2016/05/05 のログ
ご案内:「商店街」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 商店街。今日は早めの帰宅――
お買い物。タイムセールが狙いどきの今――

「いきますよ、小雲雀。今が狙いどき――コロッケ、29円。お肉屋さんのおすすめタイムセールの時間……」

『いざ鎌倉ダオラ―!!』

気合充分に、乗り込んでいく。
いざ行くは、お肉屋さん。殺到する売り場。
物怖じしてては、パックを持っていかれる!
だが――

「うっ……っず……」

『強い……』

弾かれる。さすがは歴戦の将、OBATHAN。
ふんっと、鼻息を鳴らし。悠薇が狙っていたパックを、ぶん取られ――

「けど、負けません!!」

だが、マケズ。人に揉まれに揉まれ――
その手には――……

伊都波 悠薇 >  
「……パック一個、入手――です」

『やったぜはるっち! 姉貴の晩ごはんが豪華になる!!』

結局とれたのは一個だけ。タイムセールは世知辛い。
しかし、でも。まぁ家で喜んでくれたらきっと、このしょっぱい辛勝も大勝利に変わる、と思う。

「少しでも、元気になってくれるといいけど」

何やら事故? に巻き込まれたからか若干元気がないようだった。
父、母は事情を聞いているようだが、説明はしてくれず。
なにか”事故”にあったくらいしか、聞かせてくれなかった。

そこで――今の買い物、というわけだ。
まぁ正規のお買い物もあるのだが、今の争奪戦はいわば”余計”な買い物である。

「さて、次のタイムセールは……」

伊都波 悠薇 > セールのチラシを広げつつ、ゆったりと歩く。
まだ、確か30分ほど時間がある。

――豚の切り落とし、セール。ここは逃せない……っ

しかし、油断はせず。戦場に入る前の僅かな休息を楽しむべく。

――ガコン

温かい、緑茶を自販機で買うことにした

伊都波 悠薇 >  
「……っほ――」

『和みますなぁ』

まったりとしたひととき。
少し暖かくなってきたが、それでも温かい飲み物はたまに欲しくなる。
どこか緩んでしまうような、ほっとする魔力があるのだ。

「――そういえば……」

携帯を広げる。連絡先には、父、母、お姉ちゃん、そして――この間出会った、銀髪の女性。
4人だけであるが、その4という数字に若干にやける。

『ひっ……』

側を通りかかった人には悲鳴を挙げられたが、それが自分に向けられたものとも気づかず。
にまにまとして――

伊都波 悠薇 >  
まぁ、携帯への登録はお姉ちゃんにしてもらったのだけど。
如何せん、使わないから覚えられないのだ。そこまで、興味があるわけでもない。
まぁだからか、若干ズレが有るのは否めないのだけれど。

「ふぅ……」

緑茶をまた一口。
学校では、わりと強面で一人でいることの多い悠薇であるが。
普段の買い物とかでは、こんなものである。特に力がはいることはない。
気張らなければ、普通の、ちょっとむっつりな女子高生である

伊都波 悠薇 >  
『時間だぜ、はるっち……生命の貯蔵は、十分かい?』

「……はい」

缶を飲みきり、携帯ストラップからの合図にゆっくりと立ち上がり。
ぽいっと、缶を投げてゴミ箱へ――

――ガンっ!

「あっ!?」

外したので、駆け寄り缶をちゃんとゴミ箱に入れる。

(は、恥ずかしい)

誰も見てなかったらいいなと思いつつ――

『どんまい、はるっち。そういうはるっちいいと思うよっ』

「忘れて、小雲雀」

訂正。一馬以外に見られて無いといいなと思いつつ。

「少し多めに買っていきましょう。豚は栄養高いですし」

あと、昆布。出汁用にちょっといいやつをと思いながら。戦場へ。
スーパーの中、セールが始まる前のポジショニングが重要だ。
如何に、そこから身体を潜りこませられるかが勝負の鍵になる

伊都波 悠薇 > セール、5分前……
既に、戦いは始まっていた。お肉コーナーの一角を
射殺さんとばかりの眼光で見張っている、なんてものは一人も居ない。

そう、気配を殺しているのだ。
存在感を消し、時間となった時と同時に駆け出る。
一心不乱に、獲物を、求めて。

ごくりと、喉が鳴る。
手に汗がにじむ。取れなければ、今日のご飯もお野菜多め。
美味しいのだけど、元気が出る豪華なものにはならない――っ

――絶対、取る!!

そして――時間が……

伊都波 悠薇 > 『豚肉、タイムセール開始でーーす』

かけ出した。同時に動き出したのは、何人か――
いや把握する必要なんて無い、ただただ一心不乱に走れ。
稽古をしてる分、普通よりはちょっと速い駆け足。
姉のような超スピードなんてでないが、それでもスタートの切り出しが良ければきっと身体能力さを――
手を伸ばす。届く! 取れる!!
そう確信したその時――
――ぬっと出てきた腕。大きな大きな、手。
思い出す、あの、コロッケの時と同じ……

「っ!!?」

伊都波 悠薇 > 負ける……?

いや、負けてたまるものか。お姉ちゃんの元気がかかってる。
少しでも多く、たくさんの肉で喜んでもらうんだっ――
その、気持ちが前に出て、今までの悠薇にはない粘りがより浮かぶ。

「やああああああっ!!!!」

一歩、大きく踏み込む。伸びる、手。下がる、沈む。
遮る腕の下を抜けて……

「――いっった……」

販売コーナーを走りぬけ、勢い任せに前のめり。

『危ないねぇぞこらぁ!』

「ご、ごめんなさいっ」

前に居た人にぶつかってしまった。
平謝り、何度も頭を下げて――

『気をつけろぉっ』

「……ほっ」

許してもらって一息。
そして手を見れば、”お一人様限定数”のギリギリをもぎ取っていた。

伊都波 悠薇 >  
『ッチ……』

舌打ち、二度の邂逅をしたOBATHAN。
かごの中には当然、タイムセールぎりぎりを制している。
が、狙った”パック”は取れずに悔しさをにじませ……
ふんっと鼻息荒く去っていく。

「……よしっ」

ぐっと握りこぶし。まだ二回。あと何回か制さないといけない勝負がある。
まだ、悠薇の今日の戦いは始まったばかり。




そして、その日は言うまでもなく。
お肉多め、お魚多めの豪華な食事が振る舞われたそうな。

ちょっと髪が乱れた悠薇が、印象的な――

ご案内:「商店街」から伊都波 悠薇さんが去りました。