2016/09/29 のログ
ご案内:「商店街」に学園七不思議―【ヘルメットさん】さんが現れました。
学園七不思議―【ヘルメットさん】 > (午後の買い物客でにぎわう商店街の一角。店と店の間に存在する僅かな「隙間」に彼女は居た。
 機嫌よく鼻歌など鳴らしながら歩を進めるその姿は何の変哲もない、ただの女子学生そのものである)

(ただ一点。フルフェイスのヘルメットを被っているという点を除けば)

「んー……この辺がいいかなぁ」

(行きかう人々は彼女の存在に気付いているのだろうか。ふ、と視線をやれば簡単に目につくその姿だが―)
(不思議と通行人たちが彼女を気に留める様子はない)


「ん、きーめたっと!」

(店舗の壁面を指先で何やらなぞっていたが、納得が言ったようでこくりと大きく頷いて―)

学園七不思議―【ヘルメットさん】 > (何らかの異能の力で周囲の視界を、認識を阻害しているのか―
 はたまた、フルフェイスのヘルメットを被って出歩く異常な女子生徒と関わり合いになりたくないから見て見ぬふりをしているのか
 ごそごそと手にした学生カバンの中を探る彼女の姿を見ている者は誰も居ない)

「…じゃーん」

(セルフで効果音をつけるという一人遊びの上手さの片鱗を見せつける少女である
 取り出したのはラッカースプレー。何の変哲もないラッカースプレー)

「ふふん、一度やってみたかったんだよねぇ」

(ヘルメットの下のその表情は伺い知れないが、声色は何とも機嫌良さげである
 シャカシャカと子気味良い音を立ててスプレーをシェイクする。
 何の変哲もないスプレーであるが、これも時には凶器足りうる。この異常な風貌の少女がスプレーを手にして行ったこととは―)

学園七不思議―【ヘルメットさん】 > 「~♪」

(少女が行ったこと。それは落書きであった
 今時目にすることも少なくなった酷く前時代的で―それでも典型的で余りにもあり触れた反社会的行為である)

「んー、っと…ふっ、よいしょっ、とぉー」

(いちいち声を出しながら落書きを続ける少女である)
(カビ臭い店と店の隙間の通路にシンナーの鼻をつく匂いが広がっていく)

「ぃよーっし、完成っ!」

(スプレーから噴射される塗料が尽きるころ、彼女のアートは完成した。
 デカデカと描かれたのは「ヘルメットさん参上」の文字であった。
 ご丁寧に最後にデフォルメされたヘルメットのマークまで描いてある)

「いやぁ…いいね。いい出来だね。これは皆私の存在を認知せざるを得ないよね」

(渾身のアートを前に満足げなヘルメットさんである)

学園七不思議―【ヘルメットさん】 > 「ふふん、思いつきだったけど意外といいんじゃないのこれ。
 イマイチ影の薄い私もこうやって証拠残してけば他の七不思議ぐらいには認知されるんじゃないかね??」

(うんうん、と一人アートを前に頷き謎の計画を口にするヘルメットさんであるが、果たしてそれに何の意味があるのだろうか。
 きっと意味はないのだろう。だって彼女はヘルメットさん。学園七不思議の一つなのだから)

(存在するのかどうかもあやふやで、そもそも七つどころの話ではないこの街の都市伝説である学園七不思議。
(その中で最近地味に。本当に地味に噂され始めたのがこのヘルメットさんである。
(詳しいことは不明だが、ただ一つ、「フルフェイスのヘルメットを被った謎の女子学生である」ということだけはハッキリしている)

「いやぁ…いいね。夢が広がるよね。「良い子にしてなきゃヘルメットさんが来るよ!」とか言われるようになれば私も立派な都市伝説だね…」

(それは都市伝説というよりは怪談とかおとぎ話の類であるということに突っ込む人はこの場には居ない)

「今!ここから!私のサクセスストーリーが始まる…なーんちゃってー!」

(けたけたと楽し気に笑いながら路地の奥へと歩を進める少女)
(僅かに残るシンナーの香りと、でかでかと描かれた落書きが、彼女の存在を確かに証明したいたのだった)

ご案内:「商店街」から学園七不思議―【ヘルメットさん】さんが去りました。