2016/06/03 のログ
ご案内:「商店街」に夕霧さんが現れました。
夕霧 > 【放課後・商店街】

軽快な足取りで商店街を進んでいく。
事務で使っている備品などが目減りしてきたため、各員に希望を取り、その備品などを買い集めに来た、と言った所である。
とりあえず目的地はスーパーだ。

がさがさとメモをポケットから無造作に取り出す。
ここに書いておいてくれ、と言ってそのまま特に目を通さずに来たがスーパーなら大体のものは揃うだろう、というアテである。

夕霧 > 既に放課後であるし、この後事務の仕事も無い。
ひとまず買えるものだけを買い、後は自分の買い物も済ませ、家に帰ろう、そんな魂胆である。
流石に備品を買って一度部屋へ戻るのも流石に億劫であった。
彼女もオンオフを分けるタイプであり、オフの時はそれなりにいい加減である。

メモを片手にスーパーへと近づいていく。
行きつけのスーパーだ。
免税と言う訳でもないので普通ではあるが。
セールや広告の品などを買うならば十分に安いので愛用している。

自動ドアをくぐり。
スーパーの入り口近くでさて、とメモを広げる。

夕霧 > 「―――んん?」

思わず首を小さく傾げ、目を細める。
さて踊る文字は各人各人見慣れた筆跡が幾つかあるものの。

お茶葉。
わかる、とうんと頷き。

ホッチキスの芯。
うん、と頷く。

ノート。
うん。

猫の餌。
んん、と唸る。
これは私用で欲しいものではないのか。
とまあ、誰が書いたかは筆跡でわかるので後で請求すればいいのだが。

鉄アレイ。
―――そもそも補充用の備品だと言うのに何故こんなものを書いたのか。
まあ確かに暇な時は暇な部署だ。
トレーニングの一つや二つ、したくなると言うのも分からないでもない。
ここに書くのはどうかと思うけれど。
自室に一つ二つあったような気もするので持って行こう、と考えて。

「―――ん」

最後の方に。

単位。
備品買い出しに単位と書く辺り相当にまずいのだろうか。
彼女が見ている限りそんな切羽詰まった顔をしていたのは居なかったように思う。

それがポーカーフェイスというのなら。
それは十二分に成功していると言えよう。

―――だからといって買っていくというのは難しい事だ。

「それこそ先生方に根回しでも、した方がええと思いますえ」

大喜利めいた単語にそう結論付けて。
とりあえず買うものを目指してゆっくりと店内を進んでいく。

夕霧 > 後のポイントとしてはこの単位と書いたのが筆跡が見覚えの無い事だ。

よっぽど証拠を消すのが上手いようだ。
などと少し関心をしながら。
ノート、ホッチキスの芯をカゴへ入れ。

さて、とお茶葉のコーナーで立ち止まる。
何種類もあるお茶葉である。
どれが欲しかったのか。
と言うよりもまずは事務内での意見の対立から考えねばなるまい。
緑茶派とほうじ茶派。
今部署内はこの二つの派閥に分かれている。

些細な事を、と思うかもしれない。
しかし些細であれ、お茶と言うのは事務処理をするに辺り、手短にリフレッシュする事の出来る重要なパートナーだ。
嫌いとまでは言うまい。
しかしどうせなら飲みたい、そう思うお茶を飲む方がモチベーションも上がるだろう。

ではここで問題になるのがどちらを買っていくべきかである。
筆跡からどちら派の子だったかを看破すれば容易い、そう思っていたが。
これはどうもそのどちらにも属さない、所謂無所属中立の『飲めたら何でもいいよ派』の子だ。

ごくり、と喉を鳴らす。
更に厄介な事情を説明しよう。
どちらでもいいよ派がいるものの、今の所どちらがいいか、という結論は出ていない状況であり、その中に第三の選択肢『別の種類のお茶葉』を持ちこむ事は禁忌とされている。

……何故かはわからないがそう言う事になっているのだ。
故にお茶葉を補充となれば必然的に『緑茶』か『ほうじ茶』かとなる。
ちなみに彼女もどちらでもいいよ派であるので正直な所どちらが目減りしていたのかわからない。

