2016/09/03 のログ
ご案内:「商店街」に世永明晴さんが現れました。
■世永明晴 > 「へぷしっ」
抑え気味にくしゃみをした。寒気が止まらない。
マスクの下で、鼻水をたらしどこか熱に呆けた様にしながらも、商店街を歩く。
風邪だ。原因としては……まぁ明確だろうがあえていう事もなかろう。
夏季休暇を終わったばかりの身で風邪を引いてるという事で幸先の悪さもあり、どこか授業の先生方には冷たい目やら、呆れた目やら。
心配されたような目を向けられた気がするが、ばつが悪そうな顔をするぐらいしかできないから勘弁してほしいものだ。
「あー……」
鼻声で唸りながら商店街を歩く。一人暮らしの身としてはこういうときでさえ自ら買い出しに行かなくてはならない。むしろ、こういう場合だからこそか。
食料など、買い置きはほとんどしていない。と、いっても。この状態で何が食べれるかなど、あまりわからない。
適当に食べれそうなものを買って……後は、風邪薬か。……いや、病院だろうか。
ともかく。熱にうかれたように、ふらりと歩いた。
ご案内:「商店街」に水月エニィさんが現れました。
■水月エニィ >
一方には商店街を往く少女。
路に並ぶ八百屋の一つで足を止め、
並べられた野菜を眺める。
(きゅうりが高いわね……)
目当ての品が少々値上がりしていれば眉を顰めて唸る。
今の所は熱にうなされた青年には気付いた素振りがなく、買い物に興じている。
■世永明晴 > 同じように(どちらかというと偶然的に)八百屋の前を通りすがる。
当然、というべきか。同じ場所に立ってようが、その少女を気にかける様子はない。というより、その余裕がないというべきか。
ふ、と。隣にいるその少女に少しだけ目線をやっただけでぼんやりと八百屋の方へ眼を戻す。
(野菜か……)
どうなのだろう。一人暮らしを始めて風邪を引くのは結局のところ初めてだ。
何を食べるべきか、何を食べれるか等自分との相談になる。
「ん……」
唸りながら、呆け乍ら。隣に立つその少女を気にするでもなく考えに耽り――。
ぷしっ。
と、また小さいながらもくしゃみをもう一つだけ。
■水月エニィ > 傍でくしゃみような音が聞こえる。
視線を映せばそのまんま熱にうかされたような青年の姿。
自分よりやや年上、だろうか?
(風邪かしら……?)
素振りを見れば風邪かと推する。
今にも倒れてしまいそうだ、そんな懸念も隣の彼に覚えた。
■世永明晴 > ……。
わからない。
考えていても分からないなら、他のところに行くべきだろう。
結論が破綻しているそんな考えを持ちながら、ふと歩き出そうとして。
「……ん」
その隣の少女の視線に気づいた。
「……あぁ、すみませんでス」
この状態で人前に立つのも考え物だということも分かってはいたが、致し方ない。鼻声で頭を下げた。
■水月エニィ >
「いえ、構わないけれど……って、大丈夫?」
どうにも具合が悪そうだ。
さも自然だと言わんばかりに目の前の彼の身を案じ、当たり前のように具合を伺うだろうか。
下げた頭を覗き込むように、上目遣いに視線を併せたか。
■世永明晴 > 何故こういう時に、あの眠気は来ないのか。
全く、本当にままならない異能だ、等と関係もなく。
栓無き事を考えながら、自分より身長の彼女の視線に合わせた。
「……あー。いえ……ただの風邪でスよ」
本来であれば赤の他人を心配できる人柄に、この学園の環境に対して苦笑を浮かべているのだろうが。今はそうもいかず。
鼻水をたらし、あー、等と無意味な呻きを漏らすぐらいしかできなかった。
■水月エニィ > ぼうっとしている素振りは曖昧なものではあるが、
眠そうと言うには痛ましい。
「なら良いんだけれど……いや、良くないけれど……
……病院で診てもらった? それともその帰り? 多分、診て貰った方が安く上がるわ。」
お節介なのは性根性分のようなもの。そこで話を打ち切らなかった。
……水月エニィは無関心でいられない程には感受性が高い。大雑把に言うのならそうなるだろう。
何時倒れても支えられるように身体を寄せつつ、続けて訊く。
■世永明晴 > 熱の寒気が走り、頭を振った。
「いえ……まだっス。ちょっと、今日は……夕飯の買い出しに……」
熱のこもった吐息を吐きながら、ぽつぽつと話す。
今日行けるなら行っておきたいところだが……体力との相談だ。
優先事項は目先の食料。ぼやけた頭での判断は、もちろん信頼性に欠けるものではあるが。
傍に寄せられた体に、少しだけ体を震わせつつも特に何をするでもなく。ただ、熱に浮かされた様に、もう一度頭を振るう。
■水月エニィ > 「……そう。」
踏み込むべきか踏み込まざるべきか。
不安だが確たるものもなく、見知らぬ他人であることは自覚している。
都合の良いものは持ち歩いていない。
食事の好みも分からない。
「確かに、病院に行くのも疲れるかもしれないわね。
卵か何か栄養のあるものを買って、何処かで薬を買って凌ぐのも大事カかもしれないわね……。
最近ではコンビニでも売っているみたいだし……お大事にね。ええと、お兄さん。」
そう言って離れる。
恐らく出来る事は無いだろうと思えば、気遣うに留めて身体を離す。
名前が分からなかったので、お兄さんと呼んでおくことにした。
■世永明晴 > 「……えぇ。……えっと……ありがとうございまス」
名前は分からない。しかしながら……いや、だからこそか。
善意なのだろう。だからなんとか、明瞭さをかく思考ながら。
苦笑にも似た笑みを作り――(と言っても、それはマスクの下に隠されてしまうのだろうが)礼を言った。
「卵……覚えておきまス。ちょっと……何買えばいいか、分からなかった、もので……」
■水月エニィ >
「……お礼を言われる事はしてないわよ。」
詰まった口ぶりから戸惑いは分かってしまうものだ。
いずれにしても今の所それ以上何かを寄せることはない。
「ん……ええ。おかゆでもナマでも、食べやすいわ。
それじゃ、私はこれで。」
そう言って3本180円のキュウリのカゴを手に取って進む。
風邪を引いている彼から意識を外し、本来の買い物へと戻ったのだろう――。
ご案内:「商店街」から水月エニィさんが去りました。
■世永明晴 > 「……かもでスね」
どちらでもいい。どちらにしても――自分だったらどうしていたら、か。
栓無きことだ。
「……はい。……それ、じゃ」
去っていく彼女から視線を外した。熱に浮かされ乍ら、何処に行くかもあまり見当を付けずに歩き出す。
羨ましさなど感じることも見当違いなのだろう。
もう一度、小さくながら。人ごみに流されながらくしゃみをした。
ご案内:「商店街」から世永明晴さんが去りました。