2016/07/01 のログ
ご案内:「学生通り」に世永明晴さんが現れました。
■世永明晴 > 世永明晴は思考している。
間違いなく自分は寝ている。それは、自分が持つ記憶――眠りに入る直前、はたまたそれは眠りに入った瞬間なのか。それは己にも判断できない。ただ、この記憶は間違いなく、自らが睡眠に向かったという間違いない記憶だ。
世永明晴は眠っていた。
学生通りのその路上の上で、立ち尽くし、なにをするわけでもなく。
眠っていた。
■世永明晴 > 寝ているのに思考している。
そこにわずかな違和感を覚えないわけではない。
ないが……世永明晴は、この学園にその仕組みと、制御を求めてきた。
そして、その仕組み――不確かなものだが、自分にはわかってきている。
寝ている自分だけが、理解してきている、というのも起きた時の自分は、皮肉に思うだろうか。
不正確に言うならば、自分は夢を見ている。
夢の中の自分だ。それが、現実で動いている。
分かりやすくいってしまえばそんなところだ。
だが、それは前述したとおり不正確な物だろう。
それは異能によってもたらされた。
だから、夢の中で思考している自分がいようと、それはなんらおかしなことではないのだ。
世永明晴はそう納得していた。
■世永明晴 > ところで今現在、するべきことがない。
起きている時にやろうとしていた事(まぁそれは、講義を受けるという些細なものだが)は、既に終わった。
寝ていると言っても、根本的な部分は同じ。
ただ、呆けているようなものが、更に寝ぼけている物に変わるだけ。
だから、とりあえず。
お腹がすいた。
「はひっ。……んー?」
先日の財布を無くした件は記憶している。
無事に見つかったようだ。
ならば迷う事はない、すすめやごーごー。腹を満たすのだ。
■世永明晴 > 「んんっ……」
眠りは快適でないといけない。
今まさに自分は眠っているのだから、その眠りは快適でないといけない。
この暑さは、その快適さを確実に阻害している。
そう言った旨から、寝息の様な声を漏らした。立ちながら、歩きながら。
眠っている彼は、寝苦しかった。
何を食べようか。涼しいものがいい。
自らの記憶の中に、そう言ったものがあるかどうか考えてみると、どうにも分からない。
それはそうだ。起きている時にも、寝ている時にもそのようなところ、探した覚えがない。
結果。彼は路上で立ちながら、まるで眠っているかのように――いや、事実眠っているのだが。――立ち尽くしていた。
この学園においての日常でも、この光景はどこまで奇異にならないのか。
それは周囲の判断に任せるしかない。
ともかく。
結果として、以前の様に。
暑いと汗を流しながら、眠りながら、立ち尽くしている。
ご案内:「学生通り」にエアルイさんが現れました。
■エアルイ > それを発見したのは、まさしく偶然であっただろう。
落第街とスラムをふらりふらりと探索した彼女は、
幾つかの出会いを経て一度学園へと戻り
――宿題の提出期限が迫っていたのだ。それは提出しなければならない
……たとえその内容と結果が目を覆わんばかりのものだったとしても――
その好奇心の行く先を、学生街のほうへと向けた。
学生通りへと向かったのは興味と偶然、僅かばかりの食欲に引き寄せられたものでしかなく
……特に目的があったわけではない。
この島の全てが、彼女にとっては未だ好奇心をかきたてるものだ。
故に――彼女にとっては、その少年の姿もまた奇異なるものであった。
「なな!! 何してるんだ? 日向ぼっこか?」
長大な尾で路面をたたきながら、汗を流し立ち尽くす姿に声をかける。
屈託の無い笑みを浮かべているが、少々その声はやかましいかもしれない
■世永明晴 > 「はひ?」
ゆだってきた頭に聞こえたのは、少々小うるさい声。
瞑ったままの目では視認は出来ない。かといって、目を開ける事が出来るわけでもない。
何故なら自分は寝ているからだ。
だけれども。
「お? おぉ?」
首を回す。声がしたほうへ。これは、自分に向けられた声だ。
不思議なもので、目は閉じられていようとも――。
「ちょーす。おげんきー? 暑いよねー」
それはまるで、あたかも知り合いで、もしくは友人で。はたまた――。
面識があるかのように。元気よく片手を上げて、声をかけた。
■エアルイ > 「お? ちょーすだな!!」
にかーっと笑いながら、元気に両手を上げる。
挨拶ははじまりだ。そしてここでは挨拶をするのは敵意の無い相手か、親しい相手だけであるらしい。
……見たことないから、敵じゃ無い方だな!!
