこにも無いと思うな」

今度は彼なりの言葉でアドバイスをする

「だからこそ、皆が悩むんだ」

「さて、まだまだ僕は行けるけど……どうする?」

東雲七生 > 「はあ、まあ……俺の事なら、ここまで悩む事もなかったんすけどね。」

あはは、と苦笑しつつ認める。
否定すれば嘘になる。だから認める。
ついでに誤解を僅かでも解いておこうとしつつ、

「みんなが、っすか……」

うむむ、と少しだけ考え込んだ。

「あ、そうっすか。
 だったらもうちょっとだけ、なんか聞かせて貰えると。」

金良 楽 > 「ありゃ、誰かほかの人のことだったのか
 ……誰かのために悩めるのは、やさしい人の証拠だよ」

二コリ、と笑うと、次の曲を考えた

「さてと……次は何がいいかな」

東雲七生 > 「誰かのためっつーのも、ちょっと違うんすけどね。」

くきゅるる、と七生の腹の虫が鳴く。
悩みが少し晴れれば、そういえば昼食ってから何も食べてない、と思い出し。
放課後のこの時間は、大抵何か食べているのだから、腹が減るのも当然だった。

「あー……そうだなあ。
 
 ………。

 ………ごめん、やっぱ何も思いつかねえや。」

もう一曲、お任せしても良いかな、と
考えてる間に懐から取り出した芋羊羹の包装を外しつつ尋ねる。

金良 楽 > 「了解、さっきは静かな曲だったから、今度は元気な曲にしようか」

少し考えてから、再びギターを構えた

「それでは次は、斉藤和義で『歩いて帰ろう』」

ジャッジャッジャッ、と軽快なイントロが流れる

金良 楽 > 走る街を見下ろして のんびり雲が泳いでる
誰にも言えないことは どうすりゃいいの? 教えて

金良 楽 > 体を揺らして、ギターを奏で
五月の風を思わせる、さわやかな声で曲を歌い上げる

「くぁ~」

トラ猫のピートが大きなあくびを一つした

金良 楽 > 急ぐ人に操られ 右も左も同じ顔
寄り道なんかしてたら 置いてかれるよ すぐに

東雲七生 > (……あっ)

知ってる、曲だった。
とはいえ、何処かで耳にした程度で曲名も歌手名も知らなかったのだけれど。
ただ、好きな感じの曲ではあったので何となくだが、覚えていたのだ。

(歩いて帰ろう、か……。)

もしかしたらミュージックストアのアーカイブにあるかもしれない。
帰ったら探してみようかと考えつつ、曲に耳を傾ける。

金良 楽 > 嘘でごまかして 過ごしてしまえば
頼みもしないのに 同じような風が吹く

急ぐ人に操られ 言いたいことは胸の中
寄り道なんかしてたら 置いてかれるよ いつも

東雲七生 > (……ふんふん。)

今度は特に何も考えず、ただ水を飲むかのように歌に耳を傾けている。
そこまで難しい言葉や比喩でも無いのですんなり聞ける。
少しだけピートの挙動が気になったりとかはしたが、些細な事だった。

(……もっと他にも誰か聴いてけばいいのに。)

金良 楽 > 走る街を見下ろして のんびり雲が泳いでく
僕は歩いて帰ろう 今日は歩いて 帰ろう

金良 楽 > ジャンジャンジャンッ!
とギターを止めて、またお辞儀をした

「というわけで「歩いて帰ろう」でしたー……
 割と有名な曲だよねポン○ッキでさ」

昔、あの子供番組に使われていた曲である

東雲七生 > 「おおー、お上手お上手。」

ぱちぱちぱちぱち。
再び拍手。やっぱり楽器が演奏できるって凄いな、と。

「あはは……ごめん、何で使われた曲かまでは知らなかった。」

指で頬を掻きながら、苦笑しつつも答える。
今でも過去でも、流行り物にはいまいち疎いのかもしれない。

金良 楽 > 「さてと……
 まだまだ明るいけど、僕はそろそろ行かなくちゃね
 今夜の寝床を探さなきゃいけない」

足元のピートは途中から眠っていたが、どうやら終わったらしい
と気づくと起き上がり、伸びと大きなあくびをした

「今日は付き合ってくれてありがとうね」

東雲にお辞儀をすると、ギターをケースにしまい、背中に背負った

東雲七生 > 「あ、えっと………そっすか。
 俺はもうちょっとここでだらだらしてから帰るつもりっす。」

半分ほどに減った芋羊羹を見遣り、せめてこれを食べ終えてから、と。
ギターケースを背負った青年を見て、にぱ、と笑みを浮かべて。

「いえいえ、こっちこそあざっした!えっと、俺、東雲七生っていいます。」

おにーさんの名前は?と時折ピートに視線を落としながら、青年へと尋ねた。
見た感じ、一つか二つ、年上だろうと見当をつけて

金良 楽 > 「ああ、自己紹介がまだだったね……
 おれの名前は金良 楽、でこっちが相棒のピート
 旅人って言ったら聞こえはいいけど、ただの根なし草さ
 島をあちこちぶらぶらしててね
 たまにこうやって弾き語りをしたりして、お金を稼いでるんだ」

