2017/07/22 のログ
神代 理央 > なまじ与えられた選択肢故に頭を悩ませていれば、茹だるような暑さを吹き飛ばすモノ――注文していたアイスクリームが目の前に置かれる。
小洒落たトッピングがある訳でも、格別量が多いわけでも無い。店主が素材に拘って云々とチラシで見た記憶はあるが、余り覚えてはいない。

兎に角、冷たくて甘いものを口にしたかっただけなので、眺めていた冊子を仕舞い込み、いそいそとスプーンで掬ったアイスを口に含む。
…素材に拘ったというのは確からしい。味は純然たるバニラアイスであるが、その濃厚さと後を引かない後味は素晴らしいものだ。これから帰宅前には寄るようにしよう、と今迄の悩みとは全く無関係な事を一つ決定した。

神代 理央 > 冷たい甘味を味わい、残っていたココアで一息ついた後、持っていた冊子に一瞬目を落とすがそれを再び開くことは無い。
ジリジリと照りつける夏の夕日に辟易しながらも、糖分が行き渡った頭でゆっくりと思考に耽り始める。


「…異能に限らず魔術の知識も得る必要があるだろうか。とはいえ、そもそも異能とやらの知識もロクに無い現状では高望みというものか。何より、動く的に当てる練習をせねば、いざという時ただの案山子にしかならん」


ぽつぽつと独り言を漏らしながら、零れかけた欠伸を噛み殺す。此の島で動く的といえば未開拓地区かスラム街か。程々に反撃してくれれば尚良いのだが―

神代 理央 > 尤も、相変わらず口煩い実家の使用人からは
「学生の本分は勉強です!坊ちゃまは学生らしく、学問と遊びに邁進すれば良いのです!」
と、勤勉を促しているのか怠惰であれと言っているのか良く分からない有様。とはいえ、勉学を疎かにする訳にもいかない。さして己の知識や頭脳に自信がある訳でも無いし―


「卒業後の事も考えれば、異能や魔術以外の知識も研鑽する必要がある、か」


気ままな一人暮らしとはいえ、やることは山積みかと甘味で緩んだ表情は物憂げな溜息と共に曇っていく。

ご案内:「学生通り」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 涼やかなクーラーの風が外の熱さを忘れさせる。
現代機器の恩恵を全力で感じながら空いてる席を探せば
一人溜息を吐いている男子生徒がいた!
席を探すのも大事だが悩んでる相手も捨て置けない!

「おっと!!そこの君!さては何か悩んでいるな!?
 そう!悩み困っているな!?」

無駄にカッコいいポーズを取りながらいきなりそうやって話しかける。

客観的に見れば大変に変な人であるだろう。

神代 理央 > 突然眼前に現れた男が、まさか自分に声をかけているとは露程も思っていなかった。
迷子でもいるのだろうかと考えていたが、どうも〈悩み困っている〉というのは自分の事を指しているらしい。
思わずぽかんとした表情を浮かべるが、取り繕うように息を深く吐き出し、彼に視線を向ける。


「……ええと、悩んでいるといえば悩んで………というか、どちら様でしょう?」


外向けの仮面を被りきれた己を自画自賛しつつ、己と違って随分と男らしい、筋肉質な彼を見上げる。
夏場にも関わらず、その首元に巻かれた白いマフラーの様な物は暑くないのだろうか、とか、マンションの住人からこんな容姿の有名人がいると風の噂で聞いた様な、とか、取り敢えず110番しておくべきかどうか、とか。
若干混乱しながらも首を傾げて尋ねるだろう。

真乃 真 > 「おおっとすまない自己紹介がまだだったね!!
 僕の名前は真乃真!この学園の4年生さ。」

無駄にカッコいいポーズを維持したままで名を名乗る。
白く異様に長いタオルがしつないであるというのにバッサバッサと靡いている。

「…なるほど理解した!!
 つまり、君はなんの委員会に入るか考えてていたんだろう!?
 前に置いてある雑誌を見ればわかるよ!」

コーヒーを運ぶ店員に嫌そうな視線を向けられる。
そう、ここはカフェの通路だ。そりゃ邪魔になる。
店員に小さく「ごめんね」と謝り避けるとそのまま自然に男子生徒の向かいの席に腰を下ろした。

