2018/01/18 のログ
ご案内:「学生通り」に久遠寺 精斗さんが現れました。
■久遠寺 精斗 > 故郷を離れて電車で数時間。
新幹線に乗り換えてさらに2時間。
そのうえ船にまで乗ってダメ押しの約数時間。
それほど遠い遠いこの常世島に、この男の子がやって来たのはほんの3日ほど前のこと
入学申請と入寮申請をしたのが年明け前だったにも関わらず、手違いから入寮申請のみ通過したことを知ったのはほんの一昨日のこと
一応入学審査やら何やらはこれからあるものの、その段取りはこれから決まる事を知らされたのは昨日
そんなわけで、学生未満の男の子、久遠寺 精斗は天涯孤独一歩手前の状態でここに居る。
あんまり気にしていない風で。
■久遠寺 精斗 > 周りを見回せば、人、人、人じゃない、人っぽいけど、獣、アレは何。
そんな多種多様な住人達が往来を行き来している。
平日の夕方、学園的な言葉で言えば“放課後”だからかとても賑やかだ。
そんな様子をにこにこと微笑みを浮かべたままベンチに腰掛けて眺めている男の子。
「わあ、本当に色んな人が居るね。聞いた通りだったよ。」
にこにこ。にこにこ。
行き交う人は誰も彼に注目なんてしないし、彼もそれを求めてはいない。
ただ人が居て、それを見ている。それだけの事なのに、至極幸せそうな顔をしていた。
「この中の誰かが、僕が帰るべき道を知ってると良いけど。
学生寮、どこかな。来た道も覚えてないや。」
にこやかにそんな独り言を零した。
そう、つまるところ、彼は迷子なのである。
ご案内:「学生通り」にジャムさんが現れました。
■ジャム > 卒業式がそろそろ近づいて、意中の人が居る生徒も告白するかどうかを決心しなきゃいけない季節。
そういう前フリとは全く関係の無い半獣人は放課後の学生通りを鼻歌混じりに尻尾を揺らし歩いていた。
「今日はバイトが無いから帰りどこによってこっかなー。
……。
――あれ?」
往来の端にあるベンチの脇を通り過ぎたのだけれど、そこに猫がねそべってるよな雰囲気で微笑む男の子が幸せそうな顔をしている。幸せそうな顔をしつつ、何かお困りオーラをかもしだしている気がして。そのギャップに惹かれて振り向けば、てってって、と近づいていき。
「こんにちはーお兄さん!
……今、何してるとこ?」
にーっ、と笑顔で挨拶をすれば片手と尻尾を軽く振って。
とりあえず会話を試みた。実際何か困ってたら助けるつもり。
■久遠寺 精斗 > 「まあ、いーかぁ~……」
時たまに木枯らしが吹き抜け、まだまだ冬が続く事を感じさせる
それでもその男の子の居るベンチだけは春のようなのどかさが漂っていた。
「ううん? あ、やあ。こんにちは。
今はね、こうして座って、この島の人たちを見ているとこ。」
声をかけて来た半獣人の女の子へと、にこやかに挨拶を返し、子供にするかのように柔らかな状況説明を行う。
ゆるゆるほわん。暖かな陽だまりのような微笑みが女の子へと向けられる。
■ジャム > そこだけ桜の花が咲きそうなベンチ。そこへ近づいて彼のテリトリーに入り込むと春日の陽気が漂う。気温は特に変わっていないのにふっと目元が緩んでのんきに生あくびが出てきそうだ。
「そっかー。
この学園っていろんな人が居るから見てても楽しいもんね。
えっとー。僕も一緒に見てていい?
目がふたつより、目がよっつあるほうがきっといいよ」
ゆるほわな微笑みにつられて、ふにー。
笑顔が彼の表情寄りにゆるんでしまう。声かけたみたけど、特に困った事はなさそうだった。そのまま立ち去るほど忙しいわけではないし、相手の隣に座っていいかなとばかりにこてんと首傾け。2人だから目がよっつぶん。だなんて冗談めいた事を告げ。
■久遠寺 精斗 > 「良いよぉ。
でも……よっつ?ひぃふぅ……あ、そっか。そうだね、よっつ。」
少しだけベンチを横に動いてスペースを空けて、再び視線は往来へ。
実のところ普通の人なら迷子で途方に暮れている状態なのだけど、持ち前の雰囲気でそれを感じさせない。
にこにこと行き交う人々を眺める姿は既にこの島に来て長いのかと錯覚させるほど。
「そういえば、君の名前は?
