2016/05/05 のログ
ご案内:「商店街」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 商店街。今日は早めの帰宅――
お買い物。タイムセールが狙いどきの今――
「いきますよ、小雲雀。今が狙いどき――コロッケ、29円。お肉屋さんのおすすめタイムセールの時間……」
『いざ鎌倉ダオラ―!!』
気合充分に、乗り込んでいく。
いざ行くは、お肉屋さん。殺到する売り場。
物怖じしてては、パックを持っていかれる!
だが――
「うっ……っず……」
『強い……』
弾かれる。さすがは歴戦の将、OBATHAN。
ふんっと、鼻息を鳴らし。悠薇が狙っていたパックを、ぶん取られ――
「けど、負けません!!」
だが、マケズ。人に揉まれに揉まれ――
その手には――……
■伊都波 悠薇 >
「……パック一個、入手――です」
『やったぜはるっち! 姉貴の晩ごはんが豪華になる!!』
結局とれたのは一個だけ。タイムセールは世知辛い。
しかし、でも。まぁ家で喜んでくれたらきっと、このしょっぱい辛勝も大勝利に変わる、と思う。
「少しでも、元気になってくれるといいけど」
何やら事故? に巻き込まれたからか若干元気がないようだった。
父、母は事情を聞いているようだが、説明はしてくれず。
なにか”事故”にあったくらいしか、聞かせてくれなかった。
そこで――今の買い物、というわけだ。
まぁ正規のお買い物もあるのだが、今の争奪戦はいわば”余計”な買い物である。
「さて、次のタイムセールは……」
■伊都波 悠薇 > セールのチラシを広げつつ、ゆったりと歩く。
まだ、確か30分ほど時間がある。
――豚の切り落とし、セール。ここは逃せない……っ
しかし、油断はせず。戦場に入る前の僅かな休息を楽しむべく。
――ガコン
温かい、緑茶を自販機で買うことにした
■伊都波 悠薇 >
「……っほ――」
『和みますなぁ』
まったりとしたひととき。
少し暖かくなってきたが、それでも温かい飲み物はたまに欲しくなる。
どこか緩んでしまうような、ほっとする魔力があるのだ。
「――そういえば……」
携帯を広げる。連絡先には、父、母、お姉ちゃん、そして――この間出会った、銀髪の女性。
4人だけであるが、その4という数字に若干にやける。
『ひっ……』
側を通りかかった人には悲鳴を挙げられたが、それが自分に向けられたものとも気づかず。
にまにまとして――
■伊都波 悠薇 >
まぁ、携帯への登録はお姉ちゃんにしてもらったのだけど。
如何せん、使わないから覚えられないのだ。そこまで、興味があるわけでもない。
まぁだからか、若干ズレが有るのは否めないのだけれど。
「ふぅ……」
緑茶をまた一口。
学校では、わりと強面で一人でいることの多い悠薇であるが。
普段の買い物とかでは、こんなものである。特に力がはいることはない。
気張らなければ、普通の、ちょっとむっつりな女子高生である
■伊都波 悠薇 >
『時間だぜ、はるっち……生命の貯蔵は、十分かい?』
「……はい」
缶を飲みきり、携帯ストラップからの合図にゆっくりと立ち上がり。
ぽいっと、缶を投げてゴミ箱へ――
――ガンっ!
「あっ!?」
外したので、駆け寄り缶をちゃんとゴミ箱に入れる。
(は、恥ずかしい)
誰も見てなかったらいいなと思いつつ――
『どんまい、はるっち。そういうはるっちいいと思うよっ』
「忘れて、小雲雀」
訂正。一馬以外に見られて無いといいなと思いつつ。
「少し多めに買っていきましょう。豚は栄養高いですし」
あと、昆布。出汁用にちょっといいやつをと思いながら。戦場へ。
スーパーの中、セールが始まる前のポジショニングが重要だ。
如何に、そこから身体を潜りこませられるかが勝負の鍵になる
■伊都波 悠薇 > セール、5分前……
既に、戦いは始まっていた。お肉コーナーの一角を
射殺さんとばかりの眼光で見張っている、なんてものは一人も居ない。
そう、気配を殺しているのだ。
存在感を消し、時間となった時と同時に駆け出る。
一心不乱に、獲物を、求めて。
ごくりと、喉が鳴る。
手に汗がにじむ。取れなければ、今日のご飯もお野菜多め。
美味しいのだけど、元気が出る豪華なものにはならない――っ
――絶対、取る!!
そして――時間が……
■伊都波 悠薇 > 『豚肉、タイムセール開始でーーす』
かけ出した。同時に動き出したのは、何人か――
いや把握する必要なんて無い、ただただ一心不乱に走れ。
稽古をしてる分、普通よりはちょっと速い駆け足。
姉のような超スピードなんてでないが、それでもスタートの切り出しが良ければきっと身体能力さを――
手を伸ばす。届く! 取れる!!
そう確信したその時――
――ぬっと出てきた腕。大きな大きな、手。
思い出す、あの、コロッケの時と同じ……
「っ!!?」
■伊都波 悠薇 > 負ける……?
いや、負けてたまるものか。お姉ちゃんの元気がかかってる。
少しでも多く、たくさんの肉で喜んでもらうんだっ――
その、気持ちが前に出て、今までの悠薇にはない粘りがより浮かぶ。
「やああああああっ!!!!」
一歩、大きく踏み込む。伸びる、手。下がる、沈む。
遮る腕の下を抜けて……
「――いっった……」
販売コーナーを走りぬけ、勢い任せに前のめり。
『危ないねぇぞこらぁ!』
「ご、ごめんなさいっ」
前に居た人にぶつかってしまった。
平謝り、何度も頭を下げて――
『気をつけろぉっ』
「……ほっ」
許してもらって一息。
そして手を見れば、”お一人様限定数”のギリギリをもぎ取っていた。
■伊都波 悠薇 >
『ッチ……』
舌打ち、二度の邂逅をしたOBATHAN。
かごの中には当然、タイムセールぎりぎりを制している。
が、狙った”パック”は取れずに悔しさをにじませ……
ふんっと鼻息荒く去っていく。
「……よしっ」
ぐっと握りこぶし。まだ二回。あと何回か制さないといけない勝負がある。
まだ、悠薇の今日の戦いは始まったばかり。
そして、その日は言うまでもなく。
お肉多め、お魚多めの豪華な食事が振る舞われたそうな。
ちょっと髪が乱れた悠薇が、印象的な――
ご案内:「商店街」から伊都波 悠薇さんが去りました。