「ふーむ」

唸る。
備品故に費用は出るものの、足りているものを買っていくのは出来れば避けておきたい行為だ。

故にその場に立ち尽くす。
腕を組み顎に手を当てて。
既に彼女の思考は昨日どちらが何杯飲まれていたか、まで飛躍していた。

夕霧 > 「一杯……二杯、うちが一杯」

派閥も大体半数。
人数での消費量はトントンと言った所。

となればどちらでもない派がどちらをどれだけ飲んだか、というのも考慮対象となる。
ちなみにどちらでもない派は気分で飲むが、大体飲んでいる時は若干の視線が感じられ。
(ほうじ茶の方がいいでしょ?)
(緑茶がやっぱサイコーだよね?)
という視線を見て見ぬふりをするのが日常茶飯事である。(そして部署内に数名居るどちらでもいいよ派は須らく習得している)

「二杯……三、四」

視線を泳がせ、カウンティングを続行するものの―――それが効果的であるとはやはり思えない。
それでも情報は其処にしか無く、すがる思いでカウントをし。

「……若干、ほうじ茶……ですかなあ」

不安げに呟く。
恐る恐る爆弾を拾い上げるかのようにほうじ茶をカゴへと放り込む。
勿論、銘柄すら指定されているのだ。
銘柄を変える時は派閥が指定した時である。
思えば無益な争いではないのか、などと少しばかり考えるが詮無きことであった。

キ○コとた○のこよりはマシと思おう。
などと柔和な笑顔のまま微妙に眉を顰めながら。
お茶葉のコーナーを後にする。

夕霧 > 後は猫の餌(鉄アレイと単位はスルーする)であるが。
銘柄などの指定も無い。

そして飼った事の無い彼女にわかる訳も無く。
ひとまず書いたであろう子があげていた単語などを思い出しながら一つ適当に放り込んで。

「こんなものですかなあ」

うん、と一つだけ頷き。
後は適当に自分の夕飯などを買い込めば。
買い物袋を手にスーパーを出る。

そこそこ考え込んでいたようで、少しばかり辺りは薄暗い。

ご案内:「商店街」にアマデオさんが現れました。
アマデオ > 「(いや、参ったな。)」

アマデオは心の内で呟いた。彼の視界にはスーパーの袋を手にした夕霧の姿が映っている。
別に彼女にやましいことなんて万に一つも無いが、あの聡い娘の事だ。
路地裏はバレてるんじゃないかと思えてならない。
だから接触は避けたいのだが……。

『ああ、でも良いな。さまになってる。』とかなんとか油断すると考えてしまう。
これではいかんと頭を横に振って背を向けて一般人に溶け込もうとするだろう。

夕霧 > 「ん……」

カサ、と乾いたビニールの音が響く。
さて、見覚えがあるような無いような後姿。
薄暗いものの、恐らくは間違いないであろう。
とはいえ。

丁度、彼女の帰り道に見かけたその姿。
ゆっくり紛れている男へ近づいていく。
とはいえ足取りも表情も自然。
ただただ帰り道を歩いているに過ぎない。

ゆっくりゆっくりその歩調はそれでも確実に男へと近づいて。

アマデオ > 「…………。」

おかしいと感じた。彼女の気配が一向に消えないのだ。
いや、消えない程度ならまだ良い方で。
一歩、また一歩と進むたびにその気配が近づいてくる……気がする。

バレたか? いいや、そんなはずはない。
幼い頃から叩き込まれたこの技術は完璧なはずで、ただの一学生にそれが見破られるほど落ちぶれてはいないはず、と自分に言い聞かせた。
その実、彼女を意識しすぎて見るものが見ればすぐに分かる程度には落ちぶれているのだが。

夕霧 > ゆっくりと彼の近くまで―――いやただ道すがらにすれ違う程度の事なのだが。

「意識しすぎると逆に目立ちますよ?」

足取りは止めず、そちらも向かず。
その一言だけを、彼へと手向けて。

恐らく、彼がそれほど意識などをしていなければ彼女も見つる事など出来なかっただろう。
現在の彼女は所謂オフのオフだ。

―――定義するなら路地裏に居る時などはオフのオン、という所で。
そして今この時はそれほど気を張っている訳じゃない。
それでも見つけてまったのだから。

悲しいほどに意識をし過ぎてこちらへの注意が読み取れたのであった。

それを否定する訳でも無く、笑う訳でも、まあ表情は何時も通りなので柔和な笑顔なのだが。
その事実だけを彼へと伝え。

振り返らず、それ以上の言葉も無く。
ゆっくりと彼女は家路に付く。

―――心底どうでもいい事だが足りなかったお茶葉の答えは『どちらも』であり、明日彼女が緑茶派に御小言を言われるのはまた別の話で。
単位と書いたのは結局誰だったのか。
それもまたまた別のお話。