あ、僕は久遠寺 精斗っていいます。」
思い出したように女の子へ振り返って、小首を傾げて尋ねてみたり。
■ジャム > 「うん、ありがと!
そうそ。よっつだよ。
ほら、僕の目がひとつ、ふたつ。お兄さんの目が、ひとつ、ふたつ。だからよっつね!」
スペースを空けてもらえると笑顔深めてお礼を言い。リュックを背中からおろして膝の上において。ひょいとベンチに収まった。
さっきの困ったオーラは気の所為だったかな、と少し彼のほうを伺うけれど、とりあえず少し話をしようと思い。
常世の島国に慣れた風にリラックスしている様子の彼をそっと見上げる。
「僕はジャムだよ。見ての通りの半分ケモノ。1年なんだー。よろしく!
くおんじしょうと……。古い宝物みたいなお名前だね。
精斗って呼んでもいいかな?」
にこやかに自己紹介をしたら自分の人種を揺らすケモミミで示してみて。かたい敬称を抜きたがり、もう一度彼の顔を見上げて。
「そういえば、何年生なの?」
ふいに浮かんだ疑問をそのまま尋ねてみせる。
制服も私服も、クラスとしてもはっきりとした区別の無い学園故に相手の所属を計り知る事ができなくて。それとなく相手の服装を眺めながら。
■久遠寺 精斗 > 「ジャム、って言うんだ~。
美味しそうな名前だね。パンにつけたら美味しいよね。
あ、お腹空いたなあ。
僕の事は好きに呼んで良いからねぇ。
うんうん、精斗で良いよ。呼びやすいならね。」
独特なペースで語る姿は老人のよう。
それでもはっきりと穏やかな、耳触りの良い声で返事を投げていく。
柔和に細められた瞳は何処へと向けられているのかも判断がつかない程で。
「ええと、実はまだ入学手続きが完了してなくって。
早くても来月、もしかすると時期合わせで4月まで待つかもしれないんだって~
……だから、ええと……0年生かな。」
それだとよく分かんないよねー、と笑ってから、
「年齢だと、大体15歳くらい。
うん、15歳で間違いなさそうだ。」
二度言ったのは指折り数えてみていたから。
ぐーとぱーを作った手をぼんやりと見つめてから、ジャムへとにっこり笑って頷いて見せる。
■ジャム > 「ジャムつけたらとってもおいしいよー!
トースターでかりっかりにした食パンの上にたっぷり塗ったあとにバター塗って、ガブリ!朝ごはんにすると朝からテンション上がっちゃうよー。
あ、僕じゃないほうのジャムの話ねー」
朝食はパン派なので、ジャムにパンと話がつながると色々と話題が弾むのだった。耳障りの良い落ち着いた声音が空腹を告げると「えっとたしか……」とスカートのポケットを探る。
「あったあった。チョコ、食べる?」
常備薬ならぬ常備菓子であるマーブルチョコの小袋が出て来る。小袋のパックひとつにつき5粒のちっちゃなチョコが入っているそれを彼へ差し出し。
「ええー!そうなんだ。
僕てっきり、精斗この学校の生徒かと思ってたよ。すごく風景に馴染んでるし。
それじゃあ来月までこのあたりに住んで待機って感じかな?
――15なんだ!じゃあ、僕と同じだ!
精斗は背が高し落ち着いてるから、もう少し年上かと思ってた!」
指折り数えるのをゆったり待って。二度言われたそれに声音を明るくする。
■久遠寺 精斗 > 「おいしいよねえ。
明日の朝ごはんはトーストにしようかなあ~」
ゆるりゆるゆる話す内容はあっちこっちふわふわと飛び回る。
ちなみに本日の朝ごはんはコンビニのおにぎりを2つほど。
よく考えてみれば今日はそれだけしか食べていない様な気もするけれど、朝ご飯食べて散歩に出たらそのまま迷子の流れだから已む無しだ。
「え?チョコ?
良いのかい?わぁい、チョコ好きだよ。ありがとうねぇ。」
差し出されたチョコ小袋を掌に載せ、幸せそうに見つめてみたり。
それだけで食べた気になってそうなほどの幸せオーラがほわんほわんと漂って。
「そうだねぇ、一応寮の方にはもう入れてるんだけどさあ。
あ。そういえば、帰り道が分からなかったんだった。
へえ、ジャムも同い年なんだ?
年上っぽい?よく言われるよぉ。お爺ちゃんっぽいって。」
何でだろうねえ、と笑いながら首を傾げる姿が、まさにその理由だということに本人が理解が及ばない。
■ジャム > 「はーいどうぞー!
