2015/09/17 のログ
ご案内:「商店街」に神宮司ちはやさんが現れました。
■神宮司ちはや > 学校帰りの放課後、ちはやは寮へ戻る途中の商店街で買い物を済ませる。
買うものは主に食材だ。寮に帰れば食堂が使えるし学校でも学食があるのだから食事には困らないのだがなんとなく味に飽きると自分で作りたくなるのだ。
もっとも大した料理が作れるわけではないが……カレーやちょっとした田舎のおかずぐらいなら何とかなる。
常に持ち歩いているエコバッグにじゃがいもやニンジン、たまねぎあとはタイムセールのカレー用牛肉など買ったものを詰め込んで通りを歩く。
■神宮司ちはや > 少量の分量のカレーを作るのは難しいので少し多めに作る。
一人だと食べきれず数日カレー三昧になるがまぁ、そこはビアトリクスにもおすそ分けしたらいいと考える。
しかし結構な買い込みをしたため荷物が重い。
通学用のバッグに両手で持ちあげるエコバッグと材料が詰め込まれた重量。
ちょっと買いすぎたかもしれない。時折よろめきながら寮までの道を帰る。
もう少し買いたかったものもあったがこれはさすがに重い。
そうそうに諦めてさっさと寮に戻ろう。
■神宮司ちはや > とりあえずカレーを作ったら、
カレーうどん、カレードリア、カレーパスタ、カレーラーメン、もやしとピーマンのカレー炒め、カレーチャーハンなどなど派生の料理はいろいろ作れる。飽きなければだが。
そうこう考えながらふらふらとアスファルトの地面を歩いていれば適当なでこぼこに足をとられてすっころんだ。
わぁっと声を上げて前に倒れこむ。手にした袋から材料が地面にぶちまけられた。
ご案内:「商店街」に日下部 理沙さんが現れました。
■神宮司ちはや > 「いたたた……」
手をついたところがすりむけて、膝はぶつけたし結構踏んだり蹴ったりだ。
道行く人がぎょっとして視線を向けてくるし、ちょっと気まずい。
慌てて起き上がって、道にぶちまけられた中身を拾い集める。
拾い上げようとしたじゃがいもを慌てたせいで取り落としてまたころころと地面を転がり落ちる。
■日下部 理沙 > 新入生、日下部理沙は買い物に行く途中だった。
無駄にでかい翼のせいで雑踏を歩くのはあまり好きではないのだが、背に腹は代えられない。
故に買い物ともなればしぶしぶながらもこのあたりの通りをよく通った。
そんなわりかし良く通る道でまず見かける事がないジャガイモが転がってくれば、不思議に思って拾うのはまぁ必然であり。
無論、そんなものが転がっているとみれば、誰かが落としたのだろうと思うのもまた当然で。
「……ん?」
思考の赴くまま辺りを見回せば、視界の先にいたのは黒髪の誰か。
そして、その誰かが、転がった荷物を拾い集めているのをみれば、もうやることは決まっていた。
手に持ったジャガイモを差し出しながら、長い黒髪が特徴的な……少年? 少女?
いや制服から判断すれば恐らく少年か。
とりあえず、少年に、理沙は声をかける。
「大丈夫ですか?」
何の捻りもない台詞であった。
■神宮司ちはや > 手近なものを急いで拾い上げエコバッグに突っ込む。
気まずいし人の視線が恥ずかしいしで、早くこの場を去りたいのだがせっかく買ったものを無駄にするのももったいない。
そうやってしばらく這いつくばって拾い上げていれば、聞き覚えのない声に顔を上げた。
最初に目に入ったのは大きな翼だ。そしてそれが自分より年上の少年の背から生えていることに目を丸くして何度か瞬きしたあと見つめる。
「天使……?」
思わずそんな独り言がぽつりと出たが慌てて首を振った。
ここは常世島だし天使がいなくもないとは思うが……
それよりも声に返事をしなければ。
「あ、はい。大丈夫です……」
苦笑いしながらまた拾い集め始めるがどう見ても大丈夫じゃない。
■日下部 理沙 > 天使といわれれば、理沙は若干困った顔をしながら、首を左右に振った。
不愉快だとか、怒ったとか、そういう仕草ではない。
単純に、期待を裏切って申し訳ないといった類のやるせない表情である。
「残念ながら、ただの人間でして……この翼は後からくっついたものです。
とりあえず、転がったの拾いましょうか」
そう、面目なさげに声を返せば、その辺に転がっている荷物を一緒に拾いはじめる。
大丈夫と少年はいってはいるが、どうみてもそうは見えない。
遠くに転がりそうな野菜などは翼を使って近くによせて、それから手に取る。
疑似的な四本腕のように翼をつかって荷物を拾い集め、少年のバッグに突っ込んだ。
そして、突っ込んでからそこまでするのは差し出がましいのでは?