ご案内:「商店街」から夕霧さんが去りました。
アマデオ > 「…………。」

何たるざまだ。アマデオは絶句した。
愚かな自分を恨みつつ、夕霧の後姿を見送るだろう。

そして空を見上げ、一つ溜息をつき今度こそ人ごみの中へと消えていった。

ご案内:「商店街」からアマデオさんが去りました。
ご案内:「商店街」にアリエンティアさんが現れました。
ご案内:「商店街」にアリストロメリアさんが現れました。
アリエンティア > さて、今日も今日とて、制服で。
もうこの服を着て一年となるのに、まだあの時の気持ちは色あせない。
――そう、もう一年。憧れを追ってきたものの。
ここでは、いろんなものが少女にとっては初めてばかりで楽しさゆえに目的を忘れていた。
そのことを思い出し、自分を責めて。血相を変えて焦っていたとき。
彼女と出会う。自分とは全く真逆で。才能あふれた知識豊富な――
でも、どこか自分と同じ。世間知らずなこともある、彼女と。

諭され、あやされ。会話をして。
初対面から、より仲良くなろうと。勇気を出して一緒に買い物にいくことになったのが、今日。

(ちょ、ちょっと、早く来すぎちゃったかな……)

待ち合わせ場所で、ふぅっとひとつため息をついた

アリストロメリア > この学園に来て、早1年
入学当初と同じドレスを纏い、彼女の居る空間だけ、何処か異空間にも感じられるような
周囲とは浮き出ながらも――……けれど何故か
不思議と、その違和感の気にならない異能学園都市、常世の商店街を
猫足のヒールで、そっと猫が歩くかのように 静かに目的地へと向かう

そこには、既に

艶やかな銀が闇夜で輝く様な髪、血で染まったかのような満月を連想させる瞳が
昼の光に未だ残された 或いは、彼女の空間だけが、少しだけ夜の香りを思わせる様な少女の姿が在った

「御機嫌よう、アリエンティア嬢」

にっこりと微笑みながら、年下の少女に気を使わせてしまうのは、ちょっとだけ申し訳なかったと思う
もう少し、早く家を出ればよかったかと思ったが、静かに時計を見れば、約束の時間よりも十二分に早くて
きっと、お互いに楽しみであった証拠なのかと思えば
再び、その事実に笑みが零れた

……その少女の印象は
その銀の闇の髪の様に、異彩な輝きを放っていて人を引きつける魅力に溢れている
勝気で、強く、優秀な姿は
容姿も相まって、まるで真祖の吸血鬼の様
……けれど、銀は脆いのだ
一見では分かりかねない危うさと脆さが、同時にその少女に存在している
優秀で、非常に頑張り屋ではあるけれど、それと同じく何処か焦っている様にも見えるのが、少しだけ心配で――……
少しだけ昔の自分を連想させた

「随分と、お早いのですね」

そんな思いを心の奥底に隠しながら、そっと手を差し伸べる
それは、今日の予定の買物と共に
……もしかしたら、いつか他の意味で手を差し伸べる日が来るのかもしれない
双方の意味を、密かに込めて

アリエンティア >  
「わぁ……」

いつ見ても、感嘆が口から漏れ出る。
ため息が出てしまうくらい、きれいな宝石。アメジスト――
透き通る、紫。それを映えさせる白い肌。
損なわせない、ドレス。気品。どれをとっても、一級だ。
静かな、歩き方――なのに、すぐに気づいたのは周りのどよめきが聞こえたからかもしれない。
なにせ、絶世の美女。魔女をも思わせる風貌。
見惚れないほうがおかしい。
――つり合いが取れているのか不安になった。
が……

「ご、ごきげんよう。アリアちゃん!」

若干発音に慣れないからか、短くした愛称。
ちょっと緊張した面持ちで挨拶の真似。

「女性を待たせるのはよくないって、テレビで言ってたから」

正確には、アニメ。少女漫画とか、恋愛もとかそっちの偏った知識。
でもそこまで詳しくは言わず。はにかみながら告げて

アリストロメリア > 静かに取り残されている闇の様な風貌とは裏腹に――……
目を輝かせて、ほんの少しだけ拙い喋り方は
何処か、ビスクドールに魂が吹き込まれ、少しずつ周囲の事を学びながら成長していく
少女人形の様で実に愛くるしい
思わず、そのまま抱きしめたくなる様な少女の可憐さに、小さく溜息をつく
きっと、本日向かう予定のメゾンのドレスは、どれも彼女に似合って選ぶに選びきれなそうだな
……等と思いながら

