2016/10/01 のログ
ご案内:「商店街」にルベールさんが現れました。
ルベール > この世界は平和なものだ。
戦場を駆け回り、あらん限りの声で吠え、時間が一瞬で過ぎるような高揚を浴びるように感じていた女にとっては、それはある種の退屈として感じられるだろうか。

いやまあ、その頃は思いっきりレオタードのような衣服を身に着けて、自分のことをこっぱずかしい二つ名で呼び、誇大広告の百貨店のような状況だったのだから………思い出したくも無い。


………くぁ、っと欠伸をしながら、180cmはあろうかという長身の女が屋外フードコートの椅子にんしょー、っと腰かける。
魔法を使う艶やかな女戦士は、異世界に飛ばされたことを機に、すっかり単なる一学生としての立場を楽しむようになっていた。

今日はハンバーガーのランチセットを購入して、ふっふん、と鼻を鳴らして満足げ。

ルベール > なんとこのランチセット、ハンバーガーとポテトとドリンク、そしてデザートがセットになっているのだ。
まだまだ残暑が厳しい時もあるこのご時世ではあるが、今はすっかり商店街はハロウィンを目当てに模様替えされており、今日のデザートはカボチャプリン。

……これが、彼女の目当ての品である。


彼女は見た目や座り方から何となく察することができそうだが、ハイパー大雑把である。
カロリー計算とか絶対しない。
食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、眠たい時に寝る。

しかし、栄養はすべて胸に行く。世の中は無常である。


「…っかし、商店街も混んでるねぇ。人込みは苦手なんだけどな。」

ふんふん、っと鼻歌を歌いながら、ハンバーガーの包み紙をひらいてぱくり。
ダブルチーズベーコンエクスプロージョンバーガーは流石のボリュームだ。

ルベール > 「………肉の味しかしない。」

肉の味しかしなかった。そして感想はとてもストレートだった。心の声と肉声の美しいハモり。いやまあ、この大雑把な塩味が旨いんだけどな!

屋外のフードコートの椅子をぎしりと揺らして、満足そうにハンバーガーをもぐもぐと食べる。ハンバーガーハンバーガー、ポテト、時々コーラ。
昔から大雑把な生活をしていたが、元いた世界より娯楽が多いこの世界、彼女はすっかり堕落していた。

「……ふはー。」

満足。一個でお腹が一杯になるボリュームはたまらない。
ぽん、と、安っぽいプリントのTシャツに包まれたお腹を叩いて吐息をつく。
ウェストは凄く細いわけでもないが、その上下が大きいから対比的に細く見える。

そんな女らしい女ではあるが、周囲の視線なんぞどこ吹く風だ。

ルベール > ………そんな彼女ではあるが、プリンには真摯だ。
男性女性問わず、甘いものが好きな人間であれば誰だってプリンの前では真摯になる。
結構真剣な顔で半透明のプラスプーンを開いて、濃い色のそれをちょっとだけ口に運んで。

「ん、ふふー………」

思わず頬が緩んで、足をばたばたと揺らす。
別に足が浮いているわけではないから、地面をばたばたと踏み鳴らすことになってしまうのだけれど、それはそれで気にしない。

「……っし、決めた。
 この島のプリンを全種類食べるまでは帰らない。」

帰る手段も無いまま、誓いを胸に刻みつつ。
その大柄な見た目にそぐわぬ、ちっちゃな掬い方でプリンをのんびり食べるのだ。

ご案内:「商店街」からルベールさんが去りました。