夕飯どきにはまだ時間があるけど、このチョコとっても甘いから。ゆっくり何を食べるか考えたり、お料理する間はお腹がんばれると思うー」
差し出したチョコを幸せそうに見詰める様子に思わず笑顔になって。はたはた、尻尾をベンチの背の上で揺らす。
「えぇー、それじゃ精斗、今って迷子なんじゃない?
その寮の名前教えてくれたら僕案内できるよー?
――あはは!お爺ちゃんっぽいかあ。
精斗はのんびりしてるし、近くに居るだけで縁側で日向ぼっこしてるみたいな気分になるもんね。
精斗はどうして、そんな風に幸せそうにしていられるの?」
会話の途中で相手がベンチに座りっぱになっていた理由を知れば、いくらか彼より学園については先輩である自分なら手助けになるよと提案してみせ。
軽く首を傾けながら笑う姿は、なにやら温厚な隠居人みたい。本人はその事に気づいていないというあたり、会ったばかりながら彼らしいと思う。そんな彼の幸せの秘訣を軽く尋ねてみた。
■久遠寺 精斗 > 「ありがとうねぇ。
ふふふ、じゃあこれは後でゆっくり食べるとしよう。」
そっと小袋をポケットにしまって、小さく長く息を吐き出す。
一挙手一投足が緩やかで穏やかだ。そよ風の様な男の子は投げられた問いに小首を傾げて見せる。
「ううん?どうしてだろうねえ……
あんまり考えたこと無かったけど、多分、一人じゃないからかなあ。
……こんな風に言っても、よく分かんないよね。ごめんねえ。
それより、寮の場所知ってるかな。男子学生寮だけど、確か名前は……」
ゆるやかに話していた男の子は、不意に正面を向いてやおら真剣な表情になって考える。
そして出した答えは何とも言い難く、理解に困る様な物で。
それを彼自身分かっているのか、少し困った様に話を逸らしてしまうと、自分の住んでいる寮の名を出してジャムへと尋ねた。
奇しくもこの場所からさほど遠くない寮である。
むしろ迷子になる方が難しいくらい。
■ジャム > 異世界から人種が混ざり、人間時間に異世界時間が混ざって。
賑やかながら何かと混沌としている常世学園の中で静かな竹林の中吹き抜けるそよ風みたいな彼が小首傾ぐのをじっと見上げ。
「ふーむ。1人じゃなければ……。
誰かと一緒なら幸せー……なのかな?
ううん、いいよ。はっきりと答えられるものじゃないし。
むしろ、ちょっとだけ何か掴んだ気がする。ありがとね!
……あ!その寮なら……」
ふと真剣になった表情に、ぱちぱち睫毛弾ませて。
出した答えは、何やら自分の問いへの根本的なヒントが隠れているようなもの。少し嬉しそうに笑ってケモミミを揺らし。
相手から告げられる寮の名前には心当たりがあったから。ぴん!とミミが両方浮き上がって上を向いた。
「もうそろそろ、僕も寮に戻るから……。
精斗の寮、案内するね?」
夕方が傾いて、少しばかり寒くなってくる。
そろそろお暇する時間。あんまり遠くもないその場所へまず彼を連れて行こうと、ベンチを勢いよく立ち上がって。寮の方向へ指差した。
もし相手がまだ人間観察を続けたいというのなら、リュックにあるノートに簡単な地図を書いて渡すつもりでいる。
どうあれ、彼と別れる時は笑顔で「またね!」と手と尻尾をふるふると振ってそれぞれの帰路につく事と――。
■久遠寺 精斗 > 「いやあ、そういう事じゃあないんだけど……
まあ、いいか。実際難しいし、そもそも僕は別段幸せだなーっていつも思ってるわけじゃあないからねぇ。」
よく言われるんだけど、と笑いながら答える顔が既に幸せそう。
要するにそういう印象を強く与えてしまうというだけなのかもしれない。
「あ、知ってる?
良かったあ~帰れなくなったらちょっと困るなあって思ってたんだ。
ありがとう、ジャム。じゃあ案内をお願いしようかなあ。」
ベンチを立った女の子に続いて、ゆるやかに、それでいてよどみない動きで立ち上がる。
にこやかな表情は変わらず道行く人々に向けられた後、ゆったりとジャムを見て頷いた。
そのままのんびりと寮まで送って貰った後は、彼女の姿が見えなくなるまで門の前で見送っただろう──
ご案内:「学生通り」からジャムさんが去りました。
ご案内:「学生通り」から久遠寺 精斗さんが去りました。