「御機嫌よう
……そうでしたの、しっかりしていて偉いですわね」

アニメや漫画、テレビ等はよくわからないけれど、初めて見た時はどれも驚いたものである
特にアニメやテレビは、あの小さな箱の中で、人や物語が動くのは
此方の最新鋭の魔術技術等の象徴かと思ったくらいだ
様々な情報が多雑に溢れており、あれの存在を知っただけでも、此方に来た価値が多いにあるものの一つでもあった

「早い分余裕もありますし――……ゆっくり買い物も楽しめますわね
行きましょうか」



こうして、この二人だけ居る空間が
現実であるにも関わらず――何故かそこだけ物語が紡がれるかのように見える様な
そんなお買い物が始まりの幕を上げた

アリエンティア >  
「夜更かし、たまに面白くてしちゃうからえらいとは違うような……」

苦笑しながら、完成された美の隣を。未熟な花が添えるように隣に立ち。
えっと、と。表情をうかがいながら言葉を紡ぎ。

「今日は、どこに行くんだっけ?」

遊びに行くということばかり、目が行っていて。
肝心の内容は覚えてなかった。
ゆっくりゆっくりと歩を進めながら。今日の目的? を訪ねつつ。

アリストロメリア > 「ふふ、魔術では重要な時間の一つですわ――……
最も、どのような術をするかにもよりますけど」

等と、少女のお話にくすくす笑いながら
『あまり夜更かしすると、身体の発育とかにも影響するから
まだ早めに寝ておいた方が良いかもしれませんわね』
と、小さく告げておいた

「?」

何処に行くか尋ねる少女言葉に首を傾げて

「……あぁ、もしかしてまだ言っていなかったかしら?
ごめんなさいね」

と、謝って

「実は今日は、貴方と私のお洋服を新調しに行こうと思っておりましたの
お父様から、新しいドレスを新調するように言われましてね――……丁度良いので、貴方の分もついでに、ね」

お父様には内緒ね?と、小さく人差し指を唇に当てて
悪戯っぽく微笑んで


出向いた先は、昼間であるというのに
何処かそこだけ蝙蝠が飛び交いそうな雰囲気の、一室
扉を開けて中へと足を踏み入れれば――……

物語で見た、お姫様の衣装部屋に足を踏み入れたような
或いは、自分達がビスクドールになった様な
貴族、或いは闇の眷属に招かれた一室の様な――……

例えるのであれば、そんな雰囲気のフロアが幾つかに別れていて
よくよく見れば、少しづつフロアごとにお洋服の雰囲気も違うのだった
一見では、分からないかもしれないけれど

「……アリエンティア嬢は、どのようなお洋服が好みかしら?」

――……もしかしたら、彼女の大好きなアニメや漫画のキャラクターの服も
コラボレーションされているかもしれない

アリエンティア >  
「うぐ、魔術……」

苦手分野である。うまくできない部分の一つ。
うまくできないということは認めたくはないが努力でどうしようもない部分だった故に結果だけ見ると。
でも、認めたくない。すごく、苦虫を噛み潰したような顔。

「……お、おっきくなるもん。だ、だいじょうぶ。もう少しすれば立派なレディに……」

と、自分と目の前の女性を見比べる。
夜更かしは少し減らそう。そう思った。

「……Wie bitte?」

つい、ドイツ語が出る。え、なんて? といったようなものだ。
仕方がない。今なんとおっしゃったのだろうとほんとに思ったのだから。
ドレス。うん、目の前の女性ならそれはそれは似合うだろうが――
自分のまでと言いましたか?
いや、かわいいですが、さすがに飲み込めない

しかし、雰囲気満点の店内に入れば――

「……うわぁ……」

目を輝かせた。一応、これでも女の子である

ご案内:「商店街」に金良 楽さんが現れました。
ご案内:「商店街」から金良 楽さんが去りました。
アリストロメリア > 苦虫を噛み潰した様な顔の少女に、横目で『大丈夫』と密かに伝える
それを彼女が拾いきれたかは分からないけれど――……
本当に、本当に
その年でその少女はよくやっていると思う というのが素直な感想だから
……ただ、彼女の魔術と私の魔術が違う可能性もあり
そうなれば多少認識の違いも出てしまうかもしれないけれど――……

