2017/02/06 のログ
ご案内:「商店街」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「ばれんたいんでい………」

2月ももうすぐ第一週が過ぎる頃。
来週にはバレンタインを控えて商店街は甘々しい雰囲気に包まれていた。
そんな中を、通りに掲げられたのぼりを眺めながら七生は歩く。

「……うーん、今年もあるよね。やっぱり。」

あんまり縁の無いイベントだとは思っているが。
こうも毎年賑やかに喧伝されていると、やっぱり気になってくるものだ。

東雲七生 > 「うーん……」

近場のショップの前で足を止め、ショーウィンドウ越しに並んだ多種多様なチョコレートたちを眺める。
大小白黒様々なチョコレートがある中、七生はある共通点に気付く。

「……ハート型、多いな……。」

そう、売られているチョコの大半がハートの形をしている事。
まあ、イベントの中身を考えれば無理もないのだろうが、特に“そういう仲”の相手が居るわけでもない七生には少し重い。
一年以上世話になっている居候先の家主にでも日頃の感謝の思いを込めて、と考えていたのだが。

「これはちょっとどころじゃなく恥ずかしいやつだ……!」

ご案内:「商店街」に高菜結衣さんが現れました。
東雲七生 > 「うーん、買って帰るにはハイリスク過ぎるか……」

今度、誘って来て選んでもらおう。
そう決めると溜息と共にウィンドウから離れて、ついでに映り込んだ自分の姿を見つめる。
低い背、幼い顔立ち。相変わらず、とても高校二年生には見えない。

「もう少し大人びた見た目なら、良かったのになホント……」

思わず苦笑を浮かべながら、前髪を少し整えると、七生は大きく伸びをした。

高菜結衣 > わりと静かなモーター音が鳴り響くなか、車輪の付いた不思議な機械…ハンドルのないセグウェイのような機械の上に女の子が移動してきている。

「ふ~んふ~ん♪ちょこれいと~、私はあげる彼氏はオランダ人~」

自分で作詞作曲した意味不明な歌を歌いながらやってくる。
チョコレートの歌を歌ってる割には、チョコレートに目もくれず、商店街の片隅にある電器屋で
電気部品を買い込み始める。

東雲七生 > 楽しい事は掛算的に機能する。
イベント事は楽しいし、きっと深雪と出かけるのも楽しい。
楽しい×楽しいできっとすごく楽しいに違いない。
そんな事を考えていたら、自然と笑みがこぼれる七生だった。

「……うん?」

しかしニヤけていたのも僅かの間。
間の抜けた歌が耳に届き、きょろりと辺りを見渡せば。
奇天烈な乗り物に乗った少女を見つける。

「何だろ、あれ。バイクでも自転車でもないみたいだけど……?」

興味本位で近づいて、電器屋前までやってきたのだった。

高菜結衣 > 電器屋で、コンデンサやトランジスタから汎用基板などを大量に買い込んで、
セグウェイのような機械…『全自動移動機』の後ろについている籠に載せると、くるりと振り向き……
やってきた男の子に気づき笑顔を浮かべて軽く手を上げてから

「こんにちは、もしかして君も機械ってる?」


意味がわからないが、どうやら機械部品を探しに来たのかと聞きたいようだ。

東雲七生 > 「よっす!……ああいや、そうじゃなくて。
 ……それ!その乗り物、どうなってんのかって思ってさ!」

買物に来たと思われてしまったようで、慌てて首を振る。
あまり機械いじりの類は好んでしない七生だが、珍しいものには好奇心から近づくことが多かった。
真っ直ぐにセグウェイのようなものを指して、それから改めて少女を見遣る。

「どっかで売ってる奴?それとも、君が作ったの?」

高菜結衣 > 「よっすー!」

相手の挨拶を再び同じ言葉で返すとその後の言葉に笑みが溢れる

「よくぞ聞いてくれました、これは私がセグウェイをパクっ……もとい、
 参考にして開発した全自動移動機ですよぅ!」

実際は、モーターショー的なイベントに行った時に異能で見て解析してアレンジを加えて組み立ててるわけで、
ほぼパクったも同様だが言い直している。

ステップの高さを足して、ちょっと高い感じなので、視線が合うと

「もしかして、君もほしいですか? 今ならお安くしときますよぅ!」

東雲七生 > 「あははっ、ノリ良いね!

