2015/07/17 のログ
ご案内:「商店街」に焔誼玖杜さんが現れました。
焔誼玖杜 >  
【試験期間も終われば、講義の幾つかは一区切りとなり、スケジュールには空白も出来る。
 時間が空けばそれを有効活用したくなるもの。そう、例えば買い物とか】

「えーっと、まずは文房具……鉛筆買い足さないと」

【湿気が嫌なのか、いつもの赤いマフラーを腕にかけ鞄をぶら下げながら、商店街をのんびりと歩く。
 右左と店を眺めながら、不足してる物、買い足したいものを思い浮かべた。
 ……それで真っ先に出てきたのが鉛筆である。
 玖杜はこのご時勢、珍しく鉛筆と消しゴム派だ。昔からずっと赤青鉛筆を使い続けているような娘だったりする】

焔誼玖杜 >  
【常世島に来てからは持ち込んだ物を使っていたが、気づけば随分と減っている。
 それだけノートに散々書き込んでいるからなのだが】

「あ、それと本屋さんにも行かないと。
 あとはお弁当のおかずかあ」

【先日偶然見たテレビドラマ、『刑事×探偵』が随分と面白かったため、原作の小説が読みたくなったのだ。
 そして弁当。最近は二人分作ることが多いため、以前より消費が早かったりする】

ご案内:「商店街」にシャンティさんが現れました。
焔誼玖杜 >  
「そうだ、お弁当箱も買っておこうかな」

【これまでは自分の予備のものを使っていたけれど、それでは詰め込んでも少々物足りないだろう。
 いや玖杜にとっては十分なのだが、やはり男子には少ないはずだ】

「……あっ、ごはんも足りないっ」

【いやいや、それだけではないのでは?
 と、食糧事情を思い返してみる。
 ×お米 ○味噌 ×牛乳 ×野菜類 ○肉類 ○パン ×卵
 ――もろもろ足りなくなっていた。
 驚愕の事実である、呆然と立ち尽くしてしまうのも無理が無い】

シャンティ > ゆっくりとした足取りで女は歩く。
時々どこか遠くを見るような仕草をするが、もし注意してみれば其の目は焦点を結んでいない事がわかるだろう。

「さて……今日はどうしようかしら。
 こっち側に来るのは久しぶりよねえ……」

誰に言うでもなく、つぶやいた

焔誼玖杜 >  
「どうしよう……ちょっとうっかりしてたかも」

【最近は友人を夕食に招待したりもしていたからか、食料の減りが早い。
 まずい、これは二往復コースだろうか】

「一回帰った方がいいかなあ」

【さすがに一度に買っていける量ではない。
 魔術を使えば……まあ可能かもしれないが、明日は一日筋肉痛になるだろうし、それは避けたい。
 一度戻って荷物を置き、リュックをもってくるかと思った所で顔をあげ……ゆっくりと歩く女性が視界に入る。
 ――綺麗な人だな。
 褐色の肌に映える、眩しい銀髪。さすがに顔を眺めるようなことはしなかったが、ぱっと見ただけでも容姿に優れている事は見て取れた。
 ――ああ、いけない。
 人を不躾に眺めるような事は、あまり褒められた行為じゃない。
 何より今は、買い物をどうするか考えなければいけないのだ。
 ……やはり米かそれ以外を後回しにして、往復すべきだろうか。
 そう思いながら、気を取り直して商店街を、一先ず八百屋目指して歩き始める】