そう結論づけて、爛々と輝く黄色い瞳を、
閉じられた目へとむける。
「暑いのかー。日陰がないしな!! 水もないしな!!」
少年の眼前に立つ少女もまた日差しにジリジリと焼かれているのだが、しかし一向に堪えた様子もない。
合羽の様な服を着ている以上、かなり蒸すと思われるが……
■世永明晴 > うむうむ。
等と言いながら、満足げに頷く。会話が出来ている気は元からない。
「あついあつい。暑くないー? 涼しいー? 暑いー」
今更ながら、誰だろうと思う。起きている間にも見覚えがない。
忘れることは……まぁないだろう。この角と尻尾。
というか暑そう。
しかし、小さい。幼いのか。自分と比べると見下ろすような感覚がある。角が刺さりそう。
「水。水あるー? 尻尾に入ってる?」
寝ぼけてるのか、寝ているのか。寝ているが。
■エアルイ > 「暑くないなー。これくらいなら平気だな!
涼しくもないけど暑くない!!」
律儀にそう応えながらも、観察するような視線をじぃ、と見返す。
猫背になっていても自分よりも頭一つは確実に高いその影に、
しかし気後れする様な様子もない。
なんだかふにゃふにゃして見えて――
「暑いと柔らかくなるって言うが、柔らかそうだな!!」
思ったままを口にしつつ、問いかけに首を傾げる。
「水はないぞ!! 此処だと川か買うかしないといけないって言ってるが、買ってないな!!
-―尻尾? 尻尾には入ってないな!」
応じ。長い尾が路面をたたき、軽い音を立てる。
鱗に覆われたその長太い尾は、重量感のある佇まいを見せている
■世永明晴 > 「そっかそっかー」
すごいな。声を漏らした。
この常世に所謂自分であるような、よくある人間以外の、ヒトは存外多い。
それを遠目に見かけることも、話すこともある。
だが、その度に違いを見つけるのだ。寝ている自分の方が、どうにも興味の幅が広いように思う。
その長い尾が叩き付けられる音に、おぉー。等と子供のような声を漏らしながら。
「やわらか……柔らか。食べてみる?」
ふと手を差し出してみる。食べちゃ駄目である。
「ないか。ないー。んん。じゃー、すずしいもの。あったり? なかったり? 知ってたり?」
汗は流れ落ちる。涼しいものを求め、オアシスを目指すかのように、魂が飛翔する前にぜひとも知りたいものだ。
■エアルイ > 「?」
バシバシと尾を地面に当てる度、不思議そうな声が漏れる。
目の前の青年は、どうやら尻尾が珍しいらしい。
この世界では……否。この世界の人間には、尻尾がないのが普通だからか。
しかし、目を瞑ったままなのにどうして分かるのだろうか?
耳がいいのだろうか。きっと耳がいいのだろう?
「――お?」
差し出されたその手をじっと見る。
ここでは、買った物でないと食べてはいけないらしい。
そもそも、人間はそんなに美味しいものではない。
が――目の前のふしぎな相手は、ひょっとしたら違うだろうか。
…………舐めるくらいならいいか。
「…………あぶっ!!!」
結果として、差し出された手を思い切り口の中にくわえ込んだ。
少しどころか、指をほぼ全部がっぷりと口におさめている。
力は入れていないが、異様に硬い牙などが当たって中々に怖いいかもしれない。
「もがもがもがもがもがもがもがもがもが」
問いかけに応えているらしいが、咥えたままでは何がなにやらである。
■世永明晴 > 「お、おぉー……」
さしもの寝てる間と言えど、割と余地なく手に食いつかれるのは予想外であったを表す際の声。つまり驚愕。つまり……阿呆。
「えぇっと。えぇー。やわらかい? おいしい?」
美味しくはないかもしれない。いや、ないだろう。
もしかしたらあるかもしれない。硬い感触に、んん、と寝息のような声を上げる。
味付けは精々汗により塩気ぐらい。そういうことでもなく。
手にかかる未知の感覚に少しばかりぶるり、と震えるが。
「うんうん。わからんわかんない。わからーん」
それはそれとして。
目の前に近づいた角に興味が膨らんでいくのを感じる。手に食いつかれたままだが。ままだが。
かわりに……というのも本当にどうかと思わないでもないし、流石に手に食いつかれた際に混乱でもしてるのかと思われるような内容だが。
それは本当にともかく。思ったままを口に出していた。
「角触ってみていいー?」
空いている手をひらひらと揺らがせながら。
■エアルイ > 「もぐもぐもぐーもっぐもぐ、あぶぅもぐぅ」
何を言っているか分からないが、
軽く頷いていることから取りあえず肯定的な意見であることは分かるかもしれない。
