2015/07/02 のログ
ご案内:「商店街」に聖夜さんが現れました。
聖夜 > ふらりふらりと商店街を散歩する聖夜
試験期間ではあるが、息抜きも必要と散歩に出た訳だが……

「んー、いよいよ夏近しという感じね……」

商店街のどこを見ても目に入るのは
『サマーセール!』『夏本番間近!』
…等の夏の訪れを告げるカラフルな文字ばかりで

聖夜 > 「……吸血鬼的にはありがたくない季節なんだけど」

多くの学生達にとって夏は青春謳歌の舞台となる季節だが
吸血鬼である聖夜にとって夏とは
日差しや紫外線の強くなるありがたくない季節であった
『ま、夏休みは好きだけど』
聖夜がそんな事を考えながら歩を進めていると
とあるショーウィンドウの前で足が止まった

聖夜 > 「水着か……」

厚いガラス向こうにあるのは砂浜をイメージしたディスプレイ
そこで遊ぶのは数体の女性を模した白磁の人形達
彼女達が纏うのは様々な色で染め上げられた面積の少ない布地
所謂水着と呼ばれる衣装だ

聖夜 > 「興味あるけど、着る機会が無いのよね
…日に肌さらすの怖いし……」

吸血鬼として日差しに肌を晒す事には大きな抵抗があるが
しかし聖夜自身、水着を着る事に興味はあったが
水着の使用目的を考えれば
とてもではないが購入する気にはなれない

水着の使用目的それは…水の中で泳ぐ事
聖夜はカナヅチであった

聖夜 > 「…必要が出たら、その時に考えればいいわね」

まだ夏本番までには時間がある
急ぎ考える必要のない事ならば後でも問題無い
それよりも先に考えるべき事がある、試験だ
まずはそれを乗り切らねば
夏休みは補修漬けとなる事は容易に想像出来て
聖夜はそう結論づけると、くるりと踵を返し
ショーウィンドウの前から去って行った

ご案内:「商店街」から聖夜さんが去りました。
ご案内:「商店街」に聖夜さんが現れました。
ご案内:「商店街」から聖夜さんが去りました。
ご案内:「商店街」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。
ご案内:「商店街」に神宮司ちはやさんが現れました。
日恵野ビアトリクス > ~ここまでのあらすじ~
ある日の放課後。ここは通学路から外れた商店街。
日恵野ビアトリクスと神宮司ちはやは買い物のためここで待ち合わせをしていた。
ロボが歩きまわり人々はラメでキラキラしたスーツを着こみ車がチューブを走り回る
この現代(※誇張表現あり)において、ちはやがいまだ携帯端末のたぐいを
所持していないことがあきらかになったからであった。

しかしちはやが待ち合わせ場所についても、
もう片方はなかなか現れる気配を見せないのだった――

神宮司ちはや > トリクシーさん遅いなぁ……。
どこかで横断歩道を渡れないおばあさんの手を引いているのかなぁ……。

(ちはやは基本約束事を守るタイプの人間なので15分前には約束の場所に現れる。
 手近なベンチに座り、待ち合わせの相手を今か今かと待っているのだった。)

日恵野ビアトリクス > そんなこんなで数十分ほど待ちぼうけをくらった後、
ひとりの人影が現れ、ちはやを見つけて近づいてくる。

それはちはやより頭ひとつほど背の高い少女のように見えた。
折れそうに華奢な躰を、ベージュのチュニックワンピースが包んでいる。
ささやかに膨らんだ胸と細い腰が女性性を主張。
スカートの裾からは黒いストッキングに包まれたしなやかな両脚が覗く。
褪せた金色の長髪の奥に、雪花石膏を思わせる白い顔。
蓄えられた長い睫毛、青い瞳、淡い色の唇といったパーツが、近くで見れば西洋人形を思わせるだろう。

