2015/09/03 のログ
ご案内:「商店街」に日下部 理沙さんが現れました。
日下部 理沙 > 「なるほど」
 
商店街の大通り。
簡単な案内図の前で、白い翼を持つ一年男子……日下部理沙は、一人呟いていた。

日下部 理沙 > 日下部理沙は新入生である。
着の身着のままやってきた彼の下宿にはまだほとんど物が揃っていない。
そのため、まずは日用品を買い揃えようと街に繰り出したわけだが。
 
「うん。全然わかりませんね」
 
彼は常世島の地理には未だ全く明るくなかった。

日下部 理沙 > 最低でも次の授業に必要な教科書の類は今日のうちにかっておきたい。
しかし、これだけ広い商店街では、どこに本屋があるのか皆目見当もつかない。
先ほどまでは適当に歩けば多分着くだろうとタカを括り、闇雲に歩いていたのだが、何故か元の場所に戻ってきてしまった。
まるで魔法のようだ、流石都会、と理沙は関心したが、なんにせよ目的の場所に辿り付けないのでは話にならない。
次はしくじらないように案内板を熟読してから行動をしなければ。

日下部 理沙 > しかし、読めば読むほど理沙は首を傾げる。
結構に入り組んでいるせいもあるのだが、そもそも彼は一度この見取り図を読むのを諦めて歩き出し、挙句に迷って此処に戻ってきたのだ。
さっきも見取り図を前にしてこうやって悩むばかりだったのだ。
さっきできなかったことが今すぐにできるはずもない。
なので、これまた首を傾げて悩む他、今の理沙にはできないのである。

日下部 理沙 > たっぷり数十分案内板の前で仁王立ちして、理沙は唸る。
唸り、悩み、難しい顔で見取り図を睨み続けていたが、背後の羽根に若干風の気配を感じ、振り向く。
どうやら、翼で他の利用者の視線を遮ってしまっていたらしい。
申し訳なさそうに頭を下げて、見取り図の前から撤退する理沙。
いよいよ万事休すである。

ご案内:「商店街」に嶋野陽子さんが現れました。
ご案内:「商店街」にミウさんが現れました。
ミウ > この商店街に、純白の翼が生えた人物がもう一人。
あらゆる存在が行き交う商店街、そんな中で浮いた存在もいる。
幼い風貌の少女は、白いワンピースを着て、白い翼を生やしている。
ミウは、商店街を突き進んでいた。

向かっている先は本屋。
その目的は、小説の購入だった。
風が吹くと、白い羽根が辺りに舞う。

そんな時、なんとかくある方向に振り向く。
そこには、見取り図から撤去し、頭を下げている男の子が一人。
彼もまた、背中から白い翼を生やしていた。

翼を生やしている人物。
自分もそうだし、常世島には、よくいる事だろう。
別段珍しい事もない。

日下部 理沙 > 案内板から少し離れたベンチに腰掛ける。
翼がやっぱり邪魔なので座り辛いが、まぁ今に始まったことでもない。
億劫そうに翼を畳んで、溜息をつく。

嶋野陽子 > スポーツクラブから出て、駅の方に向かう
途中、案内板の前から一歩どいて、途方に暮れた様子
でベンチに腰掛ける、白い翼を付けた男の子を見かけ
る陽子。
(ミウさんの所の天使さんかしら?)と思って見てい
ると、当のミウさんが現れる。
一瞬だけ迷うと、天使さんの方に向かって歩み寄り、
「こんにちわ、道に迷ってるのですか?」と尋ねる陽子。

もしミウさんもこちらに寄ってきたら、ミウさんに
会釈する。

ミウ > そんな時、見知った顔も見えたので、そちらに歩み寄る事にする。
言うまでもなく、その男の子は、天界の天使ではない。

二人に歩みよると、陽子ちゃんから会釈される。
「こんばんは、陽子ちゃん」
と、優雅に挨拶。
「そちらの方は?」
きょとんと小首を傾げ、そう訊ねてみる。

日下部 理沙 > ベンチに腰掛け、俯いたところで理沙に影が落ちる。
夕刻にはまだ早いと思いつつ顔をあげたところで……それは視界に入ってきた。
2mを超える長身の人物……と、自分と同じような翼を備えた少女。
どうやら、向こうの二人は知り合い同士らしい。
理沙はそれをみてとってから、ぺこりと頭を下げた。
 
「こんにちは。まさに道に迷っています。
よろしれければ、どこにいけば教科書を扱っている本屋さんにいけるか教えてもらえませんか?」

そう、空色の瞳で陽子を見つめて、尋ねた。
ミウのほうには、とりあえずお辞儀をしておく。

嶋野陽子 > 2学期になって、教科書を買いに
行き、しかも書店の場所を知らないという事から導か
れる結論は…
「ひょっとして、新入生の方ですか?教科書だと、こ
の近くならあそこの書店ですね」と、ミウさんが向か
おうとしていた書店の方向を指差す陽子。
「申し遅れましたが、私は一年生の嶋野陽子と言いま
す。書店までご一緒しましょうか?」と、見事な翼を
持つ男の子に尋ねる陽子。

『そちらの方は?』とミウさんが尋ねて来たので、
ミウさんの所の天使さんではなさそうだ。
ミウさんには、
「昨日はありがとうございました。私も今初めて会っ
たばかりです」と答える陽子。