「…確かにどれも魅力的な委員だな。個人的なおススメは生活委員かな?
 生活って言うだけあって活動内容が広いからね学園生活を楽しむならここだね!」

…勝手に話を進めていく。

神代 理央 > 「あー…御丁寧にどうも。神代理央、1年生です。入学したばかりで学園の事もこの島の事もまだ詳しくありませんが、宜しくお願いしますね、真乃先輩」


まさか彼が最高学年の先輩だったとは。己の素を出さなかった事に改めて安堵しつつ、にっこりと笑みを浮かべて名乗り返す。


「ええ、概ねその通りです。冊子を眺めていても今ひとつ決め兼ねて居まして…。生活委員会、ですか。確かに、幅広い活動が行えそうな委員会ですね」


カフェの店員への態度と、己の悩みを直ぐに看破した洞察力。
流石は上級生というべきか彼の人柄故か、決して不審者や変人の類では無いのだろうと思いを改める。


「個人的には図書委員会や公安、式典委員会でも悩んでいたのですが…選択肢が多い事は時として幸福な悩みでもありますね」


彼に答えを返しつつ、眼前に腰掛けた相手を観察するようにじっと眺めてしまう。
歳上の相手に失礼な態度だとは理解していたが、碌な知人もいないこの島で、接する相手が敵なのか味方なのかつい考え込んでしまう。そんな悪い癖が行動となって現れた。

真乃 真 > 「なるほど、新入生か!色々と本土の方とは違っていて戸惑うとは思うけど
 分からない事があれば何でも聞きなよ!」

うん、丁寧でいい子だな!!
それに素直だ!!

「ほうほう、そうだね…公安委員はある程度腕っぷしに自信があった方が良いかもしれないな。
 なくても出来る仕事はあるけどあった方が良いところには入りやすいと思うよ。
 まあ、調節具体的に動くなら公安よりも風紀がいいかもだれど…。
 図書委員はあれだ!魔術の勉強とかしたいなら特におすすめだな!
 普通なら借りられない本も読みやすい。
 式典委員は…色々と計画的に決めて動けるなら向いてると思うよ!」

それぞれの委員の長所を話し始める。
式典委員なんかは詳しくないからイメージで…。
こう普通の話をしていると確かに変人っぽさはいくらか薄れて見えるかもしれない。
いや、一般に言う変人ではあるのだけれど。

「まあ、存分に悩むといいよ!
 実際に雰囲気を確認するのもいいしね!」

見つめる視線を受けながらそんな風に軽く話す。
人に注目されるのは慣れているようで視線に気がついても気にしていな…

「…もしかして顔に何かついてる?」

いや、結構気にしていた。

神代 理央 > 冊子を眺めているだけでは分からない各委員会の内情を丁寧に教えてくれる彼の言葉に、ふむふむと相槌を返す。
取り敢えず公安と式典委員会は却下。図書、生活、風紀の何れかにしてみようと思考を纏める。
因みに、島内に詳しくない状況で計画を立てるというのは難しいという理由で式典はパス。公安は、そもそも腕っ節に自信が微塵も無いからだが…悲しくなるのでこれ以上考える事を止めた。

「実際に雰囲気を確認…。委員会は見学等が出来るものなのですか?それだと、色々助かるのですが…」

実際に雰囲気を確認出来るのなら、冊子を眺めて悩む必要もない。何か伝手が必要なら現金を積めば良いのだろうかと考えていたが――

「……いえ、別に。面白い人だなあと思っていただけです」

しまったな、と内心で小さく舌打ちしつつ、彼に向けていた視線を僅かに逸らせながら笑みを浮かべる。
尤も、咄嗟の言い訳で浮かんだ言葉はそれはそれで酷いものではあったのだが。

真乃 真 > 「うん、出来ると思うよ。…風紀とか公安は詳しいとこまでは見せてくれないと思うけど…
 他のところなら問題は無いと思う。まあ、どこの委員もいつでも人手が足りてないからねきっと大歓迎さ!
 もし、行くなら連絡入れとこうか?公安以外は知り合いがいるからね!」

基本的に委員会はどこでも人手が足りていないのだ。
きっと受け入れてくれるだろう。

「よく言われるよ!」

なるほど、特に何もついてなかったのかと安心する。
面白い人と言われるのはいつもの事だ問題ない。

「あっ!すいませんアイスカフェラテとこの夏のアイスパフェ一つください!