と、気づいてまたまた少し申し訳なさそうな顔をする。
「すいません、勝手に鞄にいれたりして」
表情はそれほど変化していないが、しょぼんと翼が垂れ下がっている。
■神宮司ちはや > 首を振る相手に不思議そうな表情を向ける。
なんとなくその表情から、何度も同じように間違われたような気苦労を感じて
ちはやもまたばつの悪そうな顔をした。
だが、彼が器用に自身の体の一部として翼を使って自分がぶちまけた中身を集めるところをみれば
便利そうだなぁと感心した表情でその様子を見つめた。
「いいえ、手伝っていただいて助かりました。ありがとうございます」
申し訳なさそうな相手の顔に微笑を向ける。
決して嫌とは思っていないしむしろとてもありがたかったという表情で荷物を抱えなおして立ち上がった。
「あの、その翼は……異邦人の方ですか?」
■日下部 理沙 > そういわれて、理沙はまたまた申し訳ない顔をして、先ほどと同じ様子で首を左右に振った。
期待を二度も裏切ってしまって申し訳ない、といった顔である。
「いえ、異邦人ではなくて……この翼は異能で生えたものなんです、だから、本当にただの人間なんです。
出身も本土のほうでして……関東の隅っこのほうの片田舎からきました」
そう、返事を返して、またしょぼんと翼を垂れ下げる。
蒼い瞳はただただ只管に淀んでいた。
そして、そうやって項垂れたからだろうか。
「あ、血……」
視線が下がったことで、少年の手が擦り剥けていることに気付く。
あれだけ派手にぶちまけたのだ、転んだ時に怪我でもしたのだろう。
流石にそれくらいは理沙でも即座に判断できる。
「あの、怪我してるみたいですし、どうぞ、使ってください」
そういって、制服のポケットから取り出したハンカチを少年に差し出す。
■神宮司ちはや > 「あ、ごめんなさい間違えたりして……。
いえずいぶんと羽があることに慣れていらっしゃるんだなって思って。
僕もこの春、田舎から来たばかりなんです」
丁寧に頭を下げて理沙に詫びる。
相手から差し出されたハンカチに驚いて、それが自分の掌の傷だということにようやく気付いた様子で慌てて両手をみた。
確かに痛いし血もにじんでいるが……我慢できないほどではない。
「あ、いえ大丈夫です!これぐらいは……我慢すれば。
それに寮に戻れば手当てできますし、せっかくの綺麗なハンカチ汚しちゃったら悪いです」
お気持ちだけいただきますねと苦笑してまたまた頭を下げた。
実際に理沙の気遣いはうれしかったのだ。
■日下部 理沙 > 「ああ、いいんですよ、この島にいればそう思うのも当然ですから」
五年ほど付き合いのある翼であるし、傍目から見れば使いこなしているようには見えるのかもしれない。
そう思えば、少年がそのように勘違いするのは致し方ないことだ。
「……あ、ハンカチの方はそれこそ、気にしないでいいですよ。
安物ですし、怪我してる人そのままにしておく方が良い気分じゃあないですから」
単純に自分の良心の呵責のためであると説明しながら、理沙はなおもハンカチを差し出す。
実際、結構に大きな擦り傷であるし、応急処置は早ければ早い程いいだろう。
それこそ単純に理沙はそう考えて、ただただハンカチを差し出した。
「そっちもよかったら持ちましょうか。重そうですし。
同じ出身ってわけじゃなさそうですけど、新入生で田舎出身の好ということでここはひとつ」
ここまでくれば、それはそれで乗りかかった船という奴である。