ちはやと目が合えば、快活な笑みを浮かべ、
片手を挙げてブーツをこつこつと鳴らして歩み寄るだろう。
西洋画に描かれた貴婦人が抜け出してきたような、気品ある振る舞い。

神宮司ちはや > (見慣れぬ人影が自分の方に歩いてくるのを察して思わずびっくりする。
 今まで知り合った中にあんな可憐でおしゃれな女性はいなかったはずだし
 だからこれは自分の後ろにいる誰かに向かって歩み寄っているだけで
 自分に歩いてきているわけではないのだ。
 あの片手を上げたのだって後ろの誰かと挨拶しているだけで、今ここで手を上げて答えたら恥をかいちゃうやつだ。

 と、そんな事を考えながらもばっちり決まった彼女の容姿に目を離せない。)

日恵野ビアトリクス > ちはやが凝視していると、少女は彼の目の前まで近づき、歩みを止める。
明らかにちはやを見ている。

「ごめんね。待たせてしまった。
 久々に気合を入れてみたら思いの外時間がかかってしまって」

外見の印象とは少し異なる、低くしゃがれた声で詫びる。
しかしつい最近耳にした覚えのある声。

「わからないか? 日恵野ビアトリクスだよ。ちはや」

神宮司ちはや > (ぱちぱちと目を瞬かせる。
 頭から爪先まで何度も見返してから)

え、ええええええええええええええ?!!
ほんとの本当にトリクシーさん?!
え、だって……本当は女の子だったんですか……?!

(どこからどう見ても普通の女の子と変わらぬ出で立ちにしどろもどろになる。
 でも確かに声はビアトリクスのものだ。
 もしかしなにか魔術を使って誰かが変身しているとか?
 わけがわからない様子で相手をじっと見つめる。)

神宮司ちはや > (ちはやの本日の服装 http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/up2/img/toko096.png
日恵野ビアトリクス > 「本当だよ。いや、そう驚いてくれると気合を入れたかいがあった。
 そっちの格好も涼やかで小洒落てるね。ただの田舎者ではないな」
顎に手を添えて、くつくつと笑う。

「疑っているな? なに、少し時間をかければこんなものだよ。
 ちなみに胸は詰め物で、腰はコルセットで締めた。
 つけ毛は合う色がなかったから、異能を使って染めたけど」
ちはやの疑問にはそう応える。

「どうだろう。似合っているかな?」
スカートの裾をつまむ。常にない自信を感じる振る舞い。

神宮司ちはや > うん、ええと本当の女の人みたいですごく似合っています!
気合……、女の人の準備が時間かかるっていうのはこういうことだったんですねぇ。

でもどうして今日はそんなに綺麗にされたんですか?

(改めてまじまじと見つめる。
 普段からスカートだって似合うのだし、こんなに女装が手馴れているのだから
 本当は女の子の格好がすきなのかなとか、それなら普段からしていたらいいのに勿体無いとか思う。

 でも今日に限ってどうして気合を入れたのかはちょっとわからなかった。
 首を傾げながら尋ねてみる。)

日恵野ビアトリクス > 「服飾と化粧は女性の使う魔法さ。ぼくは男性だが。
 場合によっては髪型のセットでもっと時間がかかったりする」

「さて、どうしてだと思う?」
首を傾げて、ちはやの顔を覗きこむ。
「……はじめて意中の男性とふたりきりで出かけるんだ。
 見栄を張ったっていいじゃないか。
 きみもいつものつまらなさそうな顔をした男と出かけるよりは、
 こっちのほうが楽しいんじゃない?
 ……それとも、気後れさせてしまったかな?」
皮肉げな笑み。いつもの彼らしい笑い方。

「さて、そろそろ行こうか。
 ここでいつまでもおしゃべりするわけにもいかないね」
手をつかみ、引いて歩き出そうとする。
普段の彼とは別人とも思える、積極的な態度。

神宮司ちはや > ぼ、ぼくは別にどんなトリクシーさんとだって
お出かけ出来たら嬉しいし、楽しいですよ……

(相手がいつも見知ったビアトリクスだというのに
 容姿が女性であるだけで緊張しどぎまぎする。
 覗きこまれた視線から慌てて顔を背け、せめて緊張が相手に伝わらぬよう赤面を隠す。)

わ、あ……!