 っと…そういえば、神代君は何か理由があってこの島に来たのかい? 
 異能が急に発現してその制御の方法を身に着ける為とか?
 いや、言いにくいなら言わなくていいんだけどね?」

店員に注文をしたその口でそんな事を尋ねる。
ちなみにこの理由は真がいままで人に聞いてきた中でトップの理由である。

神代 理央 > 「本当ですか?先輩のご迷惑でなければ是非お願いしたいです。何分、知人も友人もロクに作ることが出来ない有様で」

願ったり叶ったりというべきか、彼の言葉には素直に嬉しそうな笑みを浮かべるだろう。
しかし、初対面の相手に此処まで親身に話を聞いてくれるとは、根っからの人格者かはたまた何かしら裏があるのか……限りなく前者だと思うのだが、それでも無意識に疑ってしまうのは己の悪い癖だろう。

「……よく言われるんですか。というより、先輩はそれで良いんですか…」

安心した様な態度を見せた相手に、思わず突っ込んでしまう。
それとも、世間一般では寧ろこういう考え方が主流なのだろうかと、己の箱入りぶりを若干不安に思う程。

「概ねその通りです。本土では異能を発現しても肩身が狭いだけですし、気ままな一人暮らしも兼ねて、此方で異能をしっかり制御出来ればと思ったんです」

実際、異能の制御・増幅も入学した目的の一つではあるので、嘘は言っていない。己の異能が世の為人のためになるとは露程も思わないが、差詰めマニュアル通りの返答、とばかりに彼に答えを返すだろう。

真乃 真 > 「ああ、救命ボートに乗ったつもりで任せると良いよ!
 友だちはともかく知り合いも出来てないのかい?
 まあ、それも委員会に入れば大丈夫さ!」

なんせ委員会に入れば共通の話題が出来てそれで話したい放題の知り合いたい放題だ!
所属している人が多い風紀委員は特におすすめかもしれない!

「えっ?別に構わないよ。
 神代君も別に僕を嫌な人だとかは思ってないってわけだろう?
 面白い人っていうのも初対面なら割と高い評価だとおもうんだよ。」

面白いに様々な意味が籠っていることもあるけど少なくとも彼からは感じていない。
ならば気にする理由もない。

「ふふふ!一人暮らしが気ままと言っていられるのも今の内だけだぜ!
 今まで家族に頼ってたら色々と大変だからね!特にご飯とか!
 最悪外食にすればいいんだけど常に見つけないと飽きちゃうしね!」

いくらおいしい店であっても行き続ければ飽きてしまう。
そして最終的にニライカナイでポテト食ってる羽目になる!

「君がどんな異能かは分からないけどここでは僕もだけど異能を持ってる人多いからね。 
 まあ、時間はあるんだから気楽に頑張りなよ!」

制御でできあんければ人や自分の命に係わるものならともかく…。
まあ、きっとあの感じなら問題ない異能だろう。

神代 理央 > …救命ボートというのは、既に沈んだ後ということなのか、取り敢えず泥舟よりはマシということなのか。
まあ、深く考えるだけ損だろうと曖昧な笑みで頷き返す。

「何分、人見知りする性格なもので。入学する前も、友人を作るのは苦手でしたよ」

困った様に苦笑いを浮かべながらわずかに首を振る。
こうして外面の良い仮面でにこにこしているのは得意なのだが、いざ素を出してしまえば自分と仲良くなろう等と思う奇特な人間はいないのではないか、と半ば諦観していた。

「…そういうものなのですか。先輩は随分と前向きな方なのですね。私も見習いたいです」

確かに、面白い人と口から出た言葉には悪意を込めたつもりは毛頭ない。己の口から漏れたのは率直な感想だったのだが、それを高評価と評する彼の考え方に感心した様に頷いてみせる。
自分は割と短気だという自覚があるので、尚の事。

「料理にも挑戦しようと思った事はありますが…人間、向き不向きというものがありました。既に外食に頼る日々ですよ。
……そういえば、先輩はどの様な異能をお持ちなのですか?もし差し支えなければ、後学の為に是非お伺いしたいです」