シャンティ > 「ん……ああ……」

逡巡している少女が『読める』。
少しだけ、ちょっかいを掛けてみてもいいかもしれない。
出会いとはそうしたものだ。
……相手にとっては多少迷惑かもしれないけれど。

「……確か……こっち……」

八百屋に向かっていこうとする少女の動線に割り込む。
   ・・・・・・
まるで見えていないかのように。見当違いな動きをして。

焔誼玖杜 >  
「――あっ?」

【考え事をしていたからだろうか。
 突然割り込むように動いた人影に、どうしても反応が遅れてしまう。
 軽い接触で済んだのは、不幸中の幸いだった】

「ご、ごめんなさい」

【一歩下がると謝りながら頭を下げる。
 ちら、と姿を見れば、先ほど視界に入った女性だ。
 申し訳なさと恥ずかしさで、僅かに顔が熱くなった】

シャンティ > 「っ……あ……」

驚いたような顔をする。
まるで急に飛んできたボールに当たった、とかそんな雰囲気の反応だ。

「ごめんなさい。私も不注意だったわ。
 もっと気を配らないといけないのに……」

謝罪するその姿はどこか奇妙だった。
貴方を見ているようで、視線がどこかずれていた。

焔誼玖杜 >  
「いえそんな、私がボーっとしていたからで……。
 あの、お怪我はありませんか?」

【大した衝突ではなかったものの、不意の接触は思わぬ事態に発展することもある。
 念のためといった様子でたずねると、その視線が少しばかり気になった。
 ――目が悪いのかな?
 手元を見てみれば大事そうに抱えた本と、白い杖。
 さっきは気づかなかったが、どうやら目が見えないのだろう。
 そこまでわかれば、さらに半歩下がる。
 女性が動き出すのに邪魔にならないよう、先には動かず様子を伺う】

シャンティ > 「気にしないで。ボーっとしていたのは、私も変わらないわ。
 ……と、うん。平気よ」

丁寧に手を振って気にしないで、とジェスチャーも交える。
怪我はないか、と聞かれれば……体よりも本の方を確認して返事を返す。
まるで、体よりもそちらが大切だとでも言わんばかりだ。

「そちらは……大丈夫かしら?
 怪我とか、ない……?」

焔誼玖杜 >  
「あ、はい。
 私もなんともないです」

【ほぅ、と安堵の息を吐いて、微笑んで答える。
 自分よりも本を気にする様子には少し首を傾げたが、大事なものなのだろう、と納得した】

「では、私はこれで……。
 これからは人通りが増えてしまうと思いますので、その、お気をつけて」

【余計なお世話だろうかとも思いながら、そう伝える。
 今はまだそう多くないが、あと少しすれば買い物だなんだと人が増える時間帯だろう。
 全盲の相手に求められていないのに素人が手を貸すのは、互いに戸惑うだけになりかねなず、むしろ不親切になる場合がある。
 小学校での福祉教育で知った事を思い出しながら、とっさに動けるよう注意しつつ、ゆっくりとすれ違って行こうとする】

シャンティ > 「ああ、それはよかった……
 と。あら……お急ぎかしら?」

相手が立ち去ろうとするので、少しだけ引き止めてみる。
とはいえ、無理に押しとどめるのも良くないだろう。
それは自分の趣味でもない。

焔誼玖杜 >  
「急ぎ……ではないんですけど、ちょっとお買い物を。
 食材が無くなってたのをついさっき思い出したもので」

【声がかかれば足を止める。
 すると恥ずかしそうに笑いながら答えた。
 朝にも確認していたはずなのに、すっかりとぼけていた自分に少なからず恥ずかしさを感じているのだ】

シャンティ > 「あら……照れてるのかしら。ふふ、そんなのよくあることよ。
 私も色々と忘れがちだから……ね。」

くすり、と笑う。
こちらは照れ笑い、というよりいたずらっぽい笑いを浮かべている。

「じゃあ……ついでと言ってはいけないかもしれないけれど……
 お買い物、連れて行ってくれるかしら?実は私も慌てて買い物に来たのだけれど……
 この辺に出てきたのも久しぶりで、ちょっとお店の場所とかの覚えが怪しいの」

そう、提案してみる。
嘘ではない。様子見ついでに買い物に来たのだし、久しぶりで街の様子が怪しいのも本当だ。

焔誼玖杜 >  
「ああ……そういうことでしたら。
 何を買いにこられたんですか?」


【そう了解すれば、必要なものをたずねる。
 こうなれば自分の分は後回しだ。どうせ往復するつもりだったのだから、重なる場所だけ回ればいいだろうと。
 するとゆっくりと近づいて、隣に並ぶ】

「すみません、腕に触れても大丈夫ですか?」

【接触する前に声をかける。
 了解が得られれば、手に触れるよう腕を差し出し、つかめるようにするだろう。
 必要があれば杖も預かろうと思いながら、とてもおぼろげで頼りない介護知識を思い出す】