(手をひかれると慌てて立ち上がり一緒に歩き出す。
 いつもなら自分から触れるなんてしないはずなのに今日に限って手を握るのでまたぞろびっくりする。
 とはいえ振り放したりはしないで、そっとその手を握り返した。)

日恵野ビアトリクス > 「そう? 嬉しいな」
素直に応える。照れた様子を満足そうににこにこと眺める。

「ええとさ」
手を引きながら、少し遠慮気味に。
「できればさん付けをやめて、呼び捨てで呼んでほしいな。
 そんなよそよそしい間柄でもないだろう?
 そうすれば、もう少し仲良くなれると思うけど」
そう提案するときだけ、目をそらして。

うきうきとした子供のような足取りで、手をつないで歩く。
「さ、ここだ」
あらかじめあたりをつけていた携帯ショップへと辿り着いた。
冷房の効いた居心地よい空間。
白い内装の店内に、さまざまな機種の携帯電話が陳列されている。

神宮司ちはや > えっ、ええとそれじゃあ……
トリクシー……くん、じゃだめですか?

(呼び捨てというのはどうにも慣れない。
 大体年上に当たる相手が多かったし友達にだってさん付けだったし。
 せめてもの譲歩で”くん”を提案する。

 連れて来られた携帯ショップは初めて入る場所のようで目を輝かせた。
 内装はおしゃれだし、たくさんの色の携帯が並んでいる光景に物珍しそうにきょろきょろと見回した。
 明らかに田舎者丸出しである。)

あの、ええとぼくこういうの詳しくないからどういうのがいいのかわからないんですけど……
出来れば初めての人でも使いやすくて、それで……壊れにくいのがいいです。

日恵野ビアトリクス > 口元に手を添えて、
「……んー、まあいいか。それで」
どうやら満足したらしく、譲歩を受け入れてくつくつと笑う。

店内はタッチパネル式のスマートフォンが多く目につく。
中には最新式らしい指輪型の端末なども陳列されている。
空中に映像を投影して使うらしい。

「……そうだなあ、いろいろあるから
 いきなりこの中から選べ、と言われても無理だよね」
そう言って、店内の隅っこに向かう。
そこには、二つ折りのレトロな携帯電話が並ぶコーナーがあった。
おどろくべきことに未だに絶滅していないらしい。
丈夫さなら大したものだ。

「通話、メール、ブラウジング、赤外線通信……
 いまひとつ貧弱だけど最低限の機能はそろってるよ。
 これなんかどうかな」
機種の一つを指し示す。色とりどりの端末が並んでいる……

神宮司ちはや > なんか今日のトリクシーくん……
ちょっといつもと違うね……

(笑う相手を苦笑して見ながら、
 指し示された二つ折りの携帯電話コーナーに向かう。
 並べられた物の中から白い色の端末を選び、開いてみる。)

これ、色は違うけど皆同じなの?
じゃあうーんと、白いのがいいかなぁ……

(そう言いながら試しに少しいじりまわしてみようとボタンを入力してみるも反応が悪い。
 電源は付いているはずなのに画面が乱れたり、全然呼び出していない機能が勝手についたりし始める。
 ああ、やっぱりとちはやはため息をついてがっかりした。
 いつも自分がパソコンや電子機器にさわろうとするとうまく扱えなくなってしまうのだ。)

日恵野ビアトリクス > 「変かな? ……まあ、ちょっと浮かれているかもしれないね」
苦笑には薄い笑みを返す。

背中越しにサンプルを操作するちはやの様子を覗きこんで、
ありゃりゃ、と眉を寄せる。
「グレムリン体質ってやつ?
 ……うーん、どうしたものかな」
あまり解決に期待はできないが、とりあえず近くにいる店員を呼んで相談しようとする。