傍らのピートを抱き上げながら自己紹介をする
名前を呼ばれたピートはピクリと耳を動かした後
にゃあ、と小さく鳴いた、挨拶のつもりだろうか

東雲七生 > 「金良サンに……ピート、っすか。
 ああ、もし学校で会う事があれば宜しくっす。」

きっと何か音楽関係の部活とかもやってるのだろうか。
そんな事を考えながら、再三見せた笑みをまた浮かべて。

「んじゃ、改めて今日はいい歌、あざっした。
 良かったらまた聞かせてくださいっす。

 ……んああ、そうだ、お金お金……。」

財布を取り出すと、中から黄金色に輝く硬貨を一枚取り出した。
しけてる気もするが、今七生の手元にはこれを除くと万札しかないのだ。
小銭の中では最高額である。それを、すい、と差し出して。

「これで美味いもんでも食ってくださいっす。
 この辺の店なら、これでも十分だと思うんで!」

金良 楽 > 「おや、嬉しいなぁ
 ありがたく頂くよ……ピート、今夜はちょっと贅沢をしよう」

見ればピートも嬉しそう……な気がする

「じゃあ、改めてありがとう、そしてさよなら……
 縁があったらまた会おう、広いようで狭いこの島の事だ
 もしかしたら明日にも会えるかもね」

二カッと笑って手を振ると、そのまま学生街の道を歩いて行くのだった

ご案内:「学生通り」から金良 楽さんが去りました。
東雲七生 > 弾き語りとその相棒が通りの雑踏の中へと消えていったのを見送って。
七生は芋羊羹を人齧りすると、自分が元居たベンチへと戻った。

「ふいー……ま、気分転換っつーか
 少しは頭もスッキリした気がする。金良サンには感謝感謝っすわー」

背凭れに体重を預けて溜息を吐き、
ついでに見上げた空は雲多め。ついでに風もなんだか湿っぽい。

「……そろそろ梅雨が来るなー」

東雲七生 > むんぐ、もご。ぷは。
小腹がすいたら芋羊羹に限る、と言わんばかりに頬張り嚥下して溜息を吐く。
さっきよりも少しまともに頭が働くようになった気がするのは、
どうやら音楽の効果だけでもなさそうだった。

「腹が減っては戦は出来ぬと言うけども」

考え事も同様とは知らなかった、と独りごちる。
しかしすぐに、まあ似たようなものか、と思い直した。
体を動かすのも、頭を動かすのも、ほとんど同義みたいなものだ。

東雲七生 > とりあえず、まあ。
人が人を好きなる理由なんてのは、本人に聞くほかない、ようだ。
さてこれはどうしたもんかな、と芋羊羹で胃を満たしながら考える。
やはりストレートに本人に聞くより他に無いのだろうか。無いのだろう。
問題はどうやって連絡を取るか、だが。

「トトならともかく、汀の連絡先……女子寮。」

行くしかないのか、と頭を抱える。
出来ればあそこには必要以上に近づきたくは無いのだ。
何となく。何となくだけど。

東雲七生 > 「ちゃんと色々、話さなきゃなーって……思うんだけどなあ」

先日の買い物から少し日が経ってしまった。
殆ど言葉も交わさず一方的に去られてしまったので、
自分の意思が十全に伝えられたとは到底思えない。
なので、彼女とは改めて話をしなければと思っているのだが、中々連絡を取りにいけないでいた。

「電話……電話?寮に電話して繋いでもらう?」

どうにもまだるっこしい手段しか取れない事に、溜息が零れた。

東雲七生 > 「それに、アレ、ちゃんと持って帰ったんかな……」

あの日、そもそも買い物をする筈だったのだ。
その結果、何故だか愛の告白を受ける事になってしまったのだが、
あの時買ったものを、彼女はちゃんと……ちゃんと?

「……着る、着て……着たのかな。」

試着室で見た下着姿が鮮明に思い出されて顔が赤く染まる。
扇情的な黒と白の二種類、その他にも幾つかあったような気がしたが、
七生が見たのは、その2色だけで。

「……ほんっと、何考えてたんだか……っ」

淫靡な肢体を頭から振り落としつつ、ベンチを立つ。
七生に強く印象付ける為なら、覿面なほどに効果を残せていた。

東雲七生 > 少しだけ、また顔を合わせるのが気まずくなった気がした。
いや、だいぶ一方的だが。

「だめだ……いいや、帰ろう。」

どうも考えが良くない方向へ傾きつつある。
こういう時は、何も考えずに体を動かすのが一番だ、と雑踏の中に紛れて帰路につく。


「………。

 ──走る街を 見下ろして」

先程聞いた、いつかの歌を口ずさみながら。
七生は異邦人街方面へと歩き去って行った。

ご案内:「学生通り」から東雲七生さんが去りました。