シャンティ > 「ふふ……あなたと、同じ。ちょっとお食事用のものを……
 言ったでしょう?慌てて来たって」

くすり、と笑う。
今度は少しだけ照れが混ざっていた。

「後は、本屋さん……だけれど、そっちは後でもいいし今でなくてもの。
 買うものは多分、ないでしょうし……ね。
 ぁ……ええ、大丈夫よ。」

一瞬だけ声のトーンを落とすが、腕に触れても大丈夫か……という問いかけには気軽に答える。
そういえば、こういう温かさも久しぶりな気がする。
やはり、人との交流というのは面白い。

焔誼玖杜 >  
「あ、なるほど……」

【つられて小さく笑う。
 なるほど、きっと自分と同じなのだ。
 そこでふと、自炊は大変だろうなあなんて思いながら】

「判りました、それじゃあ丁度八百屋さんに向かおうと思ってたので、そちらから……。
 あ、どうぞ、つかまってください」

【手に触れると、腕につかまってもらえるように誘導する。
 一人で歩くには大丈夫なのかもしれないが、万一はぐれてしまうと危ない。そう思って援助を申し入れた】

シャンティ > 「そういうこと」

意図を理解したとわかったのか、くすりとまた笑う。
それにしても、自分はよく笑うな、と……自分でも思う。

「あら……では、失礼して」

つかまって、と言われるなら、断る理由もない。
遠慮無く、とはいっても別に剛力無双でも何でもないのでごく柔らかく腕をつかむ。

焔誼玖杜 >  
「はい。
 ……それじゃあ、ご案内しますね」

【腕に掴まってもらえれば、様子を見ながらゆっくりと歩き出すだろう。
 その腕は、ともすれば熱でもあるかのように体温が高く、少し驚くかもしれない。
 歩調を確認しつつ、適切な歩幅を探しながら周囲に気を配りつつ誘導して行く。
 誘導しながら、今がどこか、なんの店の前を通ったかなど、必要とあれば声に出して説明しただろう。
 そうすれば、程なくして八百屋までたどり着いた】

「ここが八百屋さんですよ。
 あ、段差があるので気をつけてください」

【店内に入るには腕を組んだままじゃ動きづらいだろうと、そっと手を離して声をかける。
 動きを阻害しないよう気をつけつつ、すぐ近くで様子を見守りながら、八百屋の店主に会釈しそれとなく事情を伝えた】

シャンティ > 「ん……温かいのね、あなた。」

腕につかまり、誘導されながらぽつり、と呟くように囁くようにいう。
別に普通に声にしてもよかったのだろうけれど、なんとなく遠慮っぽくなったのはなんだろうか。
そんなことをいいつつも、足は進む。
其の足取りは、とくに不自由さを感じさせないものだった。

「大丈夫……かな。うん。」

こつ、と白杖で段差を確認して危なげなく越える。
さすがに手慣れたものだ。

「あなたは、なにを買う予定だったの?」

手慣れたついでに、余裕をもって質問までしてみせる。

焔誼玖杜 >  
「私ですか?
 特になにをというつもりは……」

【たずねられれば、首を傾げつつ店内を見る。
 店に来てから物を見て決めるつもりだったのだが――韮が安い】

「そうですね、なにか安くていい物があればと……あとは、お弁当に入れやすいものを幾つか」

【答えながら視線をめぐらせれば、人参にきゅうり、葱。キャベツにレタスもほしいところである。
 その場から店内を眺めながら、量と値段と、何日分購入するか献立と合わせて考え……籠を手に取る】

「必要なものがあったら声をかけてください。
 お取りしますから」

【そう言って、自分の買い物を始める。
 店内はそう広くはない。軽く声を出せば聞こえるし、互いの姿が完全に隠れることも無い。
 野菜を手に取り眺めながら、ちらちらと伺うように意識を完全に離してしまわないように気をつけて】