神宮司ちはや > ぐれむりん?ってなぁに?
よくわかんないけど、たぶんそんな感じかな……

(ビアトリクスに呼ばれるとすぐ若い女性の店員が寄ってくる。
 ちはやが端末を見せると少し驚いた様子だが、すぐに手を離せば端末は元に戻る。
 少し悩みながら『いつもこんなふうになりますか?』とか『魔術の特異体質などはありますか?』など
 ちはやへ各種質問を投げかけると、同時にその横の陳列棚から似たようなタイプの携帯を取り出してこれならどうでしょうかと渡す。
 説明によれば対魔術・異能機能を内蔵し電波妨害などにも強いタイプの携帯らしい。
 普通の電子機器と魔術の回路を組み込んだ最新式の機種でうんちゃらかんちゃら。

 とりあえずシルバーホワイトの本体を同じように触ってみて、特に異変がなさそうであるとちはやは嬉しそうに笑った。)

日恵野ビアトリクス > 今度はビアトリクスが感心する番だった。
「へえ、最近はそういうのもあるのか……
 二つ折りも侮れないな」
なんとはなしに自分の携帯電話――チャコールグレイのスマートフォンを取り出す。
長年世話になっている、対魔術仕様のない旧世代のものだ。
その代わりに裏面で白い文字で呪詛防ぎの呪文が刻んである。

ちはやが満足した様子を見て、うんうんと嬉しそうに頷く。
「……それに決めた? じゃあ契約済ませちゃおうか。
 ちゃんと本人確認書類持ってきた?」
ちはやと連れ立って、カウンターへと向かおうとする。

神宮司ちはや > トリクシーくんの携帯のそれは呪文?
そういうの書いておくといいの?

(ビアトリクスのスマートフォンを物珍しげに横から覗く。
 普通の人はこういう画面をすいすい動かす感じなのかーなんて思ってかっこいいなぁと憧れた。

 契約カウンターへ一緒に席につくと、トートバッグから書類と判子、お財布を取り出した。)

えっと、学生証と保険証持ってきたんだけどこれで大丈夫かな?

日恵野ビアトリクス > 「うん、大丈夫大丈夫。
 コースなんかはこっちで決めちゃってだいじょうぶだよね」
隣の席について、店員と会話を交わし、手続きを進めていく。
特に問題がなければしばらくすれば契約と購入が済むだろう……。

「ああ。精密機械持って魔術を使うと
 回路を魔法陣と誤認して動作不良を起こすことがごく稀にあるからね。それの対策さ。
 ……まあ、普通に使う分にはなくても問題ないと思うけど」
敵対する魔術師や異能者によっては、携帯端末越しに
攻撃を仕掛けてくる場合もある。
ちはやの携帯電話の対魔術・異能機能はそれに対する防御も兼ねているだろう。
「よかったら、ちはやのにも書いてあげようか?
 気休めだけどさ」

神宮司ちはや > うん、よくわからないからトリクシーくんにお願いする。

(神妙な顔で頷き、店員とビアトリクスのやりとりを真面目くさって聞く。
 よくわからないところは質問しながら必要な箇所に記入して契約は無事成立した。
 店員が付属品と説明書一式を紙袋に入れ、ちはやにありがとうございましたと言いながら渡す。
 それを受け取ると一段と嬉しそうに微笑んで、手に入れた携帯の表面を確かめるように撫でた。)

おまじないみたいなものなんだね、
うん折角だから同じようなの書いて欲しい。
お揃いみたいでかっこいいから。

(そう言って自分の携帯を相手に差し出す。)

日恵野ビアトリクス > 「おそろい……」
復唱して、目を細める。

「オーケイ、まかせておけ」
携帯を受け取ると、数秒集中したのち……
「《我等に》《護りの帳》」
真言(トゥルー・ワード)を唱え、表面を細い指で数度撫でる。
すると、踊る人形を思わせる独特な未知の文字が隅に小さく四つ刻まれる。
ビアトリクスのものに刻まれているのと同じ文字だ。