心配なのは、その『焦り』
本当に、本当に
それだけは止めて欲しいと思う
只でさえ危険を伴い危うい道ではあるのだから……
一歩踏み外せば、自分が苦虫の様になってしまう

「ええ。大丈夫
自然と時間が訪れれば、相応しいレディになれますわ」

彼女が自分と同じ年になる頃には、きっと銀の夜を纏ったかのような素敵なレディになるだろう
身長はわからないけれど、低くても堂々としていればいい
かのヴィクトリア女王は、150の低身長でも堂々とし、決して顔を上げず
自分よりも背の高い者を跪かせていたのだから――……
ただ、伸ばしたいなら夜は寝ておいた方が良いとだけは、思う

少女にドイツ語で尋ねられれば
扉を開けてそっと店内へと促す事で返答した

言い忘れていたせいか、少し驚いている彼女を見つめるが
目を輝かせて、感嘆の漏れる姿にちょっと安心する

「お好きなものを、どうぞ」

きっと、彼女なら
闇に佇む様な漆黒のドレスや
上品なビスク・ドールや良家の子女を思わせるドレス
或いは、砂糖やスパイス、その他素敵なもので出来たかのような
甘い甘いドレスも
どれも素敵に着こなすであろう

アリエンティア > 少女にとって、焦りはつきものだ。
今回ばかりは時間がなかった。なにせ、憧れの卒業があった。
だから、少しでも自分を見てもらいたかったというのがある。
まだそれを目の前の女性が知る由もないが。

「……し、知ってますぅ。不安なんて微塵も感じてません!」

見透かされたような言葉につい。
むーっと、少しむくれっつら。同学年だが、やはり年上。
子供扱いは仕方がないが――素で対応してしまうくらいには拗ねた。

「……好きなものをって言われても」

服なんて選んだことないし……とつぶやいて

アリストロメリア > 彼女の焦りの裏側の理由は、まだ知らない
彼女が卒業していってしまう事も
こうして、時間が交差しているのも束の間の間で居る事も

目を輝かせたり、むくれっつらになったりと
ころころと表情が自由に変わる素直な様子が、猫の様で可愛らしいのだけれど
それを言うのは控えていた
『貴方の自由な所が、少しだけ羨ましいんですけれどね』
という言葉と共に隠したまま

「んー…… そうですわねぇ……
例えば、好きな色とかデザインとか、服の生地や質感とか……
何かしらありまして?」

服なんて選んだ事無いという彼女に

「好みが分からないなら、色々試してみましょうか」

と、声をかけた
見繕う事も出来はするのだけれど
自分で選ぶ方が良いだろうと思って

アリエンティア >  
「……? どうか、しました?」

暖かい目。でもどこか、見守るとは違うものを感じたのか首をかしげる。
そういった、感情の動きには敏い。なにせ、いつも家では顔色を窺ってばかり。
それでも相手にされず――独りだった過去があるゆえに。

「……わ、わかりません」

服を買う行為を許されなかった。渡されたものを着るだけ。
それに、こういったもののセンスは、先日の水着選びであんまりない? ような気もしてるから自信がなさげだ

アリストロメリア > 「……いいえ。ただ――……そうですわね
”今のままの貴方”で十分素敵ですわ、と伝えたくて」

それは本心
”今のアリエンティアである”からこそ放たれる輝きもあれば
時と共に失いつつものも存在する――……
時の流れであれ、彼女に訪れる変化であれ
”今のまま”で在るものは、何一つこの世に存在しない
それと同時に
何処か、人の顔色を伺う様子が端端から感じるのが少しだけ心配だった
その鎖を解く為にも、焦ったり背伸びしたりしなくて良い事を伝えておきたくて

「…………」

うーん、と少し考える
どうしようか……幾つか選んで当ててみる事は出来るけれど
恐らく彼女の様子を見るに、きっと自分が選んだ範疇の中から好き嫌いや似合う似合わないを問わず
選んでしまいかねない
自信のなさげな様子を見つつ

「……流石に、好きな色やデザイン等もわからないと選びかねますわね……
では、こうしましょうか

今ここで”自分で自分の人生を一つ選択する”と思いなさい
『人はその制服通りの人生になる』という言葉があります
たかが服、されど服であれ――……貴方の人生に影響を及ぼすもの
……勿論、好みで無ければ 他のお店を選んでも宜しくてよ
それも一つの選択ですから……ただし