シャンティ > 「あら、お弁当も作るのね? なかなかマメねえ……
 といっても、自炊するならそっちの方が気楽だったりするわよね。」

手探り、といっても軽く表面を撫でるか撫でないかくらいの絶妙な距離で野菜を確認しながら、気軽に口をきく。
やはり手慣れた雰囲気だ。

「ふふ、これでも大体のアタリはつくのよ?
 さて……この辺りがいいかしらね……」

選んでいるらしきものは胡瓜。其の中でも、少しひねて太く大きくなった物を確認している。

焔誼玖杜 >  
「そのほうが食費も、栄養も考えて用意できますしね……」

【特に自分の場合は面倒なんだよなあ、と思いながら答える。
 体温が元々高く、代謝も少々特殊なために、食事管理を怠るとぶくぶくと太り――いや、体調を崩しかねないのだ。
 常に気にし続ける必要はなくとも、ある程度は注意しなければならない】

「あ、そうなんですね。
 ならよかったです」

【危なげない様子を確認すれば、安心して自身の買い物を続けるだろう。
 レタスにキャベツ、人参に大根、もやしや獅子唐……といった数種類の野菜を買い、幾つかの果物も買うと、一足先に支払いを済ませ、店の外で待つことにした】

シャンティ > 「今時分だと流石に危ないけれど、時期によっては晩御飯から流用できちゃうし…
 意外と楽も出来るわよね」

ひょいひょいと野菜を選んでいく。
人参、ナス、ゴーヤ……

「ん、と……それでは、これでお願いします。
 え、と……支払いは……」

細かいお金を指先の感覚だけで選んでいるのか、やや時間をかけつつも支払いを済ませる。

「なかなか良いものが揃ってると思います。良いお店ですね」

そんなことを店主と話しながら表に出てくる。

焔誼玖杜 >  
「いい物ありましたか?」

【出てくる女性にはそう声をかけて、近寄って行く。
 ”荷物お持ちしましょうか”と声かけし、自然と手を差し出す】

「次はどこに行きましょうか。
 お肉か、お魚か……」

【ここからだとどちらが近いか、なんて考えつつたずねる。
 もちろん一通り揃うスーパーのような店もあるにはあるが、普段からこうして一軒ずつ回っている少女の思考からは、すっかり外されているようだ】

シャンティ > 「そうね……なかなか良いものが買えたわ。
 ふふ……思い切って買い物した分、最近あまり作ってないものも作れそう。
 ああ……大丈夫よ。ちょっとバランス悪く見えるかもしれないけれど。」

くすっと、笑いながら答える。
実際、大事そうに抱えた本のせいで持ちにくそう……とまではいかないが大荷物には見える。

「そうね。ベジタリアン、というわけでもないからどちらでも構わないわ。
 ふふ。あなたは、お魚とお肉と、どちらがお好き、かしら?」

焔誼玖杜 >  
「私も明日のお弁当は張り切っちゃいそうです。
 ……そうですか?
 でしたら、どうぞ」

【またココまできたのと同様に腕を差し出す。
 やはり案内するにはこう誘導するのが適しているのだ】

「私ですか……なら、お肉を見にいきましょうか」

【どちらかといえば肉屋が近い、のもあるが、弁当を渡す相手は少年である。
 しっかりと力のつく物を渡してあげたい気持ちもあった。

 そうしてまた、八百屋に向かったのと同様に案内し、肉屋へとたどり着く。
 危なげなく買い物ができることは確認していたため、一応気をつけながら買い物し、また別の店へと案内する。
 そうして店を周り、すっかり荷物が重たくなると、内容的にも時間としても、いい頃合になっていた】

「……え、と。だいたいこんなところでしょうか?」

【野菜に肉類、卵や乳製品も購入できた。
 玖杜としては一先ず予定通りといったところだろう】

シャンティ > 「そうねえ、ちょっと張り切りすぎたかもしれないわね。
 ……それにしても、あなたも随分買ったわねえ……
 見えなくても、何となく分かるわよ。随分食べる子にしても、ちょっと多いわね。
 ご家族でも……?」