ミウ > 翼が生えた殿方からお辞儀をされたので、
ミウも軽く会釈する。
「本屋ね。
 わたしも丁度、行き先は本屋だったのよ
 よければ、ご一緒にいかが?」
陽子ちゃんが彼に自己紹介をしているところを見るに、この二人は初対面なのだろう。
彼女に続き、ミウも自己紹介をする。
「わたしは神よ。
 名前はミウというわ」
そう言って、上品に微笑む。

昨日の事でお礼を言われたので、
「どういたしまして」
と、笑顔で返す。

日下部 理沙 > 「お二人とも、御丁寧にありがとうございます。
私は御察しの通り、新入生の日下部理沙といいます」
 
そういって、改めて頭を下げる理沙。
表情はあまり動かない。かわりに、背中の羽根が軽く動いた。
 
「できれば、そうしてもらえると助かります。何せまだ右も左もわからなくて」 
 
同じように翼の生えた少女の神という発言に少し首を傾げたが、まぁ、異世界から人も来る場所である。
異世界のそういう人もいるのだろう程度に思って、口には出さなかった。

嶋野陽子 > ミウさんも書店に一緒に行って
くれるそうなので、
「済みませんが、ミウさんが先導して頂けますか?
私が前に立つと、日下部君の視界を塞いでしまう
ので」 と、ミウさんに先導をお願いする陽子。

歩き始めると、陽子は日下部君の後ろに回り、目に
入る商店街の主なお店を日下部君に説明する。

ミウ > 「新入生の理沙君ね。
 よろしくね」
ミウは彼に微笑みを向けるが、理沙君は表情の代わりに羽が動いた。
それにつられてか、いや偶然なのか、
ミウの翼を動き、羽根が舞う。

陽子ちゃんから先導してほしいと頼まれる。
確かに、陽子ちゃんはとても大きいから、前に立てば理沙君の視界を塞ぐかもしれない。
とは言え、翼が生えたミウも前に立てば少々視界を遮る。
しかし、小柄な分だけ、ミウの方が先導に向いているかな。
「分かったわ。
 それでは、行くわよ」
そう言って、無邪気な表情で理沙君の右手首を掴もうとする。
そして、本屋へと歩まんと──。

日下部 理沙 > 「あ……はい、よろしくおねがいします」
 
あっさりと右手首を掴まれて、そのままミウに引っ張られる形で歩く。
陽子から商店街の主だった店の紹介を受けて、御上りさん丸出しといった様子で街並みを見る。
紹介される度にきょろきょろと周りを見て、ミウに手を引かれて、ただただ歩く。
道行く人々は、異世界から来た人々……異邦人も混じっているせいか、翼が生えた人間が二人そろって歩いても誰も気にすることはない。
背後を歩く2mを超える巨人も、オークやオーガの類もいる此処ではそれほど目立たないのかもしれない。
店を紹介される度、すれ違うそんな異種族の通行人も視界の端に捉えながら、理沙は歩く。

嶋野陽子 > 異邦人街ならまだしも、ここ学生街に
おいては、翼を持つ天使二人と巨体の少女の行列は、
通行人が立ち止まったり道を空けたりする程度のイン
パクトはあるようだ。
時折すれ違う異邦人に関心を寄せている日下部君に、
「先程から、すれ違う異種族の人達を見てるようです
が、ご興味があるならば、電車で異邦人街に行けば、
もっと沢山いますよ」と日下部君に教える陽子。

もうそろそろ書店に着く頃か?

ミウ > 白い翼が生えた二名と、2mを超える巨人一名の系三名。
ここは、異邦人街ではない。
だから、異邦人街程、オークやオーガの類はいない事だろう。
時々、立ち止まってこちらに視線を移す人と目があったりする。

理沙君はきょろきょろと周囲を見渡しながら、ミウに続く。
彼は、陽子ちゃんから視界に映る店の説明を受けていた。
そしてしばらく歩くと本屋に到着したので、理沙君の手首から手を放す。
「ついたわよ」
商店街の一角に存在する、特に変わったところは見当たらないごく普通の本屋へと到着する。

日下部 理沙 > 「へぇ、異邦人街……なるほど」
 
陽子からそう言われると、理沙は興味深そうにそう返事した。
理沙からすれば、見たことがないものばかりが揃っている場所だ。
何かと思うところがあるのかもしれない。
 
「ああ、ここが書店ですか。わざわざありがとうございました御二人とも。
これで、無事に教科書が買えます」
 
ミウと、そして陽子に礼をいってから、ミウを追い越し、本屋に足を踏み入れた……ところで、自動扉に翼がひっかかってスっ転ぶ。

嶋野陽子 > 異邦人街に向かう鉄道の駅が
近いこの辺は、学生街の中でも異邦人を多く見かける
場所ではある。書店に着くと、一緒に入店するか迷う
陽子。店内の通路があまり広くないので、陽子が入る
と間違いなく邪魔になる。本屋の入口で別れの挨拶を
しようと思ったら、目の前で日下部君が翼を自動扉に
引っ掛けたので、思わず手を差し伸べて日下部君の腕
をつかみ、引っ張り上げる陽子。
「だ、大丈夫ですか!?」
と、彼を地面に下ろしてから尋ねる陽子。