さらに、おまけにもう一度指でノックするともうひとつ、
それらとはまた趣の違う三叉にわかれた不思議な文字が小さく刻まれた。
「こっちは、《エオロー》……保護や防御の意味を持つルーンだ」
携帯電話を返す。

「ああ、そうだ。アドレスも交換しておこう。
 ……そのために買ったわけだからね」
自分のスマートフォンをかざす。
この間のような有事の際に、携帯電話などで助けを呼ぶことができれば……
という考えが、今回の買い物のきっかけとなっていた。

神宮司ちはや > (携帯電話を受け取ると刻まれたルーン文字を確かめるように撫で、
 満面の笑顔でビアトリクスへ笑いかけた。)

ありがとう!こんなふうにおまじないかけられるなんて
トリクシーくんやっぱりすごいね。
あ、うん。かざすだけで電話番号伝わるの?
すごいねぇ魔法みたい。

(純粋な子供のように目の前で起こる現象に次々喜び手を叩く。
 それらがすっかり済んで店先から一歩踏み出すと、ちょっと気後れした顔でビアトリクスに頼み事をする。)

あのさ、もうちょっとだけ付き合ってくれない?
携帯持っている人って皆かわいいマスコットとかつけているから僕もそういうの欲しいなって……。
あ、でも無理にとは言わないし忙しいなら大丈夫だから。

(どうやらストラップのようなものが欲しいらしい。
 あたふたと言葉を付け足して、だめかなと少しだけ顔をのぞき込んだ。)

日恵野ビアトリクス > 「ちあやにかかるとなんでも魔法だな。
 エブリデイ・マジックといったところか」
からかうように笑い、アドレス一覧(あまり多くない)に
刻まれたちはやのアドレスを満足そうに眺める。

(いちいちかわいいな……)
反射的にちはやを抱きしめそうになってやめる。
「全然かまわないよ、王子様。どこへなりともお付き合いいたしましょう」
率直に言えばずっと一緒にいたいぐらいだ。

「ストラップか……」
自分のスマートフォンを見る。実用主義らしく紐ぐらいしかついていない。
こういう細かいところでの女子力は低かった。
「探したことないからどこにあるやら。
 ファンシーショップにでも行けばあるかなあ」
再び手を引いて、あてなくぶらぶらと歩いて行く。

「……あ、腕組んでもいい?」

神宮司ちはや > ううん、ぼくは魔法にかけられる人なだけで
本当に魔法を使えるのはトリクシーくんみたいな人だよ。
だってぼくよりもずっと多くのことが出来るんだから。

ありがとう。
あ、じゃあこの間ちょっとだけ気になってたお店に行ってみてもいい?
たくさん猫の雑貨が揃ってたお店で一人じゃ気後れして入ったことがなかったんだ。

(今度は逆に自分が道を教えながら相手の手を引っ張る。
 腕を組んでいいかと聞かれると、一瞬固まった。
 真っ赤になりながら視線を彷徨わせ、おろおろしながら)

ぼ、ぼくなんかと腕くんでも面白く無いと思うけど……
それでもいいなら、いいよ。

(白く細い腕をおずおずと差し出した。

 教えられたとおりに道をたどれば猫の看板をした小さな雑貨店に辿り着くだろう。
 店内はいたるところに猫グッズが並べられている。)

日恵野ビアトリクス > (ぼくはきみがいるから魔法が使えるんだよ)
と、心中で呟く。

あまりにも恥ずかしがるので、こちらまでつられて恥ずかしくなりつつある。
「そんなことはないよ。ぼくは楽しい。
 ……きみは面白くないかい?」
そう静かに言って、腕に腕をそっと絡める。
気持ち、身体をひっつけて。体温が伝わる。
ただこれだけのことが罪深く感じて、心に澱が落ちる。
(彼のいたいけさにつけ込んで、こんなふうに欲望を晴らしてしまっていいのだろうか)
ほんのすこしの間、目を伏せる。