 へえ、そうなんだ、セグウェイ……ってのはよく知らないけど、
 よくこんなの組み立てられたなー。」

物珍しげな視線をセグウェイのようなものと少女へと向けたまま。
一体どういう原理で動いているのか、どうやって操縦するのか、七生にはさっぱりだった。

「あいや、欲しいか欲しくないかで言うと欲しいけど……あんまりうまく扱える気がしねえんだよなあ。」

しかも金取るんだ、と続け掛けて、当然と言えば当然か、と口を噤む。

高菜結衣 > 「あははっ、割と大変でしたよぅ」

精密機械の塊を『割りと』で済ませるのも十分おかしいが
物珍しげな視線を向ける相手に、機械から降りると相手の目を見て笑いかける

「試しに乗ってみますか? 体重を前にかければ前、後ろにかければ後ろ、左右で反対の体重をかければ旋回出来ますよぅ」

乗ったら丁寧に扱い方を説明するつもりで……

「気に入ったらそれ譲りますよぅ、サンキュッパで」

3万9800か、39万8千か…… 笑顔で3つ指を出しているが

「もちろん、私のお古なので3980円ですよぅ?」

と付け加える。安すぎる……儲けようという気はみじんもないので、
価格設定が色々おかしいが……。

東雲七生 > 「あ、やっぱ大変なのか。
 そりゃ、そうだよな。車なのか自転車なのか分かんねえけど。」

素人である七生にはどれだけの苦労があったのか、皆目見当もつかない。
きっと軽い口振り以上の手間などがあったのだろうことは想像に難くは無いが……。

「えっ!?……いや、ええと……や、やっぱいいや!
 変に動かして壊しちまったら悪いしさ!」

携帯通信端末1つ満足に扱うのに数日かかったのだ、移動用の機械なんてたとえどれだけ丁寧な説明を受けても、
その日のうちに乗りこなせる自信なんてまるでない七生であった。

「それにほら、君の帰りの手段を取っちゃうのも気が引けるしさ!」

買い物帰りなんだろ?と籠と、籠に入った部品の山を指す。

高菜結衣 > 「一応原動機付き自転車……になると思いますよぅ」

小首をかしげて答えると試乗を辞退する相手に、再び乗り直すと

「大丈夫ですよぅ、核攻撃を受けても壊れないように……
 いや、試したことないから壊れるかもしれませんけど、頑丈ですから心配しなくていいですよぅ」

わりといい加減なことを言いながら相手を見る。
優しい人だということがありありと分かって、こちらも笑顔でお返しをし

「君は優しい人ですっ、あ、私は高菜結衣って言います。 発明部の部長カッコカリをしてますよぅ」

深々と頭を下げると、顔を上げて、相手の目を見ながら

「できれば君のお名前も教えてくれませんか?」

東雲七生 > 「げんどうきつきじてんしゃ……」

それが。と件の機械を指さして。

「いやいや、自信無いし、せめて自転車が乗れる様になったら挑戦してみたい。」

そう、未だに自転車も乗れないのだ。
いや、正確には乗った事が無いから乗れるかどうかも解らないのだけれど。

「え?そう、かな……優しいかな。
 まあ、他に長所みたいなとこ無いし、ね……ありがとう。
 
 俺、東雲七生。高菜だね、覚えたよ。」

高菜結衣 > 「はい、原動機がくっついてる自転車だから原動機付自転車ですよぅ
 では、自転車に乗れるようになったら、是非一緒に練習しましょう……」

そこまで言って首を傾げる……
あれ?と先程聞いた言葉を反芻してから………

「あれ?自転車乗れないんですか?」

とはっきりと聞いてしまった……。

自己紹介をした相手に

「東雲くんですねっ。よろしくお願いしますよぅ」

にこりと笑みを向ける。

東雲七生 > 「なる、ほど……?」

じゃあ原動機を外せばただの自転車になるのだろうか。
とてもそうは見えないが、あまり深く突っ込んでも仕方の無い事、と七生は余計な事を訊くのは止めた。

「えっと、………うん、乗った事無くてさ。大体走った方が早いから。
 だから乗れる様になったら、次はそれに挑戦したいかなって。」

あはは、と笑いつつ。
よろしくー、とどこか幼い印象の笑みを返した。

「っと、そろそろ帰らないと。
 それじゃあ高菜、また学校とかで会う事があったら!」

軽く手を振って、くるりと背を向けた。

高菜結衣 > 「わかりました、次にお会いする時までに『全自動自転車教習機』を開発しますね」

また開発癖という悪癖をさらけ出しながら、ポケットからメモを取り出して手早く書き留めておく。

そしてそろそろ帰る相手に、

「はい!また会いましょう!」

そう声をかけ、くるりと背を向けた相手を見送る。

その後自身も寮へと帰り着くだろう、

ご案内:「商店街」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「商店街」から高菜結衣さんが去りました。