2016/07/04 のログ
ご案内:「商店街」に巓奉さんが現れました。
巓奉 > 不法入島者である巓奉がどこで手に入れたか制服に身を包み、学生証を手にやってきたは活気がある商店街。
行き交う学生達をきょろきょろと見渡しながら誰に言うでもなく呟く。

「さあて商店街くんだりまでやってきたもののどうしたものか。」

甘いものを食べるも一興、道往く学生にちょっかいを出すのも一興、このまま散策してしまうのも一興。
青垣山と違いここは娯楽に溢れている。自然と顔がにやつく。

待っていろ、娯楽。

巓奉 > 来て早々何かをしでかすのは性急に過ぎるというもの、まずはここを練り歩く事にした。
露天商が並ぶ道を選びずんずんと進んでいく。

飴細工の実演をしている店、様々なデザインの小物を取り扱う店、怪しい雰囲気のアイテムを並べている店など様々。
その一つ一つを冷やかしつつ飴細工に手を伸ばしたりしている。

巓奉 > 「うん、甘露甘露。良いねえ、甘いものは良いよねえ。」

見事に象られた金魚の飴を遠慮なく口に含み、ゆっくりと溶かしつつ砂糖の味を堪能している。
花より団子とはよく言ったもので、その造形美に見向きもしなった。

飴を舐めつつさらに巓奉は進む。次なる甘露いやさ、娯楽を求めて。

巓奉 > 上機嫌で糖分補給しつつ、きょろきょろと見渡す。
相変わらず学生達で賑わっている通りを猫の様にするするっとすり抜けて進んでいくだろう。

時々、デート中であろうカップルの彼氏にわざと声をかけ思わせぶりなセリフを言ってすぐに離れて遠くから彼女に問い詰められているサマを観察し楽しんだり。
人形焼の屋台で足止め食らったり、一人で20個近く入ったものを購入したり。

ご案内:「商店街」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
なんとも不審な動きをしている少女が居る。
初めて来た人間らしい動きにしか見えない。

「……こんにちは」

一応声をかける。
腰に付けた刀を背中側に回しながら、静かな声色で。

巓奉 > 突如声を掛けられきょとんとした表情を浮かべつつ振り返る。
右手に人形焼、左手にはいつの間にか購入したどら焼きを手にし、もぐもぐしながら。
口の中のものをきちんと飲み込んでから、言葉を交わす。

「ええ、こんにちは。私に何か用かな?」

その行動とは裏腹に言葉遣いは落ち着いていた。

寄月 秋輝 >  
「えぇ、どうも初めてこちらに来た様子でしたので。
 よければ学生証か教員証、他に提示できる身分証があれば見せていただけますか?
 買い食いをお楽しみのところ、申し訳ありませんが」

腕の内側に隠すように巻いてあった、嘱託の風紀委員腕章を見せながら聞いてみる。
職務でのことらしい。

巓奉 > 「いいとも、と言いたいところだけど生憎両手が塞がっていてね。
困ったな……これでは身分証を出せない。ああ、そうだ! キミが私の懐に手を入れて確認するっていうのはどうかな?」

にやりと意味深な言葉と表情で目の前の風紀に提案をする。
正直なところ別に断る気は毛頭無いしかと言って素直に従うのもつまらない、だからこういう趣向で攻めてみた。
面白そう─ただそれだけの理由で。

寄月 秋輝 >  
「……面倒なトラップを仕掛けないでください……
 こんな道のド真ん中で女性の懐、胸元に手を突っ込むなんて真似が出来ますか」

ここが人気が無い場所ならやったかもしれない、などとは当然言わないが。
迷わず右手を差し出した。
もちろん胸に触れることはないが。

「どら焼きを預かりますから。
 それなら片手が空くでしょう?」

巓奉 > 「据え膳食わぬは何とやらと昔の好色家は言ったそうだよ?」

『つまらないね、キミは。』そうクスクスと笑いつつどら焼きを素直に渡し、空いた手で胸ポケットから学生証を取り出す。
無論、偽装されたそれではあるが。

「はい、これで良いかい?」

取り出した学生証を目の前にいる風紀の左手に握らせた。
正規のそれと瓜二つでこれが偽造品だと看破するのは困難であろう。
しかし経験を積んだ者が詳しく調べようとするのであれば、話は別である。
気付くか気付かないかはその鑑定次第。