異能の話になれば、己の幼い知識欲が彼の異能を尋ねる言葉となる。
常世学園の最上級生ともなれば、異能の制御はさぞ高いレベルにあるはず。となれば、どの様な異能を制御し、己の力としているのか――不躾な質問だなとは思いつつ、興味津々といった体で彼の瞳を見詰めるだろう

真乃 真 > 救命ボートつまり助かったぐらいの気分でいて欲しい。
最も救命ボートも沈まないわけではないけども…。

「人見知りか…僕は経験がないからなんとも言えないな。
 うーん、話をしやすい人から慣れていくぐらいかな?
 いいアイデアが思いつかなくてごめんね。」

そこまで人当たりもよさそうだし。
話せば友人の一人や二人できそうなものだけど…。
…友人のハードルが高いのかもしれない。

「まあ、ほどほどに見習うと良いよ!!
 あんまり、前向きすぎてもどっかで転ぶぜ!」

きっと、この前向きさには多くの失敗も付いてきているのだろう。
ポジティブシンキングもまあほどほどが大事である。

「おっと、僕の異能かい?いや、実際大した事ないんだよ。地味だし!」

そんな風に言っていると注文していたカフェラテとアイスが届いた。
それを店員から手を伸ばして触れた瞬間。
そのカフェラテとアイスは真の前にまるで瞬間移動したかのように動いていた。

「まあ、こんな感じの異能だよ。
 自分と触ったてる生き物以外のものの姿勢…ポーズを変える異能さ。
 まあ、見ての通りの地味な異能だよ!」

間のコマを抜かしたアニメ作品のようにポーズが瞬間で切り替わる。
何度も何度も無駄にカッコいいポーズが切り替わる。

「着替えとか朝の準備を一瞬で終わらせることが出来るのが最大のメリットかな!
 で、神代君はどんな感じの異能を持ってるんだい?」

自らの異能のそのすべてを話きる。

ご案内:「学生通り」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 「いえいえ、こればかりは私が自分で何とかしなければならないことなのでしょう。余り先輩を頼りすぎるのも良くないですしね」

実際、是迄自分に友人と呼べる存在はいただろうか、と頭の片隅で考えながらも、ニコニコと笑みを浮かべて答えるだろう。

「…ポーズを変える、というよりもまるで瞬間移動した様に見えましたよ。実用性も含めて、素晴らしい異能だと思います」

突如眼前に移動したカフェラテとアイスを見れば、驚いた様に目を見開いた後、羨望を込めて相手の能力を褒め称える。
実際、日常生活から戦闘まで幅広く活用出来るであろうこの異能を十二分に使いこなせるというのは素晴らしい事であり、同時に脅威でもある。異能持ちとのコネクションを築けと命じた父の考えは正しかったのかと、不承不承認めざるをえないだろう。


「私の異能は……大した事はありません。召喚系統の異能ですが、呼び出せるのはスクラップ手前の金属の塊。とても、此の場所でお見せできる様なものでもありません」

半分本当で残りは嘘では無く秘匿。
金属の塊を召喚することも、此の場で使用するには少々人目が気になるのも事実。ただ、随分と破壊に特化した己の異能を明かしたくない――その理由は秘匿主義と、この親切な男に軽蔑されないかという不安が半々――己にとっては、それが精一杯であった。

真乃 真 > 「まあ、最終的にはそうだね。」

よほど喉が渇いていたのかカフェラテを勢いよく飲む。
人がどうこう言うよりも本人の意思が大事になってくる。
友人関係というのはそんなものだ。

「ああ、検査によるとポーズが変わるその時間は0秒らしいからね!
 そう!まさにノータイム!」

異能を使わず普通に無駄にカッコいいポーズを取る。
実際は思考の時間が入るから0秒にはならないのだけれど。

「召喚系統か…まあ、制御に慣れてないなら見た目もあれだろうしね。
 カッコいい見た目のが出せるようになったらまた見せてよ。」

異能に目覚めたばかりなら確かに自信はないだろう。
見せたくない気持ちも良く分かる。

「あっこの学校、芸術で金工の授業とかもあるから取ってみたらいいかもしれないね!
 金属の塊とか出す異能なら何か参考になるものがあるかもしれないし!!
 先生も良い先生だし!」