「すごい! 猫まみれだ……」
圧倒的猫さに圧倒され、気分が高揚する。
猫のぬいぐるみやクッション、猫が描かれたマグカップ、
猫型のティッシュケース、肉球靴下……
若干目的を忘れた様子で目移りする。

神宮司ちはや > ううん、面白くないなんて全然っ!
一緒に来てくれて嬉しいし、助かってるよ。

(本心から楽しいというように首を振って否定する。
 腕を取られて並んで歩くと身長差のせいで顔が近い気がする。
 俯いたまま押し黙りながら、今ぼくたちってどういうふうに見えているんだろうと考える。

 ちはやのなかでは、親しくなった友達だと思っているのだが。

 ビアトリクスも猫の店が気に入ったようで嬉しそうに笑うと、ちょっと待っててねと奥へと入っていった。
 壁にキーホルダーやマスコットがかかっているコーナーを見つけると
 そこから見比べて色々手に取り悩みながら、3つ何かを選び出すと会計へと持っていった。)

日恵野ビアトリクス > 「……そうか。何よりだよ」
ちはやの言葉に、灰色の笑みを浮かべる。

(浮かれてはいけない)
(浮かれすぎてはいけない……)

「あ、ぼくも買おう……」
ビアトリクスもふたつほど手に取る。
ひとつはちはやが選んだうち同じものを。
ひとつはやたら胴体がながい猫のマスコットを。
そうしてちはやの後ろに並ぶ。

神宮司ちはや > (じっとビアトリクスが買おうとする物を見つめると、
 いつもの彼らしくない強引な素早さでそのマスコットを
 同じ会計で精算してしまう。)

本当は、ちょっと秘密にしてびっくりさせようとしたのになぁ……

(ラッピングを頼むと店員がファンシーながらの小さな袋に小分けにして入れてくれる。
 会計を済ませた後、先ほどビアトリクスが自分で選んだ品物とそれとは別に自分で選んだものをはい、これと渡す。)

あのね、今日のお礼。もし良かったら使ってくれたら嬉しいな。
ぼくも似たようなの買ってみたし、おそろいがまた増えたね。

(ちはやからビアトリクスに渡した品は
 気難しそうな表情をした茶トラ白猫がむすっとしながら腕組みをしているマスコットのストラップ。

 自分へのストラップは小さな飛び三毛猫がおすわりしているポーズのもの。

 そうして3つめは白くてふさふさの毛長猫がセクシーなポーズでウィンクしているもの。
 それはそっとラッピングをとかずにかばんへしまった。)

日恵野ビアトリクス > 「あっ、そっそのごめん……」
気まずそうな表情で俯く。
まさか自分にくれるとは想像もしていなかったのだ……

(茶トラ猫か…………)
若干嫌な思い出が蘇ったが、心の段ボール箱にそっとしまった。

(……)
(…………)
(…………プレゼント…………)


ひとりふらふらと店内を出て、
近くの電柱にゴッゴッゴッゴッと頭をぶつけ始めた。

神宮司ちはや > ううん、いいよ。トリクシーくんも気に入った猫さん
見つかってよかったね。

(ここいいお店だからまた来ようね、等と言いながら満面の笑みを向ける。
 慌てて店内から出て行くビアトリクスを追うと
 いきなり電柱に頭をぶつける彼を見つけて飛び上がって止めようとする。)

わあああああ!!
どうしたのトリクシーくん?!頭痛いよ!あぶないよ!?
たんこぶできちゃうよ?!