彼女自身もそれなりに買ったとはいっても、所詮は一人分。
荷物はそこまでかさばっていない。
一方相手は……と。

焔誼玖杜 >  
「あ、私は……」

【言われて見てようやく気づいたように、自分の荷物を眺める。
 相手に対して、少々量が多いのは間違いない】

「少し買い溜めしておきたいのと、友人の分も、お弁当用意してますので」

【普段は気にしていなかったが、なるほど一人分に比べて多くなっていたらしい】

「……それじゃあ、私はそろそろ、一度帰ろうと思います。
 後でまた、お米も買いに来ないといけないので」

【携帯で時間を確認すると、少し名残惜しそうにそう告げる。
 普段は一人で買い物をしていたため、誰かと一緒に買い物をするのが楽しかったのだ】

シャンティ > 「ふふ……お友達も随分と幸せね。
 わざわざお弁当を創ってもらえるなんて。」

微笑を浮かべる。
なんとも微笑ましい話だ。
此処には確かに、日常が生きている。

「ああ、そうね。お名残惜しいけれど……変に引き止めても悪いわね。
 本当に、お世話になったわ。ありがとう。」

そういって頭を下げる。
それから、何か思いついたように

「あ……いえ……そう、そうね。
 最後に、一つ。親切な貴方の、お名前くらい伺ってもいいかしら?
 私は、シャンティ・シン。」

一瞬、何かを言いかけてから改めて言い直す。
……おそらく、今この瞬間自分の趣味に手を出すのは無粋だろう。
それは美しくない。

焔誼玖杜 >  
「あ、すみません、すっかり忘れて……」

【あわてて頭を下げる。
 名前を聞くのも名乗るのも、きれいさっぱり忘れていた】

「私は焔誼玖杜、って言います。
 今日はありがとうございました、シャンティさん。
 おかげで楽しかったです」

【そういうと、改めて丁寧に頭を下げてゆっくりと踵を返していきます】

シャンティ > 「ええ、私も楽しかったわ玖杜さん。ありがとうね。
 『まだいずれ』お会いしましょう。」

そういって玖杜さんを見送るだろう。

「ふふ……そう、またいずれ……お会い、したいわぁ……
 その時はぁ……もぉっと……じっくり……オハナシ、したいわぁ……」

くす、くす……くすくすくす……と笑う。微笑う。
そうして、穏やかに、おだやかに……見送るだろう。

ご案内:「商店街」から焔誼玖杜さんが去りました。
ご案内:「商店街」からシャンティさんが去りました。
ご案内:「商店街」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > クロックタワーリアリズムショックから2日経ち、もはやほぼ平常だと言ってもいい精神。……恐らく、平常だろう。
たまに思い出しては頬の熱がぶり返しそうにはなるものの――。

まぁしかし。昨日の次善との……いや。への、零しもあり。
行動自体は、平時へと戻った。

しかしそうなると、また新たな問題が出てくる。

――そういえば、水着買わねーと。

生憎、センスの欠片も自らに持ち合わせているとは思えない。
確実に、同伴してもらえる人に笑われる……笑われるで済めばいいが。
――一人で買いに行ったらウェットスーツとかいいな、と考えていた辺り。
かといって誰かに頼る、のも。自らの性格的に少しばかり。

なので。また、利用させてもらった、というわけだ。

約束。依頼。その手の、大義名分を。
シンプルに。――水着買いに行くんでちょっとセンス貸して。

そう言ったこともあり、商店街の入り口。
そこで、こうして。

眠そうに空を見上げて待っている。

ご案内:「商店街」に紅葉 椛さんが現れました。
紅葉 椛 > 商店街の入口へ歩いて来る黄衣の少女。
その歩き方はどこかぎこちない。
少し頬を染め、依頼主の少年へと声をかける。

「お、お待たせ……」

消え入るような声。
その声に公園での面影はなく。
自らのパーカーの裾をしつこいほどに引っ張る。
下に履いているものを、見せないようにするかのように。

渡辺慧 > 「ふ、ぁ……っ、ふぉふ」

欠伸。それをしようとした時に声をかけられ変な……呻きに。
噛み殺しながら、聞こえた方へ顔を向けた。

向けたと同時に、その顔に浮かぶははてなマーク。

「……うん。依頼任せた」
「任せた、けども」
「なにしてんの……?」

少しばかり小首もかしげるというものだろう。
出会うと同時に、妙に恥ずかしげにしている少女は、ひどくキッカイ――失礼すぎる表現だと分かってはいるが。――に写る。
その両手もなにがしたいのか――目線は気になる方へ少しばかり動くのは、致し方ないと思われる。