頷く度に牙が肌に浅くくいこみ、ぐに、ぐにと空恐ろしい感触を伝えてくる。
「んぷぁ……………しょっぶぁい!!」
口の端を僅かに濡れ光らせつつ、辛うじて判別可能な言葉をしゃべった。
少女の舌の上には――少しばかりしょっぱい、汗の味が残っているようだ。
先ほどまでの状況を鑑みれば、ある意味では当然のことかもしれないが。
「んお……? っぷぁふ……いいぞー?」
唾液の糸をつぅ……と引きつつ、指を口内から解放する。
エアルイからすれば不可思議な申し出ではあったが、大きな問題もないので否やはないようだ。
――あるいは、思う様味わった礼か、対価か
■世永明晴 > ひぃん。
手が解放されるその感触にもらした奇妙な声は、自分でもあまり考えたくない類の物だろう。
「しょっぱいかー。しょっぱ……」
思う存分手の味を確かめられて、叫ばれた内容がしょっぱいだったというのもそうだが。
そもそもやはり手を口の中に入れられるという状況そのものもよくわからないでいたし。
なによりこれをもたらしたのが自分自身だというのが実に寝ている頭でも理解できた。
面白いこともあるものだ、人の認識というものも。
とりあえずはそれでしめたが、手に残る唾液は割と残っているし、今更ながらここが学生通りであることは気づく間もなく知っている。眠っている自分が立ち尽くすよりよっぽど奇異な光景が繰り広げられていたが。
大丈夫、気にする人はここにはいない。周囲はともかく。
「いいのー? いいの」
角、というものも千差万別らしい。角に対する感覚も。
とりあえずは、許しも出たことだ。唾液のついていない手で、見下ろすようにあるその角を、撫でるように触った。
「角だ。角角。大きいねー?」
■エアルイ > 「にははっ!! 変な声だ♪」
ケラケラと笑いつつ、しかし差し出された手をそのまま受け入れ、角を撫でさせる。
口元を着ている合羽の裾でぐいぐいと拭い、
にかにかと笑みを浮かべながらされるままだ。
「んぃ~? まだまだ小さいぞ! もっと大きくて太くて硬くなるぞ!!」
聞きようによっては中々問題のある内容を平然と口にする。
ここが学生街であることも、周りに人がいるかもしれないこともあまり気にしないようである。
そしてそれを注意されない以上、彼女が気にすることはないだろう……それが幸せなのか不幸なのかは、また別として。
「子どもだから、もっと大きくなるぞ。これからだ!」
ぐりぐりと、角を押し付けるように背を伸ばし、頭を押し付ける。
手指に触れる角には、生物特有の熱と重みが篭っており……
僅かな間だけ、目の前の少女の影に、少女とは全く違う形をした何かの影を感じることができるかもしれない
■世永明晴 > 「そりゃそりゃね」
今までにない感触だ。想像できるものと、想像できない物がある。
しかしながら、一度体験したものは、それは再び未知の感覚とはならない。
「へぇ。へぇ……」
撫でながらも。その熱の感触を学びながら、感心したような。
興味深そうな声を上げていることに気付く。
実際興味深いのだろう。生物の物なのだから成長する。
人間にはない部分が。その成長過程は、興味深い。
たとえこの世界においてはありふれたものになろうとしていたとしてもだ。その影を含めて。
どことなく本能的に恐怖を感じないこともない。未知の物への物。
知らない物は怖い。
しかしそれは、寝ている自分には、関係のないことだ。
考えている内容が真面目であろうとなかろうと、現在奇異で多少問題がありそうな状況であることには何ら変わりはないが。
ぱたりと手を離した。もう十分であろう。もう十分だ。釣り合いはとれているだろう。
「うん。うんうん。したらー、そしたらまた触らせてー」
その成長した時にでも、とは言わなかった。
「さてさて。……んん。キミのお名前は?」
それならば、またの時の為にでも。
なにより、この少女自身も変な奴、であったからだろう。
■エアルイ > 「いいぞ!! また会ったらな!」
何を思っているか、何を考えているのか。
そんなことを気にすることなく、考慮することもなく。
あるがままのまま、少女はにかーっと笑みを浮かべる。
目の前の相手は悪いヤツではなく。角を触っていて。
そして自分は悪い気分ではない。
掟にもルールにも反さない。
ならばそれが全てで、それ以外はどうにでもなることで、
どうであっても構わないことだ。
例え周りが何かふしぎなものを見ていたとしても、
ふしぎな物と一緒にいるのならばそれが寧ろ当然だろう。
「ん? エアルイ。 エアルイだ!! お前はなんていうんだ?」
黄色い瞳を爛と輝かせ、彼女は大きくそう名乗る。