アイスクリームを凄い勢いで食べ進めながらそんな話をする。

神代 理央 > 「……ところで、最初から気になっていたのですが、その先輩が取っているポーズ?は異能による制限や強制的なものなのですか?それとも、その、先輩の好みで…?」

出会い頭からまるでテレビのヒーローの様なポージングを見せられていたが、実はそれは異能による代償か何かだったのだろうか。
ただ、短時間ながらも相手と接し、その人となりを知れば異能の力の副作用等の可能性は限りなく0だろうと思ってはいるのだが。
何方にせよ、強力な異能であることは間違いないのだし。

「ええ、その時は是非。早くお見せ出来る様に、研鑽に励みます。
金工、ですか…。そこからのアプローチは考えた事がありませんでした。確かに、造形を操作するにはそういった知識も必要ですね…」

盲点だった、と言わんばかりに思わず口元に手を当てて考え込む。
己が生み出す異形が取り敢えず人に見せられるレベルになるのなら、是非とも学ばなければならない学問だろう。破壊に特化するなら兎も角、自分は戦争屋になるわけではないのだし。

真乃 真 > 「好みの問題だ!
 カッコいいだろう!?」

特に代償とかではない。そんな制限も特にない。
まあ…写真とかに写したら普通にカッコいい気もする。
実際に目の目でポーズを付けられたら少しまあ困ってしまうだろうけど。

「ああ、異能は特に何かを出したりする異能はその人の経験や心に影響されてくるらしいからね。
 色んな経験を積むのは君にとっても異能にとってプラスになると思うよ。」

そう言うと二人分の伝票を持って立ち上がる。

「さて、じゃあ僕はそろそろ行くとするよ。
 また、困った事があったら僕を呼びなよ近くにいたら助けるから!」

そんな言葉を残して有無を言わさずレジに向かっていく。
…財布の中は何とか足りそうだ。

神代 理央 > 「ええ、まあ……そうですね。個性的でカッコいいと思い…ます」

実際カッコいい事は事実なのだが、それを眼前で披露された後感想を求められれば、一瞬何とも複雑そうな表情を浮かべた後、コクコクと頷く。
カッコいい、カッコいいのだが、それを公衆の面前で披露するのは如何なものだろうかと、ツッコミたくなったのを抑えつつ。

「経験や心に影響される、ですか。成る程、身に染みる言葉です」

ということは、今現在己が召喚している異形は、己の内面の現れなのだろうか。強ち否定も出来ないが、随分荒涼とした内面なのかと己のことながら思わず苦笑いを浮かべてしまう。

「ええ、今日は有意義なお話を伺えてとても嬉しかったです。そうですね……じゃあ、また困った時には、真乃先輩の事、頼りにさせて頂きます」

自分と違い、しっかりと鍛えられた様に見える体つきと、初対面の自分の話も真摯に聞いてくれる懐の深さ。
そういえば、マンションで聞いた噂話は確か「ヒーロー」というオチがついていただろうか。
己とは真逆の精神を持つ彼を眩しく感じながらも、彼と共に立ち上がり礼を述べる。

「あ…此処の代金くらいは僕が払いますよ。話を聞いてくれたお礼くらいはさせて下さい」

そんな事を思っている間に、彼は伝票片手にレジへと歩いて行く。流石に自分の分まで払わせるのは申し訳無い、と慌てて彼の後を追いかけて声をかける。
…此の人は、一体何処までお人好しなのだろうか。

真乃 真 > 「ああ、僕で良ければいくらでも頼りにしてくれればいいよ!!」

そう言って自信ありげに笑って見せる。
先輩だもの頼られるてなんぼだ!

「いや!君それは先輩の顔を立てるべきだと思うんだ!!」

そんなこんなで結局それぞれのお金を払う事で落ち着いたという。

ご案内:「学生通り」から真乃 真さんが去りました。
神代 理央 > 結局押し切られるままに彼の分は支払わせて貰えなかった。
自分が彼に出来る礼等、金銭的なものだけなのだが…。

「…分かりました。それでは、次お会い出来た時は僕に御馳走させてくださいね、先輩?」

こういう強引さは嫌いじゃないな、とぼんやり思いながら彼と別れる事になる。
近いうちに委員会の見学に行こうと心に決めつつ―

ご案内:「学生通り」から神代 理央さんが去りました。