紅葉 椛 > 「あ、いや、その、えと……」

何かを口ごもり、視線を落とす。
何もわからなければ奇怪な行動に映るであろうこの状況。
少女はいつものホットパンツを履いていなかった。
いや、履くことができなかったのだ。
履くつもりで干していたホットパンツが雨に濡らされ、履くものがない。
その状況で依頼の電話。
履くものがない。どうしよう。
その時目に入ったものがあった。それはスパッツ。
そう、パーカーの下はスパッツなのだった。

「それは置いといてこう、買い物だよね。
 ほら、早く行こ? いいのがなくなっちゃうかも 」

バレないように、焦るように少年を急かした。

渡辺慧 > 「は、ぁ?」

以前あったその姿からは想像できない姿。
何かしらあったと考えるべきだし、これではなんとなく軽口も叩きづらい。――いや、どうだろうな。
想定、出来るとするならば……その頬の多少の紅色から、だけれども……。


「……体調でも悪い? やめとくかい。依頼はまた今度ということで」
まぁ、今回。丁度いい位置にその約束を思い出しただけだ。
次回どうなるかは、よほど想像できない、が。
……しかしながら、そんな状況でも来る辺り、仕事熱心というか。
なるほど、何でも屋、とはまさに字面通りとでもいうべきだろうか。

「まぁ、一人でもできることだし」
一人でやったら……まぁ、ネタにはなるだろう。
ネタには。

紅葉 椛 > 「あ、その、えっと、体調は悪くなくて……」

恥ずかしそうに、そしてどこか申し訳なさそうに。
自分のくだらない失態で相手に心配をかけたことがやや申し訳ない。
これは言うべきか。いや、人通りの多いところでは流石に。

「ワケを説明するから人通りが少ないとこに行ってもいいかな?」

伏し目がちに提案する。
折角の依頼だ。ここで手放すのは惜しい。

渡辺慧 > 「んー………………………ンン゛」

気になるといえば気にナルが。
いやしかし、人通りの多い場所で話せない事情、とは一体。
ともなる。言うなればそれは、話しづらい類のものなのだろう。
ならばいい。それに踏み込むほど、出来ちゃあいない。

「いーや」
「いわゆるあれだな。乙女の秘密、って奴かな」
知らんけど。等と抜かし、軽口をたたく。
だが。

「まぁ、それを解決する手立てがある、というなら――」
「お先にどうぞ?」
「とは言っておくよ」

と、目線を合しながら、悪戯気に笑った。
自らの用事は急ぐほどの事でもない。
――いや、日曜だから急ぐべきなんだろうが。まぁ、それは自らの気性に合わない。
だから、別にいい。

紅葉 椛 > 「あ、うん、そうだね。乙女の秘密」

何故かはわからないが、助かったらしい。
普段は悪態を吐いているだけの神へ感謝をする。
助かったのなら急いで目的の服屋へ。
そこで代わりのホットパンツを買えばいい。

「解決する手立てはあれだね。
 とりあえず服屋に行けばいいよ。うん。」

目線を合わされ、恥ずかしそうに逸らす。
なんとかバレないようにしなければ。
そう思い、少年より先に服屋を探しに歩を進める。

渡辺慧 > 恥ずかしげにそらされた視線に
シッ。
短い笑い声。

まぁ、実際にそれで解決するならばそれでいい。
服屋の類で解決する、ソレはやっぱり想定できないが。

のんびり。少女の歩調にあわせて。
その後ろを行く。

「ま、ごゆっくり、だな」

紅葉 椛 > 「笑うな、バカ」

小さく、とても小さく呟く。
恥ずかしそうに、しかしどこか安心したように。
安堵の息を吐き、店頭に水着が飾られた服屋へと。

「ここでいいかな?」

とりあえず一番近くにあった店の前で立ち止まる。

渡辺慧 > 「いえいえ、可愛らしい姿だと思いましてねー」

後ろを歩きながら、遠くを眺めながら。
悪戯気な口調で、からかう様にそう言う。
いつもの調子。自分にはそれが必要だ。
しかしながら、実際に。照れたように話す、その様子は可愛らしさを認めるところだろう。

