2015/09/04 のログ
■ミウ > 理沙君の礼に対し、
「どういたしまして」
と笑顔で返した。
「異邦人街は、その名通り異世界の人達の住居が中心だから、
この世界の住民にとっても目新しいものが多いかもしれないわね」
ミウ自身は異邦人側なので、この世界に目新しさを感じていた。
そんな時、理沙君は自動扉に自分の翼をひっかけていた。
自分に翼がある事に、慣れていないのかな? と、少しだけ微笑ましく思う。
ミウには元々翼があったので、逆に翼がない感覚がわからない側である。
■日下部 理沙 > 「うおう……」
スっ転びそうになったところで陽子に腕ごとつかまれ、一度宙ぶらりんになってから地面に下される。
ちょっとしたアトラクションのようであった。
一度よろめいてから姿勢をただし、陽子に礼を言う。
「ありがとうございます嶋野さん……あ、大丈夫です。いつものことなんで」
そう、またあまり表情を変えずにいう。
しかし空色の瞳はしっかり揺れているので、少しばかり動揺はしたらしい。
■嶋野陽子 > 視線が動揺を隠せていない様子の
日下部君に、「す、済みません。保健委員なんで、目
の前で怪我人を出すわけにも行かず、つい手が出てし
まいました」と謝る陽子。
「私はここで失礼しますね。またお会いしましょう」と、
二人に一礼すると、女子寮の方に向かう陽子。
ご案内:「商店街」から嶋野陽子さんが去りました。
■ミウ > 転びそうになった理沙君は、陽子ちゃんに助けられる。
危なかった……。
とっさに怪我人を出さないように立ちまわれるのは、さすが保健委員。
「またね、陽子ちゃん」
ミウは、一礼して立ち去ろうとする陽子ちゃんに手を振る。
「入口にいても通行の邪魔になるだけだから、入りましょう」
そう、理沙君にすすめる。
ちなみにミウは自分に翼が生えている事など手慣れている感じで、自動扉にも引っ掛ける事なく入店する。
■日下部 理沙 > 「いえ、助かりました。ありがとうございました嶋野さん。それじゃ、お気をつけて」
実際助かったことは全く事実なので、また頭を下げて見送る。
今日の自分はこればかりだなと、内心で理沙は一人ごちた。
「あ、はい、そうですね」
ミウの苦言に頷いて、理沙も翼を縮めながら後ろからついていく。
教科書のほうは、それこそ何の苦労もせず見つかった。
流石の理沙も、書店で迷えるほど器用ではない。
「これですね。えーと、あと、これとこれと……これかな」
どさどさと教科書を参考書と一緒に籠にいれていく。
かなりの量だ。
■ミウ > 書店がどこにあるのか迷っていた事もあって、店内でも教科書の置いてある本棚がどこに置いてるかな、と迷うと思っていたところだが、
そうでもなかった。
どうやら、その点は心配いらなかったようだ。
どさどさと籠に入れていく教科書や参考書に目を移す。
結構な量である。
「あなたがこの島に来たのは、異能の制御のため?」
そう質問して、きょとんと小首を傾げる。
■日下部 理沙 > 「いえ。まぁ、色々ありまして。とりあえず、第一の理由はお金のためですね」
異能の観察保護、実験などのために常世学園に転入すれば研究協力手当がでることがある。
おそらく、理沙もそういう理由でここにきているのだろう。
ようするにモルモットだ。
そういう異能者はそう珍しくもない。
手を止めることなく教科書や参考書を籠にいれながら、ミウの方を見る。
「ミウさんも、そういうのじゃないんですか?」
■ミウ > 異能の制御が第一ではないらしい。
「なるほどね。
とても、分かりやすい理由だわ。
お金に困っていたりするのかしら?」
彼は、研究協力手当が目的なのだろう。
単に、小遣い稼ぎという考えも巡らせてみる。
「常世島に来た理由は、人によって様々だろうけれど、わたしはお金のためではないわよ。
わたしも理由は色々あるわね。
見ての通り、わたしは神であると同時に異邦人でもあるのよ。
だから自然に、異邦人も受け入れるこの島に来てしまったという事はあるわね。
こんな島だから、元の世界に帰る手掛かりを探せるかもしれない、というのも理由になるわね」
と、ミウがこの島に来た理由が様々である事を語る。
■日下部 理沙 > 「困ってない人のほうが多分少ないと思います」
少なくとも、自分のいた『外』はそうだった。
資本主義社会において、金は命に等しい。
ある限りはそれこそ衣食住正しく保障される。
ただなくなれば、それは限りなく粗末になっていく。
微かに目を細めたのち、また参考書を手に取って、今度は少し内容を確認する。
ぱらぱらと、頁がめくれる
「ミウさんも、元の世界に戻る方法を探したりするために学園に協力をしているんですか?」
■ミウ > 「確かに、通貨を得る事は、多くの知的生命体が存在する世界においても課題の一つになり得るわね」
創造神ミウが創りだした異世界もまた、当然のように通貨が重要な存在である。
通貨を持たない人はやはり、貧しい生活を強いられる。
逆に有り余る人は、裕福で贅沢な生活ができる。
とても分かりやすい。
「正直なところ、わたしはあまりモルモットなどで学園に協力しているとは言い難いわね。
わたしの神の力は、研究されて悪用されたり、制御を誤られたりされれば、とても危険なものなのよ」
最も、神の力の研究など容易なものではないけれど。
生徒として、授業は受けている。
だけど、研究協力という観点で見れば協力的とは言えない立場である。
■日下部 理沙 > 「危険、なんですか」
本を籠に入れながら、そういわれると、理沙は一度だけ目を細めて。
「それは……いや」
言葉を濁す。
真偽のほどは定かではない。
ただ、どちらにしろ、彼女は自分の力が危険と自負できるだけの物を持っている。
なら、それ以上は何を言っても詮無い事でしかない。
■ミウ > 言葉を濁す理沙君。
やや首を傾げるも、すぐに元の笑顔に戻る。
「それでは、わたしは小説の本棚に向かうわね。
またね、理沙君」
ミウは優雅な微笑みで、理沙君に手を振る。
そして元々の目的である小説コーナーへと向かっていった。
ご案内:「商店街」からミウさんが去りました。
■日下部 理沙 > 去っていくミウの背を見送りながら、目を細める。
それ以上は、できない。
するべきでもない。
違う翼を持つ少女のそれは、きっと。
ご案内:「商店街」から日下部 理沙さんが去りました。