”自分で選択”しなさい
……それはね、人から与えられたものだけを選んでいては
貴方自身をいつかきっと失うからよ
人から与えられた道、人から与えられたもので創られた人生というのは
……後になって振り返った時に、何の為に生きているのかわからない様な
きっと寂しいものになってしまうでしょうから……

小さな事とはいえ、このような一つの選択をするのも、大切なことであり
こうした蓄積が、貴方という存在を、未来を形作る要素でもあるのです

今日はその小さな練習だと思えば宜しくてよ
……大丈夫、失敗しても糧になりますし、怖がらなくて宜しくてよ」

そう言って、自信なさげな彼女の手をそっと取る

「服は第二の皮膚に例えられますわ
……では、もしこの中に”貴方”が居るとして
見つけるのは貴方自身だとしたら、如何します?」

アリエンティア >  
「……?」

難しい言葉だった。真意はとても難しい。
でも、馬鹿にされているものではないのはわかるし
どこか、優しげな様子で言われれば文句もない。

そして、告げられたオーダーを聞けば。
ほんの少し、目に闘志が宿った。

「……絶対負けません」

人生とは、勝負である。だから努力はやめないし、負けないことを信条とする少女は。
ここでも負けないと意気込んだ。
似合う似合わないにかかわらず、自分のものを選ぶ。
自分と向き合う。とても大事だ。
従者にも告げていること。だから――

最後の言葉はあまり聞いてなかった。
真剣なまなざしで服を物色し始める

アリストロメリア > 不安そうな顔色から、徐々にいつもの
勝気で常に自分と戦う、誇らしい彼女の表情に戻るのをみれば

「頑張って」

と、応援して 一歩引けば彼女が選ぶ様子を見つめる
本当に、迷った時や判断に困っている様なら声をかければいいけれど……
小さい選択とはいえ、彼女が自分と向き合う一歩でもあるから
極力何も言わないで身守ろうと思った

先程とはまるで別人な、真剣なまなざしの少女の変化を見つめて

アリエンティア >  
「……これ」

直観。
ドレスというよりも、礼装に近いもの。
清く、美しい白。ローブに入る赤のラインが、神々しさを引き立てる。
でも――普段着にはちょっと合わなさそうであるが。

「……ぅ、でも着るのは少し億劫かな」

衣装に負けてる気がする。いや、負けてないもん
なんて心の中で葛藤。
結局、いつか着こなしてやると闘争心をむき出しにして。

「これ! これにします!!」

思いのほか大きな声になって、はっとしたあと。
顔を真っ赤にして……

「……これ、似合うと思いました」

小さな声でもう一度

アリストロメリア > ドレスと言うよりも、礼装に近いそれは
聖職者の様な神聖さを感じさせた
高潔な白に鮮やかな赤が一際目を引き美しい
普段着には、あまり合わないかもしれないけれど
部屋着だとか、ここまでくればいっそ白系等の魔術等を行う時の服等にしてしまっても良い気がする
彼女がそちら側の魔術をするのかはわからないけれど

「……ふふ、今は着慣れなくても、着て行くうちに自然となじんでいきますわ
心配しなくても、大丈夫」

葛藤しながらも、いつか着こなしてやるという強い意志を感じて
微笑みつつ安心して、小さく頷く

「ええ、きっと似合うと思いますわ
サイズをみる為にも、買う前に合わせてみましょうか?」

どうします?と、店員を呼ぶ前に尋ねて

アリエンティア >  
うぐっと、ちょっと即答しずらい。
やっぱ、この服は手ごわいのだ。
即答できなかった悔しさに唇をかみつつ――

「き、着ます」

――逃げないもん、負けないもん

なんて、子供のようなつぶやきをしながら。
もうどうにでもなれーの境地で。体を差し出して

アリストロメリア > 恥ずかしいのが見て分かるように
少し間を置いてから、着るという返答が来たので
頷いて、店員を呼んで試着をさせて欲しい旨を伝える
快く試着室へと案内されながら彼女の手を引いて

逃げないもん、負けないもん
と、呟いている彼女に

「頑張って」

と、小さく告げて手を離した

アリエンティア >  
「え、わ、あ!? きつ、いた――うにゃああああ!!?」

初めてのドレス。コルセットなりなんなり。
わきわきと、うれしそうな顔をする店員に。
しっかり着せ替え人形にされて――

結局。慣れたほうがいいということでそのままの恰好でショッピングすることになり……

アリエンティア > (中断)
ご案内:「商店街」からアリエンティアさんが去りました。
ご案内:「商店街」からアリストロメリアさんが去りました。