日恵野ビアトリクス > ゴッゴッゴッゴッゴッ……
何度目かぶつけた拍子につけ毛が外れてべしゃりと落ちる。
その下の、普段見せているようなショートカットが露になった。
「…………」
拾い上げてかぶり直す。
随分と乱れてしまったそれは元通りにならず、
せっかくの化粧も汗で剥がれ、最初に比べてひどくみすぼらしく映る。
“魔法”は解けてしまった。

「……わからない。
 嬉しくなりすぎたんだと思う。きっと」
憔悴した表情。

(優しくされると、どうすればいいのかわからない……)

“魔法”の上でなら。
この気持ちやそれにまつわる欲望、喜びを、
どこか遠いところへ切り離して処置できるかもしれないと思った。
けれど現実は。

「大丈夫だよ。痛くない。大丈夫……。
 さあ、行こう」
安心させるためだけの、薄い笑みを向ける。

(どうしてもっと優しくされたいと思ってしまうんだ)

神宮司ちはや > (折角綺麗にした容姿が乱れてしまうことに
 とても悲しい物を感じながら、乱れたその髪を背伸びして撫で付けた。

 嬉しくなりすぎて頭をぶつけるなんてことあるんだろうか。
 嬉しいのならもっと笑って欲しいのに。
 心配そうに相手を見ながら、今度は自分から相手の指先を握って引っ張った。)

 ……今日はちょっと疲れちゃったからもう寮に戻りましょうか。

 あのね、トリクシーくん。
 今日来てくれてありがとう。とっても楽しかったよ。

(なんと言っていいかわからないが、それでもこれだけは本当の気持ちだなと思ったことを素直に相手に伝えた。
 大丈夫、もう君の魔法はちゃんとかかってるから、一度解けても信じられる。
 ぼくはまたきっと、もっとすごい魔法だってかけられてしまうのだ。)

日恵野ビアトリクス > ビアトリクスが掴んでいた電柱には、極彩色の光彩がわずかに残っている。
以前ちはやが保健室で見たものと同じ色だ。

神宮司ちはや > (そっと横目で極彩色が残った電柱をみとめると
 ああ、嬉しかったのかなという確信をえられる。
 顔に出ないけれど、ビアトリクスというひとは色に出るのだ。
 くすりとわからないように微笑んだ。)

日恵野ビアトリクス > 「…………」
撫で付けられて、かすかに安堵したような表情になる。
なぜだかひどく疲れきっていた。

……指をひっぱられるままに、歩き始める。
彼の手が《踊るひとがた》で染まらないかと少し不安になったが、
そんなことはなかった。
この色は人間にさえも染みこんでしまう。
完全に染め上げたことはないが、何度か他人に色を伝えてしまったことはあった。
それはビアトリクスにとって何よりも恐ろしく罪深いことだった。

(人間を――もしいま彼を、《踊るひとがた》で一色に染め上げたら)
(いったいどうなってしまうのだろう)

おそらくそれを実行し試すことは可能だろう。

(その時何が起こるだろうか)
(彼は自分をどんなふうに思うだろうか?)






「ぼくも楽しかった。とても……とても」
長いウィッグを揺らして、力ない歩調で歩く。

(自分は力強い男性になることも)
(かといって可憐な女性を演じきることもできない)

「ぼくは……なんなんだろうな」

いまはまだ蓋を開かない絵具瓶であるところの彼は、
抽象的な問いを、どこかに投げかける。
前を歩くちはやに、聴こえるか聴こえないかと言った程度の声量で。

神宮司ちはや > トリクシーくんはぼくの大切な友達ですよ。

(ね、そうでしょ?
 そうやって少し照れながら振り返ってそっと声をかける。

 付き合ってから日も浅いから、言い切ってしまっていいものか悩むのだが
 それでもそれだけはたぶん変わらない。
 自分があの日彼から好かれていることがわかって、
 そして今もその気持がお互い揺るがないのならば
 きっとそういう間柄で居られるし、ちはやから見た彼はそういう存在だ。

 暫く歩けば寮の入り口が見える頃だろう。のんびりと焦らずにそれを目指す。)