寄月 秋輝 >  
「据え膳だとしても、人前でくちゃくちゃ音を立てながら食べるものではないでしょう。
 好物ならなおさら、一人静かな部屋で食べたいものです」

彼なりの矜持があるらしい。
どら焼きを掴み、左手に差し出された学生証をしっかり受け取る。

「はい、確かに。
 商店街は入り組んでいますから、迷わないように気を付けてくださいね」

ぱっと見ただけで学生証を返した。
そりゃ偽造とも気付かない。
そのあと、ちゃんとどら焼きも差し出した。

巓奉 > 「確かに、好物は誰にも取られないようにしないとね?」

再びくすくすと笑って学生証を受け取った。
だが差し出されたどら焼きは受け取ろうとせず。

「そのどら焼きはキミに進呈するとしよう。少し意地悪が過ぎてしまったからその侘びさ。
私の分はまだまだあるのでね。」

そう言ってる内にすぐ近場の屋台からクレープを受け取っている。

寄月 秋輝 >  
「……はぁ、ありがとうございます。
 別に気にしていませんが……」

そのどら焼きをしばし眺め、ぱくっと食いついた。
もくもくと咀嚼し、飲み下す。

「……よくそんなに入りますね。
 大丈夫なんですか、そんなに買い込んで」

巓奉 > 「ふふ、良い食べっぷりだね。それでこそ譲った甲斐があると──はむっ。言うものだ。」

クレープを頬張りつつ、寄月の食べっぷりを称える。
次に人形焼を器用に取り出し口に放り込んで咀嚼して飲み込む。

「甘いものは別腹と古人は語ったそうだよ。
幸いにして私には手に職があったから何とか食いつないでいけてるのさ。」

『ああ、もしかしてこれが気になるのかな?』とにやついて食べかけのクレープを差し出してくる。
もしかしなくても確信犯というヤツだ。

寄月 秋輝 >  
「正直、今食べっぷりであなたに勝てる気がしません」

クレープを食うわ人形焼きを食うわ、多分これまでもこの少女は何か食べてきたのだろう。
よく入るな、と感心した様子。

「それ、多分女性にだけかかる口伝ですよね。
 僕は動いてないと、そんなに入りません」

差し出されたクレープ。
まだからかわれているな、となんとなく感じた。

よって、仕返し気味にそのクレープに迷わず食いついた。
小さめに一口分、ありがたくいただく。

「……いい甘さですね。
 普段食べないから新鮮です」

間接キスもものともせず、真顔でしれっと言い放った。

巓奉 > 「おや? 奇特な事を言うものだね。キミの体格からしてもう少し食えると思うのだが。」

分かってて敢えて言う、人をからかうのも楽しいものだ。
そう思っていたら差し出したクレープを迷い無く食らいつくのが目に入って。

「…………ふふっ、キミは良い男だね。私が保証するよ。」

一瞬、ほんの一瞬ではあるものの手玉に取られた気分だ。
本当に人は面白いと思う、からかわれているだけかと思いきやこうやって予想外の反撃をしてくるのだから。

寄月 秋輝 >  
「運動すれば入りますね。
 まぁそういう体質なんです」

ぺろりと唇の端を舐め、小さなため息。

「……お褒めの言葉、ありがとうございます。
 あまりそういう自覚が無いんですけれどね」

少々困った風にぼやきながら呟く。
時折そう言われることが、最近ちょくちょくある気がする。
特にこんな余裕のある女性に。

巓奉 > 「良く動き、良く食べ、良く寝る。基本的な事ではあるけども、重要な事さ。
きっとキミならさらなる高みを望めるだろうさ。」

にこやかに語る彼女だが、その目には確信めいた熱が込められていた。


「おやおや自覚が無いとは困った人だ。一体、どれくらいの女の子をときめかせてきたのやら。」

実際、予想外の反撃はしっかりと届いていてちょっと気恥ずかしかったりする。
それを表に出すことだけは決してしない。だって負けた気分になるじゃないか、と思いつつ。
お返しに寄月が口を付けたところをぱくりと。

寄月 秋輝 >  
「……これ以上の高みがあっていいものかどうか……
 正直限界超えて鍛えたつもりでしたから」

過去の地獄を思い出して、ちょっと冷や汗が出た。
いやまぁ、あの頃から比較すればなまっているだろうし、まだ高みは望めるかもしれない。
問題はよく寝てないことだ。

「う……えぇと、はい……
 いや、まぁ……」

露骨に目を泳がせた。
彼自身異邦人だが、元の世界では女性関係で色々あったものだ。
そこを突くとわかりやすいほどにうろたえるのもよくない。

「……僕が二口目を付けたところで言うのもなんですけど、
 あなたも全然気にしないんですね……」

クレープを指さし、小さく一言。

巓奉 > 「人が願えば高みなんてものどこまでも果てしなく続く。
だからこそ願うのをやめてはいけない、私はそう考えているよ。」

己の考えを口にする巓奉。それは目の前の寄月に言っているようで己自身に言い聞かせているようでもあった。

目を泳がせる彼を鑑みるに彼なりに何かしらあったのだろう。
良い男なら一つや二つくらいそういうのがあって当然だと思う。
ただまあ、そういう初心なところを見せるからそうなるんじゃないかな?─とはさすがに言えなかったが。

「キミの事、気に入ったからじゃ……不満かい?」
わざと強調するように『ごちそうさま』と言いつつペロリと舌なめずりをして。
ふと、商店街の時計に目をやり──

「おっと、楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまう……心惜しいがこれで私は失礼するとしよう。
そういえば、自己紹介がまだだったね。私は巓奉、しがない刀鍛冶さ。」

自己紹介を交わせば立ち去っていくだろう。ある程度距離が離れたところでにやつきつつ振り返り、大声で寄月に言ってみせるのだ。
『縁があればキミのその立派な刀を見せて欲しいかな、二人っきりでね!』──と。
そして駆け足で人混みに姿を消すだろう。周囲の視線が痛く感じるかもしれない……。

ご案内:「商店街」から巓奉さんが去りました。
寄月 秋輝 >  
「……そうかもしれませんね。
 歩みを止めた者は前に進めない道理です」

それには頷いてみせる。
あの日のような、がむしゃらに強くなりたいと願った心が、今は無い気がする。

「……そのお気持ちはありがたく受け取っておきます」

何とも言い難い表情で、ぺこりと頭を下げた。
女性から好かれること自体は悪い気分はしないものだ。

「ええ、お気をつけて。
 僕は寄月 秋輝と申します。
 またどこかで」

と、その背中を見送るのだが。
まさかの爆弾発言に頭を抱えながら、その場を立ち去った。

ご案内:「商店街」から寄月 秋輝さんが去りました。