「お好きに」
「待ってるかい。……それともお供は必要かな?」

紅葉 椛 > 「そうやってからかって……」

これは辱められている。
そう思ってもいいのではないか。
そんな被害妄想に陥りかけるも、自分の状況を知らない相手ならこんな反応もおかしくないのかもしれない。
そう考えてほんの少し冷静さを取り戻す。

「水着もあるんだし一緒でいいんじゃないかな、ついでに」

そう言って一歩、二歩、踏み出す。
微かな焦りからか、足が絡まる。
そのまま倒れそうに───手をつく、逆立ち、そのまま一回転、何事もなかったかのように着地。
一回転中にパーカーが翻り、一瞬だけスパッツが露になったことには気付かず、店の入口へ。

渡辺慧 > 「からかってねーですよー」

生憎。こういうのがいつも通りだ。それをからかわれていると言われるならば……。
それもまた一興。
あいもかわらず、楽しげな笑いはその顔に張り付いて……。

「ぶッ」

アクロバティックな動きの中に……見えたそれ。
澄ました動作の中で、恐らく、自分の状態に気づいていなかった、彼女。
――変なところで。
「無防備かよ……」

はぁ……。とため息をつくように顔に、片手の手のひらを当てて。
また、深々と。…………。

しかし。まぁ。……それならば、納得のいく話だ。
だから、その状態ながらも。
彼女の後ろを歩くように、ついていく。
少しだけ照れたかのように。

紅葉 椛 > 「ん? どうかした?」

何かを吹き出したような音が聞こえ、振り向く。
そこには少しだけ照れたような表情の少年が居た。
何かおかしなことがあったのだろうか。
その原因が自分とは露とも思わず、首を傾げる。
鬱陶しそうに栗色の髪を後ろに払うと、店内へと少年を見ながら入っていく。

そういえば名前を聞いていなかったかもしれない。
唐突にそんなことを思い、疑問をぶつける。

「そういえばチーズのお兄さんって、名前なんていうんだっけ」

渡辺慧 > ……。
いや、本当に。
澄ましてる表情を作ってるだけなのか、素なのか……。

「なんでもないよ」
生憎、それを伝える気は……まぁ。今のところはない。
だから、大げさに肩をすくめた。

全く。可愛らしい少女ですこと。

その名前に、少しばかりジト目で見つめながら。
「慧」
「あと、渡辺だ」

変な名乗り方だ、と思いつつも。

紅葉 椛 > 「何かあったんだろうけど、聞かないでおくよ。
 乙女の秘密を守ってもらったしね」

にこりと軽く微笑む。
大げさに肩を竦める動作を見て、通販番組の外国人みたいだなぁという感想を抱く。
ジト目で見つめられ、何か粗相をしたかと考えるも、思い当たらない。

「ふんふん、慧ね、よろしく。
 私はもう名乗らなくていいよね、前名乗ったし」

視線を店内へと移すと、そこには色々な服がある。
ボトムスはどこだろう。視線を色々な方向へと向ける。

渡辺慧 > 君の事だよ。
と言いたくなる気持ちを抑え、再びため息をつく。
まるで相手のペースだ。
……いや、彼女には、そういうつもりどころか。
どういうことなのか理解していないのだろうけど。

「はいはい……。素敵で可憐な乙女の秘密を守るのは男子の務め、ってかい」
軽口をたたきだし、ま。
しょうがないながら、に、とした笑みを作った。

何を探してるかは、まぁ。
そういうことだろう。……なんでその状態で来た、とはツッコみたくはなるものの。
そういうことなら……後ろについて歩くより。
横に並ぶ方が、まだいいか。

そう思って。その隣に並んだ。
一応、として。
「何をお探しですか、お嬢さん」

紅葉 椛 > 「ため息ついたら幸せが逃げるよ?」

そんな的外れなことを言い、くすくすと笑う。
ため息の理由などは全く気付いてない。
先導されるのが嫌だったかな、などと考える始末。

「そうかもね。ナイトくん、かっこいいよ」

軽口を返し、時折裾を引っ張りつつ、楽しげな歩調で店内を歩く。
横に来られると、少し不思議そうな顔をするも、先導されるのが嫌だったのだろう。
流石は私、名推理だ。などと考える。
ふいに問いかけられ、

「へ?今履くためのボトムスを」

口を滑らせる。
わざとなのか。
そう思うほど見事に。