2016/07/02 のログ
■世永明晴 > 「あっはっは!」
カラカラと笑う。カラカラと。瞳を閉じながらも笑った。
やはり変な奴で……変な奴だ。
喉の水分が足りない気もするが、笑い方のせいだろう。恐らく。
「へいへへい。エアルイー。エアルイ」
覚えただろう。大丈夫、記憶力はいいんだ。
「世永明晴、あきはる。おけー?」
世永明晴だ。起きていようと、寝ていようと。名前は共通、人物も共通。そこにあるとするならば――。
もう一度だけ、彼女の角に触れようとしてやめた。
その代り、その伸ばしかけた手を振り。
「んじゃねー。ばばい。ばーい」
何をしようとしていたのか、本来の目的は。
別にいいだろう。困るなら、起きた時だ。
片手についた唾液の痕。熱くなっている体。
それらをすべて後に回し、気分良く歩き出す。
「今度は起きている時にでも会おう」
少し。少しだけ。そこだけははっきりした口調で、背を向けて歩き出した。
■エアルイ > 「おー! またな、あきはる。世永明晴! またな!!」
何をしようとしていたのかは分からないが、
さよならの言葉に応えて手をブンブンと大きく振る。
出会った時と変わらない大きな声で、出会った時と変わらず瞳を爛々と黄色く瞬かせ。
また会う時は、目を開けるだろうか?
そんなことを考えていると、少しだけ口調の違う声が聞こえた。
「――?」
それが意味するものは分からない。
分からないが、分からないということが分かるだけで十分だ。
分からないなら、また出会った時に分かることだろうから。
「まーーたーー!!」
最後に大きく声を出すと、背を向け小さくなる影を見送ってから、
その場を後にした。
ご案内:「学生通り」からエアルイさんが去りました。
■世永明晴 > その後。学生通りより少し離れた場所。
起床した彼は、自らの異変に気付き、困惑に満ちた声を上げる。
それはどこまでも情けない響きを伴っていた。
ご案内:「学生通り」から世永明晴さんが去りました。