2018/06/23 のログ
ご案内:「学生通り」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
ご案内:「学生通り」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > ジリジリと照りつける太陽が恋しくなる様な、ジメジメとした日々が続く。
しかし、雨音が街中を支配するこの時期は、正直嫌いでは無かった。
不規則に屋根を叩く雨音は心地よい眠気を誘い、雨が続けば茹だるような暑さも多少はマシになる。
「…後は、雨の中を歩いていても完璧に防水してくれる雨具さえあればな」
委員会本部からの帰り道。少し寄り道して立ち寄ったのは、大通りから少し離れた雑貨屋。
普段は傘やレインコートの様な物は使えれば良いとばかりに実用的なものを選んでいるが、偶には凝ったモノを持ち歩くのも良いだろう、と同級生に勧められた此の店を訪れた。
確かに、店の雰囲気は良い。古典的なU.Kファッションを取り入れ、モダンレトロな小物や洋服が揃っている。
強いて難点を上げるならば、少し女性向けの小物や洋服が多いことくらいか。
「…そういえば、あいつらもプレゼントを買う時にどうこうとか言ってたな。自分用を買うとは思われて無かったということか」
まあ、悪意をもって推薦した訳でもあるまい。
少々居心地の悪さを感じながらも、ショーウィンドウに打ち付ける雨音を聞きながら鼻歌混じりに商品を物色していた。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「まったく、数日ぶりの晴れなんて嘘じゃない……」
誰にも聞こえない声で悪態をつきながら折りたたみ傘をたたむ。
天気予報を完全に信用しなかったのは正解だった。
それでも、いざ雨が降ると鬱々とした気持ちになる。
雨宿りのつもりで寄った店だが、その可愛げな雰囲気に興味を惹かれて、何となく入店した。
「なんだかんだ言ってこういう店、あまり来たことなかったかもしれない」
どうせ雨が止むまで満足に動けないのだし、こういう場所で雨具を買ってもいいかもしれない。
そんなつもりで店を回っていると、見慣れた
―――といっても決して好意的な意味ではない―――
知り合いを見つけてしまった。
「あなたがこんな場所にいるとは意外過ぎてちょっと笑っちゃいますね」
声をかけるかどうか少し悩んだ末、無視する理由もなかろうと声をかけた>
■神代理央 > 不意に投げかけられた声に、怪訝そうに視線を向ける。
これがスラムだの落第街だのといった場所であれば、視線を向けるまでもなく声の主に気がついただろう。
咄嗟に相手の正体に気が付かなかったのは、彼女と出会う場所が『そういう』場所だと思いこんでいたからかも知れない。
「…それは此方の台詞だぞ、ユーティライネン。まさか、お前がこんな店を訪れるとはな。流石に、機関銃の弾は売っていないと思うがね?」
自分の事は取り敢えず棚に上げて。
フン、と高慢な態度を取りながらも、敵意の無い口調で彼女に応える。
かける言葉が皮肉めいたものなのは、最早癖というか、半ば無意識に近いものなのだが。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「私が買い物のたびに機関銃の弾を買っているなんて、
あなたが風紀委員で仕事をすると必ずスラムの建物が一つ消える
くらいの偏見ですよ。
私だって軍人以前に女の子、女の子以前に生物ですから」
皮肉が挨拶になるのはもうどうしようもないのかもしれない。
しかし場所が場所だからなのか、
いつも機関銃を振り回しているときよりだいぶ物腰は柔らかい、、、
というより、今のテンションが素のテンションに近いのだ。
「誰かへのプレゼントでも探してたんですか?」
この店は若者向けとはいえ、女子受けを狙った色が強いように思えた。
だから誰かへのプレゼントでも探しているのかと、そんな推察をして>
■神代理央 > 「……お前が女子であることは理解しているが、流石に生物であることを主張されるとは思っていなかったぞ」
女子である、という反論くらいは返ってくるとは思っていたが、流石に生物であることを主張されれば思わず苦笑いを零してしまう。
彼女と同じ様に、言葉は横柄なものであっても纏う空気は此方も穏やかなもの。折角良い雨が降っているのだから、態々空気を悪くする事もあるまい。
「む?ああ……いや、自分用に小洒落た雨具でも買おうかと思ってな。というよりも、私がこんな店で誰かに贈答品を買うように見えるかね?」
彼女の問いかけに、少しバツの悪そうな、居心地の悪そうな表情を浮かべて返答する。
その感情を誤魔化す様に、大袈裟に肩を竦めて半ば自嘲めいた笑みを浮かべてみせる。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「あら、あくまで道具として振舞ってきた身なので。
こういう反論をするときはつい」
ついうっかりといった雰囲気を出すが、
その態度を含めて一連のやり取りが皮肉にまみれているというのは察するだろう。
それでも、口調のトゲトゲしさがないので、冗談っぽくなってはいるが。
「いえ、ほら、ここのお店ってどちらかといえば"可愛いもの"が多いじゃないですか。
だからそういうのを自分用にってなると……」
彼のことを全く知らない人間が今、彼を見れば
『可愛い系の男の子が自分のために店を見て回っている』と思うだろう。
もしかしたら彼のことを男と思わない人だっているかもしれない。
そう思ってはいるが、それを口に出すのを少し躊躇した。
さすがにこういう店で毒のあるやり取りをするのは自他ともに気分が悪い。
しかし、こういう煮え切らない心配した態度は、場合によっては本人に最も深く刺さりうる>
■神代理央 > 「つい、で自分を生物扱いする女が何処にいるか。もう少し、可愛げのある冗談を覚える事だな」
皮肉に皮肉を、というよりも、単なる軽口の応酬。
それでも、己を知る他の者が見れば随分と砕けた物言いをしているのだと驚く事だろう。
尤も、そういった自覚は一切無いのだが。
「…いや、良い。うん。お前の言いたいことは十分理解している…つもりだ。だから、こうやって肩身を狭くして物色しているんだよ…」
彼女の細やかな気遣いは、ものの見事に此方のメンタルを砕いていった。
これが見知らぬ相手やただの同僚、学友なら怒りをぶつけるところだが、彼女相手に今更そういう気分でも無い。かといって、皮肉を返す気力も無い。
結果的に、小さく項垂れて首を振り、僅かに溜息を吐き出してみせるだろう。
普段の傲慢な態度も、高慢な物言いも、鷹揚な雰囲気も、全て崩れ去る程には内心ダメージを負っていた。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「さすがに冗談ですよ。可愛げはありませんが」
こういう冗談が通じるのは自身の境遇を知っている者だけだ。
そういう人はこの島では数えられる程度しかいないわけだが。
「だったらなんでこんなところにいるんですか……
自分の意志で来たわけじゃないならさっさと場所を変えればいいのに……」
ため息とともにうなだれる彼の様子は何とも惨めだった。
皮肉が出ないほどとなると相当だったのだろう。
ならばなぜここにいるのかと思う。
これといって理由がないのであれば別の場所を回ればいいのに、と>