日恵野ビアトリクス > 「そうだね」
眩しそうに笑う。

今はとても苦しいし恐ろしいけど、楽しくて嬉しいという気持ちもまた本当だ。
だからそれも大切にしよう、とビアトリクスは思う。
未来はどうなるかわからないけど、それでも。

自分の顔に手で触れ、《踊るひとがた》で落ちた化粧を整える。
もう少しだけ魔法を使おう。

ちはやが寮の入り口の前で一度立ち止まったとき、
静かに身体を寄せて、抱きつく。
「ありがとう。また遊ぼうね」
耳元でそうささやくと、彼の額にそっと桜色の唇を押し当てた。

流れるような動作で身を離す。快活な笑みを向ける。
別れの挨拶代わりですよ、と言わんばかりに。

背を向けて、逃げるように先に寮へと足を踏み入れる。
きっとすぐに姿は見えなくなるだろう。

ご案内:「商店街」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。
神宮司ちはや > (眩しそうに笑うビアトリクスを見ながら
 ああやっぱり笑っている方が素敵だなと思う。

 寮の入り口が近づくに連れもう少しウロウロしていたかった、
 名残惜しい気持ちが少しずつ湧いてくる。

 ビアトリクスへ向き直り、そろそろお別れのあいさつをと思った所で
 不意打ち気味に抱きしめられ、囁かれ、額にくちづけを受けた。

 すぐに駆け去ってしまった後ろ姿を夢のように目で追いながら、
 魔法のキスを受けた額をそっと撫でる。
 鼓動が少しだけ速いペースで動き出し、ぽーっと頬が赤く染まる。

 ふあ、っと恥ずかしげに吐息を漏らして、恥ずかしそうに慌てて自分も彼の後を追った。)

ご案内:「商店街」から神宮司ちはやさんが去りました。
ご案内:「商店街」にエルピスさんが現れました。
エルピス >  街中をのんびりと歩く。
 見回りと言う訳でもなし、特に理由もなくのんびりと歩いている。

「ふー……」

 こうやってのんびり歩くのは久々かもしれない。そう思いながら暢気に歩いている。

エルピス >  
 小さく欠伸を噛み締めながら歩く。
 この鋼の身体でも最低限の睡眠は必要らしい。
 とは言え、これは単なる陽気による眠気だが。

「ふぁ……ん……」

 ふと、衣料品店――の、水着フェアが視界に入る。
 可愛らしい水着がショーウィンドウに並んでいた。
 
「……うぅん……」

エルピス >  ……恥ずかしそうに顔を赤らめ目をそらす。

(うぅ、女の子の水着ってやっぱりよくわからないんだよね。
 ……泳ぎたいけど、うぅー……)

エルピス > 「……こ、今度にしよう。う、うん。」

 ……名残惜しそうにショーウィンドウから離れる。
 離れる間際、ちらりともう一度眺めた。

ご案内:「商店街」からエルピスさんが去りました。
ご案内:「商店街」に綿潟からめさんが現れました。
綿潟からめ >  夏、宵の口、カフェバーのオープン席。
 ビアガーデン代わりにビールやカクテルを飲む客に混じって、15、6の少女が丸テーブルに人る座っている。
 血色は悪くやせっぽちで、くすんだ茶髪を雑に伸ばし、顔の両脇でリボンでくくっている。
 テーブルの上にはクリームやらナッツのトッピングやらが盛られたコーヒー飲料が乗っており、それをまるでパフェみたいにパクついてる。
 待ち合わせという雰囲気ではなく、だがどこか手持無沙汰な様子でもある。
 時折カップから顔をあげると、

「…………」

 無言で周囲の酔客、或いは通行人を眺めたりする。
 小さな桃色の舌を出して、唇についたクリームを舐め取った。

綿潟からめ >  いつしか少女は消えていた。
ご案内:「商店街」から綿潟からめさんが去りました。
ご案内:「商店街」にさんが現れました。
ご案内:「